星の子 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 115
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022649409

感想・レビュー・書評

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  • 自分の病気(幼かったので本人には記憶がない)がもとでカルトにはまってしまった両親と暮らすちひろ.
    姉が家を出て行ってしまったり,十分な食事がとれないほど貧乏になるなど,はたから見るとすごく不幸な境遇なのだけれども,本人は結構楽しく暮らしていて,不満もあまり感じていない.
    両親がはたから見るとおかしいことや,そんな両親を恥ずかしく感じるようになるのだけれども,両親はやっぱり好きだし,別に教団を嫌いになったりもしない.
    (カルトの中には友達もいっぱいいてかえって楽しそう.
    ただ,世間とのずれに気が付き始めたちひろが今後どうなるのかは,気になるところではある.)

    カルトにどっぷりとつかって「平和」に暮らしている家族は確かに不穏で不気味.
    でも,普通と信じているものがカルトでないって言いきれるのだろうか?
    やっぱり,今村夏子先生の作品は心をざわつかせる.

  • 著者の本は、いつも 怖ぇ〜〜〜と身をよじりながら読む。
    今回もそうだった。怖い、怖い〜。不穏なこと、怖い事が淡々と描かれる。
    時には非常にユーモラスで、それが物悲しいし、
    巻末の小川さんの言葉を借りるなら「暴力的」で「報われない」。
    なべちゃんのちょっと棘のある優しさがすきだった。
    ほかのクラスメイトが過度に干渉してくるわけでもないけどやさしいのが印象的。
    「南先生の似顔絵じゃありません」

    ラストシーンの流れ星を見る家族のさみしさが、美しくてずるいと思った。
    最初は子どもへの愛情から、家族の健康のために始まった宗教。
    どんどん健康を欠いていく両親の姿や、その弱さがせつない。

  • 病弱だった娘を救うため、「生命の水」を信仰する「あやしい宗教」に傾倒していく家族を描く。
    かつて病弱だった娘、ちひろの一人称で話は進む。

    じわじわと宗教に傾倒していく両親と止めようとする親戚、遠巻きにする周囲の人々、同じ信者の人。
    子供のちひろ目線は、見たままを綴られるが、じんわりとした嫌な不穏さを感じる。
    嫌な空気は物語が進むにつれ少しずつ大きくなっていき、でも決定的に大きな事件が起こるわけではない。
    ちひろにとって両親は大好きで、その愛情に偽りはないのだ。ちひろの視点からは宗教や両親を一切否定するような言葉は出てこない。
    でも次第にその環境が普通として育ったちひろも、世界が広がるにつれ「周りと違うそれ」の違和感を隠しきれなくなってくる。
    ぎりぎりのところを留まっていたちひろを決定的に打ちのめしたのは、やはり南先生の全面否定だろう。
    ある意味、南先生は社会の擬人化にも感じた。

    初回読んだ時は、もう一決着するかと思ったが、あっさりと終わってえっ?終わり??となった。
    しかし、前後を振り返ってみると、この常にぎりぎりをせめぎ合う不穏さ、不安を残して終わるのはまさしくこの作品に相応しいようにも感じた。
    このラストを救いと感じるか不安と感じるかは人によって分かれそう。


    巻末には小川洋子と作者との対談も収録されている。

  • 今村夏子の長編が文庫化。
    『むらさきのスカートの女』で芥川賞を受賞したが、本書で受賞していても不思議ではなかったと思う。読者の『興味』ではなく、妙な『不安』、一種の不穏さをかき立てて引っ張って行く作風は独特のもので、今村夏子以外に書けるとは思えない。
    巻末には小川洋子との対談を収録。単行本を持っているのに文庫まで買ったのは、純粋に読み返したかったからだけではなく、これが収録されていたからでもある……。

  • 読みやすくいっきに読めたんですが
    この先この家族はどうなるの?って
    心配が残ったなぁ

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著者プロフィール

今村夏子(いまむら なつこ)
1980年広島県生まれ。2010年「あたらしい娘」で第26回太宰治賞を受賞。「こちらあみ子」と改題、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で2011年に第24回三島由紀夫賞受賞。2016年、文芸誌『たべるのがおそい』で2年ぶりの作品「あひる」を発表、同作が第155回芥川龍之介賞候補にノミネート。同作を収録した短篇集『あひる』で、第5回河合隼雄物語賞受賞。2017年、「星の子」で第157回芥川龍之介賞候補ノミネート、第39回野間文芸新人賞受賞。 2019年、「むらさきのスカートの女」が第161回芥川龍之介賞を受賞した。

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