- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022649522
感想・レビュー・書評
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子どものできなかった私にとって、縁あって4年半前に家族を持つことができた。孫の誕生で同居しつつある今、家族についてしっとり考えさせられるこの頃である。本書7編のそれぞれの「おやこ」の愛のありように、自分を写し込んで読み進めた。
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親と子の関係性も
随分と変わってきたが
子を思う親というものは
いつの時代でも変わらない。
自分の子には何とかしてやりたい。
そう思えば思うほど
若かりし頃
人には言えないような
愚かな自分が情けなく感じる。
歴史は繰り返すものなのだ…。
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時代小説の名手7人が描く傑作短編集。朝日文庫から刊行している時代小説アンソロジーの第三弾。第一弾「情に泣く」、第二弾「悲恋」に次ぐ「おやこ」。
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いずれの話も味わい深い。
女性作家の作品は特に深く感じる。
『いさましい話』は安定した話だった。 -
山本周五郎初読み。
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人気作家7人が、描いた「おやこ」
池波正太郎の「つるつる」
精神的なものであろうか、若くして、円形脱毛症を笑われた市之助は、若君 幸之進を殴ってしまう。
結婚も出来ず、家での逼塞のお沙汰を受けるのだが尾、、、父親は、そんな息子の行動を咎めず、「よくやった!」と、褒めるのである。
この当時の背景で、武士の子が、上司を殴るのは・・・
もっと、論したら良かったのでは・・・有望な息子であるのだから、と、思ってしまった。
梶よう子の「二輪草」
ご薬園のトリカブトの紛失は、、、、誰が、何の目的で、、、、と、
二輪草とトリカブトの違いは、花が咲いていないとわからない。
のんびりとした平太なのに、推理力と植物の見識は凄く、そして、誰も傷つけずに、トリカブトを元の場所へ戻すように促す所が良い。
杉本苑子の「仲蔵とその母」
歌舞伎の中村仲蔵の半生を養母の視点で・・・と、書かれてあった。
養子として万蔵は、お俊に引き取られるのだが、、、、役者にしようと、努力をする過程が、描かれている。
竹田真砂子の「木戸前のあの子」
今まで、作者の本を読んだ事が無かった。(申し訳ない)
役者になれなかった木戸芸者(呼び込み役)の三次。
木戸の前で、いつも居る少女が、気になるのだが、、、
父と娘のでは、無いのに、、、、疑似的な親子関係の様な・・
しかし、余り、感動できなかった。
畠中恵の「はじめての」
目の悪い母親を治そうとする娘に怪しげな目医者が・・・
母と娘の関係を描いている。
山本一力の「泣き笑い」
この時代でも、絵札遊びが、流行ったのか、子供同士で、遊びながらも、盗んだ事に、激怒の父親と息子。
父親の清吉の自分の子供時代の背景も 描きだされて、子供を叱る父親を、久しぶりに見たような感覚になった。
山本周五郎の「いさましい話」
笈川玄一郎は、江戸表から国元へ、派遣される。
玄一郎は、誰しもが、すぐに戻る国元で、一生を過ごす思いでいた。
初め読んでいて、結婚にしても、策略的で、こんな男が、、、、と、思っていたのだが、忍耐強く、自分の周りで、あれこれと邪推やいじめの様な言葉を聞きながらも、耐え忍ぶ。
しかし、果し合いの場に挑む玄一郎のすがすがしい思いには、感服!!
勝利したものの 自分への妬みを買う事になるのだが、それに反論もせずに、上からの沙汰も、受ける。
それを翻してくれたのは、いつも、釣りに一緒であった庄左衛門であり、妬みの沙汰を取り除いてくれた人物こそ、自分の父親であったことが、最後に判明する。
この本の中で、最後の「いさましい話」が、一番感動した小説であった。
父と息子なのに、名乗りもあげずに、温かい目で、側にいながら、子供の為なら、何でも身を挺す懐の深い親の愛情を感じてしまった。