氷室の華 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 68
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022649607

作品紹介・あらすじ

白姫澤村に住む祖父を訪ねた小学生のユウジは、彼の家系が氷室守だったことを知る。しかし、氷を保管する洞窟で、氷室守に託されたもう一つの役割を明かされたことから、いつしか彼はよこしまな蒐集を始め……。妖艶な雰囲気に包み込まれるサスペンスホラー。

感想・レビュー・書評

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  • しっとり読ませるホラーミステリの一冊。

    閉塞感漂う村、氷室守りの家系。水掻き。漆黒の洞窟に咲く異形の花。

    もろ好き系ワードに心が踊る。

    幼少期に見た光景が自分の中に潜む血を掻き立てるって、なんだか現実味を感じてこちらまでゾクゾクソワソワ。

    一体この幼少期の光景から物語がどう展開していくのか…季節の移ろいと共にちょっと淫靡漂う美の世界へと連れ出された。
    あぁ、こういう繋がりか。
    うん、ラストもそうこなくちゃね。

    幻想的な描写はもちろん残酷な描写も、なんだかしっとりまとわりつくように美と共に魅せるこの世界観、好み。

  • 大好き。 エライモノを読んでしまった。
    氷室守りを継げなかった麗しい男、地底湖に沈み眠れなかった下僕。手癖女の犯す罪と華を刈り砕く女。
    クチナシと薄荷の匂いのこの閉じられた空間を開け放って欲しくない。出来るならば永遠に。
    仙女は望む、しなやかな指とひらひら咲くひらこの華。 あの人はきっともういない。

  • 「人喰観音」と「やみ窓」でがっつりハマった篠たまきさん。新作が出るということで調べていたら、サイン本入荷の情報をゲット!これは買わなくては!と送料+手数料で本体価格の倍以上になってしまった。がしかし好きな作家さんのサイン本にはそれ以上の価値を感じてしまう。そして嬉しいご褒美が。Twitterでサイン本欲しかったので本体価格の倍かかったと呟いたら、なんと著者からTwitterでコメントが!買って良かったと思えた瞬間。もちろん家宝にします。転売する人がいるけど転売なんて考えられない。

    それはさておき、内容は装丁の通り、怖気と寒気と臭気が混在したホラーミステリー。土俗的な怪奇譚が好きな方にはどストライク。しっとりねっとりした展開が嫌な汗を滲ませる。氷室の中の極楽浄土、そこに咲く氷室の華の光景が美しい。この世界観、猟奇的だが芸術的で良い。私の性感帯をつついてくるのだ。

  • 白姫澤という村の出身者には指と指の間に水かきがあって、その手を切り取って花としていける、というオリジナリティの高い、サスペンスと言うかファンタジー。水かきを、ひらこだの、掻き平だの呼ぶセンスもいい。少女を相手にするペドい展開もあって、なんともすごい作品なのだが、文体が好みじゃないのが残念。

  • ホラーは嫌いではないです。氷室の華も許せます。でも痛いのは嫌かな変に水掻きを切り刻むリアルな描写は耐えられないなあ。

  • 作者さんの経歴から幻想文学的なものと思っていたのだけれど、これはストレートなサイコホラー。実際スーパーナチュラルな出来事は、禁欲的なまでに生じない。とは言え、リアリティを感じるのは女性たちの内面描写くらいで、どこか夢の中の出来事を覗き見しているような、曖昧な感じがつきまとう。その辺は好きかな。ただサイコホラーとしては型通りで、突き抜けるものは感じられない。

  • ああ、読み終わってしまった…残酷で狂ってて美しいです。
    美しい村とそこに生きる人間達の残酷さの対比が刺さりました。
    この作家さんの他の本も読んでみたい、一気にファンになりました。
    随所に散りばめられている香りの描写が好きです。

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著者プロフィール

秋田県出身。2015年『やみ窓』で第10回『幽』文学賞短篇部門大賞を受賞、同作を含む連作短篇集『やみ窓』でデビュー。他の著書に『人喰観音』『氷室の華』がある。

「2021年 『月の淀む処』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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