氷室の華 (朝日文庫)

  • 朝日新聞出版 (2021年3月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784022649607

作品紹介・あらすじ

白姫澤村に住む祖父を訪ねた小学生のユウジは、彼の家系が氷室守だったことを知る。しかし、氷を保管する洞窟で、氷室守に託されたもう一つの役割を明かされたことから、いつしか彼はよこしまな蒐集を始め……。妖艶な雰囲気に包み込まれるサスペンスホラー。

みんなの感想まとめ

独特の雰囲気に包まれたこの作品は、ホラーミステリーとしての魅力が際立っています。閉塞感漂う村と氷室守にまつわる家系の物語は、幼少期の記憶を呼び起こし、読者を不気味で幻想的な世界へと誘います。漆黒の洞窟...

感想・レビュー・書評

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  • しっとり読ませるホラーミステリの一冊。

    閉塞感漂う村、氷室守りの家系。水掻き。漆黒の洞窟に咲く異形の花。

    もろ好き系ワードに心が踊る。

    幼少期に見た光景が自分の中に潜む血を掻き立てるって、なんだか現実味を感じてこちらまでゾクゾクソワソワ。

    一体この幼少期の光景から物語がどう展開していくのか…季節の移ろいと共にちょっと淫靡漂う美の世界へと連れ出された。
    あぁ、こういう繋がりか。
    うん、ラストもそうこなくちゃね。

    幻想的な描写はもちろん残酷な描写も、なんだかしっとりまとわりつくように美と共に魅せるこの世界観、好み。

  • 氷室守りの家系に繋がる祖父が小学生のユウジに氷室守りの役目を話す描写が気味悪く、氷の中にいるような冷たい人たち…手癖女を狩る、仙女に、ひらこの白い華…不気味でゾクゾクする怖さ。

  • 大好き。 エライモノを読んでしまった。
    氷室守りを継げなかった麗しい男、地底湖に沈み眠れなかった下僕。手癖女の犯す罪と華を刈り砕く女。
    クチナシと薄荷の匂いのこの閉じられた空間を開け放って欲しくない。出来るならば永遠に。
    仙女は望む、しなやかな指とひらひら咲くひらこの華。 あの人はきっともういない。

  • 「人喰観音」と「やみ窓」でがっつりハマった篠たまきさん。新作が出るということで調べていたら、サイン本入荷の情報をゲット!これは買わなくては!と送料+手数料で本体価格の倍以上になってしまった。がしかし好きな作家さんのサイン本にはそれ以上の価値を感じてしまう。そして嬉しいご褒美が。Twitterでサイン本欲しかったので本体価格の倍かかったと呟いたら、なんと著者からTwitterでコメントが!買って良かったと思えた瞬間。もちろん家宝にします。転売する人がいるけど転売なんて考えられない。

    それはさておき、内容は装丁の通り、怖気と寒気と臭気が混在したホラーミステリー。土俗的な怪奇譚が好きな方にはどストライク。しっとりねっとりした展開が嫌な汗を滲ませる。氷室の中の極楽浄土、そこに咲く氷室の華の光景が美しい。この世界観、猟奇的だが芸術的で良い。私の性感帯をつついてくるのだ。

  • 白姫澤という村の出身者には指と指の間に水かきがあって、その手を切り取って花としていける、というオリジナリティの高い、サスペンスと言うかファンタジー。水かきを、ひらこだの、掻き平だの呼ぶセンスもいい。少女を相手にするペドい展開もあって、なんともすごい作品なのだが、文体が好みじゃないのが残念。

  • ああ、読み終わってしまった…残酷で狂ってて美しいです。
    美しい村とそこに生きる人間達の残酷さの対比が刺さりました。
    この作家さんの他の本も読んでみたい、一気にファンになりました。
    随所に散りばめられている香りの描写が好きです。

  • ずっとむごいなって感じ

  • やみ窓を読んだ時も思ったけど、平凡な容姿で現実に馴染めず欲もなく惰性で生きてる女をどうしてこんな淫靡に書けるのか。
    そして龍一の悪魔的な魅力。
    祖父と孫との血を超えた結び付き。
    美しさすら感じる狂気の世界。
    めちゃくちゃ良かった…。
    読了後もなかなか余韻が抜けない。

  • 私には読みにくい。断念

  • かなりよかった、
    情景の描写が美しい。
    蝉の声が聞こえてくるかのような少年時代。
    夏の話に感じるのに温度は低めにかんじた。山だからか?
    村八分の話は胸が苦しくなった。
    狂気って本来あって然るべきものなのかもしれない。
    今は法律や常識が世間一般で認知されることで秩序が保たれているけれど、本来は村ごとで当たり前があったり、正しいという概念はもっと曖昧だったのかも、と思った。なぜなら、この作品の中では本来グロテスクな描写であっても凄惨さを感じさせなかった。
    (正しい価値観を書き換えられた感覚になった。)
    外から見ると狂気でも、内から見るとなにがおかしいのか分かっていないから狂気なのだ。
    何よりこの作者さんの文章は美しい。そしてひらこ、かきひらをここまで美しいものだと感じさせるのもすごい。もっとこの作者さんの作品に触れたいと思った。

  • 好き嫌いが分かれるかも、、というお話し。
    ホラーや猟奇的な話が好きな人はハマりそうです。

  • 篠たまき3作目。
    これは微妙だったな…。
    文章は惹き込まれるけど。設定が刺さらなかったのかな。

  • 不気味で、不吉。それでいて不穏さが詰まっている。
    因習漂う田舎が舞台だが、その土地にしかない気味の悪さが伝染してくるようだった。ホラーミステリではあるがあえて全ての謎を分かりやすく解くことはせず、物語の異様な世界観を伝えるに留めているのがいい。読者を突き放すのとは違う、少しだけ遠くからそっと聞こえてくるような異様な話に身震いした。

  • 氷室守りの血を滾らせ、邪な蒐集を…って良い。氷室に何代もの氷室守りが蒐集してきた華。
    “ユウジ”が執着したものはひらこがある手だけど、側にいたい人は初恋の相手でもなく静花でもなく、もちろん葵でもなく、氷室守りだった祖父というのが好きでした。ユウジと離された祖父が受けた仕打ちが辛すぎた…醜い嫉妬から狂わされたらそりゃあ。
    篠たまきさんは初めて読んだ「人喰観音」でもそうだったし、土着の因習がじわじわ人をおかしくしていく世界が好みです。
    氷室守りは受け継がれる。龍一はお祖父ちゃんと八寒地獄で一緒にいるかなぁ。。

  • ホラーは嫌いではないです。氷室の華も許せます。でも痛いのは嫌かな変に水掻きを切り刻むリアルな描写は耐えられないなあ。

  • 作者さんの経歴から幻想文学的なものと思っていたのだけれど、これはストレートなサイコホラー。実際スーパーナチュラルな出来事は、禁欲的なまでに生じない。とは言え、リアリティを感じるのは女性たちの内面描写くらいで、どこか夢の中の出来事を覗き見しているような、曖昧な感じがつきまとう。その辺は好きかな。ただサイコホラーとしては型通りで、突き抜けるものは感じられない。

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著者プロフィール

しの・たまき●秋田県出身。東京都在住。ホラー作家、ライター。第10回「幽」文学賞短篇部門にて「やみ窓」で大賞受賞、デビュー。著書に『人喰観音』『氷室の華』『月の淀む処』などがある。

「2022年 『やみ窓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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