医療ミステリーアンソロジー『ドクターM』 (朝日文庫)

  • 朝日新聞出版
3.23
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本棚登録 : 178
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022649614

作品紹介・あらすじ

医療ミステリーで著名な人気作家たちを中心に、医療にまつわるミステリー作品を収録したアンソロジー。人気シリーズからの短編のほか、近未来を舞台にした作品や大学病院の政治闘争を描いた作品など、色彩豊かな短編集となっている。

感想・レビュー・書評

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  • 海堂尊、久坂部羊、近藤史恵、篠田節子、知念実希人、長岡弘樹、新津きよみ、山田風太郎『医療ミステリーアンソロジードクターM』朝日文庫。

    8人の作家による医療ミステリー短編アンソロジー。『ドクターM』の『M』はミステリーの『M』らしい。

    期待していた作品だったが、今一つ切れの無い作品が目立つ。この中で、長岡弘樹『小医は病を医し』と新津きよみ『解剖実習』が群を抜いて面白かった。

    海堂尊『エナメルの証言』。非合法組織の歯科医を主人公にした短編。こういう非合法な医療ビジネスのアイディアは面白いが、もう少しミステリーとしての捻りがあっても良かったかな。

    久坂部羊『嘘はキライ』。嘘が分かる主人公の医師は大学病院に勤める友人医師の病院内での権力争いに巻き込まれる。確かに今の世の中は嘘つきばかり。

    近藤史恵『第二病棟の魔女』。小児科病棟に夜現れる魔女の正体と魔女が解き明かす事件。やや冗長。2つの謎を描く必要性があったのかと思ったら、シリーズの第1作ということで納得。

    篠田節子『人格再編』。近未来の日本の現実を描いた短編。認知症の老女に人格再編手術を施すと人が変わったかのように。

    知念実希人『人魂の原料』。天久鷹央シリーズの1編。ユーモラスな一面のあるラノベチックな医療ミステリー。一見不可能なトリックを短編の中に上手く描いている。

    長岡弘樹『小医は病を医し』。もはや名人芸の長岡弘樹のミステリー短編。結末には毎度唸らされる。

    新津きよみ『解剖実習』。初読みの、この短編は面白かった。医学部で解剖実習に挑む女子学生。何故か物語の視点は解剖される遺体に移り変わり、まさかの展開に……

    山田風太郎『厨子家の悪霊』。時代を感じるミステリー。二転三転の展開。

    本体価格920円
    ★★★★

  • 8人の作家の医療小説アンソロジー。
    これは豪華だ。「医療ミステリ」と言われれば思い浮かぶ作家たちの短(中)編集から選ばれた8つの謎。
    どれもこれも読み応えありあり。いろんな切り口が楽しめてお買い得!!
    比較的最近の作品たちの中で最終章山田風太郎が異彩を放つ。いやぁ、ほんと面白いねぇ。癖になりそう。
    そして解説で紹介されるその他の作品たちがどれも面白そうでたまらない。この解説罪だね。

  • 医療物のドラマは好きで、よく観ています。
    ミステリの要素が多いし、生き方や家族の問題も絡んで、見所が多い。
    テレビドラマでは、主人公がスーパードクターで、最後に水戸黄門的にピンチを救う、というパターンのものが多いですね。
    この本は、医療にまつわるアンソロジーですが、かなりバラエティーに富んでいる。
    COVID-19蔓延する中で医療従事者の方に感謝を捧げ、全ての人たちにお大事に、という願いを込めて編まれたアンソロジーです。

    『エナメルの証言』海堂尊
    ★★★★
    歯科医のもぐり稼業。
    こういうネタをトップに持ってくるところ、なかなかやる!

    『嘘はキライ』久坂部羊
    ★★
    医療とは関係ない特殊能力を持った内科医。
    白い巨塔ばりの教授選が描かれるが、短編なのに名前多すぎで派閥関係を把握するのが大変。
    の割に、その落ちか…と思ってしまった。

    『第二病棟の魔女』近藤史恵
    ★★★★
    子供が苦手なのに小児科に配属されてしまった新人ナース。
    彼女の成長と、子供達の家族の事情も描かれ、マルチな面白さ。
    元の、“モップ”のシリーズも読みたい。

    『人格再編』篠田節子
    ★★★★★
    若き女性脳外科医。この本で唯一の「失敗しない」系スーパードクターかもしれない。
    でも、面白さはそこではなく。
    SF…かもしれないけれど、ありえないという言葉を口にするのを忘れるリアリティと面白さ、そして、ちゃんと主張もあるしっかりした落ち。さすがさすが。

    『人魂の原料』知念実希人
    ★★★
    少し軽く感じるが、名コンビのシリーズ物ならかなり楽しめそう。

    『小医は病を医(なお)し』長岡弘樹
    ★★★★
    心筋梗塞で倒れた公務員と、肝硬変の警察官が同室にされ、医師のカウンセリングを受ける。
    少し短い話だったが、何か滲み入るものがある。

    『解剖実習』新津きよみ
    ★★★★
    成績が良いから、と担任教師から医学部を勧められて医師を目指した娘の解剖実習の日。
    母親は何故か、娘が医師に向いていないことを願い、本人は何故か、医師に向いていないと証明されることを恐れる。
    読み進むうち沼にハマる。
    この作家はアンソロジーで読む3作目。
    そろそろ、単行本を読みたい。

    『厨子家の悪霊』山田風太郎
    ★★★★★
    最後に全部持っていかれた。
    医療ものというか、主人公の肩書きが医師であるが、レトロな横溝正史ふう探偵小説の態。
    豪家の夫人の殺人事件の話であり、推理は二転三転し、単行本一冊読んだほどの満足感があった。

  • この手のオムニバスものはひとつふたつが良ければみっけもんだが、その通りで近藤史恵氏「第二病棟の魔女」と新津きよみ氏「解剖実習」は良かった。このお二人の作品は不勉強で読んだことが無いので今後読んでみたい。文章力でいうと篠田氏と山田氏が一段上手だが、題材と内容が今一つ。

  • 既読の作品も未読の作品も、意外な真相が隠れていて面白かった(^^)そして最後の丁寧な解説に、読みたい本が増えていく(^^;)

  • 医療ミステリー短中編アンソロジー。「エナメルの証言」不定愁訴外来の田口医師が懐かしい。歯形からヤクザの死体入れ換え業の話。「嘘は嫌い」嘘を見抜ける特殊な能力を持った内科医。嘘をつくとばれそうになると更に嘘をつく。だから嘘は嫌い。「第2病棟の魔女」深夜病棟に現れた魔女の正体は?近藤さんのモップシリーズを読みたい。「人格再編」萎縮した老人の脳にチップを埋め込み人格を変える。自然な老いと尊厳死を考える。「人魂の原料」天久鷹央と小鳥游優が登場。病棟廊下で目撃された人魂の正体は?医療&科学&物理?面白かった。
    「小医は病を医し(なおし)」心筋梗塞で入院している患者を敢えて別の患者と同室にした医師の意図は?時効前に自分の罪を償うようにと。中医は人を医した(なおした)「解剖実習」平凡な文系の夫婦の間に生まれた娘が医大生になり解剖実習に挑む。母親は過去の忌まわしい理由により娘が医者に向かないことを願う。果たして40代男性のご遺体を解剖した娘。そのご遺体は元医師で母親とは?そして、娘は?この話が一番スリリング、ある意味切なくて面白かった。「逗子家の悪霊」古い作品でなかなか重い話だった。

  • 2020年7月朝日文庫刊。医療ミステリーをテーマにした8編のアンソロジー。タイトルのMはミステリーのMです。いずれも、おもしろくて、8人の作家さんの別の作品が読みたくなります。山田さんの厨子家の悪霊の収録が、唐突というか珍しいチョイスで、考え込んでしまいます。[収録作品]ミステリーがすごい! 2012年版海堂尊:エナメルの証言、小説すばる2013年11月号久坂部羊:噓はキライ、週刊アスキー2006年1月24日号~4月11日号近藤史恵:第二病棟の魔女、小説新潮2008年1月号篠田節子:人格再編、新潮文庫2014年10月刊天久鷹央の推理カルテ知念実希人:人魂の原料、小説野性時代2015年4月号長岡弘樹:小医は病を医し、光文社文庫2011年2月刊まきぞえ新津きよみ:解剖実習、旬刊ニュース1949年1月号山田風太郎:厨子家の悪霊

  • 初読みの作家さんも何人かおりました。長岡弘樹さんの『小医は病を医し』は既読の作品でした。解説が秀逸で、これからどの作家さんのどの作品から読もうか迷ってしまう。

  • 読書備忘録597号。
    ★★★★。
    ちょっと勘違いしてた。
    過去に出版された短編集に含まれる医療ミステリーをピックアップしてまとめた本、ということです。
    主人公のシリーズものもいくつか含まれているので、シリーズとして読んだらより一層楽しめたかも!と思ってしまいました。
    ということで備忘録は不要と判断。
    エナメルの証言、第二病棟の魔女、人格再編、解剖実習の4作がめっちゃ面白かったです。
    短編集だけど600p近いボリュームは読み疲れ・・・。

  • 海堂尊、久坂部羊、近藤史恵、篠田節子、知念実希人、長岡弘樹、新津きよみ、山田風太郎による医療ミステリーアンソロジー
    医療にまつわる8篇の短編集です。
    新聞に紹介されてて、面白そうなので購入しました。
    が、読み始めれば・・・
    海堂尊には「チーム・バチスタ~」シリーズの田口医師&藤原看護師のコンビが!
    近藤史恵には「モップの天使」キリコが!
    知念実希人には天久鷹央が&小鳥遊コンビが!
    というデジャブ感満載のラインナップで、大変楽しめました(^_^;)
    医療ミステリー入門編として、是非!
    (山田風太郎以外は・・・)

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。2006年、『チーム・バチスタの栄光』で第4回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。著書に『ジェネラル・ルージュの凱旋』『ケルベロスの肖像』『螺鈿迷宮』『輝天炎上』『モルフェウスの領域』など多数。2008年、『死因不明社会』で第3回科学ジャーナリスト賞受賞。

「2021年 『氷獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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