ゴースト (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.10
  • (1)
  • (2)
  • (15)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 100
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022649751

作品紹介・あらすじ

温かい気持ちになったあとに、思わず涙があふれてしまう。――風格のある原宿の洋館はGHQの接収住宅でもあった。そこに小さな女の子はなぜ出没するのか?戦時中、「踏めよ 殖やせよ」と大活躍し焼夷弾をあびながらも生き延びたミシンの数奇な運命とは?少しぼけた仙太郎おじいちゃんが繰り返す、「リョーユー」という言葉の真意は孫娘に届くのか?おさるのジョージの作者たちは難民キャンプで何をしていたのか?やわらかいユーモアと時代の底をよみとるセンスで、7つの幽霊を現代に蘇生させる連作集。【目次】第一話 原宿の家第二話 ミシンの履歴第三話 きららの紙飛行機第四話 亡霊たち第五話 キャンプ第六話 廃墟第七話 ゴーストライター

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 広義での「ゴースト」にまつわる短編集。中島京子だし、なんとなくイメージ的に、ホラーじゃなくテンダーゴーストストーリーかなと軽い気持ちで読み始めたのだけど、意外と裏に重い「歴史」の話があり、実は気楽に読めないタイプの話が多かった印象。

    個人的にいちばん印象に残ったのは「キャンプ」キャンプといっても愉快なアウトドアのあれじゃなくて、難民キャンプ。主人公のマツモト夫人は、2人の幼い息子とまだ赤ん坊の娘を連れて逃げてきたが今は…。日本人だから、満州からかなあと思ったけど、その難民キャンプには世界各国のいろんな人がいるので、そういう具体的なあれではなさそう…というか、そうか、すでに彼女自身が死者であり、ここは死者の難民キャンプ、生前の執着が断ち切れるまで彼岸へは行けないだけなのかもしれない。彼女に起こったことが辛すぎる。キャンプにいる老人が語るナチスから逃げたハンスとマルガレーテの話が思いがけない実在の人物の話だった。

    すでに認知症とおぼしき曾祖父の世話を焼く女子高校生・千夏。曾祖父を訪れる「リョウユー」の亡霊の話「亡霊たち」も良かった。千夏のお母さんがおじいちゃんは「ヒトウ」にいた、というのを「秘密の島=秘島」と思っていたのを、お父さんが「比島=フィリピン」だと訂正するくだり、ありえそうなエピソードでくすっとするけれど、そこから千夏は、大岡昇平のフィリピン戦記ものを読み始めることになる。

    ネグレクトされている幼い少女きららが、戦後の上野の浮浪児だったケンタの幽霊と交流する「きららの紙飛行機」は、救いがあるような、ないような、しかし切ないお話。「ミシンの履歴」は1台のミシンが辿る昭和記で、ミシンの履歴部分はとても面白かったのだけど、導入の、現代女性が古道具屋でミシンと出会うくだりは少々蛇足というか冗長だったように思った。総じて、意外とメッセージが強くて、そこで好き嫌いが分かれるかも。

    ※収録
    原宿の家/ミシンの履歴/きららの紙飛行機/亡霊たち/キャンプ/廃墟/ゴーストライター

  • つまらないとまではいかないけど面白くはなかった。
    幽霊連作集って「幽霊」がテーマの話をまとめただけとは思わなかったです。
    人間だけじゃなくて、元学生寮やミシンなど人間以外のものも出てきて「幽霊、ゴースト」の意味が広すぎ。
    話も結末がすっきりしないのが多くて不思議さや奇妙さをあまり味わえなかった。
    この中だったら「キャンプ」が好き。
    マツモト夫人が息子2人と難民キャンプで会える日はいつだろうか。

  • あれ?単行本の時に読んだような気もする。

    「原宿の家」アンケート調査のバイトで訪れた家で出会った不思議な少女と魅力的な若い女、そして謎の老女。

    「ミシンの履歴」古道具屋に並んでいたそのミシンに釜がない理由。

    「きららの紙飛行機」ネグレクトされた幼女と戦災孤児の幽霊の一日だけの友情。

    「亡霊たち」呆けてしまった曾祖父を訪ねてくるリョーユーの物語。

    「キャンプ」残したものへの執着を抱える者たちがたどりつくキャンプ。新しい人々が続々と到着し、やがて傷が癒えて次の目的地に向かう日が来るまで静かに暮らす場所。

    「廃墟」香港の九龍城と、東京の学生寮。廃墟に残された、そこで暮らしていた人々の息遣い。

    「ゴーストライター」新人ゴーストライターが深夜の酒場で出会ったほんもののゴーストたち。彼らは、ただ、思い出してもらうのを待っている。

  • 2021.2.3読了。図書館本。
    7話からなる短編集。ゴーストと言っても怖い要素はなく、怖いお話が苦手な人でも楽しめる。

  • 中島京子さん「ゴースト」読了。”ゴースト”的な存在が出てくる7つの短編。中島さんの作品は、全てを説明せず、”隙間”が多いのですが、この感じが大好きです。ミシンの話とか面白いなぁ…お勧めです!

  • この世界観が好き。
    、、、でも、「キャンプ」は少しわからなかった、、、

  • なんだか無理して書いたって感じがして、読むのがしんどかったです。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

中島京子

一九六四年、東京生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒。出版社勤務、フリーライターを経て、二〇〇三年に小説『FUTON』でデビュー。以後『イトウの恋』『ツアー1989』『冠・婚・葬・祭』など次々に作品を発表し、二〇一〇年、『小さいおうち』で直木賞を受賞。一四年に『妻が椎茸だったころ』で泉鏡花文学賞を、一五年に『かたづの!』で河合隼雄物語賞と柴田錬三郎賞、及び『長いお別れ』で中央公論文芸賞を受賞。その他の著書に『エルニーニョ』『眺望絶佳』などがある。

「2021年 『やさしい猫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中島京子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヨシタケシンス...
伊坂 幸太郎
砥上 裕將
小川糸
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする
×