路上のX (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022649805

作品紹介・あらすじ

一家離散によって幸せな生活を失った女子高生の真由。義父の虐待から逃れ、街で身を売るリオナ。二人は運命的に出会い、共に生きる決意をする。ネグレクト、DV、レイプ。最悪の暴力と格闘する少女たちの連帯と肉声を物語に結実させた傑作が、遂に文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 桐野夏生『路上のX』朝日文庫。

    まるで現代日本の都会という喧騒の中を危うく漂う難民のような女子高生たちの姿を描いた衝撃作。

    昭和から平成にかけてのおおらかな、皆が中流意識を持ち、家族全員がある程度の希望を持っていた時代は終わり、多様化という個人主義が流行り、自己満足ばかりを追求する殺伐として、生き難くなった現代日本。家族という絆はより簡単に壊れるようになり、何時今の生活を失うか全く解らぬ時代。若さは一瞬であり、都会では若さは非常に危険だということに気付いた時には既に遅い。

    両親の借金のために一家離散となり、弟は名古屋に住む叔母の家に預けられ、自分自身は伯父の家に預けられた女子高生の真由は食事も満足に与えられぬ歪んだ日々を過ごす。ある日、真由は義父の虐待から逃れ、街で身を売ながら生きるリオナと出会うが……

    本体価格800円
    ★★★★★

  • 両親の借金逃れにより叔父の家に預けられたが、そこには居場所がなく渋谷の街に出た真由。
    義父の虐待から逃れ、渋谷で身を売るレオナ。
    言えに居場所がなくなった二人が、渋谷の街で出会い、暴力や少女ゆえの危険などに遭遇する実態を赤裸々に描くドキュメンタリー風な小説。
    彼女たちの境遇に胸を打たれながら読み続け、その生々しさに、著者の取材力を感じる。底辺で足掻く女性を描いた『OUT』に繋がる作品。

  • 久しぶりの桐野さん作品。
    搾取される側と搾取する側のコントラストが痛いほど鮮やかだった。
    真由、リオナ、ミト。ティーンエイジャーにもかかわらず、それぞれが過酷な人生を歩む。
    彼女達は自分達で選択してきた訳じゃなくて、選択せざるを得なかった背景がある。
    そのどうしようもなさや息苦しさが読んでいて辛かった。


  • JKビジネスの実態が生々しく描かれている。
    親の貧困が子供の貧困を生み、子供の貧困につけ入る精神の貧困な大人がいる。ただ、その社会を作っているのは無関心な我々である。

  • 起こり得る、とかリアル、とかじゃなくて実際起こっている事で事実。
    渋谷に限らず、わたしのいた池袋や新宿でも。
    貧困は貧困を呼ぶ。1度家を失くすところまで行くとそこから這い上がるのは本当に難しい。わたしは歳を重ねていたからと元々の性格と運がよかっただけ。いつまたそこに転がり落ちるかも解らない。
    あの街でいっしょに生きてくれていた彼女たち、いま頃どうしているんだろう。

  • 内容が、なかなかエグい。
    でも、生まれた環境で、望んでいないのにリアルにそんな人生を歩んでいる人がいる。
    なんだか同じ日本なの?と思うけど、、
    読みながら、本当なの?
    他の道が思いつかないよね、悲しいなぁ。
    など、いろんな感情が出てきます。
    桐野さんのことだから、きっとしっかりリサーチしてかきあげているだろうし、実際にいるんだろうなぁ・・と思うと心が痛かったです。
    つらいけど、知りたい。
    無知でいることよりも、彼らの世界を知りたい。
    そう思いながら読みました。

  • 懐かしのケータイ小説思い出したな。

  • 大人の無自覚な暴力に眩暈がしてくるが、現実はこれ以上に過酷だ
    声にならないSOSを引き攣った笑顔の裏に隠している少女たちの声が、どうにもならない現状への怒りが、誰に起こったらいいのかもわからない戸惑いが、物語になっている

    糾弾されるべきは誰なのか?
    この本を読んだ僕は、現実の真由に、リオナに、ミトに、何ができるのか?
    周りの人間の無自覚な搾取や暴力に、どれだけ声が上げられるか?
    少女たちの冷たい目に、問いかけられている気がした。

  • これが日本の若い女性に起こり得るリアルだと思うとやるせない気持ちになる。

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著者プロフィール

1951年金沢生まれ。成蹊大学卒。93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞を受賞。99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、10年、11年に『ナニカアル』で島清恋愛文学賞と読売文学賞をダブル受賞。1998年に日本推理作家協会賞を受賞した『OUT』は2004年エドガー賞候補となる。15年紫綬褒章を受章。

「2021年 『インドラネット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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