その先の道に消える (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.09
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本棚登録 : 322
感想 : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022650023

作品紹介・あらすじ

アパートの一室で発見された緊縛師の死体。重要参考人として、刑事・富樫が惹かれていた桐田麻衣子の名が挙がる。犯人は誰か。事件の背後にあるものとは。『美しい星』など三島作品を手掛ける訳者サム・ベットによる米国版の刊行も決定。世界が注目する中村文学の到達点!

感想・レビュー・書評

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  • 中村文則『その先の道に消える』朝日文庫。

    またもハズレ。中村文則は『掏摸』『銃』などの初期の作品で枯れてしまったのか。純文学風の大石圭のような作品である。相変わらず性描写は安っぽく、警察小説のような一面もあるのだが、結局そっち方面に行ってしまうのかというような結末だった。

    緊縛師の死体がアパートの一室で発見され、刑事の富樫が捜査すると、重要参考人として富樫がかつて関わりのあった桐田麻衣子が浮かび上がる。あろうことか富樫は麻衣子が事件とは無関係であるような偽装工作を行い、その見返りに麻衣子を抱く。しかし、事件は意外な展開を見せ……

    第一部は全く意外な形で幕を閉じ、第二部へ。第二部は事件の解決編なのだが、余りにも不自然な伏線が回収し切れない形で精神世界や宗教といった不可思議に向かっていく。

    純文学を書きたいのか、官能小説を書きたいのか、警察小説を書きたいのか、宗教小説を書きたいのか……解らん。

    本体価格630円
    ★★

  • まさに狂気の世界。この作品は縄に心を縛られていく男女たちの狂気が味わえる作品で、ここまで芽生えることのない鬱蒼とした闇が表現されています。まさに中村文則の真骨頂である登場人物の闇。この部分をどう読者が、感情移入するか、とても楽しみです。

  • 救いのない映画をみた気分。
    確かに望むところの官能が存在して満足感はある、それこそ様々な縛りと未知の世界が面白かった。
    宗教のくだりがちょっと。

  • 縄や神社や天皇制度の事を事件に絡ませて執筆する事は難しくもあるが、アイデアとしては奇抜だ。内容としては性衝動を多く描いており、読者から遠い世界と感じさせてしまうような筆の強さだった。今回の執筆は、性を生々しく描く事により大衆化されてしまっているようで、良さが半減されてしまっていると言える。
    もっと単純で良かった。人間のこころの闇は複雑かもしれないが、複雑に描こうとしなくて良い。
    もっとシンプルに改善出来る余地がある。

  • 第一部と第二部で主人公が違うためか文章のリズムも違う。緊縛師についてはもちろん、縄が神事や大麻に繋がる説明が興味深い。縄の人間の満たされない欲を縛り上げる世界観に圧倒される。

  • 『私の消滅』が良かったから家にあったこれを読んでみたけど、私はニガテだった…。いかにも日本的な?ウェットで淫靡な性描写の気持ち悪さが邪魔をして、せっかくの緻密な謎解きを追いきれなかったし、終盤、緊縛経由で神道がクローズアップされるあたりから、とっちらかった印象しか持てなかった(自分の頭がとっちらかったせいなのだが)。あと、母親への倒錯した思いとかも、抱える当人は辛いだろうけど、うーん…。短くたたみかける文体はハードボイルドでかっこいいし、第一部終了時点での反転は『私の消滅』でも体験していたはずなのにまたやられた!となったし、ページターナーであることは確かなんだけど。「不自然に似ている顔の女たち」というゾワッとさせる謎を提示して、行き着く先があの種明かしでは、どんな動機もつまるところ「そこは狂気ってことで」で片づけられてしまうような??うーん、中村文則、続けて読む感じではないかな。また面白そうな作品見つけたら読んでみたいけど。

  • この本の中で、身体を縛られて自由を奪われると安心するのだと言う女がいた。自分の意志で動くことができなければ、何かを決める必要もなく、ただ自分を支配する相手にすべて委ねればいいから。
    そのことこそが、わたしにとっては恐怖なのに。

    なんとも奇妙な、奇妙というと少しユーモアがかった感じがするのでしっくりこない。
    なんだろう、weirdoとか?
    ページを開いた瞬間、両足を強く捉まれ、奈落の底へ引き摺り込まれる。もしくは自分自身の腹を手で裂いて、そこへ頭から突っ込んで身を隠すような、そんな気分になる。
    本を閉じるとそれはすべて消え去り、また日常の生活に戻る。闇へと通じる、壊れたどこでもドアのような本だ。

    とある男性の殺人事件を担当した若い刑事・富樫が被害者の部屋で目にしたのは、且つて交際していた女性・麻衣子の痕跡だった。彼女が犯人かもしれないと思った富樫は、刑事という立場を利用して麻衣子から疑いの目を逸らそうと偽造工作をする。
    物語は富樫の目を通して語られており、そのまま進むのかと思いきや、事態は思わぬ方向に進み、語り手は同僚の葉山が受け継ぐことになる。
    この話には複数の人間が出てくるが、その名前の人間がほんとうは誰で、一体どういう人物なのかよく分からない。顔のよく似た美しい女たち。名前を変えて別の人生を与えられた男。
    イニシャル、偽名、整形、失踪、殺人、執着、そのすべてが交錯して、色々なものが見えなくなっていく。
    何もかも失ったとき、自分が一体誰なのかどうやって証明すればいい?
    だがしかし、自分が自分であり続けることに何の意味がある?
    すべての人がその先の道に消えていく。そもそも存在ってなんだ。この世に生を受けたとしても、誰からもそれを認められなければ、それは存在と呼べるのだろうか。


    読み終わったからと言ってわたしにこの本をくれた男は「こんな本読んだからって、俺がSM好きとかって思わないでよ」とニヤニヤしながら何度も言った。
    わたしはコイツも消えてくれればいいのにと思った。


  • 人が狂気に追い込まれていく様が描かれているが、あまり理解ができない。。
    相変わらず物語の展開の仕方は素晴らしいと思う。

  • 緊縛というディープなテーマを起源や縄の材料の大麻まで掘り下げている
    このテーマだからしょうがないですが、性描写は多めで、R18指定した方がいい
    ストーリーの展開は流石って感じ、ダークな世界観はいつも通り

  • 何の気なしに中村文則だ〜と、購入。
    (よく見たらカバー表紙が!!!)
    話の掴みとしてはキャッチーなアイテムが満載w
    ちょっとたまげたけど、これがまた内容が深いんでさらにびっくり。途中で、読む姿勢をシフトチェンジしました。中村文則のことだから、単なる殺人事件を書く訳ないとは思ってましたが、彼の主張もしっかり書かれてましたね。
    緊縛、縄、神道、保守、天皇……… そして母。
    深ーい!

    登場人物が結構いて、しかも偽名をバンバン使ってくるので、ややこしくて参った〜w
    おまけに話が時を前後するし、肝になるエピソードが散りばめられているので、気が抜けないのです。
    激しくもある性描写の部分が息抜きになるくらい。

    しかし、面白いよなぁ
    神道に興味が出てきたぞw
    日本書紀なんて大学での簡単な講義以来すっかり忘れてるけど、読み直したら面白いかもなぁw

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著者プロフィール

1977年愛知県生まれ。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。『遮光』で野間文芸新人賞、『土の中の子供』で芥川賞、『掏摸』で大江健三郎賞、『私の消滅』でドゥマゴ文学賞を受賞。著書多数。

「2022年 『自由対談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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