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本 ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784022650092
作品紹介・あらすじ
鳴りやまぬ拍手と眩しいほどの光、人生の境地がここにあるーー。芝居だけに生きてきた男たち。その命を賭してなお、見果てぬ夢を追い求めていく。芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をW受賞、『悪人』『怒り』につづくエンターテイメント超大作!1964年元旦、長崎は老舗料亭「花丸」――侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。男の名は、立花喜久雄。任侠の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。舞台は長崎から大阪、そしてオリンピック後の東京へ。日本の成長と歩を合わせるように、技をみがき、道を究めようともがく男たち。血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り。舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、数多の歓喜と絶望を享受しながら、その頂点に登りつめた先に、何が見えるのか? 朝日新聞連載時から大きな反響を呼んだ、著者渾身の大作。
感想・レビュー・書評
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九州の極道の家に生まれた少年が、父である組長を抗争で殺され、歌舞伎役者の家に引き取られる
そこで、同い年の御曹司と共に稽古に打ち込む。
上巻青春編は、若く無鉄砲だけれど稽古には真摯
二人の少年の違った才能、異なる性格は、ライバルで親友だった。二人の関係が崩れたのは襲名。
下巻花道編となっても、彼らの波瀾万丈は人生が続く。
二人の歌舞伎役者の青春期からの大河小説で
彼らの歌舞伎に関わる周囲の群像劇
かなり取材をされ、かなりの資料を読まれて
おそらくほんとの歌舞伎役者よりかなりドラマチックな人生を描かれています。
歌舞伎は、お芝居を観に行くのだけど
役者を見に行く。
一つの演目で親子三代を見れることもあります。
いかに血縁を繋ぐかは大切なんです。
この小説の読みどころの襲名のエピソードは
現実では難しいかもしれないですし、
ファンも望んでいないかもしれないです。
小説の中に歌舞伎の演目が数多く登場して
彼らの人生にリンクします。
お芝居を読みながら頂点に登り詰めた役者の一生を読むのです。
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壮大な本を読み終わると、いつも何かに圧倒されてすぐには感想が出てこない。この本もそうだった。
上下巻で様々な人が現れ、様々に人が去っていった。それを受け止める泡沫の世に漂う人たち。そして自分もいつか泡となる。まるですべて夢のようだったかと。
解説の方の言葉を借りるなら、歌舞伎とは「死」が最大の見せ場なのだそうだ。もっというなら死は「生」の極限の姿となる。死と生は相反するものなのに、それを歌舞伎という力で「美」に変えてしまう。
この歳になって、やっと歌舞伎というものに興味がわいてきた。若い頃は、歌舞伎って綺麗だけど内容わかんないんだもーんなんて言っていたが、生きる「生」の方だけしか知らないあの頃では、理解は無理だったな。相反する「死」を意識しないと、歌舞伎の世界には入り込めない。
この本も話が歌舞伎とリンクしている部分が多々あるらしく、さらに歌舞伎を知ってから再読すると、また違った感想を持つと思う。
近々映画あるみたいですが、きっと綺麗なんだろうなあ。
桜の狂うように散っている様を見てみたい。
でも間違いなく映画館で泣くね。・゜・(ノД`)・゜・。-
栞さん♪
映画になるともっと迫力でしょうねー!
CM見ただけでも、なんか圧がある〜(((>_<)))栞さん♪
映画になるともっと迫力でしょうねー!
CM見ただけでも、なんか圧がある〜(((>_<)))2025/05/31 -
2025/05/31
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2025/05/31
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久しぶりに没頭して読みました。圧倒的な世界観で、もうそれにひたひたにされてしまって、読んでいる数日は、頭の中の言葉は常に、小説の中の方言だったり、調子の良い語り部口調だったり。もう最初の数ページで、吉田修一さんって、本物の小説家やわ〜と唸っていました。
全く親しんだことのない歌舞伎のお話だったので、興味ない世界のことで上下巻のこの分量、読み切れるかな…と不安でなかなか手が出せなかったのですが、杞憂に終わりました。
個人的には圧倒的に上巻の青春編が好きでした。そして、好きな登場人物は俊介の母、幸子と、喜久雄の永遠の味方、徳次でした。
映画化が決まり、キャストも既に発表されているとも知らず、勝手にキャストを決めたいたのが、幸子と春江でした。幸子さん、ぴったりな女優さんが思い浮かんでいるのに名前がわからない…悔しいです…本当にピッタリなんです!
春江は今をときめく河合優実さんです。田中泯さんはどこかでマストだなと。
発表されていたキャストを見て、主役の方は、肌質、ビジュアル上、納得。えっ、立花組なんか違いすぎませんか?竹野役はピッタリ!
想像上決定していた女優さん二人は、残念ながら違う方でした。
最後のシーンは、外での撮影になるのかな?それならセットに頼れないし、チープにならないようにどんな風になるんだろう?
小説が最高だったので、映画の期待値も上がります。この小説、中央公論文芸賞に輝いたそうですが、他の賞ももっと総嘗めにしてよい傑作だと思いました。
本当に楽しい読書時間でした。吉田修一さん、ありがとうございます。こんなに夢中になれる小説、またしばらく出会えないかもしれません。 -
花道篇では、思いもしないことがたくさん起こりました。才能溢れる喜久雄が、由緒正しい血筋の俊介と2人揃って踊れる場を得るまでの苦労は、並々ならぬものがありました。高みを目指す人の気迫を感じました。
後ろ楯のある俊介に起きた出来事には、とても驚きました。彼には踊りへの執念を感じました。
2人が歳を重ねていくとともに、家族や支えてくれる人の状況も変わっていきました。読みすすめていくと、とにかくそれでも踊りたいという2人の気迫を強く感じました。
最後の三代目花井半二郎の姿は、歌舞伎の枠を越えたものになったということを表現しているように思いました。何かを極めたという境地は、狂気と紙一重なのかもしれないとも思いました。
そして、2人を支える周囲の人達の存在はとても大きくて、1人では何かを成し遂げることはできないことも伝わってくる小説でした。
解説では、各章に登場した歌舞伎の演目をいくつかふりかえりながら、歌舞伎とどこがどのくらい響きあっているのかが検証されてい
たので、より理解が深まりました。
とにかく読みごたえのある作品でした。
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2025/04/14
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2025/04/15
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青春編と花道編の感想をひとつに
任侠も歌舞伎も知らないことだらけだったけどめちゃめちゃよかった
クドカンドラマにキートン山田さんが加わった感じと言うと伝わるか…とにかく語り部が最高だったのでございます
中途半端でなくゼロか百か 役者として何を魅せるか 舞台で観客が感じとるのは、その演目のその役者の人生そのものという見えない大きな存在、圧巻だった
語り部の物語に寄り添う笑いあり、人情ありで普通の場面?でもおのずと目に溜まるものが、近々映像化されるみたい是非語り部の小説を読んだ方がいい
役者もその家族も並大抵な覚悟じゃないのだと普段テレビなどでチラッと歌舞伎のニュースを見る程度しか知らなかったが見方が変わったし一度歌舞伎を見に行ってみたい
ライバルで親友で家族だった熱い感じが尊く堪らんかった
(くりからもんもん という日本語響きチャーミング過ぎんかw意味は…だけど)
好きなフレーズ引用
ほな俊ぼんいくで
丹波屋の家紋 丸に光琳根上がりの松
役者が立派なふりしてどうするんですかい?いいですか 立派な人間じゃねえからこそ立派ってこともあるんだよ
この世界に入ってずっと徳ちゃんだけ味方やったわ
しかしもし役者がその人の性根のことであるならば いったいどこに性根を入れ替えられる人間などいるでありましょうか-
あひるさん、はじめまして。
フォローありがとうございます。この本、とても気になっています。あひるさんのレビューを読んで、ますます興味が湧いて...あひるさん、はじめまして。
フォローありがとうございます。この本、とても気になっています。あひるさんのレビューを読んで、ますます興味が湧いてきました。これからもレビュー、楽しみにしています(^^)2025/02/03 -
初めましてよろしくお願いします
ヨルノヒカリでこんな感想が書きたかったなと思ってましたw
こちらもレビュー楽しみにしてます初めましてよろしくお願いします
ヨルノヒカリでこんな感想が書きたかったなと思ってましたw
こちらもレビュー楽しみにしてます2025/02/04
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なんというか…圧倒されたと言う感想。
芸の世界には全く縁も興味もなかったけれど、本物の天才は行くところまで行き着くとこういう心理状態になるのか……。喜久雄の舞台を観たら、一体どんな感情になるのだろう…。観てみたいと思った。
歌舞伎の女形を極め、唯一無二の存在となった喜久雄。でもその孤高さ故に孤立し狂人となってしまった喜久雄。妻の彰子と蝶吉の関係がどうなっているのかは明らかにならなかったけれど、さらに喜久雄の孤独を強めることになるのではないか…とハラハラする。最後、徳次が帰国し再会することで、またわかり合える人が帰ってきたことで、喜久雄の孤独が少しでも癒されるといいと思う。
俊介の最期はあまりにも悲しくて、その無念さを思うと切なくてたまらなかった。歌舞伎の家に生まれた男子の宿命なのか、現代でも歌舞伎の息子は幼い頃から舞台に立たされ、他の人生を知る前に歌舞伎の跡取りとしての人生を歩まされる…生まれながらに才能のある者ならそれでいいのかもしれないが、同世代にどうしても超えられない才能を持つ者がいたら、こんなに苦しいことはないだろう。
俊介は一度は歌舞伎の世界から逃げ出し、それでも歌舞伎が忘れられず戻ってきた。歌舞伎役者としてとてつもない努力を重ねて、喜久雄と並び称される女形になるまで上り詰めてきた。
だからこそ、晩年が幸せであって欲しかった。
個人的には歌舞伎役者を支える女性たちにも、頭が下がる思いでした。
夫を支えるためだけに人生を捧げる…私にはできません。
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芸の世界・世間の波に翻弄されながら、二人は活躍の場・世界を広げようとしますが、次々と難題が立ちはだかります。
それでも二人は、それぞれの方法で必死に食らいつき、芸の道を極めていきますが…。
二人の人物描写と対比が素晴らしくドラマチックで、物語の次の展開へと駆り立てられます。上巻の青春時代の瑞々しさが、下巻では次第に人生の辛苦と歌舞伎へ取り憑かれた異様さへと変化していくようです。
半世紀にも及ぶ波瀾万丈の役者人生で、数々の歓喜と悲劇を重ねた末、人の域を越え頂点を極めた男に見えた景色はどんなものだったのでしょうか。
舞台、その先にあるもの…。その道を極めることと〝狂気〟は、紙一重なのかとも思わされました。生と死、虚と実…、歌舞伎の奥深さとそれに賭け極めた男の、圧倒的な物語でした。歌舞伎そのものの臨場感や役者の孤高さ神懸かり的な描写も秀逸です。
衝撃的なラストとともに、濃密な舞台を観劇し終え、茫然と席を立てずにいる感覚に陥らせるくらい、圧巻・傑作と呼べる大作でした。 -
映画公開前に読んでおこうと思い手に取りました。面白すぎて上下巻一気読み!
歌舞伎を一回しか観たことない知識ほぼゼロの私でも楽しめる芸に取り憑かれた役者の一代期。誰もがここがいい!というより、読む人によって痺れるシーンがばらけそうな作品です。
相当取材されたようで、参考文献も多く、それぞれの演目の説明を読むだけでも本当に面白い。
読了後は放心状態でした。まるで美しい夢から覚めたような…素晴らしい傑作です。映画絶対観よ。
著者プロフィール
吉田修一の作品






ありがとうございました
あまりに歌舞伎以外のトラブルが多くて
火事とか孫の火傷とか、波瀾万丈がすぎてー
⭐︎を...
ありがとうございました
あまりに歌舞伎以外のトラブルが多くて
火事とか孫の火傷とか、波瀾万丈がすぎてー
⭐︎を一つ減らしてしまいました
だよね〜
だよね〜
すごくよく取材されてるだろうなあと思うのだけど、そうすると嶋木あこのコミック「ぴんとこな」
もかなり名作だと...
すごくよく取材されてるだろうなあと思うのだけど、そうすると嶋木あこのコミック「ぴんとこな」
もかなり名作だと思うんですよ。
部屋子とか養子とか娘婿の形式などは
こちらの小説より現実的かなと思ったり。