むらさきのスカートの女 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 806
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022650467

作品紹介・あらすじ

「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。ベストセラーとなった芥川賞受賞作。文庫化にあたって各紙誌に執筆した芥川賞受賞記念エッセイを全て収録。

感想・レビュー・書評

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  • 不穏なんだけど可笑しい。
    自分も一緒にピーピングしているような感覚。

    終盤 スピード感のある滅茶苦茶さが最高でした。
    ツッコまざるを得ない。「●●お前なんやねんw」

  • 想像力を掻き立てられ、私なりの解釈をし、楽しんで読む事が出来ました

    近所で存在を知られていない「きいろいカーディガンの女」目線で、近所で有名な存在の「むらさきのスカートの女」の日常が語られています

    どうしてあなたはそこで「むらさきのスカートの女」を見ているの?!と何度も疑問を問いかける程、「きいろいカーディガンの女」は「むらさきのスカートの女」に執着します

    ここから先は私の想像です

    元々は二人とも社会不適合者で同類だったけれど、「黄色いカーディガンの女」は相手を上から目線で観ていました

    だから友達になりたかった。。。

    でも「むらさきのスカートの女」を陰で手助けしてしまったら、あれよあれよという間に周りから認められる存在になってしまったので、「むらさきのスカートの女」に対して羨望や嫉妬を抱く様になってしまいました

    「むらさきのスカートの女」は「きいろいカーディガンの女」がなりたい姿になっていました
    他人が自分の存在を認めてくれる姿に

    バザーで勤め先のホテルの備品を出品して、「むらさきのスカートの女」の仕業だと仕向けたり、「むらさきのスカートの女」の失踪の手助けをしたりします

    「むらさきのスカートの女」は、その時の他人からの印象(不気味だったり、しっかりした子だったり、真面目だったり、不真面目だったり、良い人だったり、悪い人だったり。。。)によって、実在する価値を決められていきます

    しかしこれは、私達の生活でも日常茶飯事にある事です

    この様に当たり前に起きている事を、「むらさきのスカートの女」を人間ウォッチングする事により、敢えて焦点を当てているので、どんどん作品の世界に引き込まれていきました

    作品を通して、なりたい自分になるという事は、本当に難しいと思いました

    「きいろいカーディガンの女」の様に「むらさきのスカートの女」の模倣してみるのも、一つの手だと思います

    私は、「いつもポジティブで、細かい事は気にしない人」になりたいです

    • harunorinさん
      ハピアワさん、こんにちはー
      私の本棚とコメントに疲れが出てますね笑
      それでも昨日は比較的早く引けて、ちょっと寄るつもりの書店に、気づけば閉店...
      ハピアワさん、こんにちはー
      私の本棚とコメントに疲れが出てますね笑
      それでも昨日は比較的早く引けて、ちょっと寄るつもりの書店に、気づけば閉店時刻。どんだけ?新刊が並ぶ様を見てるだけでも、テンション上がる特殊な性癖ですね。
      「何故だかずっとスルー…」なんかわかります。私はとんこつQAのやけに明るいジャケの買いから入りました。まったくイメージと違っていて、逆にすごいなと。
      きいろいカーディガンを着た女を二度見するハピアワさん。しかも、毎回って笑、面白すぎます。まさかそんな目で見られているとは思ってもいない…いや、あえての着用もあるか…そのうち、後日譚もあれば聞きたいです(*´꒳`*)
      2023/09/16
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      ´・ω・`さん(なんか違う、許して)

      書店にちょっと寄るつもりが、ずっとなんでしょう?!わかる、わかる
      特に大型書店はズボズボ沼
      犬神家の...
      ´・ω・`さん(なんか違う、許して)

      書店にちょっと寄るつもりが、ずっとなんでしょう?!わかる、わかる
      特に大型書店はズボズボ沼
      犬神家の足さえも出て来れませんよ
      (意味不明)

      あの人´・ω・`また来てる。。。
      もうずっといない?
      新刊の所にまた戻って来た
      なんだ、結局買わないんかい?
      ナンテ店員に思われていますよ笑
      そういう私もですけどね

      とんこつQ&Aかあ。。。
      今、レビュー読んでいたら気になり出しました
      そのうち覗いてみようかと思います

      それでは有意義な週末をお過ごしください♪
      2023/09/16
    • harunorinさん
      ハピアワさん♪ ズボズボ沼に犬神家って笑笑
      同じ癖(ヘキ)をお持ちの方がいて、安心しました。もうね、何周もしちゃうんですよ。
      とんこつQA...
      ハピアワさん♪ ズボズボ沼に犬神家って笑笑
      同じ癖(ヘキ)をお持ちの方がいて、安心しました。もうね、何周もしちゃうんですよ。
      とんこつQAは、まぁまたそのうち気が向いたらぜひ。貴重な週末にコメントお付き合いありがとうございます。
      良い週末をお過ごしください(*´꒳`*)
      2023/09/16
  • 芥川賞作品ということで構えて読了
    あれ?これミステリー小説?
    何を書いてもネタバレになるが、後半ゾクゾク感が止まらなかった。

    解説には,答えがないのが日本文学とある。
    国語の歴史文学問題には答えがあるのにねぇー

    『信用できない語り手』視点だけでは、正解を求めようとすると何処がで矛盾が生じる。
    ミステリーとしては、バッシングを受けるが
    純文学では答えのない玉虫色が歓迎されるのか?

    ネタバレサイトには現代社会、ジェンダーとか小難しく論じているが
    私は読み物として純粋に文書が読み易く、よい時間を過ごせて満足でした

  • 「黄色いカーディガン」のわたしが、「むらさきスカートの女」を執着的に追い、語る。“わたし”は、彼女の特異性、孤独感を見知り、そこに共感しながらも、どこか自分の優位性を考える。この二人は、時折、人格の両サイドとなり存在を混迷させる。二人の憑依と離脱に振り回されながら、ラストの恐怖感にたどり着く。
    コミカルとも思える文脈で、異物感を書いて、読ませてしまう歪力。
    そのまま、受賞者エッセイを読ませていただきました。カフカの絶望感に類似した感覚があるように思いました。

  • 今村夏子 著

    今村夏子さんは何とも説明し難い、不思議な物語りを巧く描く、好きな作家さんです。
    これまで読んだ作品がとても好きで、本作もこの言語化出来ないような今村夏子さんの世界観に浸りたくて、期待に胸を膨らませつつ作品を読みました。単行本だったし、スイスイ読めたのだけれど…今までの作風と随分違った印象を受けました。

    第161回の芥川賞を受賞した作品だったんだって事も後から知ったのだけれどσ^_^;

    なかなか面白い本ではあったが、タイトルのむらさきのスカートの女って…(・・?)
    興味津々だったけど、何故この表紙なのか?
    黄色いカーディガンの女とは…?
    黄色いカーディガンの女の一人称で語られる物語り、やっぱり不思議な雰囲気のまま、話しは進み、不思議なまま終わる。
    作風は違えど、やはり最後には取り残された感が残る。しかも、本作はエッ!(・Д・)と…今まで以上に狐につままれたような終わり方で幕を閉じる感じだった。
    不気味という形容よりも、滑稽さの中の孤独なのか…。そして、自分はむらさきのスカートの女に普通ではない異常性を求めて読み進めていたのではないだろうか(´⊙ω⊙`)
    普通とされるものの定義が分からないし、決めつけもよくないが、黄色いカーディガンの女は自分と共有出来るような友情と同じ個性を勝手にむらさきのスカートの女に求めて、むらさきのスカートの女の言動を通して動いてゆくけれど、実は…、、

    何か妙で物事を気楽に考えているようなふしもあるが、無視されてるような、少し寂しいようにも感じられた。
    本作は何とも異質な感覚も見え隠れする中、
    今村夏子さんの作風に村田沙耶香さんの感覚を覚えた。
    社会から見捨てられ、はみ出した境遇に置かれた女たちのうら哀しい姿と感情が伝わってきたような気がしました。
    とりあえず、ミステリーなので内容は言えないのですが、構想がやっぱり面白くて、黄色いカーディガンの女のように、むらさきのスカートの女がどうなるのか追っていってしまうんだけど…
    結局、私が追っていたのは、、
    …ってことか…(・_・;)
    ってことって、どうゆーことよ!と思われた方は本作を読んで下さいませヾ(´▽`*)ゝ
    ナンテ、私は朝日新聞出版の回し者じゃないけどね(*≧∀≦*)

    • shukawabestさん
      ありがとうございます。
      腰は9月下旬に内視鏡手術をして、何とか痛みが減って歩ける状況です。ぶり返さないで、と祈りながら過ごす毎日です。
      ワー...
      ありがとうございます。
      腰は9月下旬に内視鏡手術をして、何とか痛みが減って歩ける状況です。ぶり返さないで、と祈りながら過ごす毎日です。
      ワールドカップは、テレビを壊れたまま放置しているため、観ていません。その分、読書と音楽を聴いています。
      村田沙耶香さんの僕の一冊「しろいろの•••」は、hiromida2さんの本棚で知り、興味が湧いた作品です。新興住宅街の無機質な感じが漂う、インパクト抜群の作品でした。また、村田沙耶香さんの作品、読むと思います。ありがとうございます。

      圧迫骨折でそれも病気の延長線上ということは気をつけるのも難しそうですね。どうぞお大事になさってください。

      「十角館の殺人」、これもおもしろいですよ。会社の人に貸したら謝って捨てられて、数年後、「やるよ」とプレゼントされた、僕にとって奇縁の作品でもあります。「あれ?オレ、捨てられたグチ言ったっけ?」、「ん?聞いたような、聞かないような•••」みたいな会話があり、また数年後に読もうと思っています。

      腰痛、本当に気をつけなければいけないのですが、僕の場合、転倒することも多いので、少し、自分でもバランス感覚を維持する、訓練をしなければ、と思っています。

      hiromida2さんも、病気や副作用やいろいろな要因があるのかもしれませんが、さりげない動作に、充分ご注意くださいね。症状の悪化で痛みが増したり、体の自由が利かなかったり、というのは本当につらいので。

      ワールドカップテレビ観戦、楽しんでください。
      2022/11/30
    • hiromida2さん
      度々失礼致します⸜(๑⃙⃘'ᵕ'๑⃙⃘)⸝
      shukawabestさんの以前のコメントでの
      内視鏡手術のことも気になっていました。
      無事手術...
      度々失礼致します⸜(๑⃙⃘'ᵕ'๑⃙⃘)⸝
      shukawabestさんの以前のコメントでの
      内視鏡手術のことも気になっていました。
      無事手術を終えて良かったですが、
      ホントぶり返さないよう気をつけて下さいね。
      私はコルセットしてますが、それはそれで血流悪くなるし、かなり面倒です(◦︎•_•;◦︎)
      テレビ壊れたまま放置( ˙-˙ ; )(笑)
      ま、無ければ無くてもいいかもしれないです。
      読書と音楽をより堪能出来ますよね。
      そうそう「十角館…」のコメントも覚えてますとも。
      貸した会社の方に捨てられて(!?*0*)えぇっ!!!!
      驚きましたが数年後プレゼント?数奇な縁の本( ˊᵕˋ )
      早く読みたい!楽しみです♪
      まだ動けるのに、ちょっとした動作で痛みが(›´A`‹ )
      なるようにしかならないお互いバランス感覚保ち
      頑張りましょ୧( "̮ )୨✧︎(୨୧•͈ᴗ•͈)◞︎ᵗʱᵃᵑᵏઽ*♡︎
      2022/11/30
    • shukawabestさん
      そうですか。
      コルセットも”痛み”のケアと”保護”にはなるが、血流は悪くなる、のですか。むずかしいですね。

      お互い、身体を大切にしながら、...
      そうですか。
      コルセットも”痛み”のケアと”保護”にはなるが、血流は悪くなる、のですか。むずかしいですね。

      お互い、身体を大切にしながら、できる範囲で楽しみましょうね。

      いつも相手していただき、ありがとうございます。
      2022/11/30
  • 読み終えた今、とても複雑な気分。
    面白かったかと聞かれれば、ページをめくる手が止まらないという意味では面白かったけれど、好きな本だと言えるかと聞かれれば、好きではないし、また読みたいともさほど思えない。でも、・・・面白かった。やっぱり面白かった。

    この本については、話題になっている本という認識はあり、少し検索してみて、私には合わなそうと思って、読まないでいた。すると、職場の方が、「読んで損した!何が言いたいのか全くわからない。腹が立った。」と憤慨しており、私にも立腹させたいと貸してくれた、というのがこの本を読むことになったきっかけ。

    読み始めは「むらさきのスカートの女」が変なのかと思っていたけれど、どうも奇妙なのは語り手の「黄色いカーディガンの女」の方であることがだんだんとわかってくる。語り手がなぜそこまで「むらさきのスカートの女」に執着するのか、なぜそこまで近く(?)でつぶさに観察できるのか、だんだん気味が悪くなってくる。そして、所々で、この語り手が問題を抱えていることも見えてきて、何かこの語り手の歪んだ世界を見せられているような気がしてくる。

    確かに「何も起こらないし」、いやいや、「色々なことが起こっている」不思議な小説だった。「何が言いたいかわからない」といえばそうだし、でもどのようにも解釈できるような気がする小説だった。例えば、語り手のような独り身中年女性の生きづらい社会とか、問題提起できなくもなさそうな・・・

    複雑な読了感ではあるが、なんといっても、読みやすい文章に、読者を惹きつける展開は素晴らしかった。

    話題なだけあって読んで損はなかった。

  • これは…不気味というか不穏というか怪しい雰囲気が冒頭から最後までずーっと漂ってました…。読後の感想はなんて言ったらいいのでしょう…。

    でも先が気になるんです。読むのを止められないのです。
    なんとか最後に、現実に戻る感じがするのですが、またすぐ怪しいループに入ってしまい、話が繰り返されるスタートを切っているような気がするのです…。こ、こわいかも…。

    こわいけれども、毎日の生活って悲しいかないい人ばかりではなく、本当はこの本に出てくるような人たちが沢山いる集まりなんですよ、って言われているような気もしました。

    賞をとられている作品っていうのは、読後なにか形や言葉に出来ない、考えさせられるものを残していきますね。
    …いやそうではなく、私がまだまだそれを語るレベルにはきてないね!ということでしょうか…。

  •  皆さんのブクログのレビューを読んで、気になっていた本。
    本書をジャンル分けするなら〝殺人事件がない〟ミステリー小説で、ゾワゾワした感じが味わえました。図書館で一気読みしてしまったのですが、〝黄色いカーディガンの女〟みたいな人に観察されていたらどうしようと、周りをキョロキョロしてしまいました。ホラー映画の後、トイレにお化けが出そうで怖いと思うのと似た感覚です。

     文章の視点は、主人公〝黄色いカーディガンの女〟から〝むらさきのスカートの女〟へずっと向けられています。主人公は生活のすべての時間を〝むらさきのスカートの女〟に捧げ、執着している様子が異常でした。小説のラストまで目が離せませんでした。

     私事ですが、大学の時に住んでいたアパートの近所のおじさん。私の父母がアパートの部屋に遊びに来ると、必ずアパートの下の路地を行ったり来たりしていたおじさん。その後、忘れもしないある夏の日、私がゴミ出しをした直後、おじさんはゴミを家の敷地まで持ち帰り、袋から中身を出していた。(以下省略)
    〝黄色いカーディガンの女〟ではないけれど、〝コンビニの隣の家の禿げたおじさん〟のこと、小説を読んで思い出してしまった。あー、こわいこわいw

  • むらさきのスカートの女、や
    「わたし」の不可解さに

    読めば読むほどに
    ぐんぐん引き込まれて面白かった。

    読み終わってからもいろいろ
    考えてしまう作品でした。

    こういう作品、好きです

  • わたし「黄色いカーディガンの女」は、「むらさきのスカートの女」が気になって仕方がない。
    つまり彼女と友達になりたいらしい。
    綿密な調査と取り計らいによって、「むらさきのスカートの女」はついに私と同じ職場に来ることになった。

    今までに読んだ今村作品もそうだったけど、孤独で歪んだところがあったり、変なところで笑えたりして、とにかく途中でやめられなくなる。
    作中では「むらさきのスカートの女」の描写ばかりが浮き上がっていて、肝心の語り手の「黄色いカーディガンの女」の正体は文章から推測する限りでは、職場でもあまり存在感のない人物で、ふと気がつくと、この「黄色いカーディガンの女」のことがすごく不気味に思えてくる。

    そして話はどんどんエスカレートしていって、職場内での噂話も都合よくすり替わってしまっている。
    読み終わった後も、「黄色いカーディガンの女」の語った話がどこまで本当だったのか、今だにわからない。

    今村さんの人間観察力が素晴らしくて、捉えようがなくて、どの作品もほんとうに独特で面白いと思う。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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