マジカルグランマ (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 1286
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022650511

作品紹介・あらすじ

正子は75歳の元女優。CMで再デビューを果たし、順風満帆かと思いきや、ある出来事で事務所を解雇され、急きょ、お金が必要な状況に。周りを巻き込み逆境を跳ね返す生き方はマジカルグランマ(理想のおばあちゃん)像をぶち壊す! 第161回直木賞候補作。

感想・レビュー・書評

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  • なんてパワーを持った本なんだろう。
    すごいエネルギーを感じた。
    おばあちゃんなのに。
    いや、おばあちゃんだから?
    思い立ったが吉日ってやつ?
    とにかく圧倒的なパワー。
    私は今年資格をひとつ取ったら疲れてしまって。
    取った資格を活かして新たな仕事を増やしてはみたけれど、でもさらに新しいことを始めようというエネルギーは残ってなくて。
    でも勇気をもらったなぁ。
    まだできる。幾つになってもできる。
    エネルギーが溜まったら、また新しい何かにチャレンジしよう。

  • 「マジカルグランマ」という題名から、勝手に自分で想像していた内容があった。

    家族の輪のなかで、おっとり微笑むおばあちゃんの図。...を想像して読み始めると、なんかしっくりこない。なんだこの違和感。このおばあちゃん、考え方や行動が想像斜め上だから?じゃあもし、おばあちゃんの年齢が若かったとしたら?行動に対してあまり違和感を持たないのか?

    ああ、それこそ作者の狙い通り。そして実感されられる、私もステレオタイプの人間なのね...。日々ストレスのない唯一無二の「自分」を持とうとちまちま努力しているのに、結局周りの意見に知らず知らずのうちに誘導されていたのか!...ぐぬうぅ、悔しい。

    そして最後の一文に、この本のすべてが込められているように思う。

    「私たちはどこかでおばあさんは、いや、女というものは、自分を後回しにして、他人ために尽くすべきだと考えてはいないでしょうか?誰かの犠牲や献身で生まれた幸せはある日突然、終わってしまうことに、もうみんな気付きはじめているのに」

    まあ、犠牲や献身とまでは思わないけれどね。ところどころの正子さんの積極性、柔軟性、社会に対する呟きが、色々勉強になりました。
    何年後かにまた、この本を読み直したい気分です。

  • マジカルグランマ、柏葉正子、75歳。
    様々なでき事に立ち向かう、パワフル
    おばあちゃんだ。
    正子は27歳の時に、映画監督の浜田壮太郎と結婚した。豪邸に住む事になるが、夫は家庭を顧みない人だった。

    そして・・・・年老いた今、夫は一線を退いていたが、正子はオーディションを受け
    ――おばあちゃんのスマホデビューを
    孫が教える――というCMに出演し、
    売れまくる!

    良い時期というのは長く続かないもので
    夫が亡くなる。
    正子は素直過ぎる!言いたい事をペラ
    ペラ喋りすぎた!お葬式には、欲しかったコムデギャルソンの漆黒のワンピースを買って着た。夫人なのだからもっと
    大人しい服を着るべきだろう。
    マスコミの取材では、――夫が亡くなり
    言葉が見つからない妻――を演じる事が
    何故!できなかったのか・・・・・
    正子は、家庭内別居状態だったこと、
    以前から顔を合わせていないことを、
    事細かくバラしてしまう。
    事務所も解雇されてしまって、収入源も
    無くなり、夫に借金があると判明した。
    あぁ~なんてこったぁ~

    そこへ、夫とSNSで仲良くしていたと、
    杏奈という娘がやって来る。杏奈は家出
    娘のようで“今晩だけでいいから泊めて”
    と困らせる。でも・・・・・この後、娘と
    正子は仲良くなり・・・・

    この後様々な事が起きる。
    くじ引き、ディズニーランド、そして
    お化け屋敷・・・・・

    夫が亡くなった時、芸能界から干されたはずの正子は・・・・・
    どんなことが起きても、パワフルおばあちゃんでいる。それがマジカル、魔法の
    おばあちゃんなのだ!


    2022、9、7 読了

  • 【第45回】間室道子の本棚 『マジカルグランマ』 柚木麻子/朝日新聞出版 | 特集・記事 | 代官山 T-SITE | 蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設
    https://store.tsite.jp/daikanyama/blog/humanities/6699-1650410507.html

    柚木麻子さん「マジカルグランマ」インタビュー 70代女性がヒロインの理由|好書好日(2019.4.25)
    https://book.asahi.com/article/12316159

    朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:マジカルグランマ
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20877

    マジカルグランマ 柚木麻子(著/文) - 朝日新聞出版 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784022650511

  • 74歳元女優で映画監督の妻。
    一見おっとりにしてみえる正子が殻を破って?自由になっていくお話。世間から一般化されたというか押し付けられたプロトタイプ=マジカル〇〇というんですね。小さい時からなんでかわからないけど、自由になりたいって思っていた自分の感覚を、この本で解説してもらったような気がして痛快だった

  • 75歳の元女優で映画監督の妻である正子の、マジカルグランマ(理想のおばあちゃん)をぶち壊す人生の奮闘記。

    正子さんがどんどん、どんどん!パワフルになっていく様がカッコよくて、気持ち良くて、スカッとする!
    何歳からでも何かを始めて良いんだ!と思わせてくれる。
    世間からの目なんて関係ない、自分を見つめ直して、自分のやりたい事を見つけて、突き進む!

    途中までは、ステレオタイプのおばあちゃんだったのに、メルカリで家の中の物をこれでもかというくらい売って、「マジカルニグロ」という言葉に出会って、その位から明らかに目線が変わって、目の前の視界が開けて、目標ができて、人生で始めて本来の自分を見つけて、イキイキとキラキラとしてくる。

    本来の自分を見つけた正子さんは、時に我儘だし、冷たいと思う事もあるし、決して素敵な人とは言えない時もあるけど、それが人間臭くてまた良い。

    あんな風にパワーみなぎるおばあちゃんになりたい。

  • マジカル○○、ステレオタイプ、偏見、、
    いつも意識して過ごすことはできていないなと改めて感じた。
    こうあるべきという認識が刷り込まれていたり、勝手に人に押し付けていたり、絶対にしているよなと反省した。
    周りを巻き込みながら軽やかに生きている正子や、なんだかんだ巻き込まれて自分のやりたいことを見つけられた杏奈に少し憧れる。
    最後、まさかの展開で笑ってしまったが、マジカル○○に縛られて本来の力が出せていない人も実際いるだろうし、こうあるべきという考えは時には外し、柔軟に考えることも必要かなと感じた。

  • わりと崖っぷちな状況なのに、我儘に自分らしさを貫いていく正子さんが実に爽快!
    他人に気を使って疲れ果てる自分とは対照的で、とても楽しそうで眩しい生き方だなと思いました。こんな風に何でも楽しんで生きるのが充実した日々の秘訣ですね。ステレオタイプをぶち破るって大切。

  • 読み始めはあまり好きになれなかった正子さん。

    「正子、またセクハラされる」の章で「マジカルニグロ」という言葉に出逢い、意味を知り、自分を省みて、新しい価値観と共存できる正子さんの姿は、とてもエネルギーに溢れていてかっこよかったです。

    でも、最後はまた「あぁ、やっぱり正子さん苦手だわ」に戻るのが何とも味があって、楽しかったです。

  • 75歳のおばあちゃんが新しい発想をもとにどんどんチャレンジしていく姿は周りの人にも大きな影響を与え結果的にみんな前に進んでいく。なんか私はなんでもできるっていう元気もらった気がする。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

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