スター (朝日文庫)

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  • 朝日新聞出版 (2023年3月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (392ページ) / ISBN・EAN: 9784022650924

作品紹介・あらすじ

国民的スターって、今、いないよな。…… いや、もう、いらないのかも。誰もが発信者となった今、プロとアマチュアの境界線は消えた。新時代の「スター」は誰だ。「どっちが先に有名監督になるか、勝負だな」新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した立原尚吾と大土井紘。ふたりは大学卒業後、名監督への弟子入りとYouTubeでの発信という真逆の道を選ぶ。受賞歴、再生回数、完成度、利益、受け手の反応――作品の質や価値は何をもって測られるのか。私たちはこの世界に、どの物差しを添えるのか。ベストセラー『正欲』と共に作家生活10周年を飾った長編小説が待望の文庫化。

みんなの感想まとめ

人々の価値観や自己欲が交錯する中で、映像の世界における新たな「スター」の在り方を描いた作品です。主人公たちは、映画祭での成功を経て異なる道を選び、それぞれの葛藤や成長を通じて、時代の変化にどう向き合う...

感想・レビュー・書評

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  • 尚吾と紘、それぞれの道での悩みや葛藤が、とても「今」だと感じた。

    悩みながら進む2人に向けられた周囲の人達の言葉が、現在の価値観のモヤッとしたところをスッと見やすくしてくれた。

    今、自分が何かを作り出し表現する時や誰かが何かを作り出し表現する物に向かい合う時、一つの心の在り方として自分の中に留めておきたいと思った。

    その場で誰もが輝けるチャンスがあるのは良いことだと思う。

    ただ、この価値観も何年か後には変わっていくのだろうなぁ

  • お得意の人間の裏の顔であったりと相変わらずの着眼点と表現方法で訴えかけられる作品です。ここ最近の著者の作品の中でも、ちょっと回りくどいかなと感じてしまいましたが、『価値観』そして『自己欲』の違いといったひた隠しにしたい人間味を垣間見えるのが著者作品の良い所。目的は同じであってもやり方が違ったり、そもそも目指すものが違ったりというのはよくあること。時代とともに変化する環境に並走できる人、追いつこうとする人、そして自分を変えない人。十人十色ではあるものの、価値観の押し付けは時代にそぐわないんですよね。

  • 新聞小説を連載する事が夢だった朝井リョウが、それを現実とした時、新聞の影響力はかなり小さくなっていた。その認識から、創り出した作品とのことです。
    大学時代、映画祭でグランプリを受賞したサークル仲間の二人、尚吾と鉱。卒業後、尚吾は、尊敬する映画監督の元で学び、鉱は、ふとした依頼からYouTubeの撮影編集に関わることになり、同じ映像の世界で違う途をたどることになります。
    頑なに自分の作品感を貫こうとする尚吾。先に実績を上げる鉱に焦り悩む。鉱にしても、依頼人の要求に応えて続ける映像に疑問を感じ始める。
    映画・テレビ・YouTube・インスタ・TikTokと今の映像の主流が変化していく様子。それに関わる人達の意識や葛藤。それぞれの媒体の投稿者、視聴者両側から書かれます。
    この小説は映像の世界ですが、音楽や小説、その他社会の風潮に当てはまりそうな、伝統と革新の摩擦をなかなかの名言で表現していきます。
    クオリティを求める時代ではないかもしれない、良いと呼ばれるものも変わっていってしまうし。それらを納得した上で、彼らは、自分の求めるクオリティを目指して模索したのちに、再び同じ場所で会うことができそうなのです。

  • どんだけレビュー溜めてんのよ、って話。
    読了は6月12日。
    スマホに残したメモを辿ってレビューしてみる。

    わたしは娯楽に触れる時、たくさんのツールで触れる。
    ラジオ(radiko便利)、テレビ、映画、アマプラ、AppleMusic…
    車でリアタイするラジオの価値
    生放送の価値
    映画館で観る映画と家で観るアマプラ
    サブスクで曲を公開しないマキシマムザホルモン

    その人がいったい何に価値を置くのか。
    サブスクで触れる作品の価値は低くて、映画館で観る映画の価値は高いのだろうか。
    radikoで聴くラジオは価値が下がるのか。
    映画を制作することと、映像を制作してYouTubeにあげることに、差はあるのか。

    YouTubeをはじめ、映像の素人が動画編集を行ってSNSにアップする、ということが一般的になってきて、職業としても認められるようになってきて数年。
    問題やトラブルの方が前面に出ててしまうこともある。

    YouTubeやサブスク、それらをなぜ我々はライトなものだと感じるのか。
    じっくり、丁寧に丁寧に描き出す。

    核心をつかれた時のドキッとした感情、相手に対して感じるもやもやとした感情、怒り、許せない何か。
    日々の中で感じるネガティブな感情に向き合わされるこの感じも健在で、あー朝井リョウってこうだったよなと思わされる。
    人間の複雑な関係性の描き方と、そこで生じる感情の掘り下げ方が、本当にうまい。
    強引に、自分が普段封印している嫌な感情を掴まされる。

    まだまだ気軽に手にできる娯楽のツールは廃れないだろう。
    この作品もまた、文庫化という時間の経過を経てもなお、廃れてない。
    これからも多くの人に刺さる作品だと思う。
    簡単に手にできるようになった娯楽のツールを、「若い人の間で流行っているもの」で着地させるのではなく、とても早くから、時代の流れとそこで生きる人たちを鋭く見つめ、言葉にして、これだけの作品を残した。
    そういう意味では、朝井リョウという作家そのものが、時代を牽引する『スター』なのかもしれない。

  • 信念を貫いて自分のスタイルを崩さずにコツコツ積み上げる努力家と、世の中のやり方に沿ってアウトプットする手段をとりいち早く世に知らしめたいという世渡り派か。
    どちらが正しいなんてないし、自分の信じたやり方が世の正解と交わることなんて誰が決めるのか。
    比べられないものを比べ続けてたら、いつか本当に切り捨てちゃいけないものを捨ててしまいそうになる。
    クオリティ優先でなく、いかにバズらせられるかという現代の風潮が物語っているようであった。
    サブスクだとか限定だとか完全食だとか流行り物だとか、今だけ騙されていたいって思うこと、私も無意識に惹かれてることあるなって自覚しました。
    人間同士の摩擦によるズレの言語化もさすがだしドキッとする。
    作ったものを差し出す時に、誰かを裏切ったり騙す気持ちがない作り手でありたい。
    誰かがしてる悪いところより、自分がしてる良いところを言えるようにしておきたい。
    そんな逞しさを持ちたい。

  • ブラボー!!これはおもしろい!
    映画祭でグランプリを受賞したコンビが、それぞれ名監督への弟子入りと、YouTubeの製作者という真逆の道を選ぶ設定が、純粋にすごく興味を持てるし、結末を楽しみに読めた。

    正統な映画作りで品質を追求すれば、世に出すまでのハードルが高く、高価格で、持続可能性が問題になる。 
    YouTubeは無料ゆえに拡散されやすいけど、消費されるスピードが早く、質の担保が難しい。

    2人がそれぞれの道でぶつかる困難や、自分とは違う方向性の人に対して抱いてしまう反感など、起こりうるだろう事が詳細にたくさん描かれていて、作者の鋭さと想像力に脱帽。
    単純に別の道を歩んだ2人だけでなく、一緒に仕事をする周りの人たちの考えもおもしろかった。

    伝統的VS現代的は、映像の世界だけでなく色んな職種にも通じるテーマなのだと気付いて視野が広がった。
    評価の基準が移り変わりやすく、細分化された世界で何を信じていくのか?
    納得のいくラストでした。

  • 現代の若者の感情の機微、特に倦んだ感情の描写力が毎度のことながら凄い。
    若者でなくとも、何処かしら感情が共有できる場面があると思う。

    色んな登場人物が独白するので、テンポが悪い面もあるけど、こっちで共感してなるほど!と思ったことが、あっちから見ると確かに違うかも‥と色々思考がかき混ぜられて、自分なりの意見を考えちゃうのが面白いところ。またこういう読書をしたいな。

  • 久しぶりに読む朝井リョウさんの長編作品。

    大学時代に映画祭でグランプリを受賞した尚吾と紘。卒業後、名監督への弟子入りと、YouTubeでの発信という真逆の道を選んだ二人。それぞれの立場で、動画制作におけるさまざまな葛藤と戦いつつ、互いの活躍に刺激を受けながら、時に相手の芝生が青くも見えていた…。

    二人の心の機微が、情景描写とともにきめ細かく描かれていて、朝井リョウさんの表現力に改めて感動させられた。

    題材が、【動画(映画とYouTube)】ということで、今まさに旬のネタ。(まだ旬と言ってもいいよね…??汗)

    尚吾のパートでは、映画制作への強いこだわりが凝縮されている。一つの映画作品にたくさんの人々の葛藤が凝縮されているのだと思うと感慨深く、この先映画を鑑賞する際には、観る側としても敬意と感謝の心構えを持ちたいなと思えた。
    一方、紘のパートでは、前半は尚吾に比べて順調に見えた(尚吾より細かいことを気にしない性格もあるからか)が、中盤から仲間や上位との考え方のずれ等、紘なりの悩みや葛藤が垣間見えてくる。

    尚吾と紘の二人以外にも、個性的なキャラクターが光っていて、響いた言葉をいくつかピックアップ。

    まずは尚吾の同僚である浅沼さん。
    「私、映画撮るの好きだったけど、心がね、人によって評価の基準が変わる世界でまっすぐ立っていられるほど強くなかったんだよね」
    ふざけているように見える(少しふざけないと本音が語れない)けれど、彼女なりにたくさん悩んで、諦めて、やっと自分らしくいられる場所を見つけられたという軌跡が、彼女のキャラクターを際立たせていて、とても良かった。

    続いて、尚吾が尊敬する鐘ヶ江監督。 
    初めは古い人なのかなと思ったけれど、P288〜の鐘ヶ江監督の想いを読んで、ただ自分の拘りに固執しているだけではなくて、時代の変化や制作費
    、収益等も俯瞰した上で、どうしても譲れないものを守り抜いてきた人なんだということがわかった。
    "人を素直にさせるのは年齢や肩書ではなく尊敬の気持ちだと、尚吾は再確認する。"という言葉通り、一読者としても、尚吾が敬愛する理由がよくわかった。
    そんな鐘ヶ江監督の言葉で印象に残ったのは、
    "自分が信じ続けているものだって、元を辿れば質も価値もどれくらいのものなのか、本当のところはわからない。"という言葉。一見ネガティブな響きだが、この言葉を念頭に置いておくことで、常に本質は何かを考え続け、それにより、一つの価値観に固執せず、柔軟に考えることができるようになる気がする。

    最後に、千紗の想いが語られる場面がとても良かった。
    「むしろ、騙す人よりも、"今はそれに騙されていたい"っていう人のほうが多いのかもしれないなって」
    本当にそうだと思うし、もっというと、食べ物も動画コンテンツも、受け手側は騙されてるとかいうことすら考えてない気もする。たとえ騙されていたとしても、騙されていたこと自体を知りたくもないし、疑う必要もない状態でいたいのではないかなと思う。自分は安全安心で、品質の担保されたものを受け入れていると、信じたい。
    「本当は比べられないものを比べ続けてたら、いつか、本当は切り捨てちゃいけないものを切り捨てちゃいそうな気がする」
    この言葉も胸に響いた。ものも、付き合う人も、自分自身も。どうでもいい何かと比較して、本当に大切なものを見落とさないように、失わないように、生きていきたいなと改めて思えた。

    時代や価値観が目まぐるしく変化していく中で、自分が本当に大切にしたいものは何かを確かめるきっかけを与えてくれるような作品。気になった方はぜひ読んでみてほしいです。おすすめです。

  •  自分の選んだ道、自分のやり方。迷いがなく進んでいるように見える人に憧れる。

     大学時代、映画祭でグランプリを受賞した尚吾と紘。細部にこだわりを持ち、考え抜いて作品を手掛けていく尚吾に対し、直感的に臨場感のある映像を撮ることのできる紘。卒業後の二人は、名監督の下で働く尚吾に対し、YouTubeで発信するようになる紘、と対照的な道を辿る。その中で、それぞれが自分の選んだ道に様々な思いを抱いていく。

     紘は治療を受けた眼科医に尋ねる。
    「先生みたいに、誰の目にもわかりやすく結果が出る仕事をしていても、前後の文脈に影響されてばっかりでうんざりしたり、揺るがない価値はどこにあるんだろうって迷ったりするんでしょうか。」

     尚吾の恋人である千紗は言う。
    「仕事とか娯楽とか家族とか、そういう何もかもって、結局は人間が生きていくことの付加価値っていうか…人間がただ生きているだけの状態になちゃうことから眼を逸らしてくれるものなのかも。」
    「本当は比べられないものを比べ続けていたら、いつか、本当は切り捨てちゃいけないものを切り捨てちゃいそうな気がする。」

     鐘ヶ江監督の尚吾への言葉。
    「私の言葉をきっかけに始まった自分の時間を信じなさい。その時間で積み上げた感性を信じなさい。」
     たくさん撮ることで自分の心が見えてきて、迷いがなくなる、捨てるものも選べる。

     いろいろなものが細分化され、国民的スターと呼べる存在がいない現代。その世代の、その小さな世界でのスターはどんどん出てきている。いろいろな方法があって、自分のやり方を信じ続けることも難しい。他と比べれば迷うことばかり。でも何かが見えてくるまで、そこにかけてきた自分の時間や熱量のようなものを、大切にし続けていくことかなと思った。

  • うわー!面白かった〜!!!
    朝井リョウさんは、現代社会のなんとなくモヤモヤしている事象を言語化するのがとても巧いですよね。毎回言っている気がしますが、解像度がヤバいです。
    今回はYouTubeで誰でも発信できる世の中になっていることにスポットライトが当たっています。色んな発信がされようと、受け取るのは変わらず人の心、というのがめちゃめちゃしっくりきました。文明が発達していくスピードに、人の心が追いついていないような気がしました。人が処理できる情報の量を、今の世の中でははるかに超えてしまっているんですよね。法律や倫理感が追いついていないような感覚、というのでしょうか。

    朝井作品を読んだ後は、いつも見える世界が読む前と異なっているような気分になります。
    しっかり言葉で物語が紡がれているのに、いざ自分で読んだ内容をまとめようとすると言葉が出てこない。まだ上手く自分の中で消化できていないんでしょうね。それぐらい今までの自分になかった考え方を、物語を通して与えてくれるのが朝井リョウさんなんだと思っています。

    名監督への弟子入りと、YouTubeの発信という真逆の道を辿っていた二人が、最終的に同じところに戻ってくるのが、お互い本気で本物を求めた結果なんじゃないかと思いました。全ては心に繋がっている。

    「スター」というタイトルは、最初は国民的スターのような意味合いで使われていたのに、終章で星型そのものの話になっていて、さらにこの物語をまとめる構造になっていて、思わず唸ってしまいました。かっこよすぎます!何とも言えない読後感。


    余談ですが、作中に出てくる眼科医は、例のゆとり三部作の腹黒いくまのプーさんがモデルなんですかね?笑

  • 「どっちが先に有名監督になるか、勝負だな」
    新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した立原尚吾と大土井紘。ふたりは大学卒業後、名監督への弟子入りとYouTubeでの発信という真逆の道を選ぶ。(公式より)


    朝井さんの「インザメガチャーチ」を読んでから本作を購入。
    インザメガチャーチでも感じたけれど、時代を切り取って描くのがあまりにも上手すぎる。本作が発表されたのは5年前…YouTuberやインフルエンサーが世間を圧巻していて、コロナ禍もあり映画もサブスクで楽しもうという風潮があった。刊行当初に読めていれば、インザメガチャーチ並みに胸にくるものがあっただろうなぁと少し後悔。
    「AはBと現すことができ、BはAとも現すことができるのがスター。でも今の時代はスターなんて求めていない」といった表現が印象的。

  • 大学の映画サークルで出会った二人の若者が、昔ながらの映画監督とYouTubeの動画製作を、それぞれの道を選んで進んでいく。
    自分的には両方いつも楽しく見てるんですけど、職業と言うか人生というか、突き詰めて考えるとなかなか難しい。

  • 「正欲」を読んだあとだったので、過去作が気になってこちらを読んだ。
    作中にもあったけど、答えを訴えてくるというより、あなたはどう思う?という問いかけが多い作品だったと思った。
    多くの人が「良い」と言ってる物が確かに評価される時代だが、自分の中の「良い」にめぐりあえず苦労している人もいると思うが、自分の中で「良い」とは思えなくても、他の人にとっては「良い」ものかもしれないし、否定する必要は無いな、と思えた。

  • 昔から祖父に連れられ、映画に触れ、
    本物にこだわり続ける尚吾と、
    島育ちで映画は大学に入るまでほとんど見たことがなく、美しいもの、心動かされるものそのものを映像として残したいと考える鉱。
    正反対の2人の主人公が、本物が何なのかわからなくなった、様々な価値観が溢れる現代で自分たちの進む道を探る物語。

    矛盾と葛藤。
    正解のない世界。

    質を求めれば原価が合わなくなり、利益がなくなる
    自分の仕事感も問われているような作品だった。

    朝井リョウの作品にはまり、読み続けているのですが、読後感がみんな考えさせられる物が多いなあと
    じゃあ、私はどうする?と問われているようで
    そういうところが好き。

  • 朝井リョウさんの作品。
    映像・映画の世界を目指す青年2人が、一人は映画監督の弟子、一人はYouTube制作と対照的な道へと進む。
    それぞれが苦悩の道を歩み、再び邂逅する。
    作品を作る姿勢、時代が求めるもの、この時代のスターとは何なのかなど映像制作の世界の問題を取り上げた作品。
    テーマの切り口は面白いのですが、個人的には内容自体は特に刺さらず、ちょっと冗長な感じであまり好きな作品ではありませんでした。

  • クリエイターになったことないから、めちゃくちゃ共感出来る!とはならなかったけれど、表現が多種多様になっていることには、共感しました。

    YouTubeを含めたSNSで誰もが簡単に動画や文章をあげれる時代に、映画監督とか小説家が戸惑うのも理解出来ました。YouTubeも好きだし、映画も小説も好きな私としては、どちらも別物だと思うし、別の楽しみ方だと思う。

    YouTubeはもっと気軽に見れる感じ、なんならなにか作業しながらでも見れる。映画はよし見るぞって決意して、時間がある時にしか観れない。でもYouTubeで得られる情報も有益なものがあるし癒されるし、映画でも得られるものがたくさんあるし考えさせられるし。どちらにも違った魅力があると思いました。

    表現をする人たちには、新しい時代の流れに戸惑うこともあるのかもしれないけれど、視聴者としては、どちらも同じように楽しんでますと伝えたいです。笑

  • コミュニティや生活スタイル、趣味趣向やそれに伴う個人の時間の使い方であったり様々なもの変化する世界で、どの様な価値観を大切にして生きていくかを問いかける作品であると感じました。
    今まで思ってた普通が目まぐるしく変わる中で自分はどうしたいか。登場人物も各々譲れない指針や意志がありながらも試行錯誤して生きていく様がリアリティに溢れて読んでいて励まされ、勇気をもらいました。どんな小さな空間に差し出された物でもいい物は越境するという言葉は、どんどん細分化されていく世の中で凄く大切にしたい考え方だなと思いました。

  • 自分の仕事に置き換えてみると、餌付きたくなる感覚が立ち上る。

    二人の青年が作った映画が賞を獲った。
    片方の青年は、祖父が好きだった監督の下に弟子入りをして、質の高い映画作りを目指す。
    片方の青年は、人の姿そのものに魅力を感じ、それを届けるためにyoutubeで動画を更新する。

    いつだったか、テレビという媒体から芸人たちが続々とyoutubeへと進出していった時期に。
    二人の青年の葛藤と同じものが語られていた気がしたことを、思い出した。

    自分が創りたいものへの信条と価値。
    そして、人の心の揺さぶり方の善悪。

    そこに結果が生まれなければ、認められない。
    だから、簡単に消化出来るコンテンツを大量に注ぎ込んでは、霧となって消えていく。

    「一回限りの人生を、何を成し遂げることに注ぐか」

    いつか霧になった時に、自分の手元には何が残るのだろうかと、最近よく考えている。
    世間に合わせて、時には自分の感情をすり減らして、残るものがお給料以外にあるのだろうか。

    フォロワーやスポンサーとしてではなく、自分自身が残せるものって何なんだろう。

  • 多様性の中に生きる人間の葛藤を描く。

    浅沼と千紗の言葉が特に響いた。
    響いたというより、本作を読んで、確かに感じてはいるが言語化できない考えを、きれいで納得感のあるかたちに言語化してくれているという感覚。

    今自分が生産しているものの、良いところに目を向けて生活しよう。

  • 朝井リョウさん、かなり期待して読んでしまったので少しだけ期待はずれ。いや、後半はとても良かったんだけど、前半が私的に読んでて進みが遅かったり夜だと眠くなったりで、読み終わるかな、と思ったことも。後半千紗ちゃんとの会話からぐっと入り込んだ。

    良かったところはここ!↓
    『全員が細分化された中にいるから、』
    『どうしてあいつのほうが認められるんだって嘆いても、別の空間を批判する資格は誰にもないし、そんな時間に意味はない』
    『でも、素晴らしいものは越境する』
    『どんな相手に差し出すときでも、想定していた相手じゃない人にまで届いたときに、胸を張ったままでいられるかどうか』
    『それが、この世界と向き合うときの、僕なりの姿勢』

    差し出すときも、差し出されたものを受け取るときも、自分の姿勢をきちんと持ち続けたいし、それを常識と言える世の中でこれからもあってほしい。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、21年『正欲』は第34回「柴田錬三郎賞」を受賞し、どちらも映画化された。作家生活15周年記念作品『イン・ザ・メガチャーチ』は第9回「未来屋小説大賞」を受賞した。その他著書に、『どうしても生きてる』『時をかけるゆとり』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『生殖記』等がある。

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