王者の妻 豊臣秀吉の正室おねねの生涯 (上) (朝日文庫)

  • 朝日新聞出版 (2023年6月7日発売)
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  • 本 ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022651037

作品紹介・あらすじ

一介の草履とりから天下人に出世した豊臣秀吉。その秀吉に14歳で嫁いだ妻おねね。仲睦まじい夫婦だったが、地位があがるにつれ、秀吉の浮気の虫と権力欲が頭をもたげ、おねねを苦しめるのだった。戦国の女性を描いた傑作歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 「ねね」という名は柔らかな響きがする。秀吉の正室おねねは名前のように優しい性格の女性だったのだろう。そして優しいだけでなく、竹のようにしなやかなでありながらも芯の通った強い女性だったのではないだろうか。この本を読んでそんな印象を持った。

    下級武士の娘が、いつしか「御内室」と呼ばれるようになっても驕り高ぶることなく冷静でいて庶民的感覚を失わなかったことが、彼女が味方を増やすことができた理由だと思う。織田信長、おねねの兄・家定、義弟の弥兵衛(浅野長政)、伯父の杉原家次、加藤清正、福島正則、姑である秀吉の母…。おねねが秀吉の女癖に泣かされた時には、女あるじの地位を守るために彼らが支えになってくれた。もしも彼女が物欲の塊で思慮が浅い人だったなら本能寺の変の後、もたもたして明智光秀の軍にとっ捕まえられていたことだろう。情勢を読める賢い女性であったことは間違いない。

    しかしながら、夫が次々と敵を倒し天下統一に近づいた時に妻は新たなる敵(秀吉の側室たち)に囲まれていたとは何とも皮肉である。武器を使わない女の戦いに、おねねがどう挑むのか下巻も楽しみだ。

  • 秀吉の性質おね(ねね、おねね)のお話。上巻は秀吉の養子秀勝(信長の息子)が死去するまで。
    おねの目線で進んでいく戦国の世は、やっぱり厳しくて、でも彼女が戦さ場に行かない分血生臭くない。
    ただ、おねの知らないところで秀吉は変わっていく。少しずつ距離が開いていく…
    お市様のお話も著者は書いているから(『流星』)そっちも読み返したくなった。

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著者プロフィール

(ながい・みちこ)1925~。東京生まれ。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。1964年、『炎環』で第52回直木賞受賞。1982年、『氷輪』で第21回女流文学賞受賞。1984年、第32回菊池寛賞受賞。1988年、『雲と風と』で第22回吉川英治文学賞受賞。1996年、「永井路子歴史小説全集」が完結。作品は、NHK大河ドラマ「草燃える」、「毛利元就」に原作として使用されている。著書に、『北条政子』、『王者の妻』、『朱なる十字架』、『乱紋』、『流星』、『歴史をさわがせた女たち』、『噂の皇子』、『裸足の皇女』、『異議あり日本史』、『山霧』、『王朝序曲』などがある。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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