生皮 あるセクシャルハラスメントの光景 (朝日文庫)

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  • 朝日新聞出版 (2025年1月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784022651846

作品紹介・あらすじ

小説講座の人気講師がセクハラで告発された。桐野夏生さん激賞「この痛みは屈辱を伴っているから、 いつまでも癒えることはないのだ」俵万智さん絶賛「答えではなく、問いを手渡される。こんなにも迫ってくるのは、作者が全身で問い続けているからだ」(Xより) * * *皮を剥がされた体と心は未だに血を流している。動物病院の看護師で、物を書くことが好きな九重咲歩は、小説講座の人気講師・月島光一から才能の萌芽を認められ、教室内で特別扱いされていた。しかし月島による咲歩への執着はエスカレートし、肉体関係を迫るほどにまで歪んでいく--。7年後、何人もの受講生を作家デビューさせた月島は教え子たちから慕われ、マスコミからも注目を浴びはじめるなか、咲歩はみずからの性被害を告発する決意をする。なぜセクハラは起きたのか? 家族たちは事件をいかに受け止めるのか? 被害者の傷は癒えることがあるのか? 被害者と加害者、その家族、受講者たち、さらにはメディア、SNSを巻き込みながら、性被害をめぐる当事者たちの生々しい感情と、ハラスメントが生まれる空気を重層的に活写する、いまこそ読むべき問題作。解説:河合香織(ノンフィクション作家)

みんなの感想まとめ

テーマは、セクハラや性被害に関する深刻な問題を扱い、登場人物の感情を通じてその痛みを生々しく描写しています。クールな文体ながらも、内容の重さが際立っており、読者は感情移入を強く促されます。特に、被害者...

感想・レビュー・書評

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  • クールな文章で内容が重いのが現れている

    セクハラと言うか、レイプ被害者が題材だ
    言葉ではなく具体的な事実(小説ですが)

    パワハラだと、悪口を言われたり無視されたり、叱責されたでは無く、殴られてしまったと、言う事でしょう

    小説だけど腹立ちます
    感情移入し過ぎ!

  • セクハラについて。いま特に問題になっている気がして読んでみた。
    いろいろ、新しい視点を持てたような気がする。

    はじめは頭のどこかでこの関係はまずいと思っていても、少しでもそれに逆らえない理由があると麻痺しちゃうものなのかな?今回出てきた被害者たちは、加害者と2人きりになることを承知で会いに行ってしまったわけだし。
    そうなると、加害者の「相手が嫌がっているとは思わなかった」という言葉も、本心から言っている場合もあるのかもしれない。だからといって許されることではないけれど。。。

    セクハラを告発した加害者の女性と、その旦那さんの関係がぎくしゃくするのも悲しかった。
    当事者はもちろん、当たり前だけどその家族も深く傷つくことなんだ。


    「彼は私の皮を剥いだ。無理矢理に。その皮はいまだ再生されていません。皮を剥がされた体と心は未だに血を流しています。ヒリヒリと痛いです。どうにかしようとして、上から何か被っても、その下でずっと血が流れているんです。」

  • 現実のニュースは真実がわからない。
    憶測が入りまくる、予断が多い。
    ちゃんと考えるのが難しい。
    なので、こういう形で触れる方がいい。
    何が問題なのかよくわかるし、何に注意すればいいのかも少しはわかるんじゃないだろうか。

  • 読者の世代と性差などで評価が分かれるかもしれない
    思うことは、人は自分の思うようにしか物事を見ることができないということ
    自分も知らず知らず、思いもよらず、加害者になっているかもしれない

  • テレビやsnsで著名人のセクハラに関する報道があとをたたないがきっと月島のような感覚なんだろうなと思った。

    被害を受けた側と被害を与えた側が存在するわけだが、後者はその行動に変な意味はなく相手を思うからこその行為だったと心の底から考えている。

    でも前者は間違いなくそんなものだとは思えない。
    だからこそハラスメントなのだろう。

    この本を読んでいて暗い気持ちになったし、私は今後かのような事件がなくなることはないようにも感じてしまった。

    それは月島のような人物だけではなく、被害者をSNSやリアルな場で言葉の暴力を浴びせる人が一定数必ずいて、それが月島を肯定するから。

    なんだかこの構造はどんな時代になっても無くならないように思う。

    辛いけど。

  • 暴力や恫喝がなくたって同意がなければ暴行である、と認識されたのはここ数年なのでは
    私もそうだった
    そして今ならセクハラと言われる言葉を、若い時は当たり前のようにたくさん受けてきたし、無自覚に私も加担したことがあったと思う
    女性だからといって加害側にならないとは限らない

  • 佐賀大学附属図書館OPACはこちら↓
    https://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD10124606

  • 自分にも無自覚な(もしかしたら限りなく自覚に近い思いを抱えた)ハラスメントの経験があるから、読んでいてどこかでそれを受け入れたくないような、変な気持ちを抱えてしまって、イライラするけど後ろめたいような感じがしていた。
    「何で今更こんな告発とかしてるの?」「自分からホテルに行ったんでしょ?」このあたりの周囲の何気ない言葉。日常的すぎてこわい。

  • 読んでて辛くなった

  • 無理矢理ではなく、権力勾配があるので逆らえないというものでもなく、
    尊敬する師匠と、弟子の間に起こるセクハラ。
    そういえばカソリックの神父のセクハラや、宗教団体のハーレムも、「尊敬する男性」と、信者との間のものだったと思い出す。
    尊敬しているので、彼が性犯罪なんてするわけない、警戒するのは失礼だと思ってしまい、混乱しているうちに受け入れてしまう。いったん受け入れたら、あれは大したことではないと思おうとしてしまう。
    だって尊敬する彼なのだから。私はあれしきのことでわめくような女じゃない、だって「小説を書く女」なのだから。あれは「小説的関係」なのだから。
    だが内側の傷は癒えない。あれは嫌らしい中年男性による性犯罪だったのだ。自分はバカな被害者だったのだ。と認めるまでに何年もかかる。

    「一般常識的には悪いとされていることだが、この業界では当たり前のこと。ルールを守って性的なことを否定するようでは、一流のクリエイターではない」というのは、いわゆる芸術家系のセクハラの常套句だよね。

    いろんな選択をする女性が出てくるが、何をするのでも勇気をふるいおこし、自分の深部を見つめなければならない。
    これは男性の選択にあるのだろうか。
    小説をあれほど深く読むことができる月島が、自分の周りの人間の感情にはまったく無頓着で鈍感だというのがリアル。

    近年の芸能人の性暴力も、こんな感じだったのかもしれないと思った。

    ーー
    ネタバレ









    実は、奥さんも同じやり方で始まり、結婚したということなんだよね。
    そのために彼女は小説家の未来を失った。
    もちろん書かないのは彼女が選んだことだが、始まりがそうであるのなら、違う未来を想像してしまうだろう。
    25年後に気づいても、もう年月は戻らない。
    「選んだのはお前だから自己責任」と言われることの辛さも書いてあると思う。

  • 衝撃のタイトルを見て、読んでみた作品です。

    セクハラなどのハラスメントという言葉は、近年よく聞く言葉になっている。
    しかし、本当に、心に傷を負った当事者がハラスメントを告発することは心理的にも難しいことだと考える。そのため、告発した主人公のことを私は敬意を表する。

    近年では、SNSでのMe Too運動などもある一方で、加害者肯定派のアンチコメントもある。
    この話は、性被害という重い問題について改めて考えさせる1冊になっていました。

    ちょっと刺激的なシーンもあるので、R-18向けの文学かなと思いますが、性暴力やセクハラについて考えていただくために、是非、読んでいただきたい1冊です!

  • 本の裏のあらすじから受けたイメージよりは生々しくなく読みやすかった。
    ハラスメントもDVも、受けている当事者はその時には特にそれだと気付きにくのだと思う。

    後になって少し自分を客観的に見られるようになると、あれは絶対そうだったと思えるし、その時にだって周りから見たら明らかにそうだと分かるし、そう言われる。
    けど、当事者はなぜか分からない。辛いし何とかならないかと思うけど、自分にも原因があるんじゃないかとか、皆んな多かれ少なかれ同じ思いをしているんじゃないかとか考えてしまう。

    この本は色んな意味で行きすぎていなくて、それがより現実的な感じがして良かった。

  • ことセクハラに関しては外野が口を出してはいけない。
    被害者にとっても加害者にとってもいい影響と悪い影響があるから。
    悪い影響がある時点でやめるべき。

  • セクハラ行為の捉え方が当事者の環境や時間の経過によって、様々に変化する状況を多くの事例で解き明かした物語だが、女性の立場を主体に述べているのでおじさんの読者としてはあまり知ることができない若い人やおばさんたちの思いが垣間見れて面白かった.小説講座のカリスマ講師である月島光一と受講者 九重咲歩、小荒間洋子が主要な登場人物だが、それ以外にも多くの人が登場するので把握するのが大変だった.題名の「生皮」の正体がなかなか登場しないが、最後の場面で洋子の告白により判明するのが物語の展開として楽しめた.

  • ある小説家教室の講師によるセクシャルハラスメントに遭った女性を中心としたそれに関わる人々の話。

    被害女性だけでなくて、加害者、その講師に心酔する人、被害者の家族、加害者の家族、以前被害に遭った人…など色んな視点があるので興味深かった。読み飽きない。
    この小説で加害者とされる男性の心情は理解できないが、ナチュラルにこの思考でセクハラをしているのだとしたら恐ろしいし、妙に納得してしまった。
    人間の思い込みと勘違い怖い…

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著者プロフィール

1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。1989年「わたしのヌレエフ」でフェミナ賞、2004年『潤一』で島清恋愛文学賞、2008年『切羽へ』で直木賞、2011年『そこへ行くな』で中央公論文芸賞、2016年『赤へ』で柴田錬三郎賞、2018年『その話は今日はやめておきましょう』で織田作之助賞を受賞。他の作品に『もう切るわ』『ひどい感じ 父・井上光晴』『夜を着る』『リストランテ アモーレ』『あちらにいる鬼』『あたしたち、海へ』『そこにはいない男たちについて』『百合中毒』『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』『小説家の一日』『僕の女を探しているんだ』『照子と瑠衣』『猛獣ども』『しずかなパレード』などがある。

「2025年 『私たちが轢かなかった鹿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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