「ひとつ、村上さんでやってみるか」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? (Asahi Original)

著者 :
制作 : 安西 水丸 
  • 朝日新聞社
3.68
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本棚登録 : 707
レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022723307

感想・レビュー・書評

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  • 彼の小説は、読もうという自分の中でのタイミングが必要ですが、エッセイはいつでも軽く読めるもの。
    これは、期間限定でも受けた読者からの質問に答えたQ&A集です。
    読者も結構手慣れたもので、とぼけた質問をさらっと投げかけ、村上氏はそれにさらに輪をかけてとぼけた返答をしているため、読んでいてどことなくおかしいものばかり。

    すべてが読者を煙に巻くような内容ではなく、ときどきちらりと作者の本音が見えるところがいいです。
    もともと『ノルウェイの森』は、ドビュッシーの「雨の中の庭」という曲をイメージして書き始めたところ、話が膨らみすぎたため、タイトルを変更したんだとか。
    「雨の庭」は『版画』の中にある小曲ですが、割と明るい曲があの悲しい物語のきっかけだったというのが不思議なところです。

    490ものやりとりが収録されている膨大な質疑応答集ではありますが、かなりとりとめのない内容なので、感想を書くのは難しいところ。
    何も考えずに開いたページをさらっと読むのに適しているようです。

    有名すぎるために、大勢のファンとアンチを持つ作家で、あまりマスコミに登場しないことから、ミステリアスなイメージがありますが、実際はまっとうな理念を持って地道に文章を書き連ねる職人肌の人だということが、文章の端々から感じられます。
    村上春樹という人とその作品を理解しきれずに悩む人が、こうした一見ふざけた本を一読すると、逆に本質に近いものが見えてくるのではないかと思います。

  • いいな~と思う言葉や考えに付箋を貼りながら読み進めていたら、付箋だらけになった本。一番好きなのは“判断を差し控えることは無限の可能性を産む”。決断したり(特に言葉に出したり)することで、自分を縛ってしまうことあるなあと思った。もう少し、判断を先送りしてみよーっと。

    • ゆーすけさん
      村上さんのエッセイ集をゆっくり読んでるところだけど、すごくよく考えて自分の感覚や考えを言葉にしている人だと感じてます。
      こんな本もあったんや...
      村上さんのエッセイ集をゆっくり読んでるところだけど、すごくよく考えて自分の感覚や考えを言葉にしている人だと感じてます。
      こんな本もあったんやね。要チェックしときます。
      判断の先送りか・・・参考にしよう。
      2013/08/25
  • 作家・村上春樹氏がネットに寄せられた生の声、質問に答えていく内容が一冊の本になったもの。氏の正直な好感の持てるお人柄がにじみ出ており、氏の小説はこういう中から生まれてきたのだということが良く分かる。2006年頃なので、質問者が好きだという小説は古いものばかりになるが、既にこの頃から20年来の熱心な「ハルキスト」(熱狂的な支持者)が多くいたことが分かる。質問者は真剣な人生相談から、憲法9条のこと、ジャズのことなどの真面目な内容も多いが、彼女と「やりたい」という男性、全裸家事主婦の女性、不倫中の男女など、半分冗談なのかどうか分からない声まで。それらに一つ一つ丁寧に、そしてユーモラスを含んで答えていく氏はこのような行為を通してもますます支持者を増やしていったのだろう。この後に出版された「1Q84」「色彩を持たない…」「騎士団長…」などで一層人気は爆発していったのだから。カズオ・イシグロ氏の文章が美しいが読みづらいとか、スコッチ人の奥さんが明かす日本語が話せるという話の紹介も。「カラマーゾフ」についての質問・回答も多く、春樹氏のドストエフスキーへのこだわりの強さを改めて感じて心強い次第。「春樹の本は、読みつつある中で、自分のうちに別の世界が動き始めているような印象」というのは、私自身も感じるところ。

  • 最近だと「村上さんのところ」というweb上での読者との一問一答を書籍化したものがありましたが、この形式はシリーズ化されていて、以前から続いています。
    今回、紹介するのは2006年のファンとのweb上でのやり取りの記録ですね。

    ご存知の通り、春樹さんの小説はかなりの時間の推敲作業を繰り返してからの発表となっています。だから、文書がとても洗練されています。ところがこうしたメールを使った問答集?のような場合、当然これだけの量ですから、ほとんど一筆書きのような感じだと思います。ということはすごく素の「人間、村上春樹」が出てきてるような気がします。
    そんな意味で大変興味深く読める一冊です。
    以外、印象に残ったところを抜き書きです。
    □ 人生と言うのは1つの愚かしさのフェイズから別の愚かしさのフェーズへの移行でしかないような気がします。

    - □ どんな職業にも少数の優れた人と、わりに多くの普通の人と、少数のろくでもない奴がいます。それは国家公務員でも、小説家でも、政治家でも、編集者でも、大学の先生でも、あるいはホームレスでも、みんなおんなじことです。あなたは少数の優れた効果公務員になろうと努めれば良いのです。他人が何を言うかが鍵の問題であってあなたの問題ではありません。

    - □ 人の心の中にある、言葉では言い表せない領域に深く入り込んでいく事が小説の役目です。だからあなたが小説を読んで「すごく何かを深く感じるんだけど言葉ではそれをうまく言い表せない」と感じるのだとしたら、それは1番自然なことなのです。何一つ恥じる事はありません。自慢したっていいくらいです。

    - □ 人間にとって大事なのはむしろ、言葉にならない「何か」をそのままじっと抱え続けられる心の強さと魂の深さを獲得することではないか、と僕は考えています。それについてちょっと考えてみてください。考える価値のあることだと思います。

    - □ 小説というのは「やむにやまれず」書くものです。意味なんか知ったことかと言う気持ちで大胆に書くものです。僕も自分の楽しみのために時々ピアノを弾きます。自分でやっていると楽しいですが、他人には聞かせません。でも「自分のためにピアノを弾く意味はあるのでしょうか」と誰かに尋ねたりはしませんよね。小説を書くのも大体それに似たものではないでしょうか。自分が何を求めているかは、あくまで自分が決めることです。自分の心に耳を済ませることこそが1番大事なのです僕はそう思います。

    - □ この世界に生きていれば辛いことや切ない事はたくさんあります。いつまでたっても解決しないこともあり、それどころか時間の経過とともにますます悪化していくこともたくさんあります。でも優れた本を読んだり、良い音楽を聴いたり、面白い映画を見たりすると、その間にちょっとほっとすることができます。後になってもその記憶や感触が残っていて、それで心やを温めることもできます。世間の多くの人々がそうやって、ちょっとずつ暖をとりながら生きているのだと思いますよ。

    - □ しかし僕は決してきつい現実の世界から逃避するために小説を書いているわけではありません。僕としてはむしろそういうものに立ち向かうために書いてるような気がします。というか、それに立ち向かう自分なりのエネルギーを獲得するために、物語を書いているような気がします。物語の世界には確かにそーゆー「何か特別なもの」が潜んでいるような気がするのです。

    - □ 論理ですぐ分析できるような小説を書いてあって、書く方もつまらないし、各書き手がつまらないと思っている小説を読んでも読む人だって面白くないですよね。分析なんて事はひょいとその辺に放り出して、難しい言葉の引き出しの奥にしまいこんで、物語を自然に楽しみましょう。その小説を読み始める前と読み終えた後で、自分の居場所が少しでも移動しているように感じられたとしたら、それは優れた小説なのだ、と言うのが小説についての僕の個人的基準です。

    - □ 前から一貫して言ってる事ですが、すべての人間は基本的に病んでいると、僕は考えています。ですから、病んでいる事自体は、それほど大きな問題では無いのです。問題はそのような自分の病を法律的にも、論理的にも、個人的にも、どこまでうまく安全な枠内に収めておけるか、ということです。僕らはそのような心問題を物語と言う沼にひっそりと沈めていくことができます。

    - □ 僕はそのような沼の有り様を小説と言う形にして皆さんの前に提出したいのです。僕自身もそこに何かを沈めることができるし、皆さんもそこに何かを沈めることができるそういうものです。それも僕が小説を書き続けている理由の1つです。と言うと、人生ってなんか怖そうですね。でもホントはそんなに怖くはありません。僕らはその沼を共有しています。そして僕らは少しでもまともにこの人生を生きたいと願っています。そうですよね?だから恐れる事はありません。共有することが大事なのです。そして願うことが大事なのです。

    - □ 僕はこれまでずっと、ほとんど手抜きなしで生きてきたような気がします。でもそれは努力とか根性とかの問題ではなく、ただ好きなことをやってきたから、自然に頑張れたんだと思います。人間好きなことやっていなければどんなに私が強くても、なかなかそんなに長い間は頑張れないものです。そうですよね?そのかわり好きなことをやっていれば自然に一生懸命になります。「もっと、もっと」と言う頑張りも大事だけれど、それよりも今自分のやっていることを、少しでも自然に好きになろうとすることが大事なんじゃないかと思います。そうしていればいつの間にか自分がなりたい自分になれるのではないでしょうか?自分と言うのは「こうなろう」と思ってなれるもんじゃないです。自然にそうなってしまうものです。
    2016/12/10 07:57

  • 恋愛の法則、最近作への質問、新訳「グレート・ギャツビー」の実況中継など、作家の回答を一挙大公開。期間限定オープンの『村上朝日堂ホームページ』に寄せられた読者との交換メール490を新たに編集して収録する。

    ADSLを光にした、と読者が投稿している時代のやり取りだが、結構楽しめた。自作はほぼ満足した形で世に出しているという村上春樹が、唯一「もっと時間をかければよかった」と思っているのが「ダンス・ダンス・ダンス」なのだそうだ。なんかわかるような気がする。
    (C)

  • 質問シリーズ3弾目。ここに載ってるのはCDROMに載ってないバージョンなので買ったほうがいいです(笑)。質問の数もかなり増えてるので読み応えがあります。
    くだらない質問とそれに対する答えが笑えます。

  • すげ〜

  • 本を読む事は、こころの貯金をするようなもの

    腹がたったら自分に当たれ、悔しかったら自分を磨け

    洗面器一杯分のサラダを食べる。
    ドレッシングは使わずに オリーブオイルと生のレモンと塩だけ。

    英語は聞き取りが重要

    彼が最後にみた私の顔が笑顔であるように、別れ際はいつも笑っているように心がけている

  • 村上春樹が少し身近になってきたきがする

  • 村上春樹さんが如何に頭の良い方かがとてもよく分かる一冊。
    ユーモアたっぷり、でも主張するべきところはしっかりする、素敵紳士です。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ、早稲田大学第一文学部演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーターキャット」を国分寺に開店していた。
1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴があるが、芥川賞は候補に留まっただけで受賞しておらず、賞に対する批判材料となっている。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年の発表時期は日本国内でニュースになっている。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。
翻訳家としての仕事も高い評価を受け、フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけてきた。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、いまなお作家として成長を続けている。
代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。

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