「ひとつ、村上さんでやってみるか」: と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃ (アサヒオリジナル)
- 朝日新聞出版 (2006年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022723307
感想・レビュー・書評
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2023年2月24日読了。村上春樹が読者からメールで寄せられた490の質問に一問一答で答える本。実際はもっと多くの質問・回答があったものを抽出して本にしているようだが、こういう企画をやろうと考えて実際やってニーズがあって本にまでなるのは大したもんだ。村上春樹がたびたび書いている「自分はただの中年のおじさんで立派な人間ではない」という点は、読んでいてもその通りなのだと感じるが、徹底して自分と読者・周囲に対して正直であることは普通の人(特に日本人)には難しいことなのだろうなあ…。自分の転職や恋愛について村上春樹に相談してもしょうがないだろう、と思うが、それで救われる人がいるなら別に外野がとやかく言うことではないわな。
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彼の小説は、読もうという自分の中でのタイミングが必要ですが、エッセイはいつでも軽く読めるもの。
これは、期間限定でも受けた読者からの質問に答えたQ&A集です。
読者も結構手慣れたもので、とぼけた質問をさらっと投げかけ、村上氏はそれにさらに輪をかけてとぼけた返答をしているため、読んでいてどことなくおかしいものばかり。
すべてが読者を煙に巻くような内容ではなく、ときどきちらりと作者の本音が見えるところがいいです。
もともと『ノルウェイの森』は、ドビュッシーの「雨の中の庭」という曲をイメージして書き始めたところ、話が膨らみすぎたため、タイトルを変更したんだとか。
「雨の庭」は『版画』の中にある小曲ですが、割と明るい曲があの悲しい物語のきっかけだったというのが不思議なところです。
490ものやりとりが収録されている膨大な質疑応答集ではありますが、かなりとりとめのない内容なので、感想を書くのは難しいところ。
何も考えずに開いたページをさらっと読むのに適しているようです。
有名すぎるために、大勢のファンとアンチを持つ作家で、あまりマスコミに登場しないことから、ミステリアスなイメージがありますが、実際はまっとうな理念を持って地道に文章を書き連ねる職人肌の人だということが、文章の端々から感じられます。
村上春樹という人とその作品を理解しきれずに悩む人が、こうした一見ふざけた本を一読すると、逆に本質に近いものが見えてくるのではないかと思います。 -
いいな~と思う言葉や考えに付箋を貼りながら読み進めていたら、付箋だらけになった本。一番好きなのは“判断を差し控えることは無限の可能性を産む”。決断したり(特に言葉に出したり)することで、自分を縛ってしまうことあるなあと思った。もう少し、判断を先送りしてみよーっと。
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村上さんのエッセイ集をゆっくり読んでるところだけど、すごくよく考えて自分の感覚や考えを言葉にしている人だと感じてます。
こんな本もあったんや...村上さんのエッセイ集をゆっくり読んでるところだけど、すごくよく考えて自分の感覚や考えを言葉にしている人だと感じてます。
こんな本もあったんやね。要チェックしときます。
判断の先送りか・・・参考にしよう。2013/08/25
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質疑応答から、なんとなく村上春樹の人となりが推して知れる気がする(ほどほどに)。
こういう文章や、悩みや、質問が好きなんだろうな、とか。
ああ、誰かを傷つけることができるだけないように気をつけてるんだろうな、とか。
エッセイに夫人の話がちらちらと出てくるのが好きです。
なんというか、きっとすてきな人なんでしょうね。
私のイメージでは、きっとノルウェイの森の緑ちゃんみたいな人なんだろうなって思ってましたが。
うん、ほどよく現実的で、感情的で、でもかけがえのない大切な人なのだと思います。
「男の妄想」の話が好きです。ので引用しておきました。
でもまだこのテクニックを使いこなせません。笑。 -
2006年発刊。すでに15年以上前のファンとのやり取りがまとめられたもの。村上春樹氏のこの手の本はいくつか読んだが(少年カフカなど)、どの本も個人の考えの軸がしっかりしていて余り時代感を感じない。ボリュームが大きすぎて手に余る感じはあるが、余暇を過ごす友としては最適なのではないかと思う。
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非常に長い本ですが、
なかなか面白かったです。 -
分量と情報量が多いから時間かかる
暇つぶしには最適だね -
育児の合間につまみ読み。
悪くない。春樹式常識、春樹式ユーモア、春樹式韜晦、春樹式余裕、そして脱春樹的ワタシシャレオツじゃないですよオーラ。
今度作品について触れているところだけピックアップしてみようか。 -
疲れたのときの特効薬。適当にパラパラとめくってちょこちょこ摘んで読める感じ。独特な表現とユーモアがやっぱり好きだなあ、と思わせられる。
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作家・村上春樹氏がネットに寄せられた生の声、質問に答えていく内容が一冊の本になったもの。氏の正直な好感の持てるお人柄がにじみ出ており、氏の小説はこういう中から生まれてきたのだということが良く分かる。2006年頃なので、質問者が好きだという小説は古いものばかりになるが、既にこの頃から20年来の熱心な「ハルキスト」(熱狂的な支持者)が多くいたことが分かる。質問者は真剣な人生相談から、憲法9条のこと、ジャズのことなどの真面目な内容も多いが、彼女と「やりたい」という男性、全裸家事主婦の女性、不倫中の男女など、半分冗談なのかどうか分からない声まで。それらに一つ一つ丁寧に、そしてユーモラスを含んで答えていく氏はこのような行為を通してもますます支持者を増やしていったのだろう。この後に出版された「1Q84」「色彩を持たない…」「騎士団長…」などで一層人気は爆発していったのだから。カズオ・イシグロ氏の文章が美しいが読みづらいとか、スコッチ人の奥さんが明かす日本語が話せるという話の紹介も。「カラマーゾフ」についての質問・回答も多く、春樹氏のドストエフスキーへのこだわりの強さを改めて感じて心強い次第。「春樹の本は、読みつつある中で、自分のうちに別の世界が動き始めているような印象」というのは、私自身も感じるところ。