大学大倒産時代 都会で消える大学、地方で伸びる大学 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022730954

作品紹介・あらすじ

【社会科学/教育】2018年、受験人口の減少と地方の衰退により、大学は激変期に突入! 東大・京大など旧帝大系で格差が拡大し、早慶・MARCH・関関同立など都会の有力校でも地方の国公・私立大でも生き残り競争がさらに熾烈に! 新視点の指標で、大学の運命を実名で明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 一見データが豊富なようであるけれども、ただデータを見せているだけで、肝心の筆者の主張部分については、何ら客観的な根拠は示されず、筆者の好みや偏見が結論となっている。地方の大学を応援しているようでいて、「華やかなキャンパスライフを夢見る受験生は敬遠するかも」などという評を平然と書いていて、実は筆者自身が一番、昔ながらの大学のありようが最善だと思っているのではないかと勘ぐらずにはいられない。
    少子化で学生の絶対的な数が減っていき、パイの奪い合いになっていく中で、それぞれの大学の取り組みや努力を紹介したところで、それらが報われないときが必ずやって来るところに問題の深刻さがあるのに、「倒産する時代が来るのだ」「必死なのだ」とだけ書き並べられても、「で、結局どうなるんでしょう?」とツッコミたくなる。
    社会人の学びなおしの機会を提供しているとか、そういうことでパイを増やしていくことも倒産危機を回避し大学が生き残っているための方法のひとつであると思われるが、「大学は高校生が受験して入るところ」という前提が崩せていないままでの論には、参考になるところは残念ながら見いだせなかった。

  • 良く取材されているが、データや政策に基づく事実に筆者の持論や思想が紛れ込むので、読みにくいのが残念。

  • 本書の印象は、大学をテーマにしたジャーナリスティックな手法・内容だということだ。時勢に乗りつつ、各大学の現状や様々な取組みを広く浅く紹介した内容だ。都道府県別の大学進学率、主要大学を対象にした定員超過・定員拡大申請の状況、センター試験利用率、科研費採択件数と採択額、志願者数の変化等多岐にわたるデータが紹介されているが、表面的に紹介するだけで、深く切り込んだ分析はない。政治的、教育的あるいは学校運営的観点から、どのような問題点が孕んでおり、どのように現状を改善すべきなのかといった、建設的で未来志向的な提言もない。そんな本書が取り上げる話題の中で、印象に残った点について私見を述べたい。

    ●防衛省の「安全保障技術研究推進制度」の助成に対して、応募を当面認めないとした、広島大学、長崎大学、琉球大学、関西大学、法政大学の方針に賛同する論調である。しかし、国立大学3校の判断は理解できるとしても、法政大学・関西大学は、日頃強調してきたはずの研究の自由を犠牲にしてまでこのような方針を出すのは、いかにもスタンドプレーという印象を持つ。そもそも基礎研究は、軍・民の区別は付け難いはずだ(インターネットやGPSが好例)。アメリカの大学の科学研究の飛躍的は発展は第一次大戦時のミリタリーからの資金の投入だったこと、現在も莫大な軍事費が投入されていることも忘れてはならない(ちなみに、広島と長崎の原爆投下計画「マンハッタンプロジェクト」を進めたロスアラモス国立研究所は、現在も核兵器開発やテロ対策など合衆国の軍事・機密研究の中核となる研究所であるが、カリフォルニア大学などの大きな収入源となっている)。両校の方針は、日本の科学技術の発展や研究者の養成にとってマイナスであろう。そのうえ、日本が隣国からの軍事的な脅威に晒されつつある「現実」、平和が一定の抑止力(=防衛力)の中で守られてきた歴史的な「現実」にも目を向けるべきだ。

    ●文部科学省が86の国立大学を3つの区分(世界最高水準の教育研究・特定分野での世界的な研究・地域活性化の中核)に分けたが、これが世間をほとんど騒がせることなく確定した。このことは、大学の類型化・種別化を提唱した中央教育審議会の「三六答申」や「四八答申」が大変な批判に晒され実現しなかった時代とは隔世の感がある。しかも、この区分は、ほぼ完全に戦前の高等教育機関の種別を下敷きにしているのだ。すなわち「世界水準の教育研究」に分類する大学は、ほぼ全ては戦前の帝国大学、旧制医科大学、官立大学、高等師範学校であり、例外は東京農工大学の1校のみである。しかも、旧制医科大学で「地域活性化の中核」に分類された新潟大学、長崎大学、熊本大学を合わせた4校を除くと、旧制国立大学=世界最高水準の教育研究に分類されており、文部省が90年代から推し進めてきた自由化・多様化路線が結局、日本の大学の階層・序列に変化をもたらすことができなかったことを証明する形となってしまった。教職員が固定化(終身雇用)され、給与も年功序列が基本で、外部資金の確保が欧米に比べて難しい日本の大学では、階層・序列の打破は難しいということだろう。

    ●私立大学については、早慶上智は、2016-17年度に定員拡大はしておらず、また早慶文系は10年前と比べて学費を下げており(p.86)、受験生の質(学力)を重視していると考えられる。しかしその次のグループに属するMARCHは定員規模拡大や入試の多様化路線を基本にし、早慶上智とは異なる方針を採る。関関同立は、同志社と関西学院がやや早慶タイプで立命館と関西がMARCHタイプとするが(p.70)、同志社は、2016-17年度に定員拡大と学費の値上げを行っており、また関西学院もこの20年間に大幅な規模拡張を図ってきたことを考えると、受験生の質を早慶ほどに重視しているとは考えにくい。関関同立は、常に一纏めにされてしまうことが象徴するように、要は受験生からすると個性が見えにくい大学群なのである。私立(志立)大学らしく、もう少し個性・特色の違いで勝負できる大学群とならないものかと思うのである。

  • 報道発表をまとめた感じ。これからの時代,大学がどんな価値を提供できるか。大学教員は個人の力が試される時代,むしろ,チャレンジしやすい環境かもしれない。事務職員もジェネリックスキルを高めて活躍の場を大学以外に求めることが必要か。

  • 若い世代は軍事研究への心理的抵抗が少ない。

  • 大学の「今」がわかるかと思って購入。もちろん、業界の人間にとっては反論したくなるところもあるが、まぁ、こんな感じかって感じ。

  •  刺激的なタイトルだが、近年の文科省の予算配分(補助金制度)が、理系に厚く、文系には厳しい方向であること。早慶上智、MARCH、関関同立、日東駒専、産近甲龍、成成明國武、大東亜帝国などの大学の動きに詳しい。大学の基礎研究費不足の中で何と2017年度は「防衛省の安全保障技術研究推進制度の研究助成金」つまり軍事研究費が6億円から110億円に急増したとのこと。これに代表されるように理系大学が優遇される中で、一橋のような文系大学が苦難の時代を迎えていることは間違いなさそうだ。4年制大学の苦しい状況はまだまだ続きそうである。そのような中での地方私立大学の公立化の動きが詳しく説明されており、参考になった。

  • いろんな大学があるのね!という感じ。
    自分が受験するときは、7帝大と少しの国公立大しか
    イメージがなかったのですが。
    また、日本が地方と首都圏(とかろうじて関西圏)
    では国が違うような感じで大学の考え方もちがうようです。
    それは、自分の仕事の関係で付き合う人たちも
    そのあたりは透けて見えます。

  • 大変勉強になりました

  • <目次>
    序章   なぜ「大学大倒産時代」なのか
    第1章  データで読み解く大学教育の現状
    第2章  志願者を囲い込む有名私大~早慶上智とMARCH,    そして関関同立の分かれ道
    第3章  明暗を分ける都会派中堅私大~成成明国武、日
        東駒専、大東亜帝国、産近甲龍の「崖っぷち」
    第4章  活路を切り開くローカル中規模大学
    第5章  有力国立大学も格差が拡大
    第6章  冬の時代の地方国立大学のチャレンジ
    第7章  不要論まででた女子大はそう生き残るか

    <内容>
    前作『消える大学、生き残る大学』もそうだったが、倒産する大学の具体名が出てこない(前作は消える大学名がなかった)。この本で紹介された大学は多かれ少なかれ、対策を出してきたので、著者の取材に引っかかったわけで、強いて言えば、これも前作と同じ、この本に出てこない地方の私立大があぶないわけだ(でも、金沢星稜大とか金沢工業大など頑張っている有名地方私立大は出てこないが…)。他の本と照らし合わせると、本当に危ない大学は、①地方にある ②同族経営 ③短大を改組したり、私立高校が作った ④単科大かそれに近い 大学があぶないのだ!大学の収支報告書あたりを見るといいらしい。

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