天皇家の宿題 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞社
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  • レビュー :7
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022731111

作品紹介・あらすじ

菊のカーテンの奥で何が起きているのか。次世代の皇室像はどうあるべきか。昭和と平成の二代、二〇年にわたって皇室を取材し、数々のスクープを放った記者が天皇家の苦悩の知られざる核心に迫る。皇位継承はどうするか、宮中祭祀と伝統はどう守り伝えるべきか。国民のための象徴天皇制の将来を考えるにあたって必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • 「どこのプレス?名刺を出しなさい」「わたくしには関係ござい
    ませんっ」。そして、遠巻きにする記者たちの方を見ながら、
    隣を歩く妹とコソコソ話をしてはクスクスと笑う。

    きつい言葉を吐く、品のないひとだなぁ。お妃候補だけれど、
    この人はないだろうと思っていた。ところが、婚約発表の記者
    会見で皇太子殿下の隣に座っていたのは、この人だった。

    あらかじめお断りしておく。こんな印象を持っていたので、
    私には偏見がある。皇太子妃と言えば将来の皇后である。
    「国母」である。雅子妃殿下を、私は「国母」とは思えない。

    皇室ウォッチャーとしては残念でならない。何故、雅子妃殿下
    でなくてはいけなかったのだろう。

    皇室へ嫁いで慣れぬこともたくさんあったろう。それでも、
    静養に次ぐ静養のこの10年。当初の「適応障害」という診断
    以外、医師団からの明確な病名の発表もなく過ぎて来た。

    なかなかお子様が授からなかったのもプレッシャーだったの
    かもしれない。だが、それは昭和天皇の后、香淳皇后も内親王
    ばかりが続いた。

    御上の世継ぎを生めないのではないか。悩んだ香淳皇后に昭和天皇は
    「秩父さんも高松さんもいるから大丈夫だ」とおっしゃった。皇太子
    殿下にはそんな器量がなかったのか。

    皇太子殿下の「人格否定」発言は様々な波紋を広げた。昭和天皇の
    晩年から皇室担当記者となった著者は、記者会見で直接質問を
    ぶつけているのだが、明確なお答えはなかったそうだ。

    そうだろうな。在りし日のヒゲの殿下が「人格否定とはなんぞや」
    とお手紙で聞かれたそうだが、その返信にも回答はなかったそう
    だから。

    本書は2006年の発行なので悠仁親王殿下のお誕生で、皇統が
    守られたところまで。勿論、東宮問題以外にも書かれている。

    皇太子殿下のご結婚と前後して始まったマスコミの皇后陛下へ
    のバッシング。小泉政権下で進められた皇室典範改正の問題点。

    そして一番勉強になったのは宮中祭祀の模様だ。ご公務もそうだが、
    天皇家の一番のお仕事は何よりも祭祀なのだろう。それがいかに
    体力を使い、大変なものか。一般庶民には祭祀がどのようなもの
    か、見ることが出来ないので概要だけでも掴むのにはいい。

    女性天皇と女系天皇の違いも分かり易く解説されている。

    それにしても今後の皇室には大きな不安が付きまとう。初等科の
    頃は「愛子様はご優秀」という話が週刊誌に溢れていた。それが
    今はどうだ。

    繰り返される不規則登校。試験期間の欠席。そして、今年になって
    やっと武蔵野陵と伊勢神宮への参拝。

    不敬を承知でいう。お勉強は出来なくもいいのだ。皇族の方々は
    その存在にふさわしい所作や気品を身に着けてくれていればいい。

    愛子内親王は将来、紀宮様のような素敵な内親王になって下さる
    のだろうか。否、なって頂きたいのだが…。

  • 別に右翼じゃないけれど皇室には関心がある。
    そういうこと言うのもちょっと恥ずかしいが、でもあの家族、すごいよ。
    圧倒的なドラマと存在感
    天皇家ってやっぱり125代続いたといわれるだけのことはあります。
    少なくともここに書かれている昭和、平成、そして現在の東宮、秋篠宮家は人間ドラマの宝庫です。
    それをほどよい面白さと、根本的な知識の入門になっている本書は
    いまこそ読むべき皇室本の入門書なのかもしれないです。
     

  • [ 内容 ]
    菊のカーテンの奥で何が起きているのか。
    次世代の皇室像はどうあるべきか。
    昭和と平成の二代、二〇年にわたって皇室を取材し、数々のスクープを放った記者が天皇家の苦悩の知られざる核心に迫る。
    皇位継承はどうするか、宮中祭祀と伝統はどう守り伝えるべきか。
    国民のための象徴天皇制の将来を考えるにあたって必読の書。

    [ 目次 ]
    序章 「昭和」の残影
    第1章 「平成流」の奥行きと危うさ
    第2章 失われた声
    第3章 伝統とは何か
    第4章 東宮よ
    第5章 皇位継承問題
    終章 親王誕生

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    [ 参考となる書評 ]

  • 昭和以降の皇室に関する諸々の話題や課題がコンパクトにまとまった一冊。各章の内容は決して深くはないが平易で解りやすい。昭和天皇、今上天皇、皇太子という戦後の3世代だけでも、こんなにも個性に違いがあるというのは新鮮な発見だった。もちろん最大の宿題は皇位継承の議論で、頁数も割かれている。著者は女系継承には慎重な立場のようだが、悠仁親王の誕生後に書かれたという事で、是非の判定は留保している。

  •  ゼミで天皇制について発表するために読んだ一連の本の中の一冊。
     私は今まで、「これだけ男女平等が進んだんだから、女性天皇だって受け入れられるはず、女系天皇だっていいじゃない」としか考えてこなかった。それは皇室の伝統、ひいては皇室とともにあった日本の伝統について学ぼうともせず、他人事のように軽い気持ちでなんとなくそう思っていたにすぎないんだなあということがよくわかった。
     著者の岩井克己さんは長年、朝日の宮内庁担当記者を務めてきた。できるかぎり中庸を旨としながらも、彼の文章からは、彼自身の知り合いであり、生身の人間である皇族方への思いやりや温かさがにじみ出ているようだ。加えて、宮中祭祀や皇位継承についてアカデミックな論証を参照しながら、皇統の伝統とは何かを暗示的に説得している。これが、単なる皇室ドラマではなく、この新書を見た目以上に中身の分厚い本にしているのだ。実に魅力あふれる本だと思う。
     ちなみに、女系天皇を認めることと、女性天皇を認めることは違う。巷にあふれる言説として、皇統のなかには八人10代の女性天皇がいるから、愛子様が天皇になることに何の問題もないではないか、と女性・女系天皇を認める考えがある。が、推古、皇極(斉明)、持統、元明、元正、孝謙(称徳)、明正、後桜町の八人すべての女性天皇は、男系の女性天皇である。男系とは皇統を父方から受け継ぐことをいい、女系とは母方から受け継ぐことをいう。
    「これまでの皇位継承の歴史は、男系主義以外の原則は例外だらけと言ってもいい状態でした。」(P209)
    著者はこの男系継承が皇室の伝統の核心であり、「天皇を天皇たらしめる最大の資格要件だという意識は、われわれの社会にまだまだ根強い」(P144)と述べる。
    「皇室典範を改正して女系天皇を認めることに反対する男系主義の論者からは『女系の天皇は天皇ではない』という主張も聞こえます。そうした直観的なこだわりの底には、意識するとしないとにかかわらず、繰り返し再現されてきた『神代からのメッセージ』である祭祀そのものや古事記神話の基層に、こうした神々や天皇の男系の系譜という『血の論理』(水林)がビルト・インされていることを感じとっていることがあるのではないかと思います。」(P144-145)

    「繰り返し再現されてきた『神代からのメッセージ』である祭祀そのものや古事記神話の基層に、こうした神々や天皇の男系の系譜という『血の論理』」とは、大嘗祭に関連して展開される聖婚説のことである。著者は、一橋大学大学院教授の水林彪教授の説を紹介する。水林は、「古事記と祭祀の体系全体が、天皇の祖先神や歴代天皇の男系の血統が皇統外の女性との聖婚を重ねることによって代々呪術的パワーを獲得するという構造をもつ」(P135)ものだと読み説く。
    つまり、天皇の即位儀式である大嘗祭の本来の姿は、神人共食(食べ物の献上)と天皇、皇后の聖婚の儀式(血統の獲得によって呪能が獲得される)だった。代々の祖先神や天皇は、自然界を統御する「呪能」を、祖先神からの父系の血に聖婚をすることで妻の属する世界の呪能を子孫のレベルで獲得してきた、というのである。たとえば、天上にあって神々のすむ「高天原」の世界は、アシの生い茂る地上の「葦原中国」に加えて、山幸彦が海神の娘であるトヨタマビメと結婚することによって水の恵みをもたらす「海原」をも手中にする、という風に。

    こういう説を踏まえて一貫した男系の皇統譜をみると、なんだか安易に女系でもいいとは言えないなあ。
    最後に、感動した箇所を抜き書きしておきます。

    「一度途絶えた伝統を復活するのは容易ではありません。よほど考えてみなければならないと思うのです。」(P151)

    「男系で一貫してつながれてきた皇位継承を女系にも認めることは、皇室の『皇統』と親族構造を根底から転換することになります。女系を皇統の連続ととらえるのか、断絶ととらえるのか。
     女系の天皇を認めるためには、こうしたすべてをひっくるめた『伝統』について、変えても構わないのだということを、きちんと確認し、国民の合意を形成する作業が不可欠だろうと思います。誠実に論議を積み重ねて、男系の伝統にこだわる人々を納得させねばならないでしょう。」(P212)

    「大事なことは、皇統の伝統についての制度論議を深めながらも、後続自身が自らの人生や家族の将来をどう考え、皇室の連綿と続いてきた歴史と皇族としての立場について、どう考えて歩んで行こうとするのかを、本人たちの気持ちを尊重し、人間的な思いやりを置き去りにしないことではないでしょうか。
     皇室の一二五代男系が続いてきた歴史は決して軽いものではありません。制度変更は生身の皇族の運命を大きく変えることにもなります。皇室の現実の推移と、真面目な制度論議が互いにかけ離れないよう、国民的な議論を続けていくことが必要でしょう。」(P236)

  • ■朝日新聞社記者による素朴な天皇論。サヨク的な視角は完全には逃れえていないが、皇室の傍で観察してきた現実性が比較的ニュートラルな言葉を展開せしめている。■天皇の祭儀についての文章が最も興味深い。祭祀王としての天皇の唯一性がよくわかるし、著者もそのことを強く体験しているから男系男子の継承ということの意味を深く慮っているところが好。

  • 著者は朝日新聞の記者で、長く皇室取材に携わってきた人です。やはり身近で取材をしていると、情も移るだろうし、皇室の伝統というものの重みをひしひしと感じるのでしょう。途中、古代からの祭祀に関する章では論文の引用も多く、やや専門的になっていますが、全体的には極めて平明です。現在進行形であるが故に、雅子妃問題や悠仁親王問題、つまり皇位継承の問題については記述が薄いかなあと感じます。著者が再三指摘するように、天皇の政治利用については、それが意識的であるにせよ無意識であるにせよ、常にチェックしていかないとならないと思いますが、あまり杓子定規に考えるよりも、その時々できちんとチェックできるような材料を常に提示するのがマスコミの仕事だろうとも思いました。

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