奇跡と呼ばれた学校―国公立大合格者30倍のひみつ (朝日新書 25)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.53
  • (16)
  • (13)
  • (33)
  • (3)
  • (3)
本棚登録 : 173
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022731258

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • memo

    「少しだけ知っていることと、まったく知らないことは全然違う」(p180)

    ひとつのことをちょっと知っているということは、たとえそれが点のように小さなものだったとしても、そこから線になり面へと広がっていく。そういう可能性を秘めているということです。でも、まったく知らないところから広げていくことはきわめて難しい。
    知識を詰め込むだけの教育には疑問を感じますが、実は、新しいことを学ぶためには、「幅広い知識を詰め込んでおく」ことはとても大切です。ことに、これから先さまざまなことを学んでいく若者に対しては。知識は外からの言葉です。それを活用することで、内なる言葉が生まれます。それが経験です。(p180〜181)

  • ・「改革」という言葉には、何が何でも進めなければならない、変えなくてはならないという響きがある。「教育改革」「学校改革」「授業改革」と改革の風潮は高まり、「学校力」や「教師力」と言った言葉も生み出され、学校が問われ続けている。しかし、その改革は何のために進めていて、なぜ改革を行わなければならないのか、そしてその成果は何によって評価されるのか。

    ・高校生活ではあえて2つの目標を掲げ、2つ(=二兎)とも獲得を目指す。もちろん3つでも4つでもいい。しかし、1つだけではもったいない。ものごとにはさまざまな側面がある。何かに取り組もうとするとき、ひとつの面ばかりに集中すると大切なものを見落としてしまう。視野を広げ、少なくとも2つの側面をカバーすることで、より高い成果を上げることができる。その願いを「二兎を追う」という言葉に託している。「知識習得型」(=詰め込み型の勉強)と、もう一方の「課題探究型」(=自ら考えて取り組む勉強、ゆとり教育)は「どちらが大切か」と論じられがちだが、実はどちらかひとつを選ぶようなものではない。習得した知識があるからこそ、それを使って自分で課題に取り組むことができる。また、課題に取り組むうちにさらに新しい知識を習得することできる。2つは相乗作用でふくらんでいくもの。どちらも必要で、お互いにお互いを高め合う関係であることが望ましい。2つを兼ね備えた勉強は、人としての裾野を広げ、本当の教養を身につけることにつながる。だから二兎を追いかける、二兎とも得るために。

    ・「君たちは狩りができるか?」「米をつくれるか?」おそらく誰もできない。できない人間に何が必要かというと、「人と関わって社会で生きていく力」。人と関わって社会で生きていく力をもつことが自立につながる。そのために必要な力は「見える力(=数値化できる力、知識量、試験で測定できる力、偏差値)」と「見えない力(=数値化できない力、判断力、企画力、実行力、行動力、求心力、持続力、想像力、愛情)」。見える数字を軽んじてはいけないが、偏差値で人を測ることは絶対できない。偏差値を引き算して何が残るのか、あるいは何を残したいのか。どのように人と関わって、社会の中で何を大切にして生きるのか。この問いに答えられる力をもつ青年を育てたい。青年にはもっと知識が必要。知識は考えるための燃料になる。想像力もまた知識によって高まる。さらに経験も必要。経験は自らが成長し、向上するための動力装置になる。偏差値が必要な部分は確かにある。しかし、よく生きるために偏差値が必要かというとそれは違う。試験の点数を上げることが、いい人になるための道ではない。ここは絶対に間違えてはならない。

    ・メディアリテラシーの4領域「受けとる力」「考える力」「判断する力」「表現する力」は大切。このプロセスの中で「考える」と「判断する」時間はできるだけ丁寧に踏ませたい。「考えて、判断して、また考える、そして判断する」この試行錯誤で悩み惑う時間をじっくり経験することで人は成長していく。

    ・もっとも大切なものとは?「知識」も大切だけれど、知識に裏打ちされた「経験」こそ大切。それを積むことが可能になる場を提供するのが学校の重要な役目。しかも頭だけでなく身体も使ってする経験は、いつどこでしたか忘れてしまあっても自然と覚えているもの。

  • 著者は京都市立堀川高校の校長先生です。堀川高校が探究科を作って8年になります。(当時) 年々レベルが上がっていく様子を見ていた私にとっては、大学への進学実績が目に見えてよくなっていくのはある程度当然のようにも感じていました。しかしながら、この本を読んでイメージは完全に変えられました。何も受験に特化した学校というわけではないのです。探究科の名前どおり、自分たちで興味のあるものからテーマを決め、研究をし発表をしていきます。大学でやっているのと同じようなことをしているのです。その中で生徒たちは主体的に学ぶことの重要性、そしてその楽しさを知っていくのだと思います。だからこそ、受験が迫ってきたときも、ひるむことなく、真正面からぶつかっていくことができるのでしょう。この学校における3つの約束がちょっとしゃれています。そこからの抜粋を最後に。「学校は学びの場だ。・・・君たちに多様な学ぶ機会を提供しよう。 学校は小さな社会だ。・・・学校は君たちを大きな子どもとしてではなく、小さな大人として尊重しよう。 学校は楽しいところだ。・・・君たち自身が参画し、参加する意思と姿勢を持て。学校は君たちを見張るのではなく見守ろう。」その通りだと思います。高校生、それはきらきら輝く時。

  • (2007/4/10)

    すばらしい!!

    ここのところの京都の公立の再生問題は気にはなっていたのです.

    で,ジュンク堂で発見して,堀川高校の校長のこの本を読んでみました.

    すばらしい!

    そうなんです.こりゃ,いいわ!

    生徒の主体性を重視し,詰め込みとゆとりの融和を計っている.

    むやみに詰め込むのではなく,寧ろ学ぶ目的を,学ぶおもしろさを発見させる環境を設計して,モチベーションをあげさせていく.

    探求科では生徒にテーマ設定しながら研究させて論文も書かせる.

    人は自分で判断して動かないと知識を吸収できないんです.

    また,やっぱり自分で決めたことには意地にもなるし,こだわりもする.



    総合的な学びのプロセス,成長のプロセスをモデルとして捉えることは矢張り難しいですが,本書に描かれているコトが本当ならば,
    堀川の教育は理想にかなり近い域にあると思います.

    そこまで期待してなかったけど,結構,一読おすすめです.

  • リーダーシップ研修での指定教材として読了。
    堀川高校の取り組みは、企業社会でも参考になるとは思うものの、研修用教材としては少し物足りなかったです。

  • 読了

  • すべては君の知りたいから始まる
    探究科の創設

    実際にどんな授業がされてるのか見に行きたい。

  • 教育
    問題が起きたらテーブルの上に情報をすべて出す、共有、整理する
    判断するのは一人、責任の所在を明らかにするため

    新しい技術は使わなかった新幹線
    信頼を得た

    全く新しいもの 対 歴史から習った新しくないもの
    過去から学ぶことの重要性は?

    言葉の持つ力
    言葉は人を傷つける、人を幸せにする
    言葉は人を変える、環境をも変える

    認めてあげることで自信を持たせてあげる

    見えない力と見える力
    両方あってこそ、意味がある
    タテイトは見えない力を養う場であって欲しい
    見える力を軽んじているわけでは決していないということ

  • 「木は光をあびて育つ、人は言葉をあびて育つ」まさに心に響く言葉です。熱い心と強い信念を貫かれて学校改革に取り組まれた荒瀬先生の生き様が、手に取るように伝わってくる素晴らしい書物です。人を育てることの真髄とも言えるのではないでしょうか。

  • 高校の改革について述べつつ、高校や大学の意味を強く問う一冊。
    自分の高校生活が楽しくなかったわけではないけど、こんな学校に行ってみたかったと思った。

    いろんな高校を見て、自分の行きたいところをきちんと目指す。高校では自分がどんなことをして生きて行きたいか考える。大学は、自分のやりたいことが出来るところを選ぶ。どれも今思えば当然かもしれないけども、そんなことあんまり考えてこなかったなぁ。

全23件中 1 - 10件を表示

奇跡と呼ばれた学校―国公立大合格者30倍のひみつ (朝日新書 25)のその他の作品

荒瀬克己の作品

奇跡と呼ばれた学校―国公立大合格者30倍のひみつ (朝日新書 25)を本棚に登録しているひと

ツイートする