受験勉強は役に立つ (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞社
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本棚登録 : 79
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022731388

作品紹介・あらすじ

「受験秀才は使えない」というのは誤解である。推薦入試全盛の「大学全入時代」にこそ、受験という経験が生きてくる。記憶力、集中力、情報処理力、自己管理力…。受験で身につけた能力は社会ですぐに使えるものばかり。受験こそ生きる力を養うチャンスだ。すべての悩める受験生と「元受験生」に贈る、受験界のカリスマの実践ノウハウと人生指南。

感想・レビュー・書評

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  • 受験勉強を目の敵にする人があまりに多いので、その反発心から読み始めました。
    受験勉強を通して学ぶことや身につくことはけっこう多いと思う。要領よく処理する力とか、戦略を立てる力とか、健康管理の大切さとか。そういったことがきちんと説明されているのがうれしかったです。
    ただ、けっこう古い本だったので、同様の最新の本も読みたいな。巻末の参考文献があてにならない。。。
    Koboのセール本だからしょうがないのかな。

  • 自分は明らかに受験においてエリートだった。だから、著者の言うように受験勉強が単に詰め込みだけではないというのはわかる。一方、受験では測れないいくつかの能力もあることもよくわかっている。その中でも一番大きなものは、受験で解く問題には正解があることが事前にわかっていることだ。受験においては論述であって正解はある。採点するのだから当たり前だ。一方で通常の世の中の問題は正解があるかどうかわからない。また、問題を解くよりも正しい問題を探してくることが重要だ。その意味で、ある種の事柄においては「受験勉強は役に立つ」ということは確実に言える。それがどの程度広い範囲の事柄なのか、と言うことがこの本の主題だと言っていいだろう。

    先に自分は受験エリートだったと書いたが、小さいころから受験テクニックを積んだということではない。実際にはその逆に近い。中学受験はするつもりもなく、中学のときは歩いて2分の個人経営の塾には行っていたが、高校では3年生になってから週2回で放課後に大手予備校に行ったのみ。それでも、「受験」の問題を解くということについてはセンスがあったのか自分なりにコツをつかんだし、勉強自体も工夫をして自分なりの方法論を身に付けていった。かなり模試の成績がよかったので、私立校の滑り止めを受けるのはもったいないので、高校のときも大学のときも私立は一校も受けなかった。その受験能力を活かして、大学生時代は、代々木ゼミで数学の模試採点や入試速報作成のバイトでかなり稼がせてもらった。

    歳を取った後でもそのときに身に付けた能力は健在で、30代後半で中小企業診断士という資格試験も独学と模擬試験だけで通った。特に一次試験は範囲があるマークシート方式なので、得意分野。自己採点の結果だとおそらく上位数%くらいに入っていたはず。著者は、将来において「受験で培った記憶力は必ず威力を発揮するはずだ」というがこういうところは正しくそのとおり実感できる。

    著者が提唱する暗記数学というので有名らしいが、「解法パターンのストックの量と試行力の差だ」というのは当たり前だと思う。それは中学のときにも明示的に気がついていた気がする。著者が言う試行力を磨くのが肝でセンスの差になるのではないのかなと思っているが、それは「暗記」というのにはそぐわない。数学も暗記というか引き出しに入れておく知識として解いた問題のストックが必要であるという当たり前のことを言っているだけではないのだろうか。それが新しいのか。これとは別次元で共通テストなどのマークシートの数学はまた別の話で数学力とは別のテクニックがあるのはいくつかわかっているが。

    全般的に言って、受験で身に付けたことが役立っているかというと、著者が言うようにYESなんだろうと思う。もちろん、こうやって本を読んで、そのこと自体を楽しむことができるのは、受験を通して得たノウハウ学力(著者は単なる知識であるコンテンツ学力に対比してこう呼ぶ)がベースにあると言って差し支えないだろう。めっきり衰えたとはいえ記憶術だって、受験で観に付けるノウハウ学力だ。

    では受験というシステムに非難されるべきものがあるとして、何が非難されるべきであるかというと、その受験勉強の内容ではなく、大学入学が目的になってしまっているところだ。著者も「東大入学がひとつの「上がり」になってしまっているのは問題だ」と指摘しているまさにその点ではないかと思う。大学合格により何も達成していないのに、何事かを達成したような気になって、妙に行動が保守的になり、大したリスクでない取るべきリスクを取るという決断ができないところが問題であるように思う。それはここで語られている学力とは別の話だが。

    正しく論ずる、ということは重要なことだ。

  • 毎回ながら、和田氏の本は納得する内容が多い。今回もそんな一冊だった。受験生の時読みたかった。

  • 受験勉強は合格するための戦略を立てることであり、社会に出てから必要な要素の一つという考え方。受験で実践した戦略は大人になってからも、仕事や資格試験など、幅広く活用できる。あらためて自分の考え方を見直すとともに、子育てにも少し生かしていけそうだ。

  • なんとも詮無い本だが、ゆとり教育推進者江崎玲於奈批判だけは同調。他の心理学分析?には一向に納得させられない。

  • [ 内容 ]
    「受験秀才は使えない」というのは誤解である。
    推薦入試全盛の「大学全入時代」にこそ、受験という経験が生きてくる。
    記憶力、集中力、情報処理力、自己管理力…。
    受験で身につけた能力は社会ですぐに使えるものばかり。
    受験こそ生きる力を養うチャンスだ。
    すべての悩める受験生と「元受験生」に贈る、受験界のカリスマの実践ノウハウと人生指南。

    [ 目次 ]
    序章 受験学力とは何か
    第1章 受験学力と基礎学力
    第2章 受験学力とメタ認知能力
    第3章 受験学力と対象分析能力
    第4章 受験学力と方略志向
    第5章 受験勉強と考える力
    結びにかえて 新学歴社会と受験学力

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    [ 参考となる書評 ]

  • ●はじめに:私は受験勉強で身についた勉強の内容(英語や国語の読解力や、世界史などの知識、数学の問題を解く能力など)をコンテンツ学力と呼び、身についたノウハウ(効率的な記憶力や自己管理能力、自己分析能力、方法論にまつわる知識など)をノウハウ学力と呼んでいるが、このような現状(評者注:現状の学力低下<「ゆとり教育」>と、それ以前の日本の教育をイギリスが教育改革の際に参考にしたこと、現在の成功者がおしなべて高学歴であることなど)を見るにつけ、ノウハウ学力が、社会に出て役立つということに、受験勉強の醍醐味があると考えるようになった。

    ●第1章受験学力と基礎学力…「記憶のメカニズム」:記憶の三段階モデルというものがある。入力(記銘)、貯蔵(保持)、出力(想起)の三段階である。それぞれの段階に分けて考えると、記憶力をより効果的に向上させることができる。新たなことを脳に叩き込もうという入力段階では、「理解」と「注意」が重要な要素になる。
     ・「理解」…受験に関して言えば、自分にとってわかりやすい参考書を見つけることだ。
     ・「注意」…心理学の世界では、注意に関しては、インタレクト(関心)とコンセントレーション(集中力)に分けられる。(中略)集中力を人為的に上げる方法はあまりない。(中略)「初頭効果」と「終末効果」がある。要は、初めの時期と終了間際は集中力が上がるということだ。
      集中力を人為的に上げることは難しいが、低下を防ぐことは可能だ。⇒心配事をなくす・やりたいことは先に済ませるが、気持ちの切り替えをする・睡眠はたっぷりとる
      記憶には「逆行抑制」といって、新たなことを入力すると、前に入力したことを忘れてしまうことがある。しかし、睡眠中は新しい情報が入ってこないために逆行抑制は起こりにくい。だから、睡眠直前に憶えたことはほとんど憶えているのだ。睡眠は記憶を強化する。
    ●第1章受験学力と基礎学力…「復習の重要性」:最近の研究によれば、記憶は海馬に一時記憶され、これが本格的に長期記憶になると側頭葉に転写されるという。海馬がメモリーで、側頭葉がハードディスクだと考えればよい。メモリは容量が限られているため短期間でたくさんのことを覚えるのは難しいが、側頭葉は無限に近い容量を持っている。(中略)海馬が需要情報と不必要情報を判別する仕組みは単純で、情報が入ってくる頻度によるとされる。(中略)不必要な情報を捨てるまでの期間は、現時点では1カ月くらいだといわれている。(中略)単純記憶には関して1カ月以内に復習するといい。(中略)復習するときには、音読したりノートに書き出してみたりすることを勧める。教科書を読んでいるだけでは視覚のみに頼る記憶だが、音読は聴覚、書くことは視覚と指先の触覚を働かせる。五感を活用することで記憶はより確かなものになる。

    ●第1章受験学力と基礎学力…「記憶の定着には参考書よりも問題集を」:問題集をやることだ。問題集を解くことが出力の訓練となる。第一、問題を解いてみなければ、どんな形で出題されるかもわからないし、本当に覚えているかどうかも確認できない。(中略)出力してみないと正確に記憶しているかどうかわからないのだ。

    ●第1章受験学力と基礎学力…「数学こそ暗記」⇒暗記数学には3つのレベルがある。計算力(速くて正確な計算)と暗記力(問題を解くためにさまざまな解法パターンを暗記する)と試行力(問題を解くために憶えたいろいろな解法を試す)。

    ●第1章受験学力と基礎学力…「知識を使って推論する」
    ・認知心理学の考え方では、「思考」とは「知識を用いて推論すること」だとされる。
    ・情報と知識の違いは何かといえば、脳の外にあるのが情報で、脳の中にあるのが知識である。考えるためにはいったん頭に入れなければならない。ただ頭に入れるだけでなく、自分にとってひつようなものを取捨選択し、それを租借、吸収することで思考や会話の材料になったものが知識である。
    ・受験勉強は、まさに情報を知識化する作業であるし、また難関大学では、その知識の加工と組み合わせ、つまり推論能力が問われる。

    ●第2章受験学力とメタ認知能力…「認知心理学から見た頭の良さ」
    ・「頭がいい」ということは、問題解決能力の高い人。「思考」とは、知識を用いて推論をおこなうこと。

    ●第2章受験学力とメタ認知能力…「知識と推論のバランス」
    ・自分の中での知識と推論のバランスを含めて、「自分の認知状態を認知すること」が「メタ認知」。

    ●第2章受験学力とメタ認知能力…「人間は推論に偏りやすい」「ノーベル賞の弊害」
    ・推論は感情に左右される。/推論は周りの意見に流されやすい。
    ・知識は偏りやすい。それは、自分の好きな知識は吸収したがるからだ。また、権威者の意見には弱い

    ●第2章受験学力とメタ認知能力…「自問自答の姿勢」「模擬試験をメタ認知に生かす」
    ・「メタ認知的知識」=自分のことをどれだけ知っているか。思考や推論に関する自分の認知の状態を客観的にモニターすること
    ・「メタ認知的活動」=メタ認知的知識を用いて、自己モニターや自己修正をおこなう活動
    ・メタ認知能力は「高い」「低い」ではなく、「働く」「働かない」。メタ認知は働かせるもので、持って生まれた能力ではない。

    ●第2章受験学力とメタ認知能力…「受験勉強でメタ認知を意識する」
    ・記憶は加齢で落ちるわけではない⇒日常的に脳を使っていれば記憶を司る海馬は神経細胞が増えている。
    ・記憶には、「意味記憶」と「エピソード記憶」がある。「意味記憶」=丸暗記・機械的な記憶のこと/「エピソード記憶」=体験に基づく記憶。
    ・若い時は「意味記憶」が強く、歳をとると「エピソード記憶」が優ってくる。
    ・メタ認知能力は、受験勉強で自問自答や自己修正の姿勢を意識していれば、社会に出てからも人間として成長することができる。

  • 勉強した内容に意味があるのではなく、志望校を目指し、自分の力、問題傾向などを分析し、計画を立てることに意味があるのだと思いました。
    日本の教育の問題点がわかりやすく書かれていてなるほどと思いました。

    まぁ今となっては一切内容覚えてない

  • メタ認知の確認になりました。

  • 自分の実力より高いレベルで、受験を目指す事によって、メタ認知、言い換えれば、自分の認知状態をモニタリングすることができる。それによって、何が良いのかというと、社会適応性がつく、自己修正ができる、自己改造ができるなどだそうだ。やはり、自分の頭で、どう適応していくかを考えなければ、社会に出てから、使い物にならないのではないだろうか。

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著者プロフィール

1960年大阪府生まれ。和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師。1985年東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て現職。

「2018年 『やってはいけない健康診断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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