1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74)

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  • 朝日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022731746

感想・レビュー・書評

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  • 世界的な貯蓄過剰状態にある。
    不確実性を負う傾向。
    中央銀行の最後の貸し手としての役割=バジェットルール=相手が望むだけ、高めの貸出金利をつけて、貸す。=自分がカネを持っていることを示すには、惜しみなく使う必要がある=最後の貸し手の役割を果たす
    IMFへの批判=最後の貸し手にならない。

    ナイトの不確実性=確率分布の描けるリスクとそれ以外の不確実性=真の不確実性

    真の不確実性を前にすると臆病にも楽観的にもなれる。
    楽観的になった部分に企業収益がある。
    臆病の連鎖によって、バブルが弾ける

    フリードマン、サベージは主観的確率を考えることで、真の不確実性はないと考えた。その結果、経済が予測可能と考えた。

    エルスバーグ・パラドックス=反戦家 主観的確率分布を想定できないことを実験経済学によって確かめた。
    ナイトの不確実性には、扱いが困難な事柄も含まれる。情報がまったく存在しない中での判断も含まれている。

    アジア通貨危機などの危機は、マキシミン原理によって説明できる=最悪のシナリオの中の最善手を打つ。
    流動性の枯渇=最後の貸し手が、バジェットルールに従って貸し出すことで解決する=IMFへの批判。

    合成の誤謬=マーシャルによる論文

    ドルの信用が失われないのは、国際通貨であり貯蓄過剰のため低インフレだから。
    通貨危機への対処は、外貨準備をふんだんに持つこと。IMFはあてにならない。今や、IMFの資金量は雀の涙ほど。

    民間による危機対策=ベイルイン=債権者が多すぎると不可能=LTCMの救済は、民間での拠出によったもの=ベイルイン

  • 邦銀のリスクマネージメント能力の欠如を批判。
    また金融危機の発生をナイトの不確実性の議論を用いて説明する。

    最後の貸し手としてのIMFが結局構造改革を押し付けるだけだったとの議論を展開する。

  • 小宮さんの本に紹介されていて読破。
    知識があれば、もっと深く読めただろう1冊。
    古本屋で見つけたときはうれしかったなぁ。

    「ナイトの不確実性」のところは、いま読んでいる経済の入門系を一通り読んでからまた読み返したい。

  • 1997年のアジア通貨危機や日本の金融機関の倒産を「ナイトの不確実性」をキーワードに分析しています。
    そして、話は、サブプライムローンにまで及びます(この本が書かれたのはリーマン前)。
    納得のいく話が多く面白かったです。
    特に、「ナイトの不確実性」についてよく理解できる良書だと思います。

  • 難解でした。

  • ナイトの不確実性、経済というのは本来わからないものであり、客観的な予測の成り立つ領域は限られるという論理を元に、97年のアジア通過危機、日本の不良債権問題を解説した本。説明としては平易でわかりやすいが、この手のものを読むともっと詳しく突っ込んだ本当を読みたくなる。まあ最近忙しいのでちょっと置いときますが。

  • もう一度読んでみよう

  • [ 内容 ]
    アジア通貨危機が世界を襲い、日本の大手金融機関がバタバタと倒れた1997年。
    金融危機が深化したこの年を境に、世界のマネーの流れが大きく変わった。
    「不確実性」に支配された市場を、どうコントロールするか―。
    1997年の動きを検証し、次なる「危機」への処方箋を探る。

    [ 目次 ]
    プロローグ 「1997年」に何が起こったのか
    第1章 危機の内実―「質への逃避」を生んだ市場心理(日本の不良債権問題はなぜ深刻化したのか アジア危機を読み間違えたアメリカとIMF 絡み合う日本とアジア)
    第2章 危機を読み解く―「ナイトの不確実性」というブラック・ホール(世界経済を理解する鍵 ナイトの原議論 異端視したシカゴ学派 エルスバーク登場 流動性の危機と「質への逃避」 グリーンスパンが世界を救った? ドルは大丈夫か)
    第3章 危機の教訓―世界経済の安定化は可能か(民間による解決を模索する世界 政府の積極性は効果があるか)
    エピローグ 歴史は繰り返す

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2010.4.13

    【ナイトの不確実性】
    リスクと不確実性の違い

    リスク:確率分布が推測できる不確実性
    ナイトの不確実性:確率分布が未知の不確実性

    ナイトの不確実性が「過度な楽観」と「過度な悲観」を生む。
     過度な楽観→企業化、バブル
     過度な悲観→質・流動への逃避、貸し渋り

    【金融危機への対処法】
    返済能力の危機と流動性の危機

    流動性の危機(←債権と債務の期間構造の違いによるリスク)
    ⇒中央銀行が最後の貸し手として、流動性を提供。
      ベイル・アウト   第三者による資金注入 
      ベイル・イン    債務履行の先延ばし

    【アジア金融危機後】
    アジアの国が、資本優入国から資本輸出国へ
    通貨危機の再発防止→輸出に有利な為替レート(ドル高)、巨額の外貨準備(→貯蓄過剰?アメリカの対外債務拡大?)

    【量的緩和と非不胎化介入】
    円高防止のための2003年の33兆円の為替介入
    量的緩和の実施を条件にアメリカ側の容認

  • 1997年前後をめぐる世界経済の情勢を整理するのに役立つ一冊。
    要再読。

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著者プロフィール

慶應義塾大学経済学部教授
1956年東京生まれ。81年慶応義塾大学経済学部卒業。86年同大学院経済学研究科修了。同年同大学経済学部助手。86年7月米国ロチェスター大学に留学、89年同大学経済学博士号取得。2019年より、経済財政諮問会議民間議員

「2020年 『WEAK LINK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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