ゴッホは殺されたのか 伝説の情報操作 (朝日新書 94)

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著者 : 小林利延
  • 朝日新聞社 (2008年2月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022731944

作品紹介

「さまよえる画家」、「炎の人」、ゴッホ。さまざまな伝説をもつ彼に浮上した、新たな姿とは?彼を支えてきた弟テオとの関係や女性問題を、唯一純正な資料『ゴッホの手紙』を基に、斬新な角度から読み解く。そこから浮かび上がるどんでん返しの結末とは…。この一冊で、従来のゴッホ伝説が根底から覆る。

ゴッホは殺されたのか 伝説の情報操作 (朝日新書 94)の感想・レビュー・書評

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  • 長らく精神を病んで苦しんだのち、オーヴェル=シュル=オワーズで拳銃自殺をしたとされている画家ゴッホ。しかし彼が発砲した現場を見た者はおらず、その拳銃も見つかっていない。
    「ゴッホは実は殺された」という仮説をもとに、ゴッホと弟テオの書簡を洗いなおす試み。

    元々後期印象派がそれほど好きでないことに加え、とりわけゴッホの絵は例え彼の人生をそれほどよく知らずともあの筆遣いから病的なものを感じ取ってしまい、ゴッホについては通り一遍の知識しか持っていなかった。
    今回この本を読み、ゴッホの破天荒ぶりがよく分かってそれは面白かった。こんな兄を持ってしまっては大変だ。

    しかし著者の仮説には相当無理があるなあという印象。
    著者は弟テオの手紙での冷たさや矛盾について色々と書いているが、もともと手紙なんていうものは送り先以外には読まれることを想定していないのだから、互いに既知の事実や、先方が聞きたくないであろう情報は書かない、または矛盾していても相手が聞きたいであろう言葉だけ書くのが当然な訳で。

    まぁ、著者本人がエピローグに「美術史は推理小説だ」というサブタイトルに付けてしまってる通り、推理フィクションの域を出ていない。もちろん、歴史学というのは端的に言ってしまえば一次資料を丹念に読み解き組み合わせて「物語」を作る作業なので、著者がやっていることも立派な美術史学だ。
    でも「物語」は他の多くの人々(特に学者)の批評と合意を経て初めて「歴史」となり得る。英語またはゴッホ研究が最も盛んな言語(オランダ語?フランス語?)で本稿を書いて、そこで認められない限り、これは学術論文ではなく娯楽作品だ。どうせならこの仮説を国際美術史界に持ち込んで批評に晒してほしかった。

    なお著者は「ゴッホに関する資料はゴッホ財団が厳重に管理統制している」と陰謀説っぽい発言まで書いているが、その後2009年にはゴッホ美術館がそれまでの誤謬を大幅に改めた書簡集をちゃんと出版しWeb公開までしている。それを見た著者が今どんな仮説を持っているかは少し気になる。

  • 先日ゴッホとゴーギャン展に行き、その人生に心を揺さぶられたので手に取った。
    読めば読むほどゴッホが嫌な人間に思え、同時に哀れに思い、テオに同情した…が最後まで読むとこれは筆者にすればヨーの思惑通りだったのだろうか。
    腑に落ちる部分、落ちない部分があったが、手紙の内容が要点をまとめてサラサラと読めたのはとても良かった。

  • [ 内容 ]
    「さまよえる画家」、「炎の人」、ゴッホ。
    さまざまな伝説をもつ彼に浮上した、新たな姿とは?
    彼を支えてきた弟テオとの関係や女性問題を、唯一純正な資料『ゴッホの手紙』を基に、斬新な角度から読み解く。
    そこから浮かび上がるどんでん返しの結末とは…。
    この一冊で、従来のゴッホ伝説が根底から覆る。

    [ 目次 ]
    プロローグ 聖ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの伝説
    読む前に見る読みながら見るゴッホ年表
    第1章 事件―一八九〇年七月二七日
    第2章 事件前三七年―画商の道断たれ 牧師の道遠く
    第3章 事件前一〇年―描く男捨てる女
    第4章 事件前五年―パリ 兄と弟の諍いそして印象派
    第5章 事件前二年―アルルの希望と裏切り
    第6章 事件前七〇日―オーヴェール=シュル=オワーズの謎
    第7章 事件の検証―ゴッホ伝説の情報操作
    エピローグ 美術史は推理小説だ

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    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • ゴッホが自殺した、という話を聞いたことはあった。それが真実かどうかなんて考えたこともなかった。

    この本はヴィンセント(ゴッホ)の書簡と、証言でその真実を検証している。弟のテオに金を要求し、罵倒し、金を得ながら絵を描き、そして自分に絶望した。そして自殺した。…というのは本当なのか?

    読んでいると、まあ、自殺じゃないんだろうな、と思う。
    しかしながら、結論までがものすごく思わせぶり。ともかく長い、ように感じてしまう。うーん。
    あと少し思わせぶりですね。
    でもとっても興味深かった。

  • ゴッホは自殺ではなく他殺だった?

    美術にさほど興味がない人でも知っている、画家といえばゴッホ。ゴッホといえば画家。自分で耳切るわ、ピストル自殺するわの人生で、生きているうちに売れた絵は一枚。死後は億単位でその絵が取引される。しかしゴッホは自殺ではなかった? 果たして残された遺族の戦略的な情報操作であったのか。因果な家庭環境、弟テオとの往復書簡、義妹による死後に出版された書簡集。他殺であるという結論にじりじりと至らしめる論説がスリリング! 久しぶりに面白い一冊。

    年末に観たテレビ番組によって、この本の存在を知った。
    http://www.bs-j.co.jp/gogh/

    この番組では、ゴーギャンがゴッホの耳を切ったような描かれ方でした。
    真相は神のみぞ知る。

  • 2008/3
    画家ゴッホの死の謎について解明しようとした一冊。死に至る経緯を上げたあとに、ゴッホの人生を弟とかわした書簡をもとに解明していく。真実が何かはわからないが、ゴッホという人物のひとつの側面が明らかになる一冊。

  • ゴッホという画家について興味があったので読んでみた。ゴッホの生涯はもとより、死の直前の行動などリアルに描写されている。一応、ゴッホは自殺したということになっているが、実は殺されたのではないか?という疑問を投げかけた書。確かに、状況諸々考えると、他殺と考えたほうが自然かもしれない。。。この筆者の推理では、生涯に渡ってゴッホを支え続けた弟のテオが、ゴッホを殺したのではないか?という推理になっており、ちょっと過激。。。でも、愛しているからこそ憎い。。。みたいな複雑な心理が働いたとも考え得るので、面白い推理ではある。。。けど、感情的に受け入れ難いなぁ。

  • これはこれで1つの説として充分楽しめる。
    ただし、情報操作されていない伝説なんてものは、この世の何処にもないと思うけど。
    つまり、この「一説」というのも、「情報操作の一種」なのであって、
    ま、本当のことは当事者以外誰にもわからないってことだろうね。
    だからこそ、色々な説が飛び交い、様々考えられるのが面白いってわけで。

  • 面白い。
    兄弟愛について、考えさせられる。
    名著。

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