自動車保険の落とし穴 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022732187

感想・レビュー・書評

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  • 保険と名のつくものはたくさんあるが、自動車保険だけは正直補償の種類ぐらいしかわからない。もう少し自動車保険について知りたく、この本を手に取った。しかし期待したものと逆の意味で大きく期待を裏切られた。自動車保険がこんなにもずさんな保険とは知らなかった。
    自動車保険の加入審査は、生命保険と異なり簡単だ(一部の生保で無審査加入できるものもあるが)。それだけに、支払い時は「適正」という名のもと、減額や支払い拒否が頻繁に発生しているという。人身事故であれば、重度障害や死亡などケースも深刻で金額も大きい。普通に考えても、保険会社が支払い額を減らす方向に向かいがちになるのは想像に難くない。
    また、補償内容がわかりずらい。例として「無保険者傷害保険」があげられている。「無保険者傷害保険」は名称はひとつでも2つの補償タイプがある。ひとつは「被保険者自動車搭乗中」の補償をするもの。もうひとつは「被保険者自動車搭乗中および歩行中・自転車乗車中」の補償をするものだ。例えば、車のチェーン装着中に車に跳ねられ死亡したケース。前者のタイプの保険に加入していた場合、保険金は支払われない。しかし、一般的な保険購入者にとって「無保険者傷害保険」は無保険車の車両に跳ねられたら場合を補償するものであり、必ず保険が支払われると思っていないだろうか。保険会社にとってみれば当たり前のことでも、事前に細かい説明を受けているわけでもない加入者にとってみれば、話しとちがうともめる要因になるだろう。
    支払い基準もあいまいだ。例えば介護補償など、「二十歳の寝たきりの年間死亡率は10%なので、余命は0年だから10年分を支払います」などの示談が行われるケースもあるという。どうやって余命10年と決めたのだろうか。寝たきりの人の余命などひとそれぞれちがうのではないだろうか。それなのに示談で提示された額にそのまま印を押すのはやはりおかしいと思わなくてはいけない。
    結局は、自己防衛でしか対応は図れない。
    だからこそ、多くの被害者の取材をおこっなってきた作者が教訓として得た、自動車保険の賢い入り方、泣き寝入りしないために証拠写真をとるなどの知識は、自動車を運転する者の義務として知っておかなければならないと思う。
    読むのはつらい内容だ。しかし読んでおかなくてはいけない内容である。

  • 自動車保険の更新にあたり、そういや今まで自動車保険の本って
    読んだことなかったなと思い、一冊適当に借りてみたのが本書。

    前半は自動車保険の基本的な保険内容の説明。
    これ自体はネットでも十分調べられる内容なのですが
    若干の指針となるべきことも書かれているので、
    保険内容を理解できても結局どうしたら良いか迷う人は
    多少の助けにはなるかも。
    ま、あくまでも考え方の参考程度で、多少の助け程度ですが。
    最終的には自己責任ですね。
    前半の内容は直近のエントリーでまとめていますので、
    そちらをご参考になさってください。

    この本のきもは3章からの支払いにかかるトラブルについてです。
    保険会社による勝手な保険の解約や、
    事故シミュレーションでのデータ改ざん、
    後遺障害受傷時の余命を短く見積ろうとする、
    在宅介護を認めないなど
    本書の内容を読む限りでは、かなりえげつない方法で、
    できるかぎりお金を支払わないですむようにもっていき、
    実際に損保会社では、いくら支払いを減らしたかという内容で
    表彰されたりするらしいです。

    生保は入る際に厳しいチェックが入りますが、
    損保は支払いの際に厳しい(だけではない)チェックが入ると。
    それだけに、いざというとききちんと支払われる保険会社を選ぶことが重要です。

    トラブル事例だけでなく、損保会社の対応マニュアルからいくつかご紹介
    ・加害者の信号無視などが明らかな場合でも、都合の良い判例などを持ち出して、とりあえず5:5を主張してみる
    ・法律にないことを主張し、被害者と加害者を置き換える
    ・同じことを何回でも繰り返す。反応がなければ時間をかけて怒らせる。
    ・被害者が感情的になり、なぐりかかったりするものがいれば、刑事事件で訴えると脅しをかける。
    ・一般人は、何時間も対処に時間をかけられないが、損保会社は仕事なので何時間でもかけられる。被害者があきらめるか、過失を認めるのを待つ。
    ・最高2400万円出るところを、1450万円からスタート。
    ・長引いて年度をまたぎそうになると、3月末で転勤になり4月からは担当者が変更するので、また1からやり直しになるといい、示談に応じさせるようにしむける。

    また、保険内容に誤り等があれば保険が支払われないことがあるので、契約締結時には内容はしっかりとチェックすべきとのこと。

    知識として事前に詰め込んでおく必要があることはあまりありませんが、一度目を通しておき、損保会社と渡り合うための心構えを養うのに良い一冊かと思います。
    事故にあってからでは冷静に本なんか読んでられないでしょうからね。

  • この本は700円(+消費税)ですが、値段以上の内容が十分にあります。
    自動車保険の内容って意外と理解していない人が多いのではないですか?

    この仕事をしていると、いかに保険会社が提示する保険金の額が低廉かということがわかるのですが、その内情について書かれています。
    事故を起こしてから、あるいは被害にあってからではなく、普段から備えておくことが必要です。この本は平易に書かれておりおすすめです。
    私はさっそく自分の自動車保険の保険証券を確認しました。

    「自動車保険の知識が乏しい弁護士も」という項もあり、耳が痛いところですが、確かに交通事故については専門分野に属しますので、交通事故事件をよく扱っているorよく勉強していてフットワークのよい(現場に行ってくれるなど)弁護士を探すことも重要だと思います。

  • 保険会社は空箱をうるのが1番美味しい。
    警察も杜撰な捜査を行う。
    損害額の30%オフは当たり前。
    被害者は加害者をえらべない。

  • ちょうど自動車保険を見直したかったので、Amazonで見つけて購入。知識がなかったこともあり、これまでは販売員さんの言う通りに保険内容を決めてしまっていた。
    本書で自動車保険について少しでも知識を頭に入れて、損をしないようにしたい。

    具体的な事例も豊富で、分かりやすい。

  • [2013-01-16]
    1回目読了。

    損害保険会社の「払い渋り」体質の実態
    →被害者が交渉相手として向き合わなければならない相手は、加害者側の車が加入している損保会社。
    しかし、自社の利潤追求のため損保はあの手この手で払い渋り、加害者の負担する損害賠償額をなるべく抑えようとする。
    その方法として、
     ①自賠責の限度額を越え、支払いが任意保険に食い込む(民法上の709)ことを防止する
    →加害者に過失なし+被害者の過失による自爆事故との主張。いわゆる「無責」⇒損害賠償請求権自体発生しない
     ②仮に任意保険の領域になっても
    →過失相殺⇒発生する場合でも減額
    ----------------
    ②のため、損保は被害者側の過失をなんとか探し出し、被害者の過失を100に近づけようとする。
    そのための交渉マニュアルは以下の通り。    
    ・正当に支払われるべき示談額から2割、3割引きは当たり前。
    ・加害者側の信号無視(加害者の過失100)が明らかでもとりあえず5:5を主張する。
     →最高で2400万くらいは出せるところだと、1450」万から交渉スタート。
     →最終的には2100万くらいで無理矢理示談を成立させる。
    ・死亡事故でない場合は、被害者の治療費をとにかく抑える。
     →健康保険のきく治療に切り替えさせる            
    ・被害者を諦めさせるのが仕事。
     →訴訟にせざるをえないと長期戦をちらつかせる
     →それでも諦めない被害者には債務不存在確認訴訟を起こす場合も。
       ←裁判に提出する証拠について改ざんする事例もあり
    ・とにかく支払うまでに時間をかける
     →被害者が諦めるか、過失を認めさせるのが最終目的。
    ・同じことを何度も繰り返し話して、被害者を怒らせる。
     →被害者が感情的になり不穏当な発言をしたら→メモ→刑事事件としますよ、などのやんわりとした脅しをかける等。
                   

    払い渋りの背景
    ・2005年に発生した業界全体の保険料不払い問題に象徴される苦境に立たされる損保会社の現状
     →競争の激化が招いた特約の複雑化→保険会社も把握できない多くの付随的な保険が存在
    →背景:アメリカからの圧力+金融ビックバン
      →損保業界自由化
      →外資参入による競争激化
      →差別化のため、国内会社は保険料を低額に抑えるための各種の特約を考え出さざるを得ない
          例えば
           ・リスク分散型(ドライバーの危険度に応じた保険料)
           ・インターネットよる直販(代理店への手数料)    

    自動車保険の種類
    1. 自賠責(自動車損害賠償保険)=強制加入
        →相手方への補償、自己への補償とも対人損害のみ

    2. 自賠責でまかないえない損害につき任意保険(損害保険会社)
      その一つとして「人身障害補償保険」。生み出された特約の一つ。
    これは、自己の過失相殺分の損害も補てんされる保険。
    例えば、被害者の30%過失による事故を起こし、加害者に対する損害賠償請求権が70%まで減額されてしまった場合でも、100%損害が補填されるもの。
      ←しかし、各保険会社により支払基準が区々。必ずしも補填されるわけではないので損保会社選びは要注意。

    ※後遺障害=労働能力の喪失率に応じて等級が分かれる
    →喪失率100%=1級


    その他約款に注意
    保険会社への「通知義務」の懈怠→保険金支払義務発生せず

    ※自動車保険承認書請求書とは?


    あるべき保険の形は?何が最も被害者救済になるのか?

    一つの提案として、法定の自賠責と民間の任意保険を一本化し、自賠責の保険料を倍額にし、国により公平に分配させる。

  • 自動車保険の補償内容などの詳しい解説というよりは、損保会社の内情や保険金の払い渋りなどの問題点を現実の出来事を通して指摘している。
    実際に事故が起きた時にどういう心構えをしておけば良いか、知ってて損はないかなぁと思う。

  • 2008/6
    知っているようで知らない、自動車保険について書かれた新書。問題点が多くあることを実際の会社名まで記載して書いているのは賛否両論はあるだろうが、よりわかりやすい。ただ、なんか胡散臭さを感じるのは気のせいだろうか。

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著者プロフィール

1963年、京都市生まれ。ノンフィクション作家。交通事故、司法問題等をテーマに執筆や講演、テレビ、ラジオ出演等を行う。『週刊朝日』に連載した告発ルポがきっかけで、自賠責制度の大改定につながった。児童向けノンフィクション書籍は『柴犬マイちゃんへの手紙 無謀運転でふたりの男の子を失った家族と愛犬の物語』(講談社)につづく2冊目。主な著書に、『自動車保険の落とし穴』(朝日新聞出版)、『交通事故被害者は二度泣かされる』(リベルタ出版)、『家族のもとへ、あなたを帰す ~東日本大震災犠牲者約1万9000名、歯科医師たちの身元究明』(WAVE出版)、『遺品 あなたを失った代わりに』(晶文社)。なお、『示談交渉人 裏ファイル』(共著、角川文庫)はTBSでドラマシリーズ化、『巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語』(講談社)はNHKでドラマ化され、アメリカ国際ビデオフィルム祭・ドキュメンタリー部門で3位に入賞。

「2014年 『泥だらけのカルテ 家族のもとに遺体を帰しつづける歯科医が見たものは?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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