詩と死をむすぶもの 詩人と医師の往復書簡 (朝日新書)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022732378

作品紹介・あらすじ

看取る人、逝く人。死を目前にした人は、何を思い訴えるのか-。「命のエンディング」までの様々な臨床エピソードを、ホスピス医療に携わる医師が手紙に託し、詩人が詩と散文で応える。二年間にわたり交わされた医師と詩人の心ふるえる往復書簡、魂の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 詩人の谷川俊太郎さんと、医師の徳永進さんの往復書簡
    先日、県民会館であった、谷川俊太郎さんの朗読会は残念ながら行けなかったけど、機会を作って是非行きたい!

  • 詩人の谷川俊太郎さんと、鳥取・野の花診療所の徳永進さんの往復書簡。
    やっぱり徳永さんの臨床レポの文体が好き。程よく淡々とした雰囲気と言葉のリズムに引き込まれます。

    ハッとさせられる言葉が多数。
    こういう本の中で引用される谷川さんの詩も、単品で読むと違った印象に。
    死が語られているのが大部分な中で「あかんぼがいる」を読むと涙が出そうになります。

  • この徳永進さんという医師と、向井千秋の夫である向井マキオは似ている。谷川俊太郎があとがき対談で言ってる「記録する人なんですよ。」というのが、共通点だと私は思ってるんだけど、どうだろう。
    あっでも、二人とも医師っていうところも共通しているなぁ。医者がみんな、物事を思想や主観をいれながらあんなにリアルに描ける職業なのだとしたら、すごいな。ほんと。(そういえば手塚治虫も医者じゃないか)

  • 谷川俊太郎氏の詩ではない「コトバ」が響く良著。
    氏の紡ぐ詩とはまた違った味わい深い言葉と思想。

    死の「現場」としてのホスピスでの出来事をテーマに、生と死、そして詩に対する思想を巡らす両者の対話、文通がとても暖かくて秀逸。

    私としては、谷川俊太郎氏と価値観や思想がかなり近く、しかし自分の若さや未熟さ故に説明しきれなかった思考が、この本によってスッと落ち着き安定したことに驚き感動した。

    人生のバイブルになり得る一冊。

    「詩」にも「死」にも愛が溢れていると感じた。

  • 本書は、臨床の現場で死を見つめ続けてきた医師と、遠くの、まだ
    意識にのぼる前の声に耳をすまし続けてきた詩人による、死と詩を
    めぐる往復書簡集です。

    まず、対談ではなく、往復書簡であるところに本書の魅力がありま
    す。相手の言葉をじっくり吟味した上で、違う時空から届けられる
    言葉のやりとりには、対談のようなライブ感はないものの、何とも
    言えない深みがあります。おまけに、谷川俊太郎の書簡は、必ず、
    自身の詩でしめくくられるのですが、それがまたとても良いのです。

    徳永氏は、臨床を「言葉が群生する空間」と言います。特に、終末
    医療の現場には、安易な意味付けを拒否する、具体の言葉がこんこ
    んと湧いています。その言葉を届ける相手として彼が選んだのは詩
    人でした。選ばれた詩人は、徳永氏の「からだぐるみの肉声」「死
    に拮抗することのできる話術」を前に、ためらい、ひるぎながらも、
    「まだしも死と拮抗できる可能性を秘めている」詩のことばでもっ
    て、応えていきます。

    介護や看護や医療や教育の、現場のことばには豊かな味わいがあり
    ます。それは、人間の尊厳に触れているからだと思います。

    本書は、そんな人と関わる現場の大切さを改めて教えてくれます。
    医者だけが臨床の現場を持つのではありません。どんな人にも、人
    と関わる、のっぴきならない現場があります。人の尊厳の問題は、
    そういう現場に宿るのだと思います。そして、敬意を持って人の尊
    厳に触れていくところに、詩が生まれてくるのでしょう。

    味わい深い本です。是非、読んでみてください。

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    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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    言葉以前に存在しているものが今も基本的にこの世界を形成してい
    るとぼくは考えます。言葉は、意味は人間を世界に開きそこに秩序
    を与えてくれるものですが、ときにそれは人間を閉じこめるものに
    なり得ます。

    自分が赦されている、赦し、赦されている、と感じる中で死を迎え
    ることができると、やすらかな死を迎えやすい。自分は赦されてい
    ない、恨みの刺の中で死を迎えなければならないと感じる時、やす
    らかな死となりにくい。生きている時も心のわだかまりはあるけれ
    ど、死を前にすると、そのわだかまりがくっきりと浮かんでくる。

    和解って3つある、って言われている。家族や友人との和解、神や
    宇宙との和解、そして自分自身との和解。ぼくは、最終的には、誰
    もが自分との和解ができるかどうか、が問われているだろうと思う。
    人生はそこにかかっている。

    古典辞典を引くと「許し」と「緩し」は同じ語源であることが分か
    ります。(中略)他人に対してゆるゆると良い加減であることもま
    た、和解の一つの条件なのかもしれません。

    「死がない」は「詩がない」に通じますね。死と詩がない暮らしは
    「しがない」暮らしです。

    一瞬は熟れきったとき / 永遠となる
    言葉は熟れきったとき / 沈黙する
    果実は熟れきったとき / 地に帰る
    死を / 熟れきった生として / とらえること

    敬意を持つって、根本的なことだな、って思いますね。敬意が存在
    すると、変化が生まれる。流れが変わり、質の転換が生じる。敬意
    がないと何も変わらない。(中略)自己治癒力というものは自然に
    湧くものというより、他人の敬意の土の上で育つ、というべきなん
    だろうな

    声という音波の波動は手足を用いる行動に比べると桁違いに繊細微
    細なものですが、そういう波動もまた人を動かす可能性を持ってい
    るのではないでしょうか。

    死が来るのを待つという発想より、日々死に向って歩むという発想
    のほうがすこやかな感じがするんです。

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    ●[2]編集後記

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    「許し」と「緩し」は同じ語源、とありました。束縛を解いて緩め
    る。そこで緩めるものは自分、なのでしょう。自分を緩め、他人が
    入り込める余地を作ってあげる。それが「許す」ということなのだ
    と、そんなイメージが湧いてきます。言葉の語源を辿っていくと、
    思った以上に深く、豊かな世界につながっていくから、面白いです
    ね。

    実は、以前に、「聴」の字源を調べていて知ったのですが、「聴す
    (聞す)」と書いて「ゆるす」と読むのですね。文字どおり「許す」
    と言う意味です。「自分の束縛を緩めて、相手を聞き入れる」から、
    「聴す」=「許す」になるのだそうです。

    39年間生きてきて、全然知りませんでした。ちょっと身体が震えま
    した。

    「聴く」ためには、自分の中のこだわりや枠を取り払って、相手の
    ことを先入観なく迎えいれる必要があるということでしょう。相手
    の話に黙って耳を傾けているうちに、苦手だなと思っていた人が愛
    しく見えてくる、ということを経験することがあります。その時、
    私達は、たぶん、相手のことを許しています。聞いているうちに、
    自分と他人との間が緩まるから、目の前にいる相手のことを許せる
    ようになるのでしょう。それは自分を許すことにもつながります。

    「聴す」=「ゆるす」には、そんな、人や自分と向き合う上での、
    本質的な態度というか、身構えのようなものを教えられる気がする
    のです。

  • 様々な家族の物語

  • 2011.9.3読了。

    分かる分からないではなく、信じる、信用するということ。

  • ホスピス医療に携わる医師の、その日々の思考や言葉を体現するようなスピーディーな言葉と、根底を流れ続けるような、テンポの変わらない安定した詩人の言葉と。活字になっても不思議と感じられる1冊。
    医師の言葉は、日常の中で生まれたことばで、そこにはドラマのような感動のシーンや、医療というものに対する特別な批判や賞賛、肯定や否定はない。これまでの日常とは形は変わっていっても、今もまた、そこから続いてきた日常でもあることを、感じさせてくれる。
    死に近いところまで、言葉は存在するのだ。

  • 谷川先生のエッセイは面白いとして、対する徳永先生のエッセイは、あまりに多くの死の瞬間や死に臨む人に接してこられたからか、死というものに対しての距離感が一般人とは違い過ぎて、下手をすると誤解をされると思いました。そうならないためにも理解しようと思って読んでください。そうすると、徳永先生の立場がわかってきます。

  • 購入

    敬愛する徳永進先生と、谷川俊太郎氏が
    臨床で出会った「死」を題材に
    手紙のようなものをやりとりしている本

    臨床での出来事が、
    死ということが、
    悲しんだり、怖がったりするわけでなく、
    感動させようとするわけでなく、
    感じたままに暖かく綴られていると思う

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