週刊誌は死なず (朝日新書 192)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.44
  • (3)
  • (5)
  • (4)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 55
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022732927

作品紹介・あらすじ

新聞では書けない、テレビでは言えないことをやり、国民の知る権利に広く応えることが、週刊誌ジャーナリズムの原点である。だが、雑誌を取り巻く環境は急激に変わりつつある。続々と休刊に追い込まれ、発行部数も減少の一途をたどっている。名誉毀損による高額の訴訟が増え、週刊誌はタブーに挑戦しなくなった。これからの週刊誌ジャーナリズムがどう生き残るか、「日本で一番危険な編集者」が熱く問う。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  『週刊現代』や『FRIDAY』の編集長をつとめた著者が、出版社系週刊誌が軒並み凋落の一途をたどる現状をふまえ、「がんばれ週刊誌ジャーナリズム!」とエールを送った一冊。

    《これから書くことは、雑誌OBの都合のいい週刊誌弁護に聞こえるかもしれない。》

     「はじめに」にはそうあるが、まさに私もそのような感想を抱いた。

     著者は“出版社系週刊誌は権力批判というたいせつな役割を担ってきた。新聞にはできないことをやってきた。週刊誌が力を失うことは日本の危機だ”とさかんに力説し、週刊誌の歴史に残るスクープ報道の例を列挙してみせる。

     なるほど、週刊誌ジャーナリズムにそういう「正の面」があるのはたしかだし、時には悪しき権力者を失墜させる力にもなったろう。しかし、そういう良質な記事は全体の1割にも満たないのではないか。週刊誌の「負の面」に目をつぶり、「正の面」だけ強調されても、「都合のいい週刊誌弁護」にしか聞こえない。

     著者の現役時代を振り返った記述についても同様で、「自分に都合のいいことしか書いてないなあ」という印象を受ける。“検察からたび重なる圧力を受けたが、屈せず記事化した”みたいな自慢話が並んでおり、本書だけ読むとすごく立派な「気骨の編集長」という感じだ。
     もっと失敗談とかがちりばめられていれば、好感もてたのに……。

     と、ケチをつけてしまったが、けっしてつまらない本ではない。

     本年5月に開催された「週刊誌シンポジウム」(おもな出版社系週刊誌の編集長らが集った)の内容が第1章を丸ごと割いて詳報されており、これは読みごたえがあり、資料的価値も高い。
     第6章「週刊誌が生き残る道」も、長年現場の最前線にいた者ならではの提言として、傾聴に値する。
     第7章として収録されている著者と佐藤優の対談は、佐藤の発言に卓見がちりばめられている。

  • 雑誌
    ノンフィクション
    メディア

  • ●本書の言うように、知る権利の代弁者としての使命を果たすような働きをしていってもらえれば「週刊誌は死なず」に、テレビや新聞ができないことをやっていって発展していけるのかな。
    ●しかし、本書で述べているように、週刊誌はイエロージャーナリズムのごとく、面白おかしく書くだけだという風潮があり、それを払拭できなければ難しいだろう。

  • 3月17日 漫画週刊誌の日

  • 週刊誌ジャーナリズムの現状、歴史を「週刊現代」編集長時代の経験など豊富な実例をもとに分かりやすく解説、そして熱く語る書。近年何かと叩かれたり、毛嫌いされることの多い週刊誌だが、その意義、面白さが説得的に語られ、ちょっと買ってみようかなという気になる。

  • 編集者たちの語る週刊誌論。
    過去の週刊誌のあり方からその必要性を説いている。
    しかし現在の週刊誌の状況を把握できているとは思えず空論に終わってしまう危険性もある。
    これからどうすればいいのか、というお話を書いて欲しかった。

  • 元週刊誌編集長の立場から、週刊誌のあり方、そして今後について記述した本。他紙編集長との対談もあり。

    「在野だからこそ報道できる」ものがあることを再確認。

    ただ、電子書籍についての記述がなかったのが残念。

  • 発行部数の減少、名誉毀損による高額の訴訟が増え、続々と休刊に追い込まれる出版界。そんな危機的状況の中で週刊誌はタブーに挑戦しなくなった。
    新聞やテレビでは決して伝えることができないことをやり、国民の知る権利に広く応えることが週刊誌ジャーナリズムの原点であったはずと著者はいう。権力やタブーにタテつき、毒づくマインドは週刊誌にしか無い、できないもの。それに立ち向かう姿勢と新たな面白さを生み出す工夫こそが週刊誌にはさらに必要であると。

  • [ 内容 ]
    新聞では書けない、テレビでは言えないことをやり、国民の知る権利に広く応えることが、週刊誌ジャーナリズムの原点である。
    だが、雑誌を取り巻く環境は急激に変わりつつある。
    続々と休刊に追い込まれ、発行部数も減少の一途をたどっている。
    名誉毀損による高額の訴訟が増え、週刊誌はタブーに挑戦しなくなった。
    これからの週刊誌ジャーナリズムがどう生き残るか、「日本で一番危険な編集者」が熱く問う。

    [ 目次 ]
    第1章 史上初週刊誌シンポジウム開催
    第2章 週刊誌をめぐる現状
    第3章 週刊誌ジャーリズムの原点
    第4章 「スキャンダリズム」を武器に
    第5章 タブーへの挑戦
    第6章 週刊誌が生き残る道
    第7章 対論「週刊誌は死んではいけない」

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 政治家やらジャニーズのスキャンダルの裏も紹介されている。
    雑誌の購入動機の1つは暇つぶしだった。でも今は暇つぶしはネットやケータイになっている。だから雑誌が今の形であり続けるのなら、ビジネスモデルとして終わっている。

  • 勉強になりました。
    週刊誌の歴史・雑誌の役割・これからの雑誌。

  • なんか全体的に偏っているというか、自分の関わったメディアだけが可愛いというか。
    週刊誌の目指すもの、役割も分かるけど、それが他に変わってもいいんじゃないか。

    著者の他のメディアへの無関心が分かる部分を以下に引用
    「89年に中国・北京で「天安門事件」が起きたが、私は、軍隊が出動する2日前の6月1日天安門広場にいた。
    [中略]
    広場の一角でハンガーストライキをしている集団が目に入った。近づいてみると、その集団の前方に櫓が組んであって、その上にカメラを構えた人間が一人、じっとその光景を撮影していた。
     櫓には小さく「CNN」と書かれてあった。そのときはまだ、アメリカのローカル局かなと思ったぐらいで、気にも留めず、しばらくして北京空港へ向かった。その後に起きた天安門事件の現場からCNNのカメラマンが生々しい映像を送り続け、世界中に中国政府の蛮行が流れたことはよく知られている。
     1台のカメラが世界を動かし、CNNはそれをきっかけに世界一のニュース専門テレビ局になっていく。」
     1989年にこの程度の認識(アメリカのローカル局)とは驚かされます。CNNは1980に放送開始、24時間のニュース専門局として注目されていました。1984年にはCNNデイウォッチがTV朝日系で始まり、国内でも認知度はかなり高かったと思います。デイウォッチに出てくる山口美江をはじめとしたバイリンガルのお姉さまがたがまぶしく見えたのも思い出します(どうでもいいですが)。
     他のメディアなんて興味ないんでしょうね。そんな人が週刊誌がどうのこうの言ったところで凋落の構図は変わらないでしょう。

  • リブロにて友人と。

全14件中 1 - 14件を表示

著者プロフィール

1945年新潟県生まれ。早稲田大学商学部卒。1970年講談社入社。「月刊現代」、「婦人倶楽部」、「週刊現代」を経て、1990年「FRIDAY」編集長。1992年から1997年まで「週刊現代」編集長・第一編集局長、1999年オンラインマガジン「Web現代」創刊編集長。2006年講談社を退社し、「オーマイニュース日本版」編集長・代表取締役を経て、現在は出版プロデューサー。「週刊現代」編集長時代には週刊誌5位に低迷していた売上を、創刊以来最大発行部数150万部、当時の週刊誌トップにまで伸ばした。

「2020年 『野垂れ死に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

元木昌彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×