一澤信三郎帆布物語 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 83
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022732996

作品紹介・あらすじ

「泥沼」「確執」「骨肉の争い」京都の老舗ブランドで何が起こったのか。一度はすべてを失ったかに見えた経営者夫妻。彼らがスタッフと一丸となって新ブランドを立ち上げるまでを綿密な取材でまとめたノンフィクション。手間ひまを惜しまずに作られる「信三郎帆布」の全てを紹介。

感想・レビュー・書評

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  • 京都では有名すぎる かばん屋 一澤帆布。先代が亡くなり 遺書が二通見つかり 跡継ぎではない長男が裁判で勝ち実権を握ることに。
    数年前に騒がれた相続税争いの本があることを日経新聞で知り読んでみました。
    友達が持っていた シンプルだけれどしっかりとした作りのかばん。私も欲しいと思っていましたが 丁度裁判の時期と重なっていたようで 当時のネット検索では 信三郎帆布 と一澤帆布と両方でてきて良く判らず 信三郎帆布では 新たな環境で頑張ります、と笑顔の人たち。
    どこで購入していいやら判らずそのままうやむやになってしまっていましたが、この本を読み納得しました。
    筆跡鑑定が ここまでいい加減なものなのかというのが一つ。警察官OBが筆跡鑑定をしているケースが多いみたいですね。もう少しその辺りを変えていかないと、と考えさせられました。
    もうひとつが 会社は人が作るものだ、ということ。
    のっとりのような形で社長になった長男に 社員は誰一人としてついていかなかった。
    一緒に働いていた三男 信三郎と共に会社を去り 新たに起業していくことを選んだ。
    70人といえばちょっとした 中小企業。その社員が全てついていく。信三郎さんの 今までの仕事ぶりが判る話でした。
    改めて ネットではなく、かばんを見に京都まで行きたくなりました。

  • 20170808読了
    2009年出版。老舗が相続でもめているというのはリアルタイムでうっすら耳にした。その顛末がまさか本にまとめられているとは。●顛末をおおまかに記すと、三男が家業を継いで父親と共に経営してきたが、父親の死を機に、家業のことを何も知らない長男が遺言書を捏造して三男を追い出し家業を乗っ取ろうとした。三男は裁判で敗訴し、長男の思惑が成功したかに見えたが、三男はさまざまな人の助けを得て家業を続け、裁判でも逆転勝訴した。●まっとうに家業を続けてきた人が報われる形で終わってよかった。家業に取り組む姿勢を知っているまわりの人たちがそれぞれの形で手を貸してこの局面を乗り越えていったことがよくわかった。●裁判官は真相を見極めてくれるとも限らない。筆跡鑑定のレベルの低さ。

  • かなり前の話になるが、一時期、東京の街中で『京都市東山知恩院前上ル 一澤帆布製』というタグがついたバッグを持った人をよく見かけた。私が気付くくらいだから相当流行っていたのだろうし、私の目に留まるくらい目を引くものだったのだろう。布製のバッグが欲しいなと思った時に思い出して探してみたのだが、『信三郎帆布』というタグのものも出回っていて「いろいろあるのかー?よくわからんな~。」と思って買わずじまいになってしまった。有名だったらしいお家騒動も有りがちなことかと思いあまり興味がなく今日まできてしまった。興味がない、というのは全く恐ろしいことである・・・。ひょんなきっかけで目にしたこの本で、ああ、あのバッグ!と思いだし、今回は興味を惹かれて読んでみた。ひえ~、こんなことになっていたのねと、あまりの理不尽さに腹立ち、京都の人たちの懐の深さ、情の厚さ、その粋に心を打たれる。
    とかく正義はどこに?と思わされるような世の中である。信念を貫き、逆境に負けずに戦い続けた人たちに、心からの笑顔が戻って、本当によかった。
    京都のお店に、いつか必ず行ってみようと思います♪

  • 一澤信三郎のモノ作りへの思いが伝わってくる本。分かりにくい筆跡鑑定、2回にわたる裁判で逆転勝訴したことなどが詳しく分かった。それにしても骨肉の相続争いを公平に記述するのは簡単ではないと思うが、長男と四男側に全く取材していないのが気にかかる。

  • 2012/07/08 祖父・喜兵衛さんの話は初見。また鞄見にいこう。

  • 有名な一澤帆布について。なんとなく知ってたけど、ニュースではわからない裏側や真実を知ることで、一澤帆布に対する認識が大きく変わった。事件の真相云々も大切かもだけど、それ以上に信三郎さんたちの鞄作りの真撃な姿勢と対面できたことが心に残る。いいものづくりをされているのだな。わたしも目の前の溢れる商品に惑わされることなく、想いの込められている本当にいいものを選んでいきたい。

  • [ 内容 ]
    「泥沼」「確執」「骨肉の争い」京都の老舗ブランドで何が起こったのか。
    一度はすべてを失ったかに見えた経営者夫妻。
    彼らがスタッフと一丸となって新ブランドを立ち上げるまでを綿密な取材でまとめたノンフィクション。
    手間ひまを惜しまずに作られる「信三郎帆布」の全てを紹介。

    [ 目次 ]
    第1章 お家騒動(振り向いたらあかん 2通の遺言書 ほか)
    第2章 信三郎帆布の挑戦(潔う捨てましょう 新しいブランドネーム ほか)
    第3章 3代目信夫が語った「一澤帆布物語」(初代、喜兵衛はハイカラ男 京都バンドと華やかな人脈 ほか)
    第4章 帆布かばんができるまで(帆布のにおいの中で 大企業との落差に驚く ほか)
    第5章 小さくてもオンリーワン(夢やないんやな 筆跡鑑定ふたたび ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • この4月、一澤帆布のお店に戻った。

  •  一澤帆布といえば、京都では知らない人がいない帆布の
    カバン屋さんです。
    その一澤帆布の先代が亡くなり、遺言状が2通出てきたことから
    始まった、遺産・後継者争いの裁判の話は、皮肉にも一澤帆布の
    名前を全国的に広めるきっかけになりました。

     私は先代が亡くなった年にはまだ京都に住んでおり、翌年に
    離れたために、実際に裁判が始まってからの詳しい経過や
    地元の運動、空気などを感じることができませんでした。
    裁判の最初の判決は、素人が考えてもおかしなもので、
    きちんと遺言書の真偽を調べた上での判決とは思えず、
    法の裁きの場で、こんな不当な決定がなされるんだ・・・と
    愕然としたものでした。

     裁判に負けて、今まで通りの仕事ができなくなっても、
    工房やお店がとられてしまっても、諦めなかった信三郎さんご夫妻と
    社員たち。新しく「一澤信三郎帆布」を立ち上げ、新たな裁判も
    行われていきます。

     最終的には、2004年年末の判決から一転、08年11月に
    信三郎さん側の逆転勝訴となり、長男側の上告が最高裁に
    よって棄却されたことで勝訴は確定するのですが、そこに
    至るまでには、信三郎さんご夫妻、一澤帆布時代からの職人
    さんや社員さんたち、信三郎さんを応援する会の存在や、
    第2の遺言書の真偽に関して偽筆を立証しようと奔走した
    有識者たち、全国にいる一澤帆布カバンの愛好者たち・・・。
    多くの人が信三郎さんたちを応援しました。
    どうして信三郎さんのまわりにこれだけ親身になる人たちが
    集まったのか、それはこの本を読むと納得できます。

     手間を惜しまず、いいものを誠実に作り続けるための努力ー。
    作ったものに対する製造責任を持ち、メンテナンスを厭わない姿勢。
    製造直売にこだわり、客と売り手が見えない商売はしないスタイル。
    この不況下においても、スタッフのほとんどが正社員!
     理想的だなぁと思いました。素敵過ぎる!

     古きよき日本の「ものづくりの原点」に触れられる1冊です。
    年末年始の帰省で、久しぶりに信三郎帆布のお店に
    行こうと思いました。

  • この本を手にすることができて本当にうれしい。
    でも、それだけで終わってはいけない。僕らはこの本を読めることに感謝すべきである。

    西の都の老舗で勃発したできごと。
    遠く離れた東の都にいる僕らは、このできごとを直接見聞することはできないし、新聞を始めとするマスコミの報道は乏しくかつ断片的なものであった。
    インターネット情報は多々あったものの、何を信じていいかわからず、僕らの勝手な心配は募るばかりであった。

    2008年11月の逆転勝訴という判決があったからこそ、僕らはこの本を目にすることができる。
    裁判を勝利に導いた(協力した)すべての人に感謝したい。

    その頃、僕らが知りたかった真実がここにある。しかも僕らの期待を良い意味で裏切るように、赤裸々なまでの情報公開。僕が気にしていたこれからの方向についても触れられている。

    綿密な取材に基づくノンフィクションではあるものの、作者の筆力と描かれている信三郎夫妻の人柄によるものだろうか、ドロドロした感じになっていないのはさすが。

    先代である3代目、信夫氏のインタビューや、かばんが作られるまでの工程も帆布が好きな人だけでなく、たくさんの人に読んでもらい、京都に一風変わった「かばんや」があることをもっと多くの人に知ってもらいたい。

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著者プロフィール

1965年生まれ。自由学園卒業。出版社勤務を経てフリー編集者、ライターとして活躍中。著作に『シゲコ!—広島から海をわたって』(偕成社)「むのたけじ100歳のジャーナリストからきみへ」シリーズ(汐文社)などがある。

「2017年 『世界を救うパンの缶詰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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