よみがえれ 知床 100平方メートル運動の夢 (朝日新書 226)

著者 : 辰濃和男

• 朝日新聞出版 (2010年3月12日発売)

作品紹介・あらすじ

「知床で夢を買いませんか」この呼びかけで、運動が始まったのは33年前。ふつうの人びとが1区画あたり8000円を出し合って大自然を乱開発から守り、森をよみがえらせる-。訴えかけた人たち、それに応えた全国の人たち。胸をうつドラマのすべてが、ここにある。

感想・レビュー・書評

[muramatsu-bunkoさんの感想 · 2010年7月12日]

｢知床100平方メートル運動｣と名づけられたムーブメントの成り立ちと活動の軌跡、そしてそこにかかわったさまざまな人の思いが綴られている。
興味深いのは、これがいわゆる開発阻止運動ではなく、かつてそうであった自然本来の姿を再生していこうという気が遠くなるような長期的視野に立った運動であり、官と民との二人三脚で発展していった点である。
全国の町村に先駆けて制定された自然保護条例、世界遺産への登録、日本のナショナル・トラスト運動への影響など、この運動のもつ意味は大きい。また、過酷な自然と農地開発公団の力ずくの開発の失敗など、厳しい現実についても学ぶところは多い。