田中角栄の昭和 (朝日新書)

著者 : 保阪正康
  • 朝日新聞出版 (2010年7月13日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733443

作品紹介

田中角栄とは、いったい何者だったのか?時代によってつくられ、時代をつくりかえた政治家。大衆の欲望を充足させた、悲しき代弁者。死したのちにも強力な「遺伝子」を残した絶対権力者-。昭和史研究の第一人者が異能宰相の軌跡を検証し、歴史のなかに正しく刻印する。

田中角栄の昭和 (朝日新書)の感想・レビュー・書評

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  •  田中角栄という政治家は明治・大正・昭和の<国の貧しさ>という現実を国家百年の計だとか国体、あるいは国是などのような儒教臭さに裏打ちされた大言壮語でごまかしてきた政治には見向きもせず、まず選挙民が、ひいては日本国民が豊かにならなければどんな理想を説いても空論でしかないということを身を以て体現したパイオニアと言えよう。
     本書の功績は、この政治家のもつ体質的な欠陥や、あるいは戦後の日本が必要とした政治家としての資質をも含めて、戦後日本の復興、そして高度成長の歴史の流れになかに田中角栄という良くも悪くも戦後を代表する政治家の正統な居所とその果たしてきた役割を明らかにしたところにあると思われる。

  • 日本人のための田中角栄論

  • 田中角栄の評伝。
    礼賛本でも批判本でもなく、淡々と公平な視点で人物像を描いていると思う。

  • はじめて『角栄本』を読んだが、孫引きが多く、やや期待外れ。

    彼の『遺伝子』、すなわち錬金術と無思想は、某政治家に引き継がれている。

    しかし、現実を無視した主張する政党・政治家がいる限り、遺伝子は確実にあらたな世代に引き継がれるであろう。

  • 年齢からくる衰えか、文章がときどき変な流れになる。伝記としての読み応えは期待ほどではなく、「田中角栄」という現象をもう少し大きな枠組みでとらえてほしかった(例えば官僚派と党人派の歴史とか、福田赳夫らとの確執とか、戦後民主主義の中の位置づけとか)。端的に云って、伝記なんだけど、終始伝記で終わってしまったという印象。(もちろん、田中的なものの抽出にはページを割いているのだが、この分量と質では、わたしは物足りなかった。)

  • 「世の中は白と黒ばかりではなく、中間のグレーなところに真実がある」とは、まさに田中角栄の言葉だが、そのグレーを良しとし、恥じることなく、強かに、体力と行動力で昭和後期を駆け抜けた。そして老蒙と晩節をけがした(スキャンダルではなく、生き様)のが田中角栄という政治家だったのだなあ。やはり、読みはじめたら止まらないほど面白い。

    田中角栄の生い立ちから最後までの評伝は初めてなので、そういうことだったのか的感慨、事実に触れた感慨多数。保坂正康の独自の幾つかの確信めいた推論もスリリングなことは認める。

    ただ、昨今の保坂正康氏の著作は、かつての著作に垣間見えた凄みのあるインタビュー取材の集積ではなく、他書からの二次資料からの引用が多いところが興が削がれる。田中角栄を語るのに避けては通れないのだろうけど、立花隆に論を寄せすぎと感じた。

    実にユニークで、ある種の天才。けれど、まだ呪縛されている気がする。あまりにも一時代を体現した巨人はまだまだ魅了されている。でももうやはり過去の遺物にしたい気もする。

  • 田中角栄について書かれた本。
    日本の総理大臣としては稀有な経歴をもつ点で、
    特に有名だと思われます。

    彼について知りたく、購入した本です。
    体系的にまとめられており読みやすい作品でした。

  • 都市に集まったカネを地方に分配する。公共事業を通じて地方の仕事や生活を保障する。その見返りが選挙のときの票となる。高度成長期の日本では確かに再分配の政治が可能だった。カネを生み出しそのカネで権勢をつくり、カネをばら撒いて政治を動かす。そういった仕組みを編み出したのが田中角栄という政治家だった。


    本書は田中角栄という人物を描いた評伝であると同時に角栄という政治家を通して昭和に生きた日本人の姿や本音を浮き上がらせようと試みた本だ。よくある角栄礼賛本でもなければ、批判一辺倒というわけでもない。冷静に田中角栄とはどういう人物で何をし、歴史になにを刻んだのか、を評した本で読み応えがあった。



    日中国交正常化の経緯やロッキード事件の発端と概要など戦後史の入門書としても最適だ。ただ田中時代の自民党内の派閥争いや誰が首相になるか、といった当時の政局の話は興味がない人には退屈かもしれない。(僕自身読むのが退屈だった)


    興味深く感じたのが田中角栄は金権政治家とよく言われたがそれは一面であり、むしろ義理や人情といった農村共同体に息づくムラ的な感性をもった人物だったという指摘だ。
    ムラ的感性をもっていたがゆえに共同体に暮らす庶民たちがなにを望んでいるか感じ取ることができた。それは豊かになること。欲望の充足。だから政治理念よりカネや実利を重視し人々の欲望の充足を政治の目的にした。戦後の日本人の本音を代弁し代表し、何事もカネ次第といった身も蓋もない論理で政治を動かしていった。まさに高度成長期を体現する政治家だったといってもいい。



    その角栄の愛弟子・小沢一郎がいま日本の政治の中心にいる。
    角栄が残した遺産(政治の金権体質、再分配システム)あるいは田中角栄的なもの(人間万事カネ次第)はまだ生きていると思う。

  • 面白かった。時代に求められ(日本列島改造論)、時代に捨てられた(金権、汚職、日本列島改造論への失望?)。ある意味チャーチルに似ていないか。
    日本列島改造論→妖怪が田舎から都市に現れ始める時期?
    著者が再三、田中が凡人?であることを強調するのが気になった。→庶民宰相、コンピュータ付きブルドーザーといった印象の否定。

  • ロッキード事件について、田原総一郎説をとっているが、立花隆はたしかこれを一蹴していた。
    日本海のメタンハイドレード開発に関連して、前説ではないのか?と思うようになった。

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