新しい風土記へ 鶴見俊輔座談 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 44
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733467

作品紹介・あらすじ

日本はどこに行こうとしているのか。歴史をどうとらえるか。勝ちっぷりでなく「負けっぷり」をどう評価するのか-。姜尚中、中村哲、徳永進、アーサー・ビナード、上野千鶴子、四方田犬彦、中島岳志、孫歌、池澤夏樹の9氏とともに、歴史について、戦争について、言葉の力・表現について、自らの依るところについて、縦横無尽に語り合う。贅沢な思索のひとときを。

感想・レビュー・書評

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  • どういうわけか鶴見俊輔に興味を持ってしまった。
    図書館で何冊か見渡し、対談形式のこの本であれば
    読みやすいだろうと手に取る。結果、やはり難しい。
    いや対談だから難しくない。読み解く知識が私にない。
    この場合、どうするか。必殺、読み流すである。
    全て理解せず気になった単語のみ調べ、どんどん読む。
    うむ、面白い。

    この本を読んで鶴見俊輔から感じることは
    ・明治の仕組みがいまだ続いてしまっている
    ・日露戦争で負けなかったこと=勝利という誤った定義
     →日本の一番病の弊害
     (明治の仕組みが継続、結果的にそれが大正、昭和を
      形作り、現在へと至ってしまう)
    という考えを持たれてる模様。そのエッセンスは対談の
    随所に出て、広がりを見せていく。

    本自体は徳永進、池澤夏樹の対談が特に面白かった

    医師である徳永進とは、死をテーマに話が展開。
    死を前にした時の価値観の逆転、死を肯定する言葉とは
    何か。老いと死の関係。誇りを持った死。

    池澤夏樹とは文学,思想がテーマ
    言葉・メカニズムで表せない日本人の「能」のような
    振る舞い、言葉の前にある存在、物や文化

    各人にも興味が出てきた。
    池澤夏樹は読んでみようと思う

  • どういうわけか鶴見先生の本はよんだことがなかった。もう20年近くまえだけれど、現代風俗研究会でなんどか、お目にかかったことはある。飲み屋でちかくにすわったこともあった。けれど、結局どういう方なのかよくわからないままとおりすぎていた。今回の対談集は相手がおもしろそうなのとかるい新書なので即購入してみた。自分が認めている人ばかりを相手にしているからというのもいくらかはあるかもしれないが、どの人に対してもやさしい。孫くらいの世代に対しても。姜尚中、中村哲、徳永進、上野千鶴子、いくらか著書をよんでしっている方だけれど、鶴見先生にひきだされるようにあらたな魅力がみつかった。中島岳志、私より10歳もわかいけれど、どの著書もよんでみたいとおもった。四方田犬彦、池澤夏樹、名前をしっているだけだったけれど、著書をよんでみたくなった。アーサー・ビナート、孫歌、はじめてきく名前だったけれど、意識しておこうとおもった。ついでに、やはり丸山眞男、竹内好はなんらかのかたちでかんがえ方にふれておきたいとおもった。いくら時間があってもたりない。そして、鶴見先生自身のかんがえ方にももうすこしふれていきたいとおもう。ところで最近、ふたりの恩師をなくした。恩師といっても直接おしえをこうたわけではない。たくさんの著書からいろいろなものの見方をまなんだだけだ。けれども、自分のなかではとてもおおきな存在だっただけに、このふたつの死はいたい。梅棹忠夫先生、森毅先生、おふたりのご冥福をおいのりします。(今回、ひらがながおおくなっていることにおきづきでしょうか。いまよんでいる梅棹先生の本の影響です。)

  • 知人に勧められて読みました。

    対談集ということで、ひとりひとりに割かれている紙数も限られていますから各人についてほんの紹介程度しか扱えていないと言えばそうですが、それでも興味深いところはいくらかありました。

    この本を読んでいて考えたのは、「言葉の手前にあるもの」についてです。あまり現実的な例を挙げてしまうとなんだかつまらない話になってしまいそうで嫌ですが…例えば、最近の政治家が失脚する際の原因を考えてみると「失言」が少なからず挙げられると思います。しかし、その政治家がはなったその言葉にはどれほどの意味があるのでしょうか?失言が悪いことではない、とは言いません。が、だからといって失言を取り上げる意味もそんなにないように思います。空っぽの言葉がやたらと重要事項であるかのように取り上げられて、議論はそれがどうだこうだというつまらない問題に終始してしまいます。そういうことよりも大切な、言葉のまえにある何かに注目して、もっと話ができれば(なんだか矛盾していることを言っているようではありますが)すてきだな、どうしたらいいのだろう…そういうことを考えさせてくれる本です。

    話がやたらと膨らんでしまいましたが、そうした言葉についての考察や、死についての話(徳永進さんとの対談)もなかなか興味深いところがあります。この本のなかにもたくさん参考文献というか、著作が挙げられていますから、きっとそういう問題についての入門にはいい本なのではないかな、と思います。

  • 20110812 日本の頭脳代表。自分とは距離がある、理解するには、努力が必要。

  • [ 内容 ]
    日本はどこに行こうとしているのか。
    歴史をどうとらえるか。
    勝ちっぷりでなく「負けっぷり」をどう評価するのか―。
    姜尚中、中村哲、徳永進、アーサー・ビナード、上野千鶴子、四方田犬彦、中島岳志、孫歌、池澤夏樹の9氏とともに、歴史について、戦争について、言葉の力・表現について、自らの依るところについて、縦横無尽に語り合う。
    贅沢な思索のひとときを。

    [ 目次 ]
    1 課題をつらぬく視座(姜尚中―核と戦後民主主義;中山哲―国家を超えて生きる流儀;徳永進―生き死にを学びほぐす;アーサー・ビナード―心に届かない言葉;上野千鶴子―老いを生きる覚悟;四方田犬彦―枠にとらわれない視点)
    2 アジアのなかの日本(中島岳志―パール判決書が、今に投げかけるもの;孫歌―中国文学者・竹内好の持つ広がり)
    3 聞きたかったこと、話したかったこと(池澤夏樹―思想をつらぬくもの)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • はっきりいって、つまらなかった。

    多数の人との対談集だから、掲載内容が限られてくるのはわかる。でも、あまりにも薄っぺらい。とくに冒頭の姜尚中と中村哲の話を期待して買ったものだから、味気なさ過ぎてがっかり。

    話のつながりも感じ取りにくくて、理解しづらくて(最近、河合隼雄の対談ばかり読んでいる影響もあるのかもしれないけれど)、途中から、読む気が失せた。(頭にすっと入ってこない。)

    この本は、どういう読者層を意識してつくられたのか、疑問に思う。
    (単にわたしの知層が浅いから僻んでるだけ?)

  • ・大切なのはマニュアルではなく,自分の身についた行為である「しぐさ」「作法」を共有し,伝承することだと思うんです。例えば,大岡昇平の小説『俘虜記』の主人公の日本軍兵士は,米兵を見たけれど,撃たないと決めたわけです。兵士の作法としては間違いですが,人間の作法に戻っている。
    ・ベルトコンベヤーに乗った人生はつまらない,と死ぬときにわかるんです。それでは遅いんだけどね。ところが,好きなことを存分にやったという人は,どこかで手を打つ。死と取引できたりするんですね。だけど,ベルトコンベヤー人生では取引できるものがないので,死んではならない,死は悪で,遠くにおくもの,となるんです。(徳永進)

  • 鶴見さんは15歳で渡米してハーバードを出た不良少年だったそうだ。不良少年だったことが枯れを支えてきたそうだ。

    アメリカに何かいうことは、大学で学んだ人間のすることではないと思っている人たちがいる。
    在日の目は近代日本史にとってのキーポイント。
    ベルトコンベヤーにのった人生はつまらない、と死ぬ時にわかる。鴨長明や西行の無常観がもう少しこの国に残っていればいいのに、と思う。病気の早期発見や新しい治療法はありがちなのですが、逆にあきらめてく力が減っている。
    言葉を使う前提となる理解を欠いたまま使い続けているということが、日本の政治にすごく影響している。国家の形成より先に社会はすでにあり、国家の中にいくつも社会はあるのに、社会をつぶして何でも国家本位になると思っている。これが日本のインテリの伝統になっている。
    敗戦直後に東大をなくそうとしたが、東大をなくしたら、日本の指導者を養成する場所がなくなるといったんだ。日本の指導者は東大に集めて養成しなければならないと思っているんだね。それで東大は残った。
    国家というのは何度も変わるわけだ。日本は国家は変わっていないと思っている。それは国民の信念なんだ。

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著者プロフィール

1922年東京生まれ。哲学者。15歳で渡米、ハーヴァード大学でプラグマティズムを学ぶ。アナキスト容疑で逮捕されたが、留置場で論文を書きあげ卒業。交換船で帰国、海外バタビア在勤部官府に軍属として勤務。戦後、渡辺慧、都留重人、丸山眞男、武谷三男、武田清子、鶴見和子と『思想の科学』を創刊。アメリカ哲学の紹介や大衆文化研究などのサークル活動を行う。京都大学、東京工業大学、同志社大学で教鞭をとる。60年安保改定に反対、市民グループ「声なき声の会」をつくる。六五年、ベ平連に参加。アメリカの脱走兵を支援する運動に加わる。70年、警官隊導入に反対して同志社大学教授を辞任。著書に『鶴見俊輔集』(全17巻、筑摩書房)『鶴見俊輔座談』(全10巻、晶文社)『鶴見俊輔書評集成』(全3巻、みすず書房)『戦後日本の大衆文化史』『戦後日本の精神史』(岩波書店)『アメノウズメ伝』(平凡社)ほか。

「2015年 『昭和を語る 鶴見俊輔座談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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