高杉晋作の「革命日記」 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 166
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733566

作品紹介・あらすじ

幕末の長州藩で百姓・町人なども動員して奇兵隊を作り、幕府軍をみごと打ち破る。高杉晋作は、六篇の日記を残している。そこには-江戸への航海記、東国での武者修行の旅、小姓役として若殿様に仕える日々、そして幕府貿易視察団に加わり上海に滞在して目にした欧米列強の力、のちに藩命に反したとして牢に繋がれた波乱と革新の生涯が描かれている。それを現代語でよみがえらせた。

感想・レビュー・書評

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  • 高杉晋作が生涯の中で残した6冊の日記を一坂太郎氏が読みやすいように解説を付けて現代風に訳したという本です。
    タイトルに革命という文字が使われているのですが、内容はごく普通の家族思いな青年武士としての生活が大半でした。特に忙しい仕事に追われる最中で自分の誕生日を心の中でひっそりと祝う所が可愛い。どの日記も途中で中断してしまっているが一坂氏の推測が面白い。とても幕末史に残る革命を起こした志士とは思えない。これが高杉晋作の本当の姿なのかと驚きました。

    しかし、上海留学の体験を記した日記や野山獄に投ぜられた時に書き綴った日記は彼の人生に大きな影響を与えただけあって、心の底からの決意や訴えがひしひしと伝わって来て読む価値があります。特に投獄日記は何の為に脱藩したのか、来島又兵衛とどの様な話し合いをしたのかを子孫に伝えようと書かれているので(投獄された当時は妻・雅子のお腹の中に長男が身ごもっていました)高杉晋作の為にも読んで欲しいです。

    あと、高杉晋作が旅で歩いたルートを一坂氏が車で辿った旅行レポートもあったりします。病弱なイメージが強いのに意外とタフなのが分かります。
    でも、風邪を引きやすい体質だったのが印象深かったです。一度ひくとなかなか治らず辛そうだった事も…。彼の最期を知っている身としてなんとも言えない気持ちになります。
    高杉晋作に関わってきた長州の志士たちの名も時折出てきますが、特に桂小五郎の名は頻繁に出てきて旅に出る直前に馬に乗って駆けつけたりと劇的な場面も。本当に兄弟のように仲良さそうで微笑ましいです。

    こういう形で高杉晋作の本心が読める本を書いてくださった一坂氏には感謝したいと思います。

  • 高杉晋作の日記六冊の現代語訳。年齢でいえば満22歳から26歳の時期。新社会人になった小姓として上役や先輩から指示を受けて働く様子や野山獄中で思い悩む様子は身近な存在として好感が持てる。幕末の「志士」は大なり小なり偶像化されてしまってるけど、そのイメージに縛られることなく、また貶めるでもなく、等身大で捉えようとする佳い本。

  • 「僕の誕生日。心の中で、少し祝う。」こ、ここに可愛い生き物がおるでー!高杉晋作のイメージといえばクールでニヒルで格好いい。動けば雷電の如く、発すれば 風雨の如し。なんだかマンガの登場人物みたいで出来すぎてる感すらある。でも日記に書かれているのは、剣術修行でボロボロに負けて日記書く気なくしてしまった り、お父さんと一緒に庭掃除したり、地震の時に小姓で一番に駆けつけて鼻高々だったりと、封建社会に生きる普通の青年藩士の姿であり、その等身大の姿に親しみ がもてます。それにしても風邪引きすぎや•••。

  • 2010年発行。高杉晋作小伝と、「東帆録」「試撃行日譜」「せつ御日誌」「初番手日誌」「遊清五録」「投獄文記」の6篇の日記の現代語訳。一番興味深かったのは「遊清五録」。「初番手日誌」で「僕の誕生日。心の中で、少し祝う。」がなんだかかわいらしくてツボ。けど『高杉晋作史料 第二巻』では「予誕生日ナリ、少シク祝之意ヲ用ユ」となっていて、さほどかわいらしさを感じないので、あくまで訳がかわいらしいだけのような気もする。

  • 幕末の維新志士(倒幕以前に亡くなった彼が含まれるかは不明)たちって偶像化・伝説化されてイメージが先行しがち。でもこうやって日記を見ると、彼らも普通の青年的な部分ももっていたんだなってことが垣間見える。淡々とほんとに日記を掲載している状態だったから読むのつらかったけど、読んでよかった。

  • 高杉に雷電風雨のイメージしかないならば楽しめないかも。
    けれど高杉好きなら読んで損はなし。

  • 幕府使節団に加わり清朝中国へ渡航した際の旅日記の『5章 遊清五録』と野山獄へ投獄中の獄中日記『6章 投獄文記』は必読。

    アヘン戦争以降、欧米列強が進出した上海に渡航することで、日本が置かれた状況に強い危機感を確かなものとして確信していく過程が生々しく書かれている。

    また、現地の兵士と筆談を交わし、交流を深めている様子も描かれているところも読み応えがある。

    野山獄での獄中では、時代がめまぐるしく変化していく中獄中で何も出来ない歯がゆさをいくつもの漢詩で綴っている。

    この本を読んで、小説の中で描かれる高杉晋作という人の捉え方が変わった。攘夷の急先鋒として過激な行動にでる人というイメージが強かったが、日記から読めるのは、君主に従順かつ素直で、勉強熱心な一面だった。

  • 坂本龍馬が31歳で岡田以蔵が27歳、吉田松陰の29歳に久坂玄瑞の24歳、そしてこの高杉晋作が27歳というほど、幕末の志士たちの夭折さは今さらながら無念の思いが募るばかりです。

    それは単に、あたら若い命を惜しくも失くしたことを嘆くだけでなく、あの時代のあの時期にあってもっとも重要な考え方や動き方をした人物を喪失したということが、その後の日本にとって大きな損失になった、否、間違った方向に行ってしまう契機になったとさえ思われるからです。

    それと、私も大好きではありますが、司馬遼太郎をはじめ幾つもの小説にとりあげられることで、あまりにも坂本龍馬だけが飛び抜けすぎて、もうひとり、大事な人物を忘れちゃあいませんかってんです、こちとら江戸っ子じゃなくて京都っ子だァ、そうそうそいつは森の石松でェ・・・あっ、いけない、ごめんなさい、昨夜、ついに禁断の浪曲を、初めて広沢虎造の『清水次郎長伝』『森の石松三十石船道中』などを体験してしまって、まだその余韻の中にあったものだから、ついつい。

    浪曲を聞いたのはまったく初めてですが、これはいってみればひとりミュージカル、三味線と合いの手に乗せて回しを利かして謡われる浪曲と語りの部分の絶妙なコントラストは、巧妙なドラマツルギーを創出するトリックとしてある気がします。私には初代も二代目もそれぞれ味があるので甲乙つけがたいものでした。

    それはともかく、以前から、いわば時代の変革の流れを逆行させようとして反動的な活動をした新撰組の方が、やはりこれも歌舞伎や映画や小説のせいで過剰にとりあげられすぎで、同じ農民・町民を組織したというなら奇兵隊をもってして日本の夜明けを切り開こうとした高杉晋作が何故もっとクローズアップされないのか歯がゆかったのですが、実を言うと彼の肉声そのものに耳を傾けたことがありませんでした。

    その意味で、高杉晋作が残した六つの日記を、わかりやすい現代語にして解説が加えられているこの本は、まさに私が待望していた本です。

    六つの日記とは・・・・
    (一)東帆録:萩から江戸までの航海実習日記
    (二)試撃行日譜:北関東・信州等を歩いた旅日記
    (三)せつ御日誌:初出仕したエリートの萩での勤務日記
    (四)初番手行日誌:若殿様の側近として江戸での勤務日記
    (五)遊清五録:上海で欧米列強の脅威を痛感した旅日記
    (六)投獄文記:失意の中で内なる自分と向き合う獄中日記

    ・・・ですが、ここから浮かび上がってくる彼は、親孝行だったこと、主君に忠実であろうとしたこと、せっかくの奇兵隊も彼の武士としての自意識過剰で平等とはいえなかったこと、獄中では自暴自棄におちいったり弱気になったりとけっして闘士あふれる人ではなく普通の青年だったことなど、以外にも期待はずれ予想外の現実でした。

    その平凡な高杉晋作が大変革をみせる兆しとなったのが、幕府の貿易視察団の一員として上海にいった異郷体験だったようです。

    中国にある上海でも英国や仏国の属国である、ということを鋭く察知した彼は、日本もやがてそうさせてはならない、という強い意志を持って、日本のために自らが奔走する道を選んだのです。

    27歳で惜しくも病死してしまいますが、この六つの日記は、彼の闘いの歴史をはっきりと示した生きるあかしとして、広く読まれるべきものだと思います。

  • 「等身大」という言葉が似合う、いい本。
    気軽に日記が読めるって素敵。どうしても原文だと構えちゃうよね。原文でなきゃ伝わらない良さもあるけど。
    こういうのが増えてくれれば、実際とかけ離れたイメージが独り歩きすることはなくなるだろうな。もっと増えてくださいお願いします。

    高杉にわたしが感じるのは格好良さとかじゃなくて、生々しいほどの人間臭さなんだよなあ。
    彼のその、のたうち回った懊悩や足掻きの結果が、輝かしい革命家としての経歴な訳で。
    「若者」の結晶みたいな人だと思う。

    いつか高杉文書系にも手を出したいナー

  • 幕末の英傑・高杉晋作の個人日記。電光石火な風雲児のイメージが強い高杉晋作ですが、この日記では、真面目に小姓の研修を受けたり、旅の中で人に教えを乞いに言ったり、毎日地道に本を読んで知識を蓄える愚直な人物像が現れています。真面目で孝行者の一面と「僕は筆と硯の家来になるために生まれたのではありません」と言って江戸への航海に乗り出す冒険家、両方が楽しめます。交友関係もよく書かれてるので、一度何かしらの小説を読んでいると更に楽しめるのではないでしょうか。あ、現代語なのでご安心を!

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プロフィール

1966年、兵庫県芦屋市生まれ。幕末維新史研究家。萩博物館特別学芸員、至誠館大学特任教授、防府天満宮歴史館顧問、春風文庫主宰。大正大学文学部史学科卒。著書に『長州奇兵隊 勝者のなかの敗者』『吉田松陰とその家族』『幕末歴史散歩 東京篇』『幕末歴史散歩 京阪神篇』『高杉晋作の「革命日記」』『高杉晋作を歩く』『坂本龍馬を歩く』『高杉晋作』『司馬遼太郎が描かなかった幕末』など。

「2017年 『明治維新とは何だったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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