高杉晋作の「革命日記」 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 205
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733566

作品紹介・あらすじ

幕末の長州藩で百姓・町人なども動員して奇兵隊を作り、幕府軍をみごと打ち破る。高杉晋作は、六篇の日記を残している。そこには-江戸への航海記、東国での武者修行の旅、小姓役として若殿様に仕える日々、そして幕府貿易視察団に加わり上海に滞在して目にした欧米列強の力、のちに藩命に反したとして牢に繋がれた波乱と革新の生涯が描かれている。それを現代語でよみがえらせた。

感想・レビュー・書評

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  • 高杉晋作が生涯の中で残した6冊の日記を一坂太郎氏が読みやすいように解説を付けて現代風に訳したという本です。
    タイトルに革命という文字が使われているのですが、内容はごく普通の家族思いな青年武士としての生活が大半でした。特に忙しい仕事に追われる最中で自分の誕生日を心の中でひっそりと祝う所が可愛い。どの日記も途中で中断してしまっているが一坂氏の推測が面白い。とても幕末史に残る革命を起こした志士とは思えない。これが高杉晋作の本当の姿なのかと驚きました。

    しかし、上海留学の体験を記した日記や野山獄に投ぜられた時に書き綴った日記は彼の人生に大きな影響を与えただけあって、心の底からの決意や訴えがひしひしと伝わって来て読む価値があります。特に投獄日記は何の為に脱藩したのか、来島又兵衛とどの様な話し合いをしたのかを子孫に伝えようと書かれているので(投獄された当時は妻・雅子のお腹の中に長男が身ごもっていました)高杉晋作の為にも読んで欲しいです。

    あと、高杉晋作が旅で歩いたルートを一坂氏が車で辿った旅行レポートもあったりします。病弱なイメージが強いのに意外とタフなのが分かります。
    でも、風邪を引きやすい体質だったのが印象深かったです。一度ひくとなかなか治らず辛そうだった事も…。彼の最期を知っている身としてなんとも言えない気持ちになります。
    高杉晋作に関わってきた長州の志士たちの名も時折出てきますが、特に桂小五郎の名は頻繁に出てきて旅に出る直前に馬に乗って駆けつけたりと劇的な場面も。本当に兄弟のように仲良さそうで微笑ましいです。

    こういう形で高杉晋作の本心が読める本を書いてくださった一坂氏には感謝したいと思います。

  • 「僕の誕生日。心の中で、少し祝う。」こ、ここに可愛い生き物がおるでー!高杉晋作のイメージといえばクールでニヒルで格好いい。動けば雷電の如く、発すれば 風雨の如し。なんだかマンガの登場人物みたいで出来すぎてる感すらある。でも日記に書かれているのは、剣術修行でボロボロに負けて日記書く気なくしてしまった り、お父さんと一緒に庭掃除したり、地震の時に小姓で一番に駆けつけて鼻高々だったりと、封建社会に生きる普通の青年藩士の姿であり、その等身大の姿に親しみ がもてます。それにしても風邪引きすぎや•••。

  • 旅をして読書して仕事して投獄されて。高杉晋作がどんな人と会い、どんな事をして、どんな事を感じ、どんな事を考えていたか。現代語訳でとても分かりやすくて興味深かった。

  • 本書にて等身大の晋作を感じられました。

  • 高杉晋作の歴史上のイメージが変わる。
    こんな人だったんだと思える部分がたくさんあり面白い。
    現代語に訳されていて読みやすいが、今後は原文も読めるように勉強し、読んでその時の情景を自分なりに想像してみたい。
    興味深かったのは、旅の際に1日に移動する距離。軽く30~40km越えで、宿に入って寝ないで次移動なんて事もある。かなりの健脚だろうなと。筑波山なんかも移動中に登ってるし。
    また好きな箇所はたくさんあるが、牢獄の中で囚人と討論になった際に、何言っても理解しなくてめんどくさいから笑ってやり過ごした。ってところ特に好きです。

  • 龍馬伝スピンオフドラマ・伊勢谷さん主演「高杉晋作伝」をお願いしたい。

  • 高杉晋作の日記六冊の現代語訳。年齢でいえば満22歳から26歳の時期。新社会人になった小姓として上役や先輩から指示を受けて働く様子や野山獄中で思い悩む様子は身近な存在として好感が持てる。幕末の「志士」は大なり小なり偶像化されてしまってるけど、そのイメージに縛られることなく、また貶めるでもなく、等身大で捉えようとする佳い本。

  • 2010年発行。高杉晋作小伝と、「東帆録」「試撃行日譜」「せつ御日誌」「初番手日誌」「遊清五録」「投獄文記」の6篇の日記の現代語訳。一番興味深かったのは「遊清五録」。「初番手日誌」で「僕の誕生日。心の中で、少し祝う。」がなんだかかわいらしくてツボ。けど『高杉晋作史料 第二巻』では「予誕生日ナリ、少シク祝之意ヲ用ユ」となっていて、さほどかわいらしさを感じないので、あくまで訳がかわいらしいだけのような気もする。

  • 幕末の維新志士(倒幕以前に亡くなった彼が含まれるかは不明)たちって偶像化・伝説化されてイメージが先行しがち。でもこうやって日記を見ると、彼らも普通の青年的な部分ももっていたんだなってことが垣間見える。淡々とほんとに日記を掲載している状態だったから読むのつらかったけど、読んでよかった。

  • 高杉に雷電風雨のイメージしかないならば楽しめないかも。
    けれど高杉好きなら読んで損はなし。

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著者プロフィール

一坂太郎

萩市立博物館高杉晋作資料室室長。1966年兵庫県芦屋市生。大正大学文学部史学科卒業。歴史研究家。著書『幕末歴史散歩 東京篇』『同 京阪神篇』(以上中公新書)、『高杉晋作』(文春新書)、『坂本龍馬を歩く』『高杉晋作を歩く』(以上山と渓谷社)、『司馬遼太郎が描かなかった幕末』(集英社新書)、『わが夫坂本龍馬』(朝日新書)ほか多数。

「2020年 『暗殺の幕末維新史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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