メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733597

作品紹介・あらすじ

iPadが日本で生まれなかったのには理由がある。世界のモノづくりのルールが変わったのだ。従来のメイドインジャパンのやり方では戦えない。超・量産と「修理するより新品交換」のモノづくりのルールが、いま世界を席巻している。これこそアップル勝利の方程式。メイドインジャパンも「ルールを変える」ことが復活のカギだ。東芝、パナソニックなど、成功例に学べ。

感想・レビュー・書評

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  • デジタル家電と呼ばれる領域について、iPadの優位性、そして国産ベンダーでもまだ太刀打ちできる部分があることを記述した一冊。

    言うは易し、行うは難しか?

  • スマホではCPU以上にGPUが重要。
    iPhone4でアンテナ問題が会った時もジョブズは開き直った。
    修理コストはサポート費用で人件費がかかるから、その分良い製品を開発した方が良い。
    携帯電話向けLSIの中にはCPUだけでなく、音楽や映像の足性を助けるデコーダや無線通信を行うベースバンドチップが入っている。そしてマルチにアプリを使うことは少ないから、省電力化が求められる。

  • 足りないものはこれらだと理解した。
    ・UXドリブン
    ・トップダウンの商品ロードマップ
    ・中期的プラットフォーム
    ・戦略的な協業関係構築、エコシステムの構築

  •  本書は「メイドインジャパンとiPad、どこが違う?」のかを技術・機能や戦略を含めた総合的観点から、日本の製造業とアップルの違いを良くわかるように解き明かした良本であると思う。
     アップルのiPhone・iPadがすごい勢いで疾走し業界を席捲しているのも知ってはいたが、その技術的内容や専門的評価の詳細を本書で知ることができて興味深く読めた。
     「iPadは何がすごいのか」で、iPhoneを見て日本の技術者は衝撃を受けたという。それは決して技術的にはすごくはないが、その発想がすごかったという。「電波」「カメラ」「サイズ」「操作性」の4つの評価点の配分のうまさが際立っているというのだ。アップルは前者3つはそこそこでも、「操作性」を大胆に引き上げたところに戦略性があるとの指摘だろう。アップルは日本メーカーの発想とは真逆の発送でものづくりをおこなっているとの視点は興味深い。
     「アップルが仕掛ける超量産の時代」では、アップルの量産システムを推測している。iPhoneは年間2000万~3000万台。iPadは年間800万台という桁違いの台数を出荷しているというのだ。その製造システムや製造の分析は専門的ではあるがおもしろく読めた。
     本書では「スマートフォンとは、2000年からの10年間、携帯電話を支えていたビジネスモデルを覆す存在であり、iPhoneはその際たるものであると断言する。その理由が「プラットフォーム」にあるとは驚きである。
     また、本書によって薄型テレビの世界シェアでサムソン電子がトップを走っている理由も良くわかった。アメリカの消費者は、日本の高画質・高付加価値製品よりも、少々画質が劣っていても、デザインが良くて、今までよりもリビングで栄えて、手に入りやすい価格のサムソンのテレビを選択したというのだ。日本の製造業の技術者に「オーバークオリティ」というのはちょっと酷な話だなとも思った。技術者は何よりも良い製品を作るのが使命とも考えるからである。
     本書は「日本にはまだまだ技術はある」と言う。ただ「未来も海外の市場も見なかった」と指摘している。本書を読んで、なぜアップルやサムソン電子に日本の製造業が敗れたかの一端を知った思いがする。もっと良いものを作るのは技術者の仕事だが、経費も時間も有限である以上、本書の指摘する諸点を考慮し、日本の製造業が再興してくれることを望むものである。本書は、技術を扱ってはいるが、読みやすく、わかりやすく高く評価できる本であると思う。

  • iPadがすごい売れ行きということがわかった。

  • iPad,iphoneをたくさん売っているappleの強さ、修理するより新品交換!
    メイドインジャパンの強さ、ものづくりのしくみがわかりやすく説明されていました。

  • 「世界で勝てるデジタル家電」とありますが、殆どの内容がapple製品の強さを分析したもので、世界で勝てるかどうかはわかりません。


    しかし、今までなんとなく理解していたIpodの特徴がより深く学べたことは良かった。「ユーザビリティ」と一言で括ってしまいがちな強みを、ビジネスモデルや技術ベースから深めることができた。


    本書の5章に書かれているとおり、日本メーカーが三星やリンゴに勝つにはルールを変える必要がある。


    そのために、現在のルールである各社のビジネスモデルを覗いておくことは、プレーヤーとして戦う上で重要なことである。

  • 2011.3.1

  • 支持される家電製品をいかにして作り上げるのか。その成功例として、ユーザが求める「操作性」と「快適性」に拘ったAppleの事例紹介。そして、国内メーカはガラパゴスと自らを揶揄しているが、そのガラパゴスを新しい世界の常識とせよ、という筆者のメッセージ。思うところもあり、これには耳が痛い。既存の仕組みに順応するに留まらず、自分も新しい仕組みを作り出す、という意識を持とう・・・

  • アップル躍進の秘密をハードのマスを意識した製造技術、修理まで含めたライフサイクルマネージメントの妙と説く。確かに、従来の日本を含めた世界の家電、IT企業にはない特徴が今の時代にフィットし、アップル一人勝ちを許しているのであろう。またiOS、A4プロセッサ、GPUといったプラットフォームをiPhone,iPod Touch,iPad,Apple TVへ展開する際に、ジョブスを中心に機能の割り切り、こだわりを戦略を持って進めたことなど、テンポよく紹介している。iPhone で初めてアップルに触れた人にぜひ読んでもらいたい書である。
     また筆者の日本メーカーへの憂い、期待が感じられ、再び世界と戦うための提案は参考になるであろう。

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著者プロフィール

ITジャーナリスト。
1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿する他、年数冊のペースで書籍も執筆。テレビ番組の監修なども手がける。主な著書に「ポケモンGOは終わらない」(朝日新聞出版)、「ソニー復興の劇薬」(KADOKAWA)、「ネットフリックスの時代」(講談社現代新書)、「iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」(エンターブレイン)がある。

「2022年 『メタバース×ビジネス革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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