調律師、至高の音をつくる 知られざるピアノの世界 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 116
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733672

作品紹介・あらすじ

演奏会において、一流のピアニストを陰で支える調律師の仕事を初公開。まるで、F1マシンを整備するがごとく、一人ひとりのピアニストにあわせて、名器スタインウェイを最高の状態に仕上げる職人の技とは-。調律の仕事を通して見えてくる、ジャンルを超えたピアノの世界、コンサートの楽しみ方を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 調律師の仕事とは、こんなに繊細で、かつ、エネルギーのいるものなのか、とワクワクしました。
    ただ音程を合わせるだけかと思っていたら、いろんなことをしてるんですね。

    発表会でいくつかのホールのピアノを弾いた経験から、リハーサルはそのピアノに『慣れる』必要があると感じていました。
    著者の高木さんは、スタインウェイのピアノをホールに『持ち込む』ことを仕事にしています。
    発想はスタインウェイ社がおこなっていたことですが、それを日本で実現し、企業として成り立つまでにしたことが素晴らしいです。
    調律がしたい、ではなく、最高の音楽を育てる土壌をつくりたい、という遥かに高い次元の目的があれば、この人はもっといろんなことをやってくれそう、という期待が高まります。

  • ピアノを習っていたため、調律師は小さい頃から身近な存在ではありましたが、彼らがどんな風にピアノを調律しているのか、その仕組みはさっぱり分からないままだったので、調律師による本に興味を持って読んでみました。

    音の出る仕組みの解説が、写真付きで掲載されていました。
    ピアノの鍵盤は、普通は88鍵ですが、弦は200数十本あり、その一つ一つを合わせていく作業となります。

    3本のペダルの名前を知らないまま、これまで使っていました。
    ダンパーペダル(右)響きを持続、音を持続、ソステヌートペダル(中)音を持続、ソフトペダル(左)音量を減らす、となっているとのことです。
    スタインウェイはカーネギーホールで音がよく通る楽器として有名になったと知りました。

    普通の楽器であるならば、演奏家が自分のものを自分で調律しますが、ピアノは運べないため、毎回調律が必要になります。
    プロの演奏は、ホール・楽器・ピアニストの3点のバランスが揃ってこそ。
    調律師の責任は重大です。

    著者は、一度に6台の連弾用ピアノを調律したことがあるそうです。
    全てのピアノの音色をぴったり合わせるのは、並大抵のことではありませんね。
    調律師は、日本に3万人おり、コンサートチューナーとして名が知られる人は20人程度だとのこと。
    狭き門です。

    また、コンサート会場は、一番ピアノの音響が良くなる温度25度、湿度50%に保たれているとのこと。
    繊細な世界だなと改めて感じます。

    そんなプロの調律してある著者も、会場を間違えたり、調律道具を忘れたりと、いろいろな失敗談もあったと紹介されていました。
    自分の能力頼みの調律師。奥の深い仕事だなと、改めて感じました。

  • どの世界でも、プロってすごい。

  • 家庭のピアノを調律する事が主な仕事だと思い込んでいたが、コンサートやレコーディング等で気候や場所、ピアニストに合わせて調律したり、ピアノのオーバーホールまでする職業だと知って目から鱗が落ちた。
    (尤も、そこまで出来る調律師は多くなく、しかしそれが出来るのが一流の調律師だと著者は述べている。)
    たとえどんなに素晴らしいピアノ(ピアノに限らず他の楽器も同様)でも、箱入り娘の様に大事にしすぎると逆にダメになり、使用した上で壊れたり調整が必要になったら適切な処置をする方が、ピアノが更に素晴らしいものになるという考えに感心した。
    これは楽器に限らず、他のものにも当てはまる考え方だと思う。

  • 230104

  •  調律師を必要とされる場がこれほど広いものだとは、驚くばかりであった。まったく不明を恥ずるばかりであるが、それにしてもスタンウェイを何十台も、いつでも出前できるように調律してあるとは、まことに恐れ入りました。

  • ピアノ界の矛盾点、その通り!

  • 一流のコンサートやレコーディングに携わるピアノ調律師の話。
    一般家庭やちょっとした自治体ホールのピアノを相手にするのとは異なり、コンサート・チューナーとも呼ばれるプロ中のプロ。その役回りは調律の域を大きく超えていて、ピアノ・プロデューサーと呼ぶのが適切だ。
    クラシックのコンサートやジャズのライブなど華やかな表舞台の裏方で、責任重大な仕事を任される有様が臨場感たっぷりに紹介されている。単純に音程を合わせる作業など、デジタル式チューナーでもあれば簡単なようだが、ピアノって240本以上も弦があるとは...音程だけではなく、設置を含めて音の響きやタッチの調整までもが、調律師の守備範囲という。
    ジャズピアノ6連弾セッションのエピソードが痛快。リハーサルの前後2回のチューニングを行うので、限られた時間内に一人で都合3000本近くの弦を調律したことになる。著者はスタンウェイをF1に、自分達をメカニックに喩えているが、まさにその通りだ。
    縁の下の力持ちの職人譚は、どんな話でも心に響く美しさがある。本書もその例に漏れない。

  •  「ハンブルク・スタインウェイ>ニューヨーク・スタインウェイって、ホント?」
     「複数のピアノを同時に調律するプロセスは?」
     「ステージにピアノを据える位置はどうやって決めるの?」
     「クラシックとジャズ、それぞれの演奏や録音はどう違うの?」

     たとえばそんな、コンサートの休憩時間やCDのライナーノートを眺めながらふと頭をよぎるような問いを、とても分かりやすく解いてみせてくれる本。
     カーネギーホールとニューヨーク・スタインウェイの技術発展が密接に関係していたという話、ピアノをホールに持ち込んでから仕上げるまでの話、クラシックとジャズの演奏技法や録音の違い(ジャズの話がスルーされないだけでも嬉しい!)……
     さらに「コンサートの途中に調律をしなおすということ」「小さい音をコントロールすることこそ至難」……「そうだったのか!」とか、「やっぱり!」とか、読みながらパズルのピースがパチパチ噛み合っていくような心地良さ。ピアノ好き、調律という仕事に憧れを持つ者としては、ワクワクせずにいられない。
     前半部分、そして客観的に書かれた経験談は本当に面白い。読み終わるのが勿体無くて、数日かけてチビチビ読み進めていったくらい。

     ただ、後半の経験談では、自慢めいた話や、その一方で他者を貶すような話が目立ってくる。そこがちょっとガッカリなので★-1。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4022733675
    ── 高木 裕《調律師、至高の音をつくる ~ 知られざるピアノの世界 20101112 朝日新書》
     
     高木 裕 調律師 19‥‥‥ ‥‥ /タカギクラヴィア社長
     
     調律師には、調律・音色・感触の三つの作業がある。
     ピアノのフレームは220トンの張力(チェンバロにはフレームがない)。
     高音は3本、中音は2本、低音は1本の弦を合わせる。
     
    ── 《徹子の部屋 20120614 テレビ朝日》100歳のピアノを調律。
     
    ── 「聴」は「十四の心を耳に」ということで、そういえば音楽は聞
    くものではなく、聴くものですね。
    http://piano-music-life.blog.eonet.jp/default/2011/03/post-05ec.html
     

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