通貨戦国時代 円高が続く本当の理由 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022734051

作品紹介・あらすじ

リーマン・ショック後の通貨安競争を経て、世界は「通貨戦国時代」に入った。人民元をめぐる米中の闘い、相対的に安全だとして円に「避難」してくる国際マネー…。ドル本位体制の行方は?最終的に円は勝てるか?伝説のカリスマ・ディーラーが通貨を論じ尽くす。

感想・レビュー・書評

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  • 2011年刊。著者は元シティバンク・チーフディーラー。◆この程度の論理やファクトしか扱わないのに著名外銀のディーラーが務まる以上、論理構成力や情報分析力はディーラーの必須能力ではないのだなと感じさせるほど中身がない(多分、別の能力が必要なんだろう)。◇唯一目に留ったのは、海外(特に海外機関投資家)から見れば、円の安・高にはほぼ無関心、ドル安かドル高の事実。かつ為替変動の要因は多様だが、多くは米国の事情で、他要因を併せると日本国内の要因(例えば異次元量的緩和)は大して影響しない(無関係とまでは言わない)件。
    ◆なお「円高、何が悪いんだ。」「デフレ、良いではないか」というのが著者の立ち位置のよう。他の国はインフレで困っているんだぞ、ということなんだろう。円高やデフレを前提に、社会システム変容と産業シフトのチェンジを組み合わせていくべきというスタンスか。

  • 請求記号:338.97/Ogu
    資料ID:50062600
    配架場所:図書館1階東館 テーマ展示

  • 刺激的なタイトルですが、書いてある内容は極めてオーソドックス。
    各国の金融政策や足元の為替動向について、頭を整理するのに便利。
    わかりやすく書こうという著者の意思を感じますが、為替用語はどうにも慣れにくい…。

    ①リーマンショック後の金融/為替動向(おさらい)

    <Phase1:2009~2010年前半>

    リーマンショックに端を発する信用危機を受け、
    各国とも金融緩和(金利引下げ等)を実施、市場への資金供給を増やした。

    これには信用危機を防ぐという効果はもちろんだが、
    金融緩和により自国通貨の為替レートを押し下げ、
    輸出産業の活性化を通じた景気回復も狙っている。

    金融危機前は好景気を謳歌し、比較的高金利だった米国・欧州は、
    ゼロ金利を続ける日本に比べ「下げ幅」が大きく、
    結果としてドル/ユーロに対して円高が進むことに。

    <Phase2:2010年後半~現在>

    金融緩和で溢れた先進国資金は新興国に向かい、インフレ要因に。
    新興国は金利を引き上げインフレ退治に取り組むも、
    それも限界に近づきつつある国が出てきた。

    資金流入が過剰に進み、新興国のバブルが弾けようものなら、
    先進国にとって頼みの綱の輸出産業が落ち込み、
    先進国・新興国併せた世界大不況となる恐れもあることから、
    先進国も「引き際」を模索し始めている。

    ただ、金融引き締め(金利引上げ等)は、景気に冷や水を
    かけることになるため、タイミングは慎重にならざるを得ない。

    ②ギリシア問題

    ユーロ圏では、金融政策はECBに一元化も、財政政策は各政府が決める。

    通常、景気が落ち込んだ場合、金融緩和&財政出動で
    景気を刺激するのが一般的だが、ユーロ圏では、
    金融政策の決定権はECBにあり、各国の自由にできない。
    そのため、相対的に景気落ち込みが大きい国は、
    金融政策で不足する分を財政出動で穴埋めすることになりやすい。

    また、通常、財政赤字が膨らむと自国通貨の価値が下がり、
    輸入抑制・輸出拡大を通じた調整が進むものだが、
    ユーロは単一通貨でるため、域内貿易についてはその仕組みが働かない。
    ギリシアの場合、競争力の強いドイツに対する経常赤字が拡大、
    その赤字をドイツからの借り入れで補填するという、どうしようもない状態に。

    ギリシアはこの罠にはまり、財政赤字を拡大、さらに統計数字の改ざんにより、
    市場での信頼を失い、いよいよ資金調達が困難に。
    遂に債務不履行の恐れがでてきた(もう半分不履行状態だが、、、)。

    本件の根っこはユーロの構造的な問題(金融と財政の不整合)にあり
    ユーロそのものの信頼が問われている状態。
    ユーロ加盟国は支援に乗り出すも、自国の税金を使って
    ギリシアを救済することには自国民の十分な納得を得るのが難しく、苦戦中。

  • Do not fight Fed.
    という世界中の為替ディーラーが口にするフレーズ。

    今のように米国がドル安を望んでいる(口では逆のことを言っているけど...)状況下では、FRBの望む通りドル安が続きそう。

    昔に比べると米国の世界経済に対するコントロールは絶対的ではなくなってきていると思うが、まだしばらくはFRBには逆らわないポジションを取っておいたほうが良さそう。

  • 二年ほど前から避け続けていた経済系の本を読むようにしている。
    金、レアメタル、石油に代表される資源から貨幣にいたるまでを把握すると、現在の円高や資源高の理由がよくわかる。
    少しの知識を手に入れると、世界経済の動きがわかったようになり、且つ外交と同じく利潤(国益)追求のゲームのように見えるのだけれど、世の中は意外と(一般人が思っているより小さく、専門家が前提としているよりも大きく)調和を求めているということにたどり着く。
    だが、リーマンショック以後の通貨戦争はそういうものではない、通貨と政策を武器として、各国が本気で潰しあいをしているのが手に取るようにわかる。
    これは、あたかも「チキンゲーム」のようにお互いがお互いの国を守るために血眼の争いをしている。日本はそのなかで、アメリカの保護を受けずに世界のマーケットに入り込み戦う気概があるのであれば、もうそこまできている中国「元」に対抗すべく国際化を目指す戦略をとらなければならない。
    一度失敗したのだけれど、もう一度挑戦する最後のチャンスが正に今である。あるいは、一ローカル通貨として本分を全うするのであれば、そういう戦略を頑なに守らなければならない。
    また、あらゆる価値観を日本人として決定していくのがよいのか、「あいまい」に世界で器用に立ち回っていくのがよいのか。その答えをだすには私の能力ではまだ数年を要する。
    日本を信じるのか世界に立ち向かうのか。これが問題だ。

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