浅田真央はメイクを変え、キム・ヨナは電卓をたたく フィギュアスケートの裏側 (朝日新書)
- 朝日新聞出版 (2011年12月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022734297
感想・レビュー・書評
-
ウィンタースポーツの花形ともいえるフィギュアスケート。本書は日本人ならば知らない人はいないであろう浅田真央選手と、そのライバルと目されるキム・ヨナ選手のバンクーバー五輪における採点方法について多くのページを割いている。
ISUのジャッジシステムは何故、トリプルアクセルを上手く評価できないのか?技術と芸術の境目は?フィギュアスケートという芸術性とスポーツの両面を持つ採点競技の難しさ、競技の外で繰り広げられる駆け引き等についても言及されておりフィギュアスケートの採点についてよく判らない初心者向けな内容。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
浅田真央とキム・ヨナの五輪ショートプログラムの採点で想像以上の差が。そこがこの本の出発点。フィギュアの採点法やロビー活動?に矛先を向けた。
筆者によると、フィギュアスケートの世界選手権や五輪のメダルというのは、米大統領選のような長丁場で、シーズンを通して、いかにジャッジたちに好印象を与えるかというの大きな要因になるらしい。その点、キム・ヨナというかその陣営は明らかに浅田陣営より先に行っていたことがうかがえる。もしかしたら、ヨナの方はバンクーバー五輪を見越してカナダ人ブライアン・オーサーをコーチをして迎えたのかもしれない。芸術家肌の浅田のコーチよりも、ロビイストとしてのブライアンが一枚上手だったとも言えるようだ。
関係者に直接取材をすることなく、観戦や文献などでまとめた一冊。その点の物足りなさは感じなくもないが、フィギュアの「政治学」としてまとめた点では十分に耐えうる本になっている。