2013年、世界複合恐慌 日米欧 同時インフレが始まる (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022734624

作品紹介・あらすじ

EU発の債務危機は世界全体に広がった。財政出動はもはやできず、ニューマネーを出せるのは、唯一、各国の中央銀行しか残されていない。破綻を防ぐための金融緩和が、新たなる破綻を生む。2013年、世界は「複合恐慌」に突入する-。果てしなき金融緩和の先を読む。

感想・レビュー・書評

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  • これからどんな世の中になるんだろう・・・。

    リーマンショック以降の 
    米国 欧州 日本 の 動きがつかみやすかった。

    通貨の信認がなくなり ハイパーインフレとのことだけど・・・

    どれも どんぐりの背比べ
    そこに 新興国通貨も入雑じり
    基軸通貨らしい基軸通貨(シェアー50%超)がなくなるんじゃないかなあ・・・
    経済成長できる要素を持つ国は 世界での発言力と信認を勝ち得
    経済が置き去りになる国は 衰退の一歩となるような・・・
    結果として 程よいインフレの国と激しいインフレの国の集合体

    国内でいかに需要とバランスの供給をうまくとるか
    (海外の需要はあくまでもおまけのつもり)
    これからの生き残る道はそんな感じだと思います。

    で 日本は?
    そこにすむ 私は?
    どうしたらいいの・・・・・?

  • 相沢幸悦著「2013年、世界複合恐慌」朝日新書(2012)

    *深刻化するバブル崩壊不況の前提として、リーマンショック以降のマネーの流れを振り返る。世界経済、金融危機対応により欧米の政府と中央銀行が膨大な資金供給を行うと、その資金はほとんど新興国と商品(資源、穀物)市場に流入して、新興国バブルがもたらされた。新興国は通貨高に対処するため、積極的に新興国通貨売り(ドル買い)を行ったが、過剰流動性が発生してインフレが高進。そこでインフレ対応のため新興国は金融の引き締め政策に展開。ところが2011年にバブルが崩壊しかかると今度はあわてて金融緩和政策に転換した。バブルをつぶしすぎて平成金融恐慌が深刻になった「日本化」をさけるためである。新興国が金融緩和に転換してしばらくすると、日米欧の中央銀行が金融緩和や資金供給に踏み込んだ。2011年末から2012年初頭にかけて金融相場となって世界的に株価や商品価格が上昇した。が、このような実態を伴わない金融相場はすぐに化けの皮がはがれる。新興国は抜本的な景気対策を取らなければならないが、結局カップリング。新興国は日米欧の後追いをしているだけなのだ。
    *(世界の火薬庫のヨーロッパ)ギリシアのEU脱退は免れたが、到底受け入れられないような緊縮先の大幅な修正を求めておりギリシア危機の爆発が先延ばしされただけの状態が続いている。さらにスペインでは銀行恐慌とよべるような自体がおきてスペイン国債が売り込まれ価格が下落し、利回りはマーケットから資金調達できなくなる危機水域である7%にまで上昇した。
    *(雇用が増えないアメリカ)欧州債務危機の深刻化で世界経済が原則する中で2013年には高所得社に対する優遇税制措置であるブッシュ減税が終了する。また、労働者の賃金などに課される給与税の減税が終了するとともに、連邦歳出の強制的な削減が行われる。このため2012年後半からアメリカの景気が失速する可能性が高い。FRBのバーナンキ議長はこれを「財政の崖」とよんでいる。
    *(中国経済の失速)中国からの輸出のトップはヨーロッパ向けである。しかしたよりのヨーロッパは債務危機で景気が低迷しており、中国からの輸入が激減。しかもドルに事実上中国元を連動させているため、対ユーロで元高が高進している。欧米の経済が冷え込んでも新興国の経済は関係ないというデカップリングが完全に崩されている経済が今の実態である。
    *またデカップリングの実態としては欧米の中央銀行から量的緩和によって供給された大規模な資金が新興国の株式市場や商品市場に投入されたのでリーマンショックから半年もたたないうちに、新興国株価だけでなく、金や原油などの原材料価格や穀物価格が急騰した。ただしここで注目すべきところは、短期資金(1年未満に回収)の資金流入の比率が増えているという事だ。現地法人や企業買収などの長期の直接投資は微増にとどまっていた。特にブラジル、中国、インド、インドネシア、マレーシア、メキシコ、南アフリカ、タイ、トルコの9カ国に流入。欧米の量的緩和(QE)にうよってふくれあがったマネーが短期の運用益を狙ってこの9カ国を中心に大量に流入したのだ。
    *欧米諸国は、2006年~07年にかけて欧米の住宅、国債、金融資産バブルが崩壊すると日本の失敗に学び金融機関に対して莫大な財政資金の投入を行なった。金融危機というのは銀行に対して、資本注入や資金供給を行う事で収束できるためである。そのおかげもあって、金融恐慌の勃発は回避できた。2008年にリーマンショックの時FRBは金融機関に莫大な資金を供給するとともに、国債や社債や住宅ローン担保証券の購入を大規模に行ったいわゆる量的緩和政策である。日本の教訓に学んだ行動であり、日本のように一度デフレに陥るとなかなか抜け出せず、金利の引き下げと言った伝統的な金融政策が全く聞かなくなってしまう事は明らかだったためだ。つまり日本のように景気を優先して財政出動(中央銀行がお金をだすのではない)すると、結局は財政赤字が激増しかえって景気の低迷とデフレを深刻化させてしまう。
    *デフレとは、一般的に消費者物価の上昇率が1%程度の状態をデフレと定義できる。
    *インフレはマネー要因で発生すると定義されている。そのため中央銀行が大量の資金を供給しない限り、インフレは発生しない。
    *ドイツ丸儲けの高まる批判がヨーロッパ内に出ている。つまり、バブル期にもバブルが崩壊してからも他のユーロ圏諸国を踏みたいにして莫大な利益を得ているということだ。ヨーロッパで住宅、国債の2つのバブルが進行していたころは、ギリシアなどの人々も含め、ドイツの高級車やさまざまなドイツ製品を大量に購入した。バブルが崩壊した後は、相対的にユーロが割安になったお陰で、ドイツ企業は製品を売って利益をあげた。また、為替でももうけた。まさに一石二鳥。
    *日本が失われた20年に陥った最大の原因は日銀が不動産バブル形成を放置したからだと言われている。1980年代末、アメリkあやドイツが金利の引き上げを行ったにも関わらず日本は低金利を続行。それによりだぶついた資金が不動産市場や株式市場に流入。激しいバブルとなった。1989年に金利の引き上げを行うとさすがのバブルも崩壊して平成大不況になった。そして不動産融資の総量規制などと行ってバブルを激しくつぶした。その結果、銀行に莫大な損失が発生し、貸し渋りや強引な資金回収が横行して景気が低迷。それを克服するために超低金利政策に移行。さらに量的緩和にまで踏み込んだが、いちど低迷した経済はなかなか立ち戻らなく今まで続いている。この日本の超低金利政策と量的緩和政策が皮肉にも円キャリートレードを激しくした。超低金利の日本円を調達し、その資金をアメリカやヨーロッパに投資して利ざやを稼ぐ取引により、06年~07年におこった欧米の住宅、金融資産バブルを促進させた。
    *日銀の金融政策の大転換があった。(1)信用緩和政策(2)銀行券ルールの適用除外。リーマンショック以降欧米は景気回復のために為替引き下げを行った。日本は予期せぬ円高に見舞われたが。その後日本は為替介入を行ったがそれではたりず非伝統的金融政策(量的緩和としてETFやJリートの買取)を行った。これが信用緩和政策である。これにより株価と地下の上昇をはかる事ができるようになった。しかし実態経済的な根拠がなければあくまでバブル的な価格上昇であることは確かである。また、枠を決めて買い取っていた長期国債の枠を取り外した。つまり、長期国債の買取を増やしてさらなる金利の低下の誘導が可能になった。

    • hiro1212122003さん
      kawadaiさんへ。著者は円高の問題にはふれてませんが、今後円高円安どのような展開が予想されますか?感想ですがとてもまとまっているレビュー...
      kawadaiさんへ。著者は円高の問題にはふれてませんが、今後円高円安どのような展開が予想されますか?感想ですがとてもまとまっているレビューですね。
      2012/10/25
  • 人に読んでみて、と言われての本・・・
    これ・・・
    埼玉大の経済学部の教授が著者なんだけど・・・
    教授さまがこんな本書いちゃってイイの?
    スッゲー雑なんだけど・・・
    粗いんだけど・・・
    データ、論拠が薄い・・・
    新書だから仕方ない、とは言えないよね・・・
    新書でもしっかりしたの結構あるし・・・
    素人のボクなんかが話してるような文章だよ・・・
    と、これが第一印象・・・

    2013年、世界複合恐慌・・・
    と宣っているけれど・・・
    それについて述べているのはラストの約30ページだけ・・・
    複合なんてわざわざ付けたのは、著者が2年前の2010年に共著で出した、2012年、世界恐慌という本があるからか?
    2012年、世界恐慌なんぞになっておりませんがね・・・
    あと4ヶ月で恐慌になっちゃうかな?そうすると今回の本がハズレか?
    まぁタイトルは釣りだろうか・・・
    この2,3年の世界経済の流れをご存知の方は155ページ(もしくは171ページ)まですっ飛ばして大丈夫・・・
    もし読むならそこからで十分・・・
    よって立ち読みでイイよね・・・
    2,3年間どのように推移してきたか知らねぇし・・・
    日本化ってコトバ知らねぇし・・・
    と言う方は最初から読んでもイイかも・・・
    雑だし粗いけど・・・
    リーマンショック後の何とか盛り返したものの抜け出せない停滞感をザックリ掴むにはイイのかな?

    ユーロが崩壊するかは分からないなぁ・・・
    しないと思っているんだけどね・・・
    そして・・・
    米欧日の中央銀行が緩和しまくって3通貨の信認が無くなってスゲーインフレが来るのかどうか・・・
    なくはない・・・
    が・・・
    来年かい?
    万策尽きたと言うわけでもないのに・・・
    そこが考慮されてないのがおかしいと思うけど・・・

    ただ一気に解決できるような魔法の杖は無いこと・・・
    財&金ともに政策の弾も尽きてきていること・・・
    先進国の日本化・・・
    つまり長期(中期?)停滞は避けられないのではないか・・・
    は、ボクもそれはそうだと思う・・・

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著者プロフィール

1950年秋田県生まれ。埼玉学園大学経済経営学部教授。法政大学経済学部卒、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。経済学博士(慶應義塾大学)。( 財)日本証券経済研究所主任研究所員、長崎大学経済学部教授、埼玉大学経済学部教授をへて現職。主著に『GNP大国になる日本』(講談社)『日本銀行論:金融政策の本質とは何か』(NHK出版)『環境と人間のための経済学:転換期の資本主義を読む』(ミネルヴァ書房)など多数。

「2015年 『よみがえる日本、帝国化するドイツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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