首相官邸で働いて初めてわかったこと (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 145
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022734976

作品紹介・あらすじ

民主党政権は、なぜ国民への説明不足に終始したのか。官僚の作る言葉は、なぜあんなにもわかりにくいのか。日本のリーダーは、なぜ1年で代わってしまうのか。総理大臣を取り巻く、目に見えない"筒型の防火壁"。それでも霞ケ関広報に芽生えつつある、変化の兆し。-国家中枢に突然飛び込んだ、元テレビキャスターの現場報告。

感想・レビュー・書評

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  •  先の衆院選(2017.10.22)の前にJ-Wave(Jam the World)に出演し、有権者としての立場、責任を分かりやすく解説しており、著者の考え方をもう一度確認したいと思い読んでみた。

     ラジオ放送で語っていたことが本書にも書かれていた。

    「市民の側にも≪自分たちが選んだ政治家を支える意識≫が必要だろう。投票したらオシマイ、あとは文句を言う対象、というのではなく、投票した責任で、任期いっぱい支え続けること。粘り強く叱咤し、支え育てていく努力をしなければいけないのではないか。」

    「自分たちがたった1年前に選んだ政権が、ヨチヨチ歩きで苦闘しているのを、助けようとも育てようともしないで、また次のヒーロー願望かい?そんな”お任せ民主主義”を、一体いつまで続けるつもりなんだ!」

     一票を投じただけでは終わりではないという考えを持って、先の選挙には臨めた。

     選挙前に読了しようと思っていたが、後半は3.11の対応や、菅退陣後の野田政権での話などが多く、それなりに面白くはあったが、いまさら過去の振り返りでもなかろうとペースが落ちてしまった。

     それでも、3.11での原発への対応は、教訓として将来しっかり活かしていくべき話が多いし、原発そのものや、危機対応について大いなる問題を孕んでいた(現在も、孕んでいる)ということがよく判る。
     そうした諸問題も、国家と国民との間の意志疎通のツールが機能していないという点を、メディアに属する民間人の視点で赤裸々に描いている点も興味深い。伝えるべきメディア(マスコミ)にも問題はあるが、伝えようとする為政者側にも問題ありという点も分かりやすく記されている。曰く、総理側近たちが自分たちの本丸を守ろうとするが故に築いてしまう防火壁のような情報遮断であり(出る方、入る方共に)、あるいは、官僚たちの
    ”伝わらなさこそが「上手」という価値観”という摩訶不思議な作文法等々。昔からよく言われていることだが、実際に政権内部に飛び込んだ民間人の視点から改めて語られる新鮮味があった。

     仮にこうした問題点がクリアにされたとしても残る問題として、やはり原発の存在だろう。
     原発そのものの安全性が確保されたとしても、究極、それをコントロールする人間の叡智に全てはかかっていることは、過去も未来も変わりないということは、肝に銘じておくべきことだ。

     この例えが見事だった;

    「皆が原発という車の安全性の話ばかりをして、運転手の力量の話をしていない。」

  • 面白かった。一気に読んだ。
    政治に関心を持った。

  • 如何に突っ込みを与えない様に抽象的に書くのが官僚。

  • 政府の考え等をどうやって伝えるのか、筆者の苦労や官僚たちの考え方などがわかっておもしろい。

  • もともとTBSでアナウンサーを振り出しに報道系の現場を歩き、みのもんたの番組で取材キャスターを務めた著者、ひょんなことから、当時の管直人首相からの要請で内閣広報審議官と言う聞き慣れない役職をもらって首相官邸に乗り込み、東日本大震災の前後の広報、政府からの情報発信の混乱と改善への取り組みを記した一冊。特に震災発生直後、ひとつ間違えばパニックによる社会機能の停止につながりかねない中、言葉を慎重に選ぶ風景はなかなか面白い。本職につながるエピソードもあって読んで良かった感倍増。
    菅さん(民主党の方ね)も鳩山さんも特にネットの住民から、箸の上げた下げたもいちいち粘着質に批判されてるけど、相手の言い分も聞かずに、あるいは聞き流して取り合わずにずれた論点をあげつらってると、大事なところが見えなくなる(自由な批判ができなくなる)ぞ。玉石混交を丸呑みする前に、こういう本を読みなさい。

  • 広報としてだけでなく、物の見方や考え方、そして言葉の選び方についても教えられた。
    ・合意形成も、言葉の選び方も計画的、段階的でなければならない。それは妥協でも迎合でもない。真剣勝負のリアリティだ。
    ・危機発生時、一本の見解に絞るまでの経緯を、いかに透明性を持って同時に伝えることができるか
    ・不都合でも隠すな不確かなら流すな
    ・決してやってはいけないのは、間違ったことを伝えてパニックになること
    ・言わずにもっていくのが政治
    ・必要最低限の根回しをしてくれるディレクターの不在
    ・リアリティのある代案
    ・肝心なのは、リスクを賭して直線的に登ることではなく、確実に山頂までたどり着くこと。
    2013.07

  • 3.11を含む時期における内閣広報室のドキュメンタリー。首相官邸側から見た震災対応の内幕ってなかなか出てこないので、興味深かった。
    結局、日本で内閣報道官制度ができない理由は何だっけ?

  • 下村さんの本やっと読んだ。

    ほんとこの国の情報公開はまだまだで、でも割と公開されてると思ってるひとたちが多いだろうことが情報公開が進まない一つの理由なのかなとも思った。

    下村さんはこの国の政府の内側からそしてマスメディアがもっと変わっていくための促進剤の一環としてこの本を出したとこもあると思うんだけど(内側からみた政府を伝えようっていうのが一番大きいと思うけど)、あたしはこれを読んでますます政治を伝える機関としてのマスメディアはいらないんじゃないかなと思った。

    それだとどこでとかテレビはやっぱり万人への情報を与えるという面では大きいから難しいとこなんだけど、政府というかこの国の権力者たちの御用機関ですのでそういうふうに見てください的前提がある程度のひとたちに共有されればいいのかもな。

  • 2010年から二年間、管直人前首相のもとで内閣広報室審議官を務めた著者が審議官時代を振り返って書いた回顧本。

    印象としては、みんなが最善を求め、良い結果を得ようともがきつつも、それらが相互に絡まった結果どうすることもできずごろごろ転げ落ちていった、といった感じです。それぞれの行動にはきちんとした理由がありそれだけ見ると合理的なのですが、全体からみると必ずしも正しい行動ではないと。

    また、政治というのはTVや新聞を通して無機質に伝えられることが多いと思いますが、内部にいる当事者たちが何を感じ、考え、行動していたかを知ることで、「中にいる人たち」も素朴な感情をもって生きている生身の人間なのだと感じられます。決して超人なわけでも、極悪人なわけでもなく。

    あと、言葉の大切さというものを感じました。たった一言を発信するだけでも大変な神経を使っていて、それでも間違って伝わってしまうというのは残念ですね。

    メディアに携わっている人なだけあって言葉の使い方が上手く読みやすいです。面白いし、軽く一気に読めるのでおすすめです。

  • 新しいタイプの政治本
    実体験のみなので、有意義

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著者プロフィール

下村健一 (しもむら けんいち)
白鴎大学客員教授、時々ジャーナリスト。
1960年生まれ。東京大学法学部卒業。1985年TBS入社。報道アナウンサー、リポーター、企画ディレクターとして活躍。2000年以降、フリーとして「筑紫哲也NEWS23」「みのもんたのサタデーずばッと」などで取材キャスターを続ける一方、市民グループや学生、子どもたちのメディア制作を支援する市民メディアアドバイザーとして活動。2010年秋から約2年半、内閣広報室の中枢で首相官邸の情報発信を担当。東京大学客員助教授、慶応義塾大学特別招聘教授などをへて、現職。
著書に、『首相官邸で働いて初めてわかったこと』(朝日新書)、『10代からの情報キャッチボール入門――使えるメディア・リテラシー』(岩波書店)など。本書と同名の「想像力のスイッチを入れよう」というエッセイが、光村図書小学5年国語教科書に収められている。

「2017年 『想像力のスイッチを入れよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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