- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022734983
感想・レビュー・書評
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配置場所:摂枚普通図書
請求記号:493.758||H
資料ID:95130522詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
認知症の方の信頼と絆を得ることができるようなケアをすること。
そのためには自分の全身の力を抜き、相手と同じ弱い立場に自分をおきます。
そして全身を耳にして相手の心の声に耳を傾けることだそうです。
認知症の方の内的な体験に分け入って、その人に共感することによってはじめて相手が望んでいるケアができます。
このようなケアをパーソン・センタード・ケアとよびます。
長谷川先生、84歳のお年でこの本を出版なされています。
素晴らしいとしか言いようがありません。
http://ameblo.jp/nancli/entry-11874980936.html -
認知機能が低下する理由はおよそ70。うち、1番多いのが、アルツハイマー病である。
アルツハイマー病は、記憶障害が基本にあり、空間認知機能の低下、失見当識、妄想などの症状が現れる。
患者は思い出せなくなっても、愛情は感じることができる。
アルツハイマー病の患者さんが望んでいるケアとは、なぐさめ(安定性)、その人らしさ(物語性)、たずわること(役割意識)、帰属意識(仲間に入りたい)、愛着(絆)である。これをパーソンセンタードアプローチという。
パーソンセンタードアプローチのぎゃくは、急がせる、できるのにさせない、途中でやめさせる、無理強いする、無視し、ほっておくである。
介護は単なる技術ではない。人間関係なのである。
超高齢社会にある日本。今後、認知症になっても安心な社会を作ることが重要だ。
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例えば、家に帰る!と施設を飛び出す認知症のかたと一緒に施設周辺を歩けるかどうかは、介護者の対人スキルだけでなく、時間的、人的余裕がその施設にあるかどうかも影響すると思う。
呆けても安心。発達がデコボコでも安心。幻覚妄想があってもひとりぼっちにならない社会を作らなければ。 -
Dr. Hasegawa who is famous for "HDS-R" wrote. When I purchased this book, I hadn't expected much at heart. But as I went on reading, I found it wasn't the case. The respectable neurologist's attitude toward patients and illnesses was sincere and modest. He also mentioned detailed and practical aspects about dementia patients care.
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「認知症の人が暮らしていける社会(=macroscopic viewpoint),または地域(=microscopic one)」が実現できれば,という一貫した理想.
「認知機能」=「知能」でよい(P22)
中核症状とBPSDの区別には限界が(P26)
嗜銀顆粒性認知症:treatable(?!),非薬物療法で(P41)
認知症は上手く対応すれば悪くないQOLで長寿をまっとうすることができる(P51)
記憶障害+認知機能障害+BPSD→認知症と診断(P56)
BPSDの発生要因:①中核症状(記憶・認知障害)+②心理的要因(自信喪失,不安)+③環境的要因(周囲の無理解,対応のまずさ)P70
neurotransmitter: depression=serotonin↓,AD=ach↓, Parkinsonism=dopamine↓ P77
マイスリ,アモバン,ハルシオンなどの超短時間型の眠剤は,薬効が切れるときにせん妄起こす可能性あり→避けるP87
認知症の予防:①適度な運動,②あたまへの刺激,③栄養バランスP116付近
リノール酸は不飽和脂肪酸だが,摂り過ぎはいかん.αリノレン酸は摂ったほうがよい.p118
認知的予備力が大きいと認知機能が低下しても出発点が高いので,結果として呆けにくいp123
「ながら行為」(=話しながら散歩, etc)は脳に良いp125
"person-centered care"という概念p149
"若い優秀な脳外科医”が自分はADだと→「ちょっと用事がある」=信じられないが,そういうdiscrimination(?)があるp171
欧米では「終末期」=「自分で食べられなくなる時期」だが,日本の場合はここから延命治療が始まるp185
人が「老い」を自覚するのは,身体的変化(=頭髪,しわ,体力↓など)や,retirement, children's growth, death of close personsなど.⇒「子供の成長」が老いの原因とはっきり言っているところが印象的だったP190
「楢山節考」の話:おりんと又やんp191
著者プロフィール
長谷川和夫の作品





