- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022735027
作品紹介・あらすじ
【社会科学/社会】私たちはいつから、人生の中で仕事ばかりを重要視し、もがき苦しむようになったのか? 本書は、現在1日1時間労働の森博嗣がおくる画期的仕事論。自分の仕事に対して勢いを持てずにいる社会人はもちろん、大学生にもおすすめ。
感想・レビュー・書評
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国立大学の教員の傍ら作家デビューし、現在は一日の労働時間が1時間という、作家、森博嗣さんによる仕事論。
一日1時間しか働かず、後は趣味の模型製作に没頭している著者の元には、迷える若い子羊が仕事に関する相談を寄せるらしい。
そんな彼らに、著者は、そもそも仕事ってそんな大事?と問いかける。
著者にとって「仕事」は、あくまでも生きるためにお金などの対価を得るための手段であり、仕事をしなくても生活できるのであれば、しないに越したことはないものである。
それなのに、皆仕事に「やりがい」や「楽しい」を求めすぎている。いや、自分が本当に楽しいと思えることを考えることもなく、イメージや体裁だけで流行りの業種に就くことを、「好きなもの」や「楽しいもの」と勘違いしているだけではないか、と著者は分析する。
著者は、仕事が楽しい、という人を否定しているわけではない。つきつめると、自分の価値観をどこに置くのか、よく見極める必要がある、ということだ。
著者の語り口は明快で、ともすれば非情にも感じられるほどだが、私には、わかるわかる、と納得することが多かった。
私も以前、「やりがい」を求めて転職した。前職を辞めた時は、やりたいことがやれるならお金なんて、と思っていたが、収入が激減すると、自由に使えるお金が少ないことが思った以上にこたえた。
つまり、私は自分の中の価値観を見誤っていたのだといえる。
幸い、収入の問題は、一定期間我慢すればある程度は解消することが可能なため、転職したことを後悔するまでには至っていないが、転職前に本書を読んでいたら、私は前職を辞めていなかったかもしれない。
本書を読むと、「仕事」とはこうあるべき、といった固定観念が取り払われて、肩の力が抜けるような気がする。
仕事に行き詰った時、読み返して目を覚ますのによい一冊である。詳細をみるコメント2件をすべて表示-
たなか・まさんこの本、気になってました。この本、気になってました。2022/04/30
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b-matatabiさんぜひ読んでみてください。ぜひ読んでみてください。2022/05/02
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この本には、「やりがい」のある仕事をするべきか、みんながうらやむすごい仕事に就くべきか、それとも高い賃金を取るべきか、そんな悩みに対する答えや励ましの言葉はない。自分の好きにしろと、冷たく突き放される。
「人は働くために生きているのではない」著者の仕事に対する第一原理。
「働くという行為が、そんなに「偉い」ことだとは考えていない。」「働きたくなかったら、べつに働かなくてもいいんじゃないか」というのが著者の基本的な立場だ。そしてこの本はそんな著者のエッセイである。
【要約】
仕事もルールに沿って行われている。偉い役職だと思っている人は人間的に偉いのではなく、部下に命令できる権限を持っているだけ。なぜなら会社でそういうルールになっているから。鬼ごっこをするとき、鬼はべつに偉いわけではない。怖いから逃げているのでもない。そういうルールなのである。
仕事をしている人が、仕事をしていない人よりも偉いわけでもない。歴史がそうだっただけ。(日本における初めての選挙権は1889年の大日本帝国憲法で「直接国税15円以上納める25歳以上の男子」と定められた。つまり仕事をして(しなくてもいい人もいたけど)お金を持ってて一定額納税している男性しか投票できなかった。)
子どもに将来の夢をきくと例外なく「どんな職業に就きたいか」ということを答える。大きくなったら何になりたい?という聞き方だけでなく、「何をしたいか」聞いてみたら。
巨大な橋の建設に関わった人は、大根を毎年収穫する人よりも偉いわけではない。大人は仕事に「未来」や「やりがい」があると錯覚させようとしている。「自慢できる仕事」みたいな他者の目を気にした浅ましさにすぎない。
常に勉強する姿勢を持つこと、それが人間の最も価値のある投資だと思う。
なりたかったらもうしているはず。「どうしたら〇〇になれますか?と聞いてくるけど、本当になりたいなら、すでになにか手を打っているはず」いくつもいくつもやってみたら、自分で自分に才能があるかないかぐらいわかる。 -
★本書のメッセージ
すごい成果が残せなくても、人が羨む職業に就けなくても、きみの価値は、かわらない
★読んだきっかけ
仕事に悩んでいたので
★本の概要・感想
仕事にやりがいを求める必要などないと説く本。仕事にやりがいを求めるのは、つまるところ、日々の生活に充実を求めているからである...。
ただ、仕事にやりがいを求めないとして、では日々の生活に意味・意義(喜び)を見出していく、ということになる。
それは確かに素晴らしい。自分も、それぐらいに入れ込みたいと思う。
愛する人を支えるためとか、好きな漫画を読むためとか、面白い文章を書くためとか、そういったことを目的に?生きていけたら、どんなにいいだろう。
もっと、定常的に、日々ハッピーを感じられたらなぁ
★本の面白かった点、学びになった点
「自分の生き方に関する問題は、どこかに解決策が書かれているはずがない。検索しても見つかるはずがない。どんなに同じような道に見えても、先輩の言葉が全面的に通用するわけでもない。自分で生きながら、見つけるしかないのである。」
「仕事に勢いが持てなくても、すごい成果が残せなくても、人が羨む職業に就けなくても、きみの価値は変わらない
人々は、仕事に人生の比重を置きすぎだ。
もっと自由に、もっと楽しく、もっと自分の思うように生きてみてもいいのではないだろうか。」
*職業と貴賤が長年結びついてきた。だから、常に仕事には偉いとか、みじめとか、そういったイメージがつきまとう
・偉大さ、大変さなんてものは捏造されてきたのだ
*営業は、意外と「話好き」でない人のほうが向いていたりする
・売れる営業マンは、自分の話よりも相手の話を聞くからだ
*将来をイメージして、そんなに悪くないと思えるのなら、いい仕事なのかもしれない
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*働いているから偉いわけではない
*働いているから偉いわけではない
*働いているから偉いわけではない
*勉強に身を置く時間というのが、人間にとって最も価値のある時間だと思う
*成功したいと考える前に、自分にとってどうなることが成功なのか、よく考えよう
・おかしくなる前に仕事を辞めて、ぶらぶらしたっていいと思う
*仕事が大変だ、という問題のうち、それが「技術的な難しさ」といえる部類のものであるなら、なんとかチャレンジしてみよう、と思える
*長く働こうと思うから辞める
・長くここにいなければならない、という心理が、逆にもっと早く別のところへ移った方がいい、という思考にさせる
*楽しくてしかたない、なんて仕事はない
*仕事に意味を見出そうとしているようだが、では、あなたにはどんな意味があるのか?こたえられるだろうか。たとえば、生まれてから今まで育ってきたことに、どんな意味があったのか?
*未来が不安になるのは、今が良い状態だから。今がとても悪ければ、未来のことなどをあやふやと考える余裕はないはずだ
*繰り返していうが、人生の楽しみというものは、人からあたえられるものではない。どこかに既にあるものでもない。自分で作るもの、育てるものだ
*本当に楽しいものは、人に話す必要なんてない
*
●本のイマイチな点、気になった点
以下の批判には、あまり意義はない。ただ、思い浮かんではしまう「著者が、頑張って働こうとしなくたって、充分に食べていけるだけの給料や才能があるからじゃないか...」というような。
凡人は、生きること、周りから認められること、面白い仕事をしようとすることに必死なんだなぁ、と。
あと、結構、すごい人の論理だなぁとも思う。おっしゃる通り、別に仕事に意味を求めて苦しむくらいなら、意味など求めない方がいい。ただ、そんな簡単に、脳は割り切れないよ...。
まぁあと、Q&Aに対する回答は、問題に対する解決の答えにはなっていない..本人も、そういうものだと書いているので、なんともいえないが
●学んだことをどうアクションに生かすか
・仕事にやりがいや意味をもとめない
・ましてや仕事に生きがいなんて求めなくていい
・生きる意味や充実感なんて、自分で作るものだ
・結局、社会や外から、自分の人生、仕事の意味について与えられる簡単な答えなどないのだから、日々動き続けるのだよ -
とても共感できる内容だった。
他者からいいね、と言われることではなく、自分のやりたいことをやる。やりがいは人から与えられるものではないと再認識し、自分のこころに耳を傾ける時間を大事にしようと思う。大した趣味などなくても、本を読んだり、日記を書いたりする時間はそれに値するのではと思う。
一部、共感できない点があるとすれば、あたたかさ。ご本人は冷たい言い方をしていると書いているが、内容はあたたかさを感じた。でも、やっぱり私は伝え方にもこだわりたい。できていないけど、
自分の中の憲法を定めていきたい。 -
「人生の目的は自由の獲得のため」
冒頭、こんな表現があったが、そんなことを考えたことはなった。
仕事に一生懸命になること自体を否定しているわけではない。
ただ、あまりにも多くの人が仕事にがんじがらめになってはいないだろうか?
どんな仕事をしているか、役職がどうかだけが人間を測るものさしではない。
仕事などやめたければやめれば良いのだ。もちろんそれにより失うものもあるが、そんなことより自分のやりたいことをやるべきではないか?
自分が本当にやりたい、楽しめるものを見つければ仕事の悩みなんてちっぽけなものに感じるのではないだろうか。
この本を読んで、これまでの仕事人生を振り返ってみると、知らず知らずのうちに会社にしがみついている自分がいた。
こんな自分からはおさらばしたい。そう思い、自分の本当に興味のあること、自分から能動的にやりたいと思えることにチャレンジしようと思えた。
やりがいは空から降ってくるようなものではない。自分で作り上げていくものなのだという気持ちをもって、もっと広い視野で人生を謳歌したいと思う。 -
仕事をして10年。転職もしないで、スキルも身に着けないでこのままで良いのかとか色々悩ん出たときに、タイトルに惹かれて買った。
そんなに仕事にかけなくていいよと言ってくれてホッとしたしら仕事つまらないとか、嫌なことがあると読み返す。なかなか、ここまでドライにはなれないけど、こういう考え方もあるから、クヨクヨしなくても良いなって思える。やりがいのある仕事を選んでも良いし、出会えなくてもいい、あくまで仕事は人生の一部分だとそう思わせてくれる。悩んだときは、手にとるようにしてる。軽い書き方なので、読みやすいし、好き。 -
本当に楽しいものは、人に話す必要なんてない、の箇所に泣きそうになった。
人知れず始め、自分のためにすることを、私もやりたい。 -
世間は当たり前みたいに「好きな事を仕事に」「仕事にやりがいを持て」という言葉をぶつけてくる。
いつのまにかその呪いにかかって、それ以外の働き方は不幸、みたいに思ってしまう人は案外多いのだと思う(私もその1人)。
そんな人々の、肩の力をふっと抜いてくれるような本。
森博嗣氏の無駄に感情を込めない、理性的で抽象的な語り口は読んでいて心地が良い。
著者プロフィール
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