「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 1925
レビュー : 249
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022735027

作品紹介・あらすじ

【社会科学/社会】私たちはいつから、人生の中で仕事ばかりを重要視し、もがき苦しむようになったのか? 本書は、現在1日1時間労働の森博嗣がおくる画期的仕事論。自分の仕事に対して勢いを持てずにいる社会人はもちろん、大学生にもおすすめ。

感想・レビュー・書評

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  • この本には、「やりがい」のある仕事をするべきか、みんながうらやむすごい仕事に就くべきか、それとも高い賃金を取るべきか、そんな悩みに対する答えや励ましの言葉はない。自分の好きにしろと、冷たく突き放される。
    「人は働くために生きているのではない」著者の仕事に対する第一原理。
    「働くという行為が、そんなに「偉い」ことだとは考えていない。」「働きたくなかったら、べつに働かなくてもいいんじゃないか」というのが著者の基本的な立場だ。そしてこの本はそんな著者のエッセイである。


    【要約】
    仕事もルールに沿って行われている。偉い役職だと思っている人は人間的に偉いのではなく、部下に命令できる権限を持っているだけ。なぜなら会社でそういうルールになっているから。鬼ごっこをするとき、鬼はべつに偉いわけではない。怖いから逃げているのでもない。そういうルールなのである。

    仕事をしている人が、仕事をしていない人よりも偉いわけでもない。歴史がそうだっただけ。(日本における初めての選挙権は1889年の大日本帝国憲法で「直接国税15円以上納める25歳以上の男子」と定められた。つまり仕事をして(しなくてもいい人もいたけど)お金を持ってて一定額納税している男性しか投票できなかった。)

    子どもに将来の夢をきくと例外なく「どんな職業に就きたいか」ということを答える。大きくなったら何になりたい?という聞き方だけでなく、「何をしたいか」聞いてみたら。

    巨大な橋の建設に関わった人は、大根を毎年収穫する人よりも偉いわけではない。大人は仕事に「未来」や「やりがい」があると錯覚させようとしている。「自慢できる仕事」みたいな他者の目を気にした浅ましさにすぎない。

    常に勉強する姿勢を持つこと、それが人間の最も価値のある投資だと思う。

    なりたかったらもうしているはず。「どうしたら〇〇になれますか?と聞いてくるけど、本当になりたいなら、すでになにか手を打っているはず」いくつもいくつもやってみたら、自分で自分に才能があるかないかぐらいわかる。

  • 転職活動に苦戦中の私を励ましてくれた本。
    職業に貴賎はない。人間の価値は仕事で決まらない。力強く言い放ってくれる著者に励まされた。
    やりがいのある仕事って、やはり幻想だと思う。
    教育系の仕事に就いて、子ども達の僅かな成長を感じた瞬間に喜びややりがいを感じるが、それ相応の賃金を貰えるかというと否だ。働くって
    自分の心に折り合いをつけながら、稼ぐことなんだな。

  • 著者初読み!面白かったので小説も読んでみたいなと思った。人の価値は仕事で決まらないし何がしたいか何が好きかも自分で決めていい。周りの目を気にしすぎるから息苦しくなる。数年前まさしく悩んで悩んで決めた方向転換。今もまだ全然途中だけどだからこそ引き受けなきゃいけなくなった負荷もあるけど、あまり苦労と思わず楽しく仕事してるしずっと健康に生き生きと生きている。自分らしくいるのに仕事は必須でも何でもない。職業ありきでなく自分がしたい生き方から逆算してその手段を仕事にしていけばいいんだと思う。

  • 「打ち込めるものは何か?」「自分にとってどうなることが成功なのか?」という問いに対して、自分なりの思考を深めるきっかけとなった。また「生きていくには働くのが一番簡単な道」という考え方も新鮮だった。
    私にとって「働くこと」はとても重要で、人生の大半を占めると考えてきた。不平不満は尽きないけれども、大学卒業以来ずっと、どんなにつらいことがあっても働き続けてきた。それは実は、働くことが生きる上でもっとも簡単な方法だったからかもしれない。私の場合、もし仕事を辞めてしまうと、じゃぁ、いったい何をして生きていくのですか?ということになる。不眠になるほど悩んだりしたが、会社に行けば、たとえそれが嫌な仕事であったとしても何らかの役割を与えられ、ときに人間関係の問題も発生するが、勝手に組織やチームの一員になることができ、社会的に孤立しないですんだ。「働くこと」から引き離されてしまったら、自分でどうやって稼ぐか、どうやって社会的、精神的孤立を避けるためにコミュニティーを作ったり、コミュニティーに入っていったりすればいいか、自分で考えなければならない。満員電車はつらいが、不規則な生活にならずに健康を維持することもできている。どうしてもこれがやりたい、それをやるためには、仕事を辞めなければできない、という状態になったときに初めて仕事を辞めればいいわけで、それまではずっと働いていればいいと思う。そして、「自分にとってどうなることが成功なのか」という問いを常に自分に突き付け、見極めていきたい。

  • 仕事・働くことに関する書。最初は内容がもやっとしているかなと思ったが、中盤のFAQはそうだよなと納得させられることも多く面白い。社会人1年目の人に読んでほしい一冊。

    戦後はみんな必死に仕事をした。外国の援助、戦争などの経済復興の後押しがあったことは確かだが、日本を復興させる・現状を良くさせたいとみんな働いていたので、景気が良くなった。比べて現代は豊かになり、食べていけるようになったので、仕事をしていても、不満などを社会のせい・会社のせいにしているのではないか、景気が・経済が良くならないというのは結局は必死に働いている人が少なくなったことの結果なのではないだろうか。

    以下書き留めておきたかった箇所
    ・メジャよりマイナ、ジェネラルよりスペシャル、メディアからコンテンツ。
    ・日本人は自殺しやすい民族かもしれない、宗教的に禁じられていないことや、死を美化する伝統があるから。
    ・現代人は他人の目を気にしすぎている。「仮想他者」のようなものを作り、それに対して神経質になっている。そのために金を使い、高い物を着たり、人に自慢できることを無理にしようとしている、いつも周囲で話題にできるものを探している。その方法でしか、自分が楽しめなくなっている。でも自分が本当に楽しいというものは人知れずこっそりと自分はじめ、自慢したり、褒められたりするものではなく、自分のためにするものなのだ。

  • 自己啓発本、ビジネス本だと思って読むと混乱します。あくまでも、森博嗣のエッセィです。
    これまで「マジメに」やってきた人ほど面食らう本です。

    大学教授や作家なんて、浮き世ばなれしてるし参考にならないんじゃ?と思ったら、第4章のQ&Aから読んでみて判断すると良いです。

    「本当に楽しいことは誰にも言う必要がない」というのは、リア充アピールをする場面が多い若者(自分を含む)にガツンとくる言葉でした。

    身も蓋もないことがたくさん書いてありますが、「そりゃないよ、森先生~」と思いつつも自分の中に入ってくる不思議。
    仕事というより、生き方を見つめ直すきっかけになる本です。

  • 「今の仕事を辞めて、やりがいを持てる仕事にチャレンジすべきでしょうか」という著者への質問に対して、「どっちでも良い」と答えているのを読んで笑ってしまいました。(著者は終始そんな姿勢)
    仕事の中に楽しみを見つけてもいいし見つけなくてもいい。仕事が楽しくなくても、稼いだお金で楽しいことができればいい、という考え方は、とても面白いと思いました。
    就いた仕事で一生が決まってしまうような強迫観念にとらわれてしまうのは、とても狭い価値観の中での思考だと気付かされました。

  • 森さんがこういう仕事系の話を書いているのは珍しい印象。昨今、就活が上手く行かなかったり、仕事が上手く行かなかったりして、悩む人が多いけど、仕事ってのはあくまでも「生活の手段」でしかない。仕事に人生の8割とか9割の意義を持たせるのは違和感があるし、そうやって仕事仕事仕事!みたいなスタンスで生きて成功できるのはごく僅か。これを読むとゴリゴリのタフさではなく、ゆるさが全体的に行き渡っているので、読んでいて心地良い。ただ、仕事は必要。そして、日々スキル習得のための持続的な学習も必要。問題は、その塩梅。

  • これまで森博嗣のエッセイは読んだことがなかったけれど、森博嗣で、このタイトルだから、読んだ本。

    タイトルから想像していた物とは全然違ったけれど、面白かった。半分くらいは同じように思っていてそうだよねと同意する話で、半分くらいは、さすが思考が鋭く、なるほどと思う内容だった。

  • 驚いたのは、1日1時間を8日間続けて脱稿したということ。

    著者の作品は初めて読んだが、かなり突き放して書いている。

    同感するところもあれば、そうでないところもある。

    わかったことは、著者はとても賢明で、先を見通すことができ、人生を楽しんでいる人だということかな。
    (2013.5.12)

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著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

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