キャリアポルノは人生の無駄だ (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 531
レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022735089

作品紹介・あらすじ

【社会科学/社会】自己啓発書を「キャリアポルノ」と呼び、その依存症が日本の労働環境の特殊性からくることを欧米と比較しつつ毒舌とユーモアたっぷりに論じ、疲れぎみの若者にエールを送る。twitter界のご意見番、May_Romaさんの初新書!

感想・レビュー・書評

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  • そもそもタイトルになっているキャリアポルノという言葉がピンとこなかった。「私が最初に使い始めた「キャリアポルノ」という言葉が流行っています」と言われても知らないから「そうなの?」という感じ。「森ガール」くらいなら「そうなんだ!」とも思えるが・・・。個人からすると自分が最初に使った言葉がgoogleの検索で何万もひっかかれば「流行をつくった!」と思うのかもしれないが、世界でみれば本当にローカルな世界での流行なのだろう。

    ひたすら自己啓発書は役に立たないとこき下ろす展開だが、あまりにもデータの無いところでの決めつけや思い込みが激しい。同作者の「日本が世界一貧しい国・・・」は「そうそう!」と同意できる箇所もあったが、「自己啓発書を読んでいる人がたくさんいるのに日本が良くなっていないから役に立っていないのでしょう」という論理展開はどうなのだろう。ノマドにしても自己啓発オタクにしても何か見えない仮想敵を想像して闘っているような、どうもそんな本人の感情が入りすぎている気がする。だからこそ「この人本当は自己啓発書を読むタイプと本来は同じタイプなんじゃないかなあ。同族嫌悪しているのではないかなあ」とさえ勘ぐりたくなる。


    中盤からの展開を読むとやはり過去に自己啓発書をたくさん読んだ「意識高い系」を目指した著者の過去について触れられており、自己啓発書への恨みは個人的な怨念も含まれることがわかった。歴史的背景から革新的なアメリカ(自分も社会も変われる)と保守的なヨーロッパ(人も社会も変われない。あるがままを受け入れる)の対比は面白い展開だった。

    しかしやはり著者のターゲットとしている読者は「3分でできるXX」とかを盲信してしまう人であって、ちょっとした気持ちの回復やいくつかある方法論の選択肢の追加という読み方をしている読者には「どこにそんな人いるの?」と首をひねりたくなる内容だ。

    自己啓発書は多少たりとも心が上に向けば良しと思って読んでいる人もいれば、即行動に結びつかない、問題解決をしない、というのを承知おいて読んでいる人もいるだろう。そういう意味では大半の書物が価値を失ってしまう。なんとなく多くの人が自己啓発書を見て「ネタっぽいなあ」と思ってスルーしているところにマジレスでこき下ろしているような白けた空気感が本書にはある。

    しかし、その自己啓発書を批判している本書はどのような価値を生み出しているのだろうか?
    読んでいて朝井リョウ氏の小説『何者』を思い出した。少なくとも自己啓発書を出版している人も悩んだりあがいたりして行動しているわけで、それを端から見て石を投げて満足するのでは、結局同じポルノなのではないだろうか。

  • 自己啓蒙書がキャリアポルノで人生の無駄だ、という著者の視点から描かれた本。

    彼女が自己啓発書に嫌悪感を抱いてるのはよくわかったし、その理由も知ることができたけれど、逆にここまで毛嫌いするのがよくわからなかった。
    興味ない人は彼女が何言おうがはなから読まないだろうし、読む人はとことん読むだろうし、要は嗜好の問題ではないだろうか?

  • 論文を書いてたこともあり、約半年間いわゆる自己啓発書を読まずにいた。そろそろ一般的な本(本書は自己啓発書ではない)でも読もうか、と積読状態の中から抜き出したのがこれだった。表題にインパクトがあり読むのを躊躇していたが、手にとって後悔はしなかった。

    シニカルな事例がふんだんに用いられたメイロマ節は、常に読み手に対して緊張感を与え、終始飽きさせずに最後の結論にまで導く。著者のように、幅広い学識と経験がなければ、このような主張は難しいと思う。

    自己啓発書の類型化は、自己啓発書を網羅的読まないとできない分析であり、後続の読者に示唆を与えるだろう。私は説教系をよく読んでいたと振り返った。当時は誰かに教えを説いてほしかったのだろうか。理由は本文に書いてあるように、「経済的な不安と恐れ」が漠然と頭に過ぎり、カンフル剤を打つ感覚だった。

    むしろ本書で重要なのは、第3章の著者による労働観にふれることだろう。前著でふれていることもあるかもしれないが、体験に基づいた国際比較からは、日本に住む我々が多くの異なる環境・習慣に在ることに気付く。個々人考え方を変えることは、順を追って検討すれば可能だと思う。しかし、所属コミュニティが持つ慣習・雰囲気が変わるには、多くの問題を除去する必要がある。構成メンバーが相当入れ替わらないと無理だと思う。だとすると各人のすべき行動は自ずと決まってくる。本書の最終項が参考になるだろう。

  • うんうんうんうん

  • 自己啓発本の無意味さと下品さ、その下流(喰い)ビジネスの惨たらしさなど首肯できる部分は非常に多いけれども、彼女が今の立場にいるからこそ(そしてある程度の「上がり」感を獲得したからこそ)かけた本であって、中途半端な立ち位置の人が同じことを言っても負け惜しみにしかならないんじゃなかろうか、という点では「コンセプトメイキング能力」と「言葉の選び方」の勝利だな、という気がしなくもない。

    今現在、自身のキャリアを改善しようとしてつまらない自己啓発本を軽蔑するセンスを持ちつつも、指針がない自分の人生をもがき足掻いている多くの「渦中の人」にはちゃんと届かないし、届いても胸に入ってくる度合いは小さいし、この著書に影響を受けたりすると後から振り返ってIFの世界を妄想するんだろう。

    だからと言って無用な提言や意見というわけではなく、やはりある程度自分に合格点をやっと与えられるな、と思っている人には必要な本かもしれない。どうだろう。私は途中で若干飽きてしまったので、自身には「この本は時間をおいてから再読したほうがいい」、という風にメモを残しておきたい。

  • 頷けることばかり。

  • まあ、自己啓発本マニアを除けば、誰もが分かってたことを言っただけって感じもする。
    文章にほのかに感じる毒がけっこう好み。
    読んでくうちに、だんだん、むしろこの本が、「成功したければ自己啓発本は読むな」って自己啓発本なんじゃね? って思えてくるのは気のせいだろうか。

  • 「”自己啓発はクソだ”と唱えている自己啓発本(笑)」なのでは。

    著者自身が自己啓発に傾倒していたころの失敗談から、この本を書くに至った経緯も記されていて、説得力もあるっちゃあるが、

    自己啓発そのものに対するコンプレックスを感じる。主観的な見解が過ぎる批評が多く見受けられる。


    まぁ、自己啓発は自分の都合の良いように使っている当方としては、
    著者の言いたいことをかなり素直に受け入れられた。
    「やりたいことをやる」とか、「仕事だけが自己実現だけじゃないっしょ」っていう考え方には共感。
    自己啓発に酔いしれちゃってる人に警鐘を鳴らしてくれる役割を担ってくれそう。

  • 『ビジネス書大バカ辞典』勢古浩爾 と通じるものがあり、内容的には再認識したようなもの。
    私にとっては、イタリア人たちの人間的な会話についての話が新鮮でよかった。確かに日本人は仕事の話が共通の話題だし、初めて会った人も会社での立場を意識し、それが付き合い方にも影響してしまう。考えてみれば悲しい事だと気づかされた。人間的な会話というものを意識してみたい。

  • キャリアポルノとは、なかなか独創的な表現だが、確かに昨今の自己啓発書が乱立する光景には異常を感じる。

    欧州ではあまり人気のない自己啓発書が、なぜアメリカと日本で売れるのか?その理由をアメコミ人気に見られる超人願望という着眼点になるほどと思った。確かに日本は水戸黄門を始め、家政婦のミタや相棒に至るまで、圧倒的な権力や卓越した家事能力、推理能力を持つ登場人物に心を奪われ易い。そこには現状や歴史を忘れ、自分は何にでもなれる、という刷り込みがあるのかもしれない。

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著者プロフィール

谷本 真由美(たにもと まゆみ)
1975年生まれ。「めいろま@May_Roma」のTwitterアカウントで知られる。法政大学法学部政治学科卒業後、アメリカのシラキュース大学大学院で国際関係論と情報管理学の修士号を取得。日本と英国を両拠点に活動を続けている。
代表作に『日本が世界一「貧しい」国である件について』など。

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