フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人 (朝日新書)

著者 : 速水健朗
  • 朝日新聞出版 (2013年12月13日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022735393

作品紹介

【文学/その他】今、日本人は食を巡って大きく二つに分かれている。食の安全のためにお金を使うことを厭わない人々と、安全よりも安さと量を重視する人々。食べ物を通して歴史や社会を読み解きながら、日本人の新たな政治意識を導き出す。

フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人 (朝日新書)の感想・レビュー・書評

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  • 私はフード右翼もフード左翼も体験した底辺の農村民ですが、内側から見て、啓発される情報よりも、的外れな内容・違和感を覚える点が満載でした。

    「安全志向のフード左翼は富裕層」の主張ですが、いかにも自然派といったシケた風貌の、決して少数派ではない底辺っぽいフード左翼の年収や生活は何故かスルーされています(彼らと出会っているにも関わらず)。
    有機農法の課題点も真剣に考えるべき問題ですが、取材が超適当。有機以外の環境持続可能な農法はノータッチ。有機堆肥への分析も大雑把。
    成果を上げたと書かれた遺伝子組み換えも、その後、強力な害虫が発生して収穫減といった事態を招いています。
    先進国の食糧廃棄に対する提起がないのも普通に謎です。

    何より、全体を通して、思想の左右の奥・身体に根付いている「健康」「郷土」「家庭」の視点が希薄でした。
    人々の「健康志向」は記しても、食を通じての「健康体験」については、ほぼ無視。
    昔ながらの郷土料理、各地の気候が培う農作物や保存食も皆無。
    食の基本といわれる家庭に対する考察も薄い。家庭菜園や、料理する楽しみについての記述もありません。

    三大欲のひとつ「食」を扱うにあたって、思考・味覚よりもさらに本能的な領域である身体への言及がほぼないことは、残念というより不安になります。
    「観察力」があっても、本能に基づいた「読解力」がなければ、血の通った人間の思想なんか見抜けません。
    個人的には、「フード右翼」「フード左翼」の生活を、それぞれ中途半端ではなくガッツリ1〜2ヶ月ほど続け、双方の食経験を平等に体感したのち、客観的な視点から分析して頂きたかったです。

  • 今、日本人は食をめぐって大きく二つに分かれている。自然志向、健康志向の「地産地消」「スローフード」的な食を好む人々を“フード左翼”、コンビニ食や冷凍食品、ファストフードといった「グローバル」「ジャンクフード」といった食を好む人々を“フード右翼”と置き、日本人の食をマッピングすることで新しい社会や階層、政治思想を明らかにする。

    面白いと感じたのは、どんな食べ物を好み、毎日何を選んで食べているかという食べ物の志向にその人の主義思想が表れるという点、そして食べる物によってその人を左翼・右翼に分けてしまおうとする点である。本書ではフード左翼に重きを置いて解説されていた。私自身は食を通した健康に興味があり、東京のベジフードフェスタや青山オーガニック通り等の実例からベジタリアンやビーガン、マクロビオティックといったキーワードを改めて整理できたり、有機農業のメリット・デメリット、遺伝子組み換え食品は本当に危険なのかといったことまで考えることができて、とても勉強になった。

    政治思想と言うと少し大げさかもしれないが、毎日何を選んで食べるのかというのは、選挙で1票を投じるのと同じ意味や価値を持つ行動であるということに気付かされた。現代は多様な食で溢れており、人々は単なる好き嫌いだけではなく、仕事や居住場所といったライフスタイルや環境保護、健康志向といった主義思想で自分が食べるものを選ぶことができる。日々欠かすことのできない食に、その人自身が表れているといっても過言ではないだろう。

  • どちらかと言えば「フード左翼」を中心とした解説であるが、食をめぐるポリティクスを解き明かす本書は、現在の社会運動、特に「反原発」運動やニセ科学を考える上でも非常に有用な視座を与えてくれるだろう。

    自然食やマクロビオティックに代表されるような「フード左翼」的な試みが、消費社会の動きの中で発展し、いろいろとちぐはぐな政治思想を生み出してしまったという点は、現在の「ノンベクレル」関係の動きと切り離すことはできないだろう。感情保守的(!)な新左翼運動と結びついた社会運動を見直す上で、本書は極めて優れた試みと言える。

  • 何を食べるかは、その人の生き方を表すのね。単に味の好みやお金の掛け方だけじゃない、思想が垣間見えてくる、という話。

    食品の安全性がいちばんな人もいるし、安さや量が大事な人もいる。食は最も個人的なことなんだから、どんな好みでもいいだけれど、こだわりが一定ラインを超えて「信仰」になってくると、どうも苦手。「これこそ正しい」を布教されるとうんざりだ。

    あと、読んでわかったのは、食について、私たちが得られる情報は、科学的根拠よりもイメージが優先されてることも多いのかもしれないこと。遺伝子組み換え植物は本当に悪いのか?有機農法は地球に良いのか?普通よりも多くの面積を使う有機農法は、より自然破壊につながるということも紹介されていたり。今まで持っていたイメージが変わるものもあった。何がいいのか、簡単には判断できないものだな。

  • 食において、質を重視する人を左翼、量を重視する人を右翼とした政治論。
    面白い試みではあるけれど、ひとつ重要な点が抜け落ちている。
    それはフード左翼になりたくても経済的な事情から右翼的な立場に立たざるを得ない人がたくさんいるということ。

    食の安全は金持ちのためにあるということだね。

  • 食べ物を選べるのは、懐に余裕があり、身体を大事にする気持ちがあって出来ること。

    実家の母は生協に加入していたが、確かに政治的な偏りがあったなあ。

  • 食の安全、無添加の難しさについて改めて考えた。出来れば身体にいいもの食べたい!身体にいいことしたい!お金のある人だけの特権なのか。
    給食に全てお米を使用する三条の試み、子供達も食について考えられて画期的だな〜。牛乳撤廃はどうかなと思うけど…。

  • 食左と食右。政治思想で食の嗜好を切り分けるという着想が面白い。確かにファストフードやメガ盛りといったジャンク食を好む人間は,政治的にも右を志向する気がするし,オーガニック,マクロビ,有機栽培,ベジタリアンなどは意識の高い左側に位置するだろう。遺伝子組み換えハンターイなんかも思いっきり左寄りだ。
    まぁ実のところはそこまで深いものでもなくて,知らず知らずに健康資本主義に絡めとられていたりする。でももっとまずいのは,皆が食左を追究する社会は到底持続可能でないということ。無農薬もGM・添加物の忌避も食の効率を落としてしまい,それでは世界の人口を養うことができない。著者も食右から食左に転向した口らしいけど,結局のところ食左は一部のアッパークラスの趣味とかファッションに留まらざるを得ないんだろう。自分は基本ノンポリだけど,どちらかといったらマジョリティの食右の方かな。

  • 主にフード左翼についての記述が多かった。有機農法の実践など、フード左翼的な行動は世界規模の食料事情を鑑みれば実に贅沢な行動であるという。良く考えれば当たり前の事だが、フード左翼の人に感じていたモヤモヤの正体が分かった気がした。かといって、今後遺伝子組み換えで、肉として出荷しやすくする為に最初から骨が無い動物とか出てきたら嫌だな。

  • 基本的に「意識高い系」の人たちは苦手なんだけど、その中でも食べるものに関して意識が高い皆さん(この本で言うところのフード左翼)は好きになれないんだよねえ(・∀・)。カラダにいいものを食べたい、というのには全く共感できないって感じ。単純に美味いものを食べたいって素直に言えばいいのに(その結果が有機野菜とか何やら、なら特段文句は無いし)。ところでこの本は副題の「食で分断される日本人」というところに興味を持って読んでみたんだけど、その点では全く食い足りない内容で、ちょっと期待外れ。

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