「悪」と闘う (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022735737

作品紹介・あらすじ

「脱原発派一本化で立候補を辞退しろ!」「おい、コラ、お前が代わりにカネ返せ!」都知事選で流された悪意のあるデマ・嫌がらせ。サラ金・ヤミ金・貧困問題で対峙する悪いやつら。ひるまず、いばらず、市民とともに立ち向かう。闘う弁護士・宇都宮健児が臨場感たっぷりに語り下ろす衝撃ドキュメント、全四編。

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代に知った「貧困」の現実から、弱者を救う弁護士の世界へ踏み込んだ宇都宮健児さん。そのきっかけから、武富士などの消費者金融との闘い方、また都政への挑戦の理由までが書かれています。

    自民党の中身からマスコミを使い世論を巻き込んだロビイングまで。
    いつの世も、世に蔓延るは経団連よのう……解体してくれないかな………

    我々の時代は「貧乏」ではあったが「貧困」ではなかった


    という言葉がとても響きます。

  • 宇都宮さんが、結局は猪瀬さんが都知事に当選したときの選挙後まもない頃に書いた本。都知事選のこと、クレサラ問題への取り組み、日弁連の会長選のこと、司法改革に伴う弁護士の貧困などを取り上げている。宇都宮さんの活動や主張に触れながら、友人のHくんやIさんのことを思い出した。3人とも見た目はやわらかなのに芯が強い。
    一冊を通じて市民運動とは何か、どうあるべきかということを実践レベルで教えてくれる。とかく、正論、正攻法であるがゆえにそこから抜け切れず狡猾な他勢力を前に敗れたり、妥協や融和に背を向けわが道を突っ走りがちな市民運動だが、やはり現実的に考えていくならば、まっすぐに進むだけでもダメで、戦略が必要ということ。宇都宮さんがクレサラ対協の活動から見出した成功要因を引くと、①全国組織であること、②財政基盤が確立していること、③弁護士や司法書士が加わるなど立法提案能力があること、④客観的な視点と他団体との連携、といったところ。
    それにしてもこの書題がよろしくない。確かに宇都宮さんは闘ってきたけど、「悪」に対して闘ってきたのかな。宇都宮さんなら相手をそういうふうに表現しないような気がするんだよね。

  • 都知事に立候補したことで、記憶に新しい弁護士、宇都宮健児氏が著者。

    著者がライフワークとして取り組んでいたクレサラ運動。

    グレーゾーン金利を撤廃する、という主張が市民運動をきっかけに盛り上がり、2006年の「新貸金業法」成立という画期的な成果に結びついたのは特筆すべき事件である。これが第2章「クレサラ運動」の歴史的勝利。

    また、「貧困と格差」と闘う市民運動も氏のもう一つのライフワークである。「反貧困ネットワーク」の結成に至る経緯が分かりやすく紹介されているのが第3章。


    弁護士法の第一条に、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」という一文があるが、まさにそれを全身全霊で実行しているのが宇都宮健児氏その人なのだ。

    心が熱くなるとともに、我が日本社会の闇の一部を知ることのできる貴重な著作です。

  • 一気読み。都知事選の脱原発候補の一本化の裏話は、当時は色々な言説が飛び交っていたが、当事者としての話だけに面白い。大事なのは「選挙の成果は当落だけで判断しがちですが、選挙戦の中でどれだけ運動の輪が広げられるかも重要なポイント」と述べられているが同感である。都知事選後も選対本部は解散せず、運動の輪を広げているそうである。その確信は粘り強いクレサラ運動で法律を変え社会を変えてきた確信から来ているのだろう。市民運動の成熟については、当面は一点共闘でどれだけの運動が広がるかが、政治を変える力にもなるのは、沖縄の情勢が示している。たまたま読んだのが選挙前であったが、今の情勢を考えるのに良い本だと思った。

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著者プロフィール

1946年愛媛県生まれ。地下鉄サリン事件被害対策弁護団団長、年越し派遣村名誉村長、日本弁護士連合会会長などを歴任。2012年12月と2014年2月の都知事選に出馬。
現在、全国クレサラ・生活再建問題対策協議会副代表幹事、全国ヤミ金融・悪質金融対策会議代表幹事、反貧困ネットワーク代表世話人、人間らしい労働と生活を求める連絡会議(生活底上げ会議)代表世話人、週刊金曜日編集委員、希望のまち東京をつくる会代表、供託金違憲訴訟弁護団団長、公正な税制を求める市民連絡会共同代表、などを務める。
著書に『反貧困――半生の記』『希望社会の実現』(花伝社)、『弁護士、闘う――宇都宮健児の事件帖』(岩波書店)、『わるいやつら』(集英社新書)、『「悪」と闘う』 (朝日新書)、『自己責任論の嘘』(KKベストセラーズ)など多数。

「2017年 『東京をどうする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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