<問い>の読書術 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.73
  • (11)
  • (34)
  • (23)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 491
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022735775

作品紹介・あらすじ

人気社会学者が「経済」「世界史」「格差社会」など
キーワードごとに問いを立て、
本を入口に社会を読み解く思考法を明かす。
市場はなぜ道徳を締め出すのか、
日本人が消費しない真の理由とは、
資本主義の核心的謎とは、
他者との連帯は可能かなど。
朝日新聞デジタル「本の達人」人気連載の書籍化。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • さすがは大澤さん、圧倒的な知識と思考。こういう堅い本はあまり読まないので、読み始めてすぐに「これはいつも読んでいるような本とはちがうな」と思った。
    読書は楽しみとしてだけではない、自分に刺激を与えてくれ、思考に深みをもたらしてくれるものである、という。
    それはそうやねんけどさぁ、本を読むたびに問いを立てて読むっていうのは、なかなか骨の折れる作業ですよ。
    大澤さんの本を、ほかにも読みたくなった。

  • 問うこと、探求することは読書のダイナミズムです。何冊か読んだ本もあるが、書評を読んで改めて、新たな視点を提供された。
    本質を捉えようとすること。読書で問探し。

  •  ジャンルを問わずに筆者が選んだ25冊の書籍のレビューとそこから得ることができる「問い」を解説した本。「答え」ではなく良質の「問い」を与えてくれる本が良書であるというスタンスで書かれている。
     
     経済や科学、世界史など、自分では絶対に手に取らない本が紹介され、そして気が付いたらその世界に惹き込まれてしまっている。25冊の内、ほぼ全ての本を読んでみたくなった。多くの書籍紹介本は、その本の世界へと続く扉が数多く用意され、その扉に本のタイトルと大まかな内容が書かれているだけのイメージだ。しかし本書は、扉を開けて中へ入れてくれ、読むことでしか味わうことのできないことをその一端だけだが体感させてくれる。それはおそらくその本を読んで筆者が感じたことが詳しく綴られているからだろう。
     小説は主人公に自分を重ね合わせて追体験させてくれるが、本書は紹介される本の読者としての筆者に自分を重ね合わせ、読書の追体験をさせてくれる。読書による読書の追体験。それぞれの知らなかった世界をもっと覗いてみたくなる。

  • 読書術というよりは書評。
    いくつか興味深い本もあったけど。

  • さらっと読み。全部で25冊の本を章立てで紹介。この本読んでるとどんどん読みたくなる。対象は新書や文庫が多いので手軽に手に入るし、なかなか親切な本だと思う。何冊かピックアップして読書リストに入れたところ。

  • 書評集だったので、興味のある部分のみ(第3章 現代社会と人間関係、第4章 格差社会時代の希望、第6章 愛と暴力のはざま、第7章 本質を問うダイナミズム)摘み読みするつもりで読み始めたのだが、意外におもしろくなってしまい、全編読むことにした。

    WEB連載時にリアルタイムで読んだものもあったが、やはり、まとまったものを紙ベースで読むと読書感(趣き)が違う。

    画面で文章を読むと、何か(なぜか)読むのをせかされているような気がして、ついつい字面を追うだけになってしまい、書評などの長文は十分に理解できないことが多い。

    そのため、長文の場合はわざわざプリントアウトして紙ベースで読むのだが、これまた、何か、会社の文書か、レジメののような気になってしまい、落ち着いて読むことができない。

    新聞ならば、ペラの紙でも気にならずに読めるのだが。

    文章が落ち着くべき形(本)になっていないことが、心のどこかに違和感を感じさせるのだろうか。

    ともあれ、他の章もすべて読んでみたのだが、経済学(第1章)、数学、物理などの理数系の書評(第5章)は、あまり興味のある分野ではなかったせいか、いまひとつ理解、共感が沸かなかった。残念。

  • さすがというべきか、著者の専門の社会学にとどまらず、科学、経済学から小説などのフィクションまで、幅広いジャンルの本を読みこなしている。
    本を読み込んで、主要な論点を要領よく紹介し、それぞれの面白さが紹介されていく。
    たしかに、そういう点で、すごい本だと思う。

    読むことを通して「問い」を掘り当てていくことが読書の要諦だ、ということのようだ。
    で、実はこの本の帯には、「仮説を立てて頭を鍛える」とか、「本質をつかむコツは「補助線」の引き方」などと書いてある。
    こうした「問い」を読みだしていく技を知りたいのだけれど…
    残念ながら、本書によれば「問い」は来訪するものらしい。
    さらに言えば、ここでいう「問い」というのは、元の本の著者の問題意識を読み解くことなのか、読者である大澤さん自身の疑問なのか…。
    それがどうもよくわからなかった。

  • いや頭いい人は考えることが違う。
    たぶん学問的にはぶっとんだものもあるんだろうけど、読んだ本を媒介にして自身の思索を深める姿勢には脱帽。
    特に科学本の紹介は熱が入っていて、読みたいと思わされた。

  • 本を読むことを通じて、世界への問いが開かられ、思考が触発あsれる。
    良い本は問いを与えてくれる。
    本を深く読む必要がある。

  • 書評集。

    ジャンルは多岐にわたるが、どの本に対しても「なるほど」と思わせる考察になっている。

    一番良かったのはサンデルの著作のエピソードから、原発を受け入れる器量は日本にないことを述べてるところだな。そうだなと100%納得した。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

大澤真幸(おおさわ・まさち):1958年、長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。思想誌『THINKING 「O」』(左右社)主宰。2007年『ナショナリズムの由来』( 講談社)で毎日出版文化賞、2015年『自由という牢獄』(岩波現代文庫)で河合隼雄学芸賞をそれぞれ受賞。他の著書に『不可能性の時代』『夢よりも深い覚醒へ』(以上、岩波新書)、『〈自由〉の条件』(講談社文芸文庫)、『新世紀のコミュニズムへ』(NHK出版新書)、『日本史のなぞ』(朝日新書)、『社会学史』(講談社現代新書)、『〈世界史〉の哲学』シリーズ(講談社)、『増補 虚構の時代の果て』(ちくま学芸文庫)など多数。共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』(以上、講談社現代新書)、『資本主義という謎』(NHK出版新書)などがある。

「2023年 『資本主義の〈その先〉へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大澤真幸の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
J・モーティマー...
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×