創価学会と平和主義 (朝日新書)

著者 : 佐藤優
  • 朝日新聞出版 (2014年10月10日発売)
3.46
  • (13)
  • (43)
  • (45)
  • (9)
  • (4)
  • 本棚登録 :360
  • レビュー :51
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022735829

作品紹介・あらすじ

【社会科学/政治】集団的自衛権行使容認の閣議決定で注目された公明党。「押し切られた」との見方が大勢だが、じつは「戦争ができないようにする」一文を盛り込ませたとの見方をする著者が、母体である創価学会の教義と論理から検証する。渾身の緊急出版。

創価学会と平和主義 (朝日新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 創価学会・公明党批判の急先鋒だった田原総一郎氏が創価学会系出版社の刊行物に記事を寄稿した。
    続いて公明党に批判的であった亀井静香氏が政界引退。彼は”政教一致”なる謎解釈を生み出し批判を行った。
    これにより創価学会・公明党は有力な批判者を失った。

    ※本来、政教分離の原則は、為政者が特定の宗教をプッシュしないよう禁じたルールであり、これは戦前に神社神道を推し進め思想統制したことへの反省でもある。”政教一致”はそれを亀井氏が逆読みして編み出した代物であり(日本においては)正当な解釈ではない。初代会長と二代会長はこの思想統制に抵抗したことにより弾圧された経緯がある。

    そこに作家であり敬虔なキリスト教徒であるという佐藤優氏が書いたこの本。
    彼によれば、安倍政権によって施行された法律によって集団的自衛権絡みの『戦争が可能になるのでは』という危機に対して創価学会の平和主義こそが歯止めとなる唯一無二の理法だというのが主な主張。
    その前に彼は創価学会および三代会長池田大作氏の著作物を読み通した。歴史を遡り、思想を追究しようとしたのだ。
    本書には彼が理解した限りの創価学会・公明党のあらましが語られ、最後にその平和主義の重要性が説かれている。

    ところで、そもそもシャカ→日蓮と継がれた仏法思想が大元なのに、個人に結びつける解釈には異論があるが、創価学会自体がそうなら仕方ないのかもしれない。

    確無宗教国家日本において宗教とは偏見がつきまとうからまずその目できちっと理解しようと努めた姿勢は正しいだろう。
    一人の宗教者として佐藤氏が池田氏に賛辞を送ったことは、まあ理解できなくもないが、それゆえにもう少しクリティカルな目線で論を進めて欲しかった。
    しかし、現に批判者を失っては緊張感も保てなくなるし、安倍政権に付き従うようでは、著者が読み解いた平和主義も廃れるというものだろうと小生は思う。

    本書の理解を得た上で、今後の動向に注意したいと思う。

  • 集団的自衛権を容認した2014年7月の閣議決定は、日本を戦争のできる国にする大転換と評価されたが、著者は、さまざまな「縛り」によって実際に行使は不可能な内容になっていると指摘し、公明党が一定の歯止めの役割を果たし得たと評価している。
    本書で読む価値があるのは、この第一章まで。あとは公明党=創価学会を擁護するだけの内容である。それも、公明党の政治的戦略を客観的に分析したうえで導かれた結論なら説得力もあるだろうが、根拠にしているのは学会自身がうたっている教義と、戦争中に軍部の弾圧と闘ったという歴史だけ。これでは日本共産党のプロパガンダと変わりません。
    だいたいさ、社会党や共産党を「反米ナショナリズムをあおる」と批判しておきながら、創価学会がナショナリズムに陥らないと主張する根拠はというと、池田大作個人とむすびついた宗教には国境がないから、とは恐れ入る。それを言ったら共産党だって、理論としては国境をもたないはずだったのに、まんまとナショナリズムにはまった歴史があるわけでしょ。まして個人崇拝にもとづく宗教が、どうして排他的性格を免れると言えるのか。
    実際に戦後政治のなかで公明党=創価学会が果たしてきた政治的役割の分析もないし、池田大作への批判封じや共産党への盗聴事件など、学会に都合のわるい歴史はすべて無視したうえで、日本の政党政治で空白となっている中道左派の部分を公明党が埋められる、とまで言う。とても中立客観的な立場から書かれた本とは言えません。
    むしろ興味深いのは、佐藤優は公明党が実際に日本政治で果たしている、かなり黒に近いグレーの部分だって知っているはずであるにもかかわらず、あえてキレイな宗教的教義の面から、公明党=創価学会の擁護論を押し出してみせたということ。この出版に政治的意図がないわけがない。プロテスタントが評価しているから客観的、という装いにだまされず、冷静に彼の狙いを考えるべきでしょうね。

  • 創価学会や公明党と聞くと、嫌悪感を抱く。理由は分からないが、親や友人が、「良くないもの」としていたため、肌感覚として、そうなのだ。では、創価学会とは何なのか。勉強しなければ、自らの周囲で起こるこの反応を理解する事は出来ない。

    本著の面白さは、この問いに、集団的自衛権の解釈を切り口とする点だ。「平和の党」を党是とする公明党が集団的自衛権に賛成した。この意味は何なのか。

    しかし、私自身、誰かの思想に身を委ね、組織化し、組織の論理を優先し、組織を拡大しようとする集団への嫌悪感は拭えない。その括り方が、宗教であれ、ボランティアであれ、政治であれ、だ。これは、創価学会に限った事ではない。人間が思想まで機械の一部として取り込む組織の力学への潜在的恐怖なのだ。然るに、私の嫌悪感の本質を考えさせられる一冊であった。

  • 創価学会が存在意義、教義に据える「平和主義」を、公明党という与党を通していかに実現しようとしているか、同時にSGIを通してナショナリズムに対抗しつつ、世界規模での平和を実現しようとしているかを解説。

    公明党が創価学会と深く関係しているのは周知の事実であるし、他国においても宗教を標榜する政党は数多くあるので、公明党も創価学会の教義に則った政党運営をしていくべき、というのは興味深かった。
    此岸性が彼岸性を包み込み、この世での現実的な問題へのアプローチを大切にしつつ、「平和」実現するためには柔軟な立ち位置を維持し続けるというのも、強かだと感じた。
    一方で、創価学会とサウロの回心をなぞらえるのは違和感を感じた。組織宗教としての拡大と、一個人の天命には違うものがある気がする。

    創価学会を創価学会たらしめてる論理や、与党としての立ち振舞いなどを、キリスト教徒して一歩下がった立場から考察していくのは読んでて興奮した。

  • わたしは創価学会の会員ではない。
    この本を手に取ったのは、創価学会というのがどういった存在なのかを理解したかったからである。入会したい、とかいうわけでもない。
    一通り読んで思ったのは、日蓮正宗というよりも、創価学会は池田大作さんそのものである、というように思えた。全ては池田大作さんを中心としている。もちろん、南妙法蓮華経は唱える仏法なのではあるが。それが一番の印象である。
    宗教的観点から見えれば、世俗化することもなく、お題目を唱えるなど、信者の日常生活を律している場面は多く、秩序のある宗教だという印象だ。「生きている宗教」という意味もわかる。
    憲法二十条は少し誤解していた、
    『信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。』
    これは国やその機関が宗教を国民に強制してはならないことを述べているのであって、宗教が国(政治)に関与することを禁止しているわけではない。それであれば、創価学会が政界(公明党)に積極的に進出しても良いわけだ。

    池田大作さんの名言より『星々のかけらから生命が誕生したことを思うと、この宇宙それ自体が生命的存在であるといえよう。星々も地球も、華も木々も人間も、すべて同じ次元から発して、今ここにある。ゆえに人間は、全宇宙の一体なのである』というのはわたしも同じように思う。人間も自然の派生物であるのならば、人間が大気汚染などをするものも自然がバランスをとった結果なのではないかと、その温暖化対策を行う人間の行動もまた自然のひとつなのだと。

    わたしの宗教に関して言えば、典型的な無宗教系といえる。世俗化した浄土真宗であり、葬式の時に「南無阿弥陀仏」と唱えるだけである(お盆やお彼岸などは墓参りしますよ)。わたしはそれで良いと思っている。それもまた時代の流れ、自然の流れなのだと。もともと宗教とは人が救済を求めるために、今よりもっと幸せになりたい、変わりたいという思いから入信するものだと思う。現状に満足しているのであれば、それ以上は不要だ。
    それに神道も好きだし。日本人のモノを大切にする心は神道が深く関わっているとわたしは思う。日本八百万の神、モノを大切にすれば、そのモノにも魂が宿る。それが根幹にあるだと思う。針供養などのその表れだね。

  • 公開情報をもとに偏見をもたない0ベースの思考で考える。この姿勢がとても大事なことだと思った。
    自分の偏見が世界をゆがめ、狭めてしまう。
    悪いものは悪い、良いものは良いといえることが大事だということをこの本を通じて学んだ。

  • 佐藤氏の著者はとても知的で、内実を知らない人じゃないとわからない視点から世界の事象を見ることができるため、とても好きでよく読んでいる。今回は、テーマが創価学会ということで、著者がこの宗教法人についてどのような視点を持っているのかというものに興味があって読んだのだが、結果は期待外れであった。内容が、創価学会に肩入れしたようなものになっているからというわけではなく、著者にしてはあまりにも視点が偏っていて、創価学会側が出した資料ばかりを引用して話が展開する点にがっかりしたのだ。もっと客観的かつするどい視点を期待していただけに、残念な印象しか残らなかった。集団的自衛権容認について、創価学会が果たした役割という視点では、著者の論じている点はその通りなのかもしれないが、もっと逆側からの視点も取り入れた論述をしてほしかったところだ。しかし、創価学会と聞いただけで盲目的に毛嫌いするだけでは真実は見えてこないという視点を提供したところは評価したい。

  • 昨年の閣議決定により、「集団的自衛権行使による自衛隊の海外派遣は遠のいた!?」その背後にあって公明党・創価学会の貢献があった。とのクリスチャン著者の実に楽しい逆説論証。「何?」と思わずびっくりするが、確かにこの説明で論証できている!著者は違う宗教ではあるが、創価学会には非常に公平な立場で評価しているように思われる。日蓮と同様に此岸の現実と向き合って解決していこうという姿勢はカルヴァニズムと共通しているからだろう。王仏冥合という考え方が、日蓮正宗から破門された学会ではあり得ないため、政教分離をここまで強調する必要がない!とまで。しかし池田大作氏そのものが、学会の秘儀だという説明であり、理解できるものの、学会は何を信じる宗教なのかが分からなくなってきた。学会が初代・牧口常三郎の獄死を象徴としている以上、平和主義は彼らの存在意義そのものだということは良く理解できた。

  • 興味本位の私には難しかった。

    創価学会とはなんぞやということがわかるかな~と思って読んでみましたが、ちょっと難しくて断念しました。

    やっぱ宗教に興味がないのでダメでしたね。

    内容云々というより、興味がそそられなかったということで。

    残念です。

  • 公明党のパンフレット本。

全51件中 1 - 10件を表示

創価学会と平和主義 (朝日新書)のその他の作品

創価学会と平和主義 Kindle版 創価学会と平和主義 佐藤優

佐藤優の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

創価学会と平和主義 (朝日新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする