イスラム国の正体 (朝日新書)

著者 : 国枝昌樹
  • 朝日新聞出版 (2015年1月13日発売)
3.52
  • (8)
  • (28)
  • (28)
  • (7)
  • (0)
  • 本棚登録 :248
  • レビュー :38
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022735966

作品紹介・あらすじ

【社会科学/民俗風習】新たなる同時テロの火種か、単なるテロ集団か──世界中の若者を引きつける武装組織「イスラム国」の現状・未来とは? 首切り動画や奴隷売買など、謎に包まれた組織を、元シリア大使として現地にネットワークを持つ著者が解説する。

イスラム国の正体 (朝日新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 日本人があまり知りえないイスラム国について記述した一冊。

    イスラム国やその周辺国の事情について知ることができた。

  • イスラム国の案内書.歴史とか成り立ち,現状,これからの展望など分かりやすく書かれている.だけど,書かれてから3年近く経ち,テロはますます盛んになっている.一筋縄ではいかないアラブ民族,予測も何もあったもんじゃない.

  • アラブ社会の解説から目まぐるしく変動するイスラム過激派の解説.

  • (2017.04.04読了)(2017.01.14購入)(2015.02.10・第2刷)

    【目次】
    はじめに
    第1章 急速に勢力を拡大する「イスラム国」
    第2章 イスラム国の正体
    第3章 なぜ、欧米人の首を切り落とすのか?
    第4章 なぜ、世界中の若者たちを惹きつけるのか?
    第5章 際限なく続くイスラム過激派の系譜
    第6章 同時多発テロは再び起こるのか
    あとがき

    ☆関連図書(既読)
    「イスラム過激原理主義」藤原和彦著、中公新書、2001.10.25
    「イスラーム原理主義の「道しるべ」」サイイド・クトゥブ著・岡島稔訳、第三書館、2008.08.15
    「原理主義の潮流」横田貴之著、山川出版社、2009.09.30
    「現地発エジプト革命」川上泰徳著、岩波ブックレット、2011.05.10
    「革命と独裁のアラブ」佐々木良昭著、ダイヤモンド社、2011.07.14
    「中東民衆革命の真実-エジプト現地レポート-」田原牧著、集英社新書、2011.07.20
    「レバノン混迷のモザイク国家」安武塔馬著、長崎出版、2011.07.20
    「アラブ革命の衝撃」臼杵陽著、青土社、2011.09.09
    「グローバル化とイスラム」八木久美子著、世界思想社、2011.09.30
    「アラブの春は終わらない」タハール・ベン=ジェルーン著・齋藤可津子訳、河出書房新社、2011.12.30
    「ルポ難民追跡」坂口裕彦著、岩波新書、2016.10.20
    ☆酒井啓子さんの本(既読)
    「イラクとアメリカ」酒井啓子著、岩波新書、2002.08.20
    「イラク 戦争と占領」酒井啓子著、岩波新書、2004.01.20
    「イラクは食べる」酒井啓子著、岩波新書、2008.04.22
    「〈中東〉の考え方」酒井啓子著、講談社現代新書、2010.05.20
    「〈アラブ大変動〉を読む」酒井啓子編、東京外国語大学出版会、2011.08.10
    「中東から世界が見える」酒井啓子著、岩波ジュニア新書、2014.03.20
    (「BOOK」データベースより)amazon
    イラク、シリアの混乱に乗じて2014年から台頭したイスラム国。首切り、奴隷市、虐殺などのショッキングな映像のほか、SNSを駆使した巧妙なPR戦術で、世界中の若者が惹きつけられ、参入している。謎に包まれたイスラム過激派に迫る。

  • 2015年1月に出版された、イスラム国を巡る中東情勢の解説書。本書によれば、イスラム国はいずれ制圧されるが、その命脈を完全に断つことは出来ないようだ。2年経っているが、現在の状況はどうなんだろう。

  • ほんの1年前に出版された本だけど、もう100円コーナーに並んでいた。
    こういう本は、注目が集まったときにサッと売ってしまおうと言う魂胆で書かれているから、旬が過ぎたら見向きもされない。
    著者は、元外交官で中東での駐在経験も長いので、現地の空気を良く知っている。
    ほんの表面を撫でたような内容だったけれど、端端に知識の深さを感じる。
    この本の大部分は面白くない。
    しかし、最後の部分が俄然面白い。
    元外交官である以上、強く自分の意見を言うことを控えているが、それを少し出しているのが最後部。

    イスラム国は自らイスラムを名乗っているからといって、イスラムの原理に基づいていると考えるのは間違い。

    彼らを理解しようとしてイスラム教からアプローチしては、騙される。

    イスラム国に限らず、イスラムを名乗るテロは総てイスラム教とは関係ない。

    イスラム教が出現した7世紀前半からさらに過去にさかのぼらなければ、理解できない。

    即ち彼らは遊牧民であり、砂漠の民であり、ベドウィンであり、アラブ人だと理解すること。

    彼らは、宗教以前に部族社会であること。

    彼らに絶対理解できないこと、それは「国境」という概念である。

    国境という概念がなければ、「国家」という概念を持てるはずがない。

    これがアラブ問題を考える鍵であることが判った。

    まあ、この本によって気付かされたわけじゃないけど。

  • この10年間の激動・変化の背景が、大掴みできる。宗教心とは別。

  • イスラム国に対して、湧き起こる疑問に次々と答えてくれる良書だった。平和を守ることの重要さ,難しさを改めて考えさせられた。

  • 外交のバックグラウンドから、グローバルなパワーゲームの中で事象を読み解いている部分は参考になる。
    組織をつぶすとか現地の貧困をなくすといった次元のほかに、周辺中東諸国の統治がどうあるか、大国がどう動くかといったことが大きくかかわる問題。

  •  読んでいるうちに事態は動いて、「イスラム国」による日本人人質事件は人質の殺害に終わってしまったようだ。安倍首相は「テロリストたちを許さない」「この罪を償わせるために国際社会と連携してやっていく」とコメントしたが、許さないくらいなら私にもできる。勇ましいことを言っても日本は武力を行使できないのだから、つまりは自衛隊を派遣できるようにしたいということだろうか。
     確かに「イスラム国」が7世紀のイスラム教の教義を持ち出して、異教徒たちを支配におく国を武力で作るというのなら、日本は戦争に参加していないと主張したからと言って彼らの矛先から逃れられない。つまり「イスラム国」問題は平和的には解決できないのかも知れない。しかし、イスラム過激派を殲滅して西欧の価値観をもってイスラム世界を世俗化し、民主化することもまたできるわけではない。
     当面われわれは暴力に曝される人たちと連帯していくしかない。それならばもっとアラブ世界を知らねばならないだろう。

     池内惠『イスラーム国の衝撃』読後に引き続き読んだのでどうしても比べることになるが、『衝撃』がいかにも学者らしい筆致で、しかも緊迫感を持って、事実と推測を選り分けながら緻密な論理で全体像を描いていくのに比べて、シリア大使を勤め上げて退官した外交官による『正体』はなんだかユルい印象がある。それは「です・ます」調の文体によるものだけではなかろう。現地で生活していた人の実体験を交えて話を聞いているような気安さがあることは確かだが、いささか距離を取って見ているような感がある。

     情報源は限られているから『衝撃』と共通する内容も多いが、特に後半が有用だった。ひとつは「イスラム過激派」の歴史である。ジハードとはもともと「神の道のために努力すること」であり、必ずしも武力を使うことを意味していなかったのが、武力で異教徒を退けること、さらには武力で不信心者を倒すことに意味が限定あるいは変遷していった歴史。
     もうひとつはアラブ諸国の思惑である。スンニ派とシーア派では前者が多数派であるが、シーア派の盟主はイランであり、シリアのアサド政権やレバノンの「ヒスボラ」を支援している。イラクではシーア派とスンニ派の対立につけ込まれて「イスラム国」が成立した。対して石油で経済的に潤っている湾岸諸国、その代表はサウジアラビアだが、こうした国々はスンニ派であり、かつてはアラブ諸国対イスラエルという対立構造だったのが、現在では湾岸諸国はむしろイランを脅威と思っており、アメリカとイランの緊張緩和は望ましくない。しかしながら、ヒスボラの書記長がスンニ派とシーア派の対立というが、実際争っているのはスンニ派同士という指摘をしているのが紹介されているのは興味深い。他方、トルコのエルドアン大統領は昔日のオスマン帝国再興を夢見ているらしく、「イスラム国」騒動で漁夫の利を得ようとしている。まとまりようがないのである。
     過激な運動は独裁政権によってようやく抑えられているのがアラブ世界であり、よりマシな独裁政権と付き合う現実的な覚悟が国際社会に必要というのが筆者の結論である。悲観的なことを淡々と述べているのは、諦観なのか、精神的な距離感なのか。

全38件中 1 - 10件を表示

イスラム国の正体 (朝日新書)のその他の作品

イスラム国の正体 (朝日新書) オンデマンド (ペーパーバック) イスラム国の正体 (朝日新書) 国枝昌樹

国枝昌樹の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
佐々木 圭一
有効な右矢印 無効な右矢印

イスラム国の正体 (朝日新書)に関連する談話室の質問

イスラム国の正体 (朝日新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする