下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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レビュー : 108
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736208

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】年収400万円以下だと、将来「下流老人」に!? 約600万人が一人暮らし、うち半数は生活保護レベルの日本の高齢者。Nスペ「老後破産」でも話題となった老後崩壊の衝撃を、テレビ、新聞、ネットで今最注目の著者が描く。初の新書。

感想・レビュー・書評

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  • 老後の貧困はひとごとではない。
    そう警報を鳴らすのは、生活困窮者支援のNPO法人「ほっとプラス」の代表理事で社会福祉士である本書の著者、藤田孝典さん。

    本書では下流老人を「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」と定義しています。
    私も高齢分野で相談援助職をしていたことがあるからこそ、ここに書かれている重たい現実が、忍び寄る貧困の影が本当に存在しているものだと知っています。
    一億総中流社会なんて、随分昔のお話です。今は、普通に暮らしている人の多くが貧困リスクを抱えています。

    ◆下流老人が抱える3つの「ない」
    下流老人は、3つの「ない」を兼ね備えてます。
    すなわち、①収入が著しく少「ない」②十分な貯蓄が「ない」③頼れる人間がい「ない」

    制度自体がなくなることはないでしょうが、年金収入は減り続けるばかり。収入が公的年金のみでは、国民年金なら7万円ももらえないし、厚生年金だって平均月給給与が38万円で40年間納めたとしても月に17万円もらえない。
    無論、平均月給が、納付期間が少なければその額はもっと少なくなる。
    必然的に、高齢期に年金収入のみに頼ると、収入は著しく少ないと言わざるを得ない。だからこそ働けるうちは働くという意識を持っている人は多いけれど(本書によると65歳以上の就業率は20%と世界で1番。フランスは2%ほど)、当たり前ながらいつまでも健康に働けるわけではないのです。

    貯蓄だって、日々の生活から老後資金を十分に用意するだけの余力がある人は多くない上に、突然の長期入院などであっという間に貯蓄は目減りしてしまう。
    それに自分が高齢期になる頃には親もいないだろうし、兄弟や友人だって皆高齢だ。その頃頼れる相手が、どれだけ自分にいるでしょうか。
    つまりは、誰だって下流老人になる可能性は高い。まして、高度経済成長期を生き抜いた今の高齢者ですらそうなのだから、非正規雇用が40%を占める今の若者が高齢者になる頃のことを、今から真剣に考えていかなければいけないのでしょうね。
    目を覆いたくなるような現実ですが、高齢者が尊重される社会であってほしいと思うので、見ないふりだけはしないようにしようと思います。

    本書にも度々セーフティネットとしての生活保護に関する記述がでてきます。生活保護の基準は下げられているものの、人間が健康で文化的に生活できるだけの基準で設定されています。
    本来であれば、病気や年金の不足などで十分に生活できない人がこの社会で生きる権利として申請をしてほしいものですが、まだまだ抵抗感は根強いし、耐えることが美徳とされる風潮もあることから頑張る人程利用に繋がらない現実がもどかしいです。
    一方で、権利だからと受給をして不必要なほどの医療にかかる人、貰うとすぐに散財をする人を見るにつけ、やるせない気持ちにもなります。我慢をする人、遠慮をする人ほど損をする社会であっていいはずがない。

    団塊世代が75歳を迎える2025年の介護問題についても国は対策に動いていますが、同時に貧困対策というのも急務ですね。ただし、公助のみでなく、自助だって必要です。もちろん、貧困はその人が怠けていた結果ではなく、社会構造上どうしても発生してしまうものです。
    では、個人で何を備えておくべきかということが本書にもいくつか書かれておりどれも大切ですが、中でも頼り、頼られることのできる人間関係の構築というのは私も欠かせないものだと思っています。

    問題が深刻化してから支援に繋がるケースが多いのを目の当たりにして、このまま対処療法ではいけない、というのは私も感じています。
    あるいは、独居高齢者たちが異口同音に口にする「はやく死にたい」という言葉を聞くにつけ、高齢者が自尊心をもって生きられる社会を模索する必要性も感じています。では自分に何ができるのか。
    抜本的な取り組みができるわけではないですが、なるべくアンテナを立てながらできることを1つずつ見つけていきたいと思います。

  • 知人が何故か勝手に(?)貸してくれた。
    非常に立て込んでいるこの頃…かといって読まずに返却もできず。気にはなっていたので、なんとか時間を作り出して、斜め読みプラスアルファ、くらいで読んだ。
    問題提起として読むには良い。が、どなたかもレビューされていたが、本書に都合のいいところだけ拾い書きしている感は否めず。いろいろな制度、資源を活用した上でどうなのか、と考えないといけないのでは?
    まあ、でも実際のところ、今の社会保障制度が世の中の実態に合っていないことだけは確かです。

  • 知らないってことは、恐ろしいことです。
    40代後半の私にとって、色々と考えを改めなければなりません。
    今現在、何とか普通に生活出来ていても、将来下流化する可能性は大きいんですね・・・
    自分の事も心配だけれど、それ以上に子供の世代がどうなるのか?
    そっちの方が、もっと心配です・・・

  • 下流老人と称する最低限の生活も出来ない老人や若年化している貧困の実態を紹介しつつ
    そうなった時代背景や社会保障や政策の遅れなどをわかり易く知れた1冊

    若年の貧困に関しては、貧困世代で詳しく読んだ後ということもあって自らの人生設計も考えさせられた

    困っている人は全て救うべきだ、と言う著者の考えは著者自身も財源に限りがあるのにこれは理想論だと書かれていて読んだ時は確かにそれは理想論でしかないと思ったが

    最後の章の著者が考える様々な行政改革案を読んだ後には、可能のような気持ちになった

    今、読んでいる本も同じような内容のものだが
    こちらは2010年刊行
    すでに7年過ぎているのに非正規雇用やブラック企業は改善されているようには見えていない事に
    いつになったら日本は安心して暮らせる国になるのか……

    まずは老後の幸福度のために
    人間関係をもっと大切にしようと思います

  • 話題性があり関連書が多い
    前半
    社会福祉の現状の説明と 下流(と言われるもの) になる 可能性の人たちの紹介
    子供はコスパが悪い
    健康であることは重大
    が記憶に残った
    後半
    生活保護とは?
    受給のためのマニュアルとして使えそうだ

    不安を煽るような 内容の書が多い
    データの取り方が 巧妙で騙される

  • 全体としてよく書かれていると思います、納得の一冊。
    個々の内容については、限られたスペースであり、やむを得ませんが、問題だらけです。まず用語の使用がかなりルーズで、データは頻繁に参照されますが、その都度、都合のいい数字を引っ張ってきている感が否めません。書き方も、後術と提言が多くて気になります。ボートの例えは何が言いたいの???認知症の傾向って何、発症してるのしてないの?特にひどいのは、ケアマネジャー(介護支援専門員)の職務に対する誤解、質云々の話ではなく、制度の問題であり、著者が言う職務を行うのは、特定施設であれば、別途、生活相談員が配置されています。また、なぜ「養護老人ホーム」なのか?ほとんど休眠状態ともいえる施設を取り上げるのも理解しかねます。有料老人ホームの経営母体も、介護付は民間が多いのは事実ですが、住宅型は社会福祉法人や医療法人、NPOも多いです。「特別養護老人ホームは大きな利益は見込めない」と書かれていますが、昨年介護報酬が改定(下げられた)された一因は、特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人の内部留保の多さではなかったですか?補足性の原理も、「家や土地を保有していると生活保護を受けづらくなる」としても、今年、大阪府H市からは、可能であると回答を得ています。身寄りがなかったり、認知症を患っていたりして、本人が売却処分などできない場合、保佐人や後見人を立てる等、時間がかかる場合もあるでしょうが、まずは相談してみることです。自己防衛策はお粗末、前の章とも整合性がありません。

  • 本書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」である。

    誰が本当の捨て石なのか?
    たまたま、某アナウンサーの捨て石発言に関連して考えていたことが、本書の冒頭に書かれていた。

    子供を生み育てないことは、下流老人にならないという観点でみれば、経済合理性のある選択肢となる。言い換えれば、子供を産み育てる選択をした人は、社会のために捨て石となっているのかもしれない。
    子供を生み育て、そして高等教育を受けさせるには莫大な費用が必要になる。
    それを自分の老後のために積み立てることは、自らが下流老人にならないための選択肢の1つである。

    第2章以降、下流老人の生活実態、そしてなぜ人が下流老人と、なってしまうかというプロセスと、多くの現実に対応してきた筆者だからできるリアリティを持ったレポートが続く。

    そして、我が国の憲法で認められている生存権が、行政の仕組みとして担保されない構造になっていること、また、国民の空気がそれを追認しているとの厳しい指摘。

    家族制度の変容、急速に進む少子高齢化の中で、かつて機能してきていた制度ではもう社会を支えきれなくなってきている現実がそこにある。

    そして、終わりに下流老人にならないため、私たちにできるヒントが書かれているが、やはり個人ができる究極の対策は、充分なお金を持っていることだろう。

    したがって、経済的な観点から見れば、捨て石発言したアナウンサーは、子育てを行った人々(捨て石)の犠牲の上に下流老人にならない老後生活を過ごすことができると、言えるかもしれない。

    ただし、その選択肢はわが国が未来に継続していくことを阻害し、また、お金で買えると考えていた安楽な老後生活それ自身を失う事になりかねない劇薬ではある。
    なぜなら、お金はそれ自身で自分を介護してはくれない。お金を代償に世話をしてくれる将来の他人を必要とするからである。

  • 生活保護を受給するのが恥かしいとか、受給の仕組みを知らないというのが問題の根源なので、この点では自己責任以外のナニモノでもない。とくに目新しい情報・提言はなかったように思う。首都圏の団地なら3Kで4~5万で住める空き家はゴロゴロある。公営住宅が不足しているとは思わない。ただし、介護施設は圧倒的に不足しているので、その対策は急務だろう。東京五輪などやってる場合ではない。

  • 何年か前に西宮のイベントで登壇されているのを見たけど、最近になって生活困窮者支援で頻繁にメディアへ登場してはるNPO法人ほっとぷらすの藤田孝典さんのレポート。現場の状況をデータと照らし合わせて「下流老人」の存在とそれを生む社会構造を問題提供。社会保障制度ってそもそもそんなに詳しく知らんよね、というのは老いも若いも同様に抱いてること。そこと地域のネットワークづくりを掛け合わせることが、隣保館の役割かもと具体な動きを妄想。

  • 仕事柄、高齢者問題はチェックしているのですが、下流というのはどこかで他人事だと思っていました。いつ自分や家族が病気になるかわからないのに。。
    著者も指摘していますが、富者と貧者、高齢者と児童、生命の重さは同じはずなのに優先順位をつけてしまう風潮がやはりこわいと思う。
    身近なところで感じるのは、専門性を高める=蛸壺化になってはいけないということ。

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著者プロフィール

NPO法人ほっとプラス代表理事

「2017年 『20年後、子どもたちの貧困問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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