国家のエゴ (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736307

作品紹介・あらすじ

戦争参加を決めるのは誰か?命じられたら人を殺すのか?今の安保法制は使いものにならない。だからといって、戦争について無知であってはならない。なりふり構わず生き残りを図る国家は、いずれ国民に様々なことを強制し始める。第1部では国家に振り回されないために大切なことを、第2部では姜尚中氏を聞き手に、今、日本が「すべきこと」と「すべきでないこと」を喝破!

感想・レビュー・書評

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  • 2015年現在の世界情勢を掴むヒントを与えてくれるとともに、日本の自衛についてかんがえさせてくれる。世界情勢については、イスラム国をてこに周辺諸国の位置付けやイスラエルの苦悩などを知ることができたのが興味深かった。また、日本系沖縄人という意識が今の沖縄の人々の多数派になりつつあるという認識も新たに得られた貴重なものだった。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】
    ・前半の講演部分は読了。後半の姜尚中とのインタビューは未読。でもいっか。

    【目次】

  • 久々の佐藤優。書中で対談相手の姜尚中が、絶妙な評価をしているが、その通り、佐藤優の視座が時々分からなくなる。単純に、左派なのか右派なのかという事についてさえだ。現政権を批判する論が今作は多い。そして、自らを沖縄人と言った上で、沖縄独立により、尖閣問題は無くなると。茶化しているのではない、何かしらの心理的な動きを感じざるを得ない。これから佐藤優は、どう動いていくのか。

    以下、本著で気になった事。

    日米の戦争時、敵国において自国の権益を保護するために第三国を指名する。それを利益代表国、あるいは利益保護国という。アメリカの利益代表国はスイスで、日本はスイスを通じてアメリカと連絡をとるようになった。このスイスやスウェーデンなどの大使館、公使館があったのが軽井沢。ソ連大使館が箱根にあった。日本の富裕層は絶対に安全な軽井沢や箱根に家族を逃した。軽井沢や箱根がリゾートとして発展したのは戦時中の事だった。

    特定秘密情報にアクセスできる適正評価(クリアランス)が定められている。

  • 佐藤氏の著作を初めて手に取ってみた。
    姜尚中先生によるインタビューが気になったから。この二人の組み合わせが、想像できなかったからだけど、本書は姜先生が学長をつとめる聖学院大学での佐藤氏の講演記録から再構成されたもの。
    現代の日本を「スターリン主義の顔をした保守主義」とする佐藤氏の分析は鋭い。好きじゃないけど。

  • 右なのか左なのかわかりにくい佐藤氏。
    宮崎駿の風立ちぬから重慶爆撃の話に行くあたりで、そんなところを感じさせられた。
    東日本大震災のときのライフセーバーが遺体回収のボランティアの話。箱根、軽井沢が在日外国大使館等の疎開先となり、その情報で疎開した結果の別荘地。
    いろいろな面白いネタがあって読みやすかった。
    後半は対談形となっているが、比較的読みやすい。




    【目次】
    Ⅰ いま、戦争を正面から考える
    ――私が若い読者に伝えたい、いくつかのこと
    ・「小文字のことば」で語る
    ・神学論争の果てに
    ・猫の世界のルール
    ・映画『風立ちぬ』への違和感
    ・日本は戦前も戦後も「強い国」
    ・二つの『帝国主義論』
    ・「ホテルニューオータニ」と安保法制
    ・誰が戦争することを決めるのか
    ・特定秘密法は、現代の軍機保護法と国防保安法
    ・「お国のために進んで死ね」
    ・軽井沢と箱根がリゾート地になった理由
    ・田辺元の「懺悔」
    ・死者との連帯
    ・靖国の英霊
    ・国家と賢く付き合う知恵……

    Ⅱ 特別ロングインタビュー 聞き手・姜尚中
    「新・戦争のできる国」の正体――その先に何があるのか
    1.安保法制をめぐる議論

    2.抑止力をめぐる議論
    3.中東をめぐる議論
    4.中国と韓国と沖縄をめぐる議論

  • 大幅な加除修正とあるものの第I部は2013年の講演がベースとのこと。今まさに考えたいテーマについて、時宜を得て世の中に出てきたということだろう。
    知識人として、その知識の幅と深さは驚くばかりであるが、経験、体験で磨かれた洞察力は鋭く、そして面白い。

  • 「安倍(政権)って、なぜ○○なんだろう?」
    という疑問を持っている人に、明快な回答を与えている書(とくに後半対談)。膨大な知識と経験に裏打ちされたその内容は、痛快にして秀逸。

    こういうバカらしい状況に対しては、「国家をいったんカッコに入れることで、心理的にも距離をつくれます。」(P97)程度のつきあい方をするのが身のためかも。
    (しかしなぁ、それで敵の思う壺になるのも癪に障る)

  • 現下日本の政治エリートは反知性主義的機運が万延している。
    中国は、新帝国主義で海洋進出が脅威とされているが、中国西方に第二イスラムができる可能性が高く尖閣問題は発展しない。発展しないもう一つの可能性は沖縄の日本からの独立がある。

  • ヨゼフ ルクル フロマトーカ
     人間同士の関係は個々の自己中心性によって深く崩壊している

    自己チュー同士が向かい合っても、相手の立場で物事を考えないから、実りのある関係は結べない、あ互い無関心なままならまだましだが、対立するとお互いに妥協できないまま破滅的な結末を招くだけだろう

    箱根や軽井沢がリゾートになった理由
     軽井沢 スイスやスェーデンなど西欧の大使館、公使館、箱根はロシアの公使館が避難していた

    敵国または占領地で自国の権益を保護してくれる第三者的な国を指名します。それを利益代表国、または利益保護国といいます。
     日本の利益代表国はスペイン、アメリカのそれはスペイン。戦況が厳しくなるとスペインと連絡がとれなくなり、末期にはスイスを通じてアメリカと連絡をとるようになった。アメリカが各国大使館、公使館を空爆しないように、避難場所を明示した地図をスイスに託した
    軽井沢と箱根がリゾート地として発展したのは戦時中

    田辺元 歴史的現実 軽井沢に移住

    小室直樹 念力主義 こうなったらいいな、という主観的な願望によって客観情勢が変わる

    ボナパルティズム 代表と代表されるものの利害が一致しないこと

    ジョージ・オーウェル 1984 戦争は平和だ、自由は服従だ、無知は力だ
    シェークスピア マクベス きれいは汚い、汚いはきれい

    イスラム国 スンニ派の過激組織
    イラクを実効支配しているのはシーア派のアラブ人
    基本的にアラブ人はスンニ派が圧倒的に多く、スンニ派はマイノリティー
    イラン シーア派が9割、ペルシャ人

    イラン アフマディネジャド大統領 終末の日を信じている
    ロウハニ現大統領、ハメネイ師 腐敗している人は安心、現世利益を大事にするから

    日韓関係で最も求められているのは、お互いが違うのだ、ということを自覚すること
    ☓ 一衣帯水の仲

    韓国の歴史教科書 発展史観がない代わりに、個人の勇気や個人が歴史に果たした役割が非常に重視されている

    中国の歴史教科書 明治維新を評価している

    ある民族が力をつけていく過程で、そういう歴史観が必要な時期がある。日本人はこうした韓国の歴史教科書の史観を避難するのではなく、お互いが違うのだというこの現実を認識し、自覚することが始めるべきなのです。まず日本人は、この歴史教科書を読んで、我々は韓国からこういうふうに見られているのかとびっくるしなければならないのです。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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