女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736376

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】女子大生が風俗業界に大量流入している。そこから見えるいまの大学生の意識、広がる貧困──経済事情がままならないなか、「充実した学生生活を送りたい学生」ほど、体を売って学費を稼いでいる衝撃的な現状をリポート。著者の新境地。

感想・レビュー・書評

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  •  同じ著者の『日本の風俗嬢』や『職業としてのAV女優』の姉妹編ともいうべき本である。

     「女子大生の風俗嬢が増え始めた」ことが新奇な現象として報じられたのは1980年代だが(それ以前にも例外的な女子大生風俗嬢はいただろうが)、当時の女子大生風俗嬢はおおむね「遊ぶ金欲しさ」でなるケースが多かったと思う。

     しかし本書によれば、昨今は生活費と学費捻出のために風俗をするケースが多いのだという。つまりこれは、「若者の貧困」の問題を女子大生風俗嬢というフィルターを通して考えた本なのだ。

     著者は、風俗・AVライターとして長年活動してきた人。『日本の風俗嬢』『職業としてのAV女優』は、その経験と知識が凝縮されていた点がよかった。

     いっぽう、本書は行き当たりばったりの浅い取材で書かれている印象で、前2著に比べて読み応えがない。
     たとえば、第3章「貧困の沖縄を行く」は「2泊3日の取材」(本文にそう明記されている)で書かれている。2泊3日で何人かの風俗嬢を取材しただけで“沖縄のいま”を語られてもなあ。

     また、第5章「風俗はセーフティネットか」に登場するのは、45歳と30代の熟女風俗嬢と、20歳だが大学生ではないデリヘル嬢だけだ。おいおい、これは『女子大生風俗嬢』という本ではなかったのか。

    《大学進学率が50%を超える状況だが、旬な適正年齢で、最高学府に進学するような女性は、なかなかそこまで転落しない。山根氏から、“うちで一人だけ20歳の女の子がいます。学生ではないですけど、取材しますか?”と言われた。》
     
     ……って、本のテーマとタイトルを著者自身が否定しちゃってるし(笑)。女子大生風俗嬢の事例が、思ったほど簡単には見つからなかったのだろう。

     まあ、“大学の学費高騰とそれに伴う奨学金(という名の借金)問題の深刻化によって、女子大生風俗嬢にならざるを得ない人が増えている”という本書の問題提起自体は、社会的意義のあるものだと思う。

    「今は学生の半分以上が一般的なサラリーマンの年収以上の借金を背負っている。90年代後半あたりまで、奨学金の受給者は大学生全体の2割程度だったけど、今は52・5%となって少数派ではなくなってしまいました」(大内裕和・中京大教授のコメントより)

     過去の著作でも感じたことだが、この著者には、ごく一部の極端な事例を根拠に“社会全体が極端になっている!”と針小棒大に書き立てる悪癖がある。
     たとえば、『崩壊する介護現場』では、“介護業界で働く女性の多くが副業で性風俗をやっている”かのような書き方をしていた。
     
     本書にも、「この数年、世代格差が叫ばれている。高齢者は様々な社会保障で悠々自適に暮らし、その孫はカラダを売って大学進学する、そんな現実がある」(「おわりに」)という一節がある。
     いやいや、そんな書き方ができるほど一般化した現象ではあるまい。“風俗の仕事で学費を捻出する学生も、世の中にはいる”というだけの話だろう。

  • うーん、奨学金を利用している大学生の数は半数にも及ぶとか、大学費用が高騰してるとか、これらの客観的な事実と、風俗嬢に女子大生が増えてるってサンプル数も少ない曖昧な事がごっちゃになってると思った。まあ新書なり内容かな。好奇心は刺激された。一番面白かったのは大学院の学費稼ぐのに二丁目で売り専やってるノンケの男の子の話で、本のタイトルの女子ですらない。

  • 奨学金なんとかせんと

  • Audibleでオーディオブックとして聞いた。風俗産業ではたらく若い女性への丹念な取材から浮かび上がった実態、風俗を選んだ理由のルポ。やはり多いのはお金を稼ぐ必要に迫られてのことだが、日本学生支援機構の奨学金返済に苦しむ大学生がいかに多いかということに驚かされた。時給1,000円前後のアルバイトだと多大な時間を吸い取られ肝心の勉学に励む時間が残らない、苦慮した末に出した結論が風俗だった、という仕方なく一時的にはたらく女性が多かった。その他、成人の女性や男子学生、単純に風俗産業に興味があったという女子大生や、家族に満たされなかった自己承認欲求を癒やすために風俗ではたらく人なんかも登場する。
    現在、風俗は応募者が非常に多く、身だしなみが悪いと面接にパスできないというのがこの本でいちばんの驚きだった。

  • 東2法経図・6F指定 367.9A/N37j/Ishii

  • 風俗に勤める事でで漸く学費が賄える異常国家。身ぐるみ剥ぐような奨学金制度もどうかと思う。
    学歴による賃金差を無くすとか採用条件に差を無くすとかしないとパパ活やら交際クラブやら形を変えて永遠に続くような気がする。

  • 健康保険に更に介護保険、年金から源泉徴収の制度、高齢者に厳しい社会です。一方で、親世代の収入の低下と学費の高騰で、今の大学生にはお金がないと。バイト漬け、奨学金という絶望の借金、風俗の選択(女子だけでなく男子も)とか・・・。バイトで月5万、デリヘルで25万、高級ソープで90万円・・・、資格を取りたい、留学したい、公務員になりたい、将来を見据える学生ほど風俗を選択しているとか・・・。(本当に本当か!)日本、大丈夫かっ!更に風俗産業も深刻なデフレ、風俗までやって貧乏な時代、生活保護程度しか稼げないとか・・・。

  • 「風俗をやって本当によかった」彼女たちが異口同音に語る理由。大学がレジャーランドだったのは遠い昔。親は貧困に転落し、ブラックバイトも増加。人生に重い足かせをはめる奨学金の存在…。資格をとりたい、留学したいといった「向上心ある学生」ほど、身体を売らざるをえない現状をリポート。(男子学生もね・・・)

    もう、本当にこれが日本の現状なのか?と目を覆いたくなるような悲惨さ、切実さ・・・格差ありすぎ。

    そして今や、風俗もAV女優もスペックが高くなければ断られちゃうとか・・・。

    奨学金という名の借金のために、時給の安いバイトの掛け持ち、ブラックバイトによる搾取に甘んじなければならない学生の脱出の道が険し過ぎて、想像を絶する。

    なんつーか・・・ホントにメチャクチャ。壊れちゃってるよね、日本・・・って感じ。

    現実見ると生きていけなくなっちゃうから、心を無にして、もしくは現実逃避の夢を見つつ、日々をこなしている。

    スペックが高くって風俗で稼げて、生活にも余裕ができて、学業にも専念できるようになってよかったね、って思えちゃうところがコワイ。

    お金持ちの愛人希望とか、ありだよねってなるわなそりゃ・・・。

    日本の未来が真面目に心配になること請け合いです。
    真面目に、読んだ方がいい1冊だと思います。

  • 奨学金 という名の借金。
    僕が学生だった頃と様相は全く異なる。。
    認識を改めなくては。。

    この先どうなってしまうのだろう??
    第4章 なぜ彼女たちは騙されるのか は、僕の知らない世界。
    彼女たちはほんの氷山の一角だろう。衝撃的だった。

  • 日本の貧困問題

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