女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736376

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】女子大生が風俗業界に大量流入している。そこから見えるいまの大学生の意識、広がる貧困──経済事情がままならないなか、「充実した学生生活を送りたい学生」ほど、体を売って学費を稼いでいる衝撃的な現状をリポート。著者の新境地。

感想・レビュー・書評

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  • 女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル (朝日新書)2015/10/13

    今の大学生たちは明らかに社会的弱者である
    2016年8月16日記述

    中村淳彦氏による著作。
    中村淳彦は日本のノンフィクション作家、ノンフィクションライター。
    1972年東京都目黒区生まれ。
    明治学院中学校・明治学院東村山高等学校、
    専修大学経済学部卒業。編集プロダクション、出版社を経て、フリーライターとなる。

    日本の風俗嬢という以前の作品に女子大生も風俗嬢になる実態が広がっていることを指摘していた。
    本作はそれを更に深く掘り下げ、日本の学生達、それを支える親たちの現状が描かれている。

    昔にも風俗嬢をする女子大生がいたことは事実ではある。
    しかし、今は普通に授業料を支払う為に行う苦学生なのだ。
    遊ぶ金を稼ぐ為になっている者はほとんどいない。
    この日本という国は本当に貧しくなったと実感する一冊となっている。
    また女子大生だけではなく、男娼になる大学院生も紹介している。
    その彼は早稲田大学に通学している・・・しかし日本学生支援機構からの借金が480万円を越えていて、大学院に進学するには他に手段が無かった・・

    他の章に沖縄県に住む学生の苦境も描かれている。
    大半の私大に進学するだけで借金(奨学金)で人生詰んでしまう現実・・・
    そして地元の雇用は月給13万円~16万円ほどでは返済に行き詰まるのは当然だ。

    彼氏に騙される女性も含め目を背けたくなる現実が日本に広がっている。
    著者も指摘するように大学という名のレジャーランドは既に崩壊したと言って良い。
    中京大学の大内裕和教授の指摘も頷けるものばかりだった。

    1975年の国立大学入学金は5万円
    授業料は3万6000円だった。
    私大平均、入学金9万5584円。授業料18万2677円。

    2013年の国立大学入学金28万2000円
    授業料は53万5800円
    私大平均、入学金26万4390円。授業料86万0072円。

    国立大学の学費は15倍近く。私大も4倍。
    40年前(1975年)の大卒男子初任給9万1272円。
    2013年は20万2469円。
    貨幣価値はおおよそ2倍強の上昇にとどまる。
    その中で大学学費だけが4~15倍になっている。

    年金の給付額の世代間格差もよく問題とされるものの
    それにこの大学授業料の負担問題を加えると
    信じがたい世代間格差が生じていると再認識した。
    今の大学生たちは明らかに社会的弱者である。

    不幸なのは日本の歴史上最大の苦学生の多い時代にも
    関わらず、大学の夜間課程、2部の多くが廃止されていることも不幸だ。
    自分が大学受験をしていた時期(2003~2004年)頃に関西でも多くの私大で夜間主コースの廃止、フレックスコース制度の創設、2部の廃止が行われた・・・
    しかし廃止は全く不必要だった。
    夜間過程が残っていれば、苦学生の受け皿になったことは間違いない。
    しかも夜間なら学費も半額だったのは大きい。
    それを廃止した私大は市場原理主義、営利第一主義としか言えない。
    ウォール街を批判する資格など日本の大学には無いのだ。

    著者は最後に大学進学への投資が回収できないと思うなら
    通学生の大学ではなく通信制大学への進学の検討をすすめている。

    しかしそこまでしてまで大学に進学する意味とは何なのか。
    そしてブラックバイト、風俗も含めてそこまでして得るものが
    大学の授業、ゼミにあるとは到底思えない。
    高卒で正規雇用を増やす、高卒であっても大卒を同じような
    就職活動が出来るように規制緩和を行うこと。
    給付型奨学金も増やせれば良いけれども限界を感じる。
    またこれまで受益者負担をいう名で負担を国民に押し付けてきた
    自民党政治に過大な期待をするべきではないだろう。

  • 『女子大生風俗嬢 性とコロナ貧困の告白』を読みたかったが図書館になかったので昔のこちらを読んだ。おそらく内容はさほど変わらないと思う。風俗だけでなく学生の多くが務めるサービス業がコロナで休業または人材削減でバイトすることも体を売ることもできなくなった事が書かれているのだろう。
    さて、うちの息子二人も当然の奨学金で大学に通っている。収入が学費を捻出することができないからに尽きる。倒産や事業縮小する昨今、まともに高収入を出せる企業など一握りである。可哀そうだが借金背負いながらも無事卒業、就職してほしいと願う。
    日本は終わっている。誰もがそう思っているし、実際そうだ。結婚して子供を作ることはそれは不幸を背負わせるに他ならない。先に読んでいた『三体』でも将来に悲観して子供を作らない話が合ったけど、日本の将来には未来がない。確実に、だ。さっさと語学教育して国外脱出するのが一番の正解だと思う。これまた先に読んだ『公転しながら~』でも書かれているが2025年以降40年にかけて、日本は高齢者であふれかえる。くその役にも立たない高齢者に先行ワクチン接種や高齢者介護支援とか日本は意味不明な政策ばかりで学生への支援はなし、日本学生支援機構というサラ金地獄が口を開けて待っているだけ。腐った老体を生かして若い肉体を崩壊させる日本の政策は何度も言うが終わってる。
    女性は体を広げるだけで高額を手に入れることができる。男は汗水はたいてまともな収入が得られない。そりゃ犯罪と自殺が増えるはずだ。
    日本政府よ、コロナはもっとまん延すべきだった、ワクチン接種は若者を優先に打つべきだったとのちのち後悔するだろう。

  • 女子大生が風俗業界に大量流入している。そこから見えるいまの若者の底知れない貧困とは。資格を取りたい、留学したいといった「向上心ある学生」ほど、身体を売って学費を稼いでいる衝撃的な現状をリポートする。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/webopac/BB40238841

  • 貧困・大学生・風俗、どれも自分の身近なところにあるということを思い知らされた。今までの風俗に対する偏見や何の苦労もなく学校に通えている自分の状況など、改めて振り返り考え直すことができた。

  •  丹念に取材した一冊。風俗嬢にならざるを得ない状況に追い込まれてしまった女子大生がいる一方で、「風俗嬢しかない」「風俗嬢が好き」と思われる人も登場する。

     一流大卒でも、仕事で全く役に立たないオジサンを数多く見るせいか、体を壊すほどバイトしたり、体を売って稼いだりと、無理して大学卒の学歴を作らなくてもなあ、というのが正直な感想。

     高卒や中卒の学歴で豊かな人生を送っている人は珍しくない。学校で多様な職業観や生き方を教えてくれる教師がいれば、少しは違ったのかも。

     就活でベンチャー企業の経営者の話を聞いた女子大生風俗嬢が、「自己顕示欲丸出しで”夢”とか”やりがい”とか、適当なことばかり言っている。どうせブラック企業ですよ」と喝破していたのが笑えた(出身高校の偏差値は70だとか)。

     本書の発行後に人手不足が深刻化して、時給アップなど、バイトの状況は大きく変わったが、コロナ騒動で状況は一変した。お笑い芸人が予測したように、新たな女子大生風俗嬢が業界に流れ込んでくるのだろうか。

  • 話題になった「子どもの貧困(岩波新書)」の大学生版ルポといったところだろうか。
    タイトルは女子大生に限定されているが男子大学生にも焦点を当てている。

    某芸人の「コロナの影響で風俗嬢に美人がー」発言をきっかけに購読した。

    正直この実態を知るとそのような軽い発言は到底できないなと感じた。

    こうも悲惨なものかと。一方で当事者はそこまで悲壮感に満ちてはないようにもとれるのは驚きでしかなかった。

    ただただ憤りを感じる一冊。。

  • 隔世の感があります。

  • 風俗産業で働く若い女性への取材から浮かび上がる実態。

    風俗を選んだ理由。

    やはり多いのは、お金を稼ぐ必要に迫られてのことだが、その理由が、昔と今では違う。

    昔は「遊ぶためのお金」だったが、現代では、「日本学生支援機構の奨学金返済のため」、「生活のため」。

    奨学金の返済に苦しむ大学生がいかに多いかということに驚かされた。

    大学生でなくとも、毎日の生活費のために風俗産業を選んだという人、単に興味関心があったから入った(この人はこの人で、複雑な事情を抱えていた)、そして、やはり生活費・学費のために、風俗産業に進む男性もいることに驚く。


    学費の高騰と返済能力を無視した学生支援機構の融資枠の拡大。若者たちを圧し潰す。

    そうした若者たちの現実を描き出している本書だと思う。

  •  同じ著者の『日本の風俗嬢』や『職業としてのAV女優』の姉妹編ともいうべき本である。

     「女子大生の風俗嬢が増え始めた」ことが新奇な現象として報じられたのは1980年代だが(それ以前にも例外的な女子大生風俗嬢はいただろうが)、当時の女子大生風俗嬢はおおむね「遊ぶ金欲しさ」でなるケースが多かったと思う。

     しかし本書によれば、昨今は生活費と学費捻出のために風俗をするケースが多いのだという。つまりこれは、「若者の貧困」の問題を女子大生風俗嬢というフィルターを通して考えた本なのだ。

     著者は、風俗・AVライターとして長年活動してきた人。『日本の風俗嬢』『職業としてのAV女優』は、その経験と知識が凝縮されていた点がよかった。

     いっぽう、本書は行き当たりばったりの浅い取材で書かれている印象で、前2著に比べて読み応えがない。
     たとえば、第3章「貧困の沖縄を行く」は「2泊3日の取材」(本文にそう明記されている)で書かれている。2泊3日で何人かの風俗嬢を取材しただけで“沖縄のいま”を語られてもなあ。

     また、第5章「風俗はセーフティネットか」に登場するのは、45歳と30代の熟女風俗嬢と、20歳だが大学生ではないデリヘル嬢だけだ。おいおい、これは『女子大生風俗嬢』という本ではなかったのか。

    《大学進学率が50%を超える状況だが、旬な適正年齢で、最高学府に進学するような女性は、なかなかそこまで転落しない。山根氏から、“うちで一人だけ20歳の女の子がいます。学生ではないですけど、取材しますか?”と言われた。》
     
     ……って、本のテーマとタイトルを著者自身が否定しちゃってるし(笑)。女子大生風俗嬢の事例が、思ったほど簡単には見つからなかったのだろう。

     まあ、“大学の学費高騰とそれに伴う奨学金(という名の借金)問題の深刻化によって、女子大生風俗嬢にならざるを得ない人が増えている”という本書の問題提起自体は、社会的意義のあるものだと思う。

    「今は学生の半分以上が一般的なサラリーマンの年収以上の借金を背負っている。90年代後半あたりまで、奨学金の受給者は大学生全体の2割程度だったけど、今は52・5%となって少数派ではなくなってしまいました」(大内裕和・中京大教授のコメントより)

     過去の著作でも感じたことだが、この著者には、ごく一部の極端な事例を根拠に“社会全体が極端になっている!”と針小棒大に書き立てる悪癖がある。
     たとえば、『崩壊する介護現場』では、“介護業界で働く女性の多くが副業で性風俗をやっている”かのような書き方をしていた。
     
     本書にも、「この数年、世代格差が叫ばれている。高齢者は様々な社会保障で悠々自適に暮らし、その孫はカラダを売って大学進学する、そんな現実がある」(「おわりに」)という一節がある。
     いやいや、そんな書き方ができるほど一般化した現象ではあるまい。“風俗の仕事で学費を捻出する学生も、世の中にはいる”というだけの話だろう。

  • うーん、奨学金を利用している大学生の数は半数にも及ぶとか、大学費用が高騰してるとか、これらの客観的な事実と、風俗嬢に女子大生が増えてるってサンプル数も少ない曖昧な事がごっちゃになってると思った。まあ新書なり内容かな。好奇心は刺激された。一番面白かったのは大学院の学費稼ぐのに二丁目で売り専やってるノンケの男の子の話で、本のタイトルの女子ですらない。

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著者プロフィール

1972年生まれ。ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場をフィールドワークとして取材・執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、さまざまな過酷な現場の話にひたすら耳を傾け続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)はニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞ノミネートされた。著書に『新型コロナと貧困女子』(宝島新書)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『職業としてのAV女優』『ルポ中年童貞』(幻冬舎新書)など多数がある。また『名前のない女たち』シリーズは劇場映画化もされている。

「2020年 『日本が壊れる前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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