- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022736468
作品紹介・あらすじ
【文学/日本文学評論随筆その他】この国には独善か偽善かしかないのか? 「反知性主義」的罵詈雑言にさらされながらも、発言をやめない著者がたどりついた答えとは。小利口な傍観者にならず、権力者の論理やお仕着せの正義に洗脳もされず、まっとうに考え、前向きに行動するために。
感想・レビュー・書評
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知性と反知性で権力や社会の分断を招くのではなく
その中間の半知性と教養をつくっていこうと提言している。
第三次新書ブームのバカの壁からバカキャラからすでに10年以上経過しているため社会が大きく変化していることを改めて実感した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書は、「WEBRONZA」での連載「香山リカの新しい『リベラル』の話をしよう」などに加筆し再構成された昨年12月末に出されたものです。
精神科医としての豊富な臨床経験をもとにこれまでも様々な発信を続けてきた著者が、戦争法が強行された状況を踏まえ、これからどのように考え行動したらいいのかを問いかける内容。権力者のもつ精神的構造とそれをある意味容認する社会的な風潮に関する分析は、なるほどと思わせるものでした。「新書」のカテゴリーにある実態(売れる売れない、読んだ後あとに残らないもの)を紹介しながら、効果や効率だけが強調される市場主義が「反知性主義」を生み出し考える力を削ぎ落としているという指摘には怖ろしいさを感じました。
「権威に支配されない、平等を実現する、音楽やダンス、ファッション、料理や恋愛と並立する知性。それが半知性主義であり、これからの社会を切り開く鍵になるのではないか」との投げかけへの答えは、自らが実践し見出していくことではないかと思いました。それが、最終章の「誰が権力者の暴走を止めるのか」との呼びかけにつながっていきます。
ぜひたくさんの人に読んでほしい一冊です。