この国の冷たさの正体 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 185
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736482

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】なぜこの国はかくも殺伐としているのか?個人、組織、そして国家、どの位相でもいびつな「自己責任」の論理が幅を利かせる。「自由」よりも強者の下で威張ることをえらび、「平等」より水に落ちた犬を叩く。私たちを取り巻く病理を全解剖。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルと帯紙が気になり冒頭数ページを読んで買ったが、全体的に薄いというのが正直な感想である。話が色々な方向に飛んでおりどの記述も深掘りされておらず読み応えが無かった。筆者の取材に基づいたルポ形式であればもう少し読み応えがあったのではと思う。所々で首をかしげるような記述があったが、特に気になったのは飲酒運転の記述。あれは自己責任云々以前の問題だろう。題材自体は良いと思ったので非常に残念であった。

  • 97年バブル崩壊の頃から言われ出した「自己責任」は、強者の弱者による責任転嫁である。画一化された「正義」を垂れ流し、メンタルを弱体化させているのがテレビ。自殺は精神疾患の結果だし、都会のルールを地方に押し付けて問題を悪化させるケースも多々。

    いろいろ複合的に変化してきているのだから、懐古ではなくどう対応すべきかだけど、自分の認知フレームを変えましょう、しかないのだろうか。

  • 「今のあなたの状態は、全てあなたが招いたことです」
    結果だけに、焦点を当て、過程や背景を見ない。
    社会的に立場の弱い人や、失敗した人に向けて、厳しく本人を
    追求、断罪するような、都合の良い強者の言葉、
    それが、「自己責任」です。
    この言葉は、今、日本社会で当たり前のように、
    使われるようになりました。

    今の日本社会は、どんなに頑張っても、努力しても、
    報われない人を大量に生み出しているような気がします。

    そういう社会状況を反映してか、
    中高生を対象にしたアンケート調査によると、
    現高校生の8割が日本の将来に対して、
    悲観的な見方をしているそうです。
    努力と幸福感が比例するとは、多くの若者が思っていないのでしょう。

    和田氏の経歴を見ると、まさにエリートです。
    氏は成功者ですが、弱者に対する、温かいまなざしを持っているように感じます。
    エリートが本来やる役目をしっかり心得ているように感じます。

    氏は、精神科医なので、様々なケースの患者さんを見てきたと思います。
    その上での指摘そして社会分析ですから、大きく外れてはいません。
    同情したふりして、適当なことをいう評論家とは違います。

    あまり実感がありませんが、
    法務省の統計を見る限り、日本の認知される犯罪数は減っています。
    殺人、強盗、傷害、恐喝、窃盗という犯罪件数は減り続けています。
    また、強姦、強制わいせつも、認知件数は減り続けています。
    しかし少年による家庭内暴力は、ここ10年で約2倍(2531件)になっています。
    また、高齢者(65歳以上)による刑法犯は、この10年で1.5倍ほどになっています。

    一方、厚生労働省が発表した統計によると、
    躁うつ病にかかる患者は94年時では43.3万人、14年時では111.4万人と、
    20年で2.6倍になっています。
    認知件数が増えたというよりも、私はやはり社会環境の変化によって、
    絶対数が増えたと思います。

    また、職場などで発生するパワハラ(いじめ、いやがらせ)などは、
    かなり増加しています。

    「どうせ自分には関係ないし」、「自分じゃなくて良かった」などの、
    口癖が当たり前に使われるようになりました。
    幸福感を発生させるものは、お金の他に、
    家族、友人、他人との信頼関係だと思いますが、
    少なくない日本人が利便性と効率性を追求した合理的な生き方、
    個人の幸福を優先させる生き方を選択しています。
    傷つくのが嫌だから、関わらないという選択です。
    しかし、そういう生き方に疑問を持っている人はたくさんいます。

    個人的には、
    これからも、「冷たさ」は加速していくと思います。
    それは、お金を稼げるモノは、良しで、
    稼げないモノは、ダメという、
    分かり易すぎるぐらいの無味乾燥な世の中です。

    そういう方向性を感じている人は少なくないと思います。
    和田氏も警告し続けていますが、いったん大きく舵を取った船を、
    停めるのが難しいように、

    日本社会は、これからも利便性、効率性を追求していくでしょう。
    そういう社会で、どう、幸福を感じて生きていくのは、
    至難の業ですが、手軽な解決方法はありません。

    しっかりと、自分の頭で考えて、他者と協力しあって、
    生きていくのが、ベターでしょう。

  • 「世間様」に迷惑をかけることを恥とする日本人。五輪エンブレム(佐野さん)やSTAP細胞(小保方さん)の異常な叩かれ方に見られる、自分より弱いものを叩く日本人。なぜこんな国になってしまったのか。その一つには自己責任論の背景にある「自分たちは正義」と言う考えがある。悪を叩くことで少しでも優位に立ちたいという心理。またそれを煽るマスコミ。パチンコ依存症よりもタチが悪いネットゲーム依存症。ネットゲーム企業には社会的責任がある。自殺報道が自殺者を増やすことを知りながらそれを報道するマスコミ連中。

  • 子どもたちの間でいじめが止まないのはやっぱりこの国が弱い者いじめの国だからじゃないだろうか。もし自分がその立場になったらと想像したら、そんなに簡単に苦境にある人をたたいたりはできないはず。弱者を排除したり少数派を汚く罵ったり、本音をためらいもなく吐き捨てる風潮は知らないうちに自分も加担してるのかもしれない。「自己責任」って他人を切って捨てる、すごくイヤな怖い単語に聞こえる。本来はそうじゃないのに。

  • 自己責任。

    久しぶりの和田さん。相変わらず読みやすいです。

    最後まで“努力をしないアナタの自己責任ですよ”という自己責任、この思考を最後まで否定するのが今作のテーマでした。半分は賛同できるのですが、ここは少し難しいだろという見解も。

    たとえに生活保護。中には生活保護を受けるのは良くないことだと自分で思い、申請をしない人がいたとしてもです。20頁の生活保護費のGDPに対する割合なのですが、日本が断トツで低く0.6%しかありません。それほど“この国の冷たさ”が象徴されています。

    生活保護に対して後ろめたく感じる思う人がポジティブになり、ここは一旦受給をして生活の基盤が再現できる目処が立つのを頑張ろう!これは理解できます。

    しかし、この0.6%という異常な低さは、自治体の窓際作戦で申請しようとも、受理される以前に追い返される旨を伝えて欲しかったです。
    自治体の担当者は、“もう少し頑張って仕事が見つかるはずです、アナタの努力が足りません”などと言って受け付けない冷たい態度。

    和田さんのこの本のテーマは“強者が責任をとらない日本”でありますから、生活保護に徹したテーマではないにしても、この部分を伝えないと意味がないような。

    「○○すべき」という硬すぎる思想そのものが、鬱に陥りやすいのも確かに賛同できます。
    3.11が全ての膿が地上に浮かび上がったのかなと思う人の中にいるのが僕でして、ここから各問題(原発、安保理、紛争テロ、非正規雇用、差別、貧困など多数)に対して真剣に向き合うようになったのも確かです。

    テレビなどメディアに騙されている人(無関心層)にも諸問題に向き合ってほしいと思いつつ、これらの問題の本をずっと読み続けていられるかよ!というのも本音です。正直、心が折れますよ。
    だから、それまで小説しか読んでいませんでしたが、震災以降は小説の中に織り交ぜて、諸問題の本を読んでいます。
    「まっ、いいっか」になってるかは分かりませんが、線引きを付けないと、やってられないかな。

  • 今の日本は自分が弱者なり下流なりに落ちる確率が高い時代。その中での考え方が参考になった。
    ・自己責任に見えることの大半は自己責任ではない事実
    ・責任を取りたくないヤツの言い分が自己責任
    ・自分を守るために法律を知ることの重要性

  • 5月読書会の本。
    後半は比較的読み易かったが、時事問題とかけるとうーんと悩む部分もあった。
    気分の落ち込んだ人にぜひ読んでほしい。

  • はっきりとは覚えていないのですが、住みにくい世の中になってきたなあと実感したのはもう20年くらい前だろうか。そのとき感じたのは、とにかく白黒をはっきりつけようじゃないかといった時代に変わってきたということでした。不機嫌そうな顔の人やイライラした様子の人が増えてきたような気もしました。私の子どもの頃は、町内の大人たちがそこに暮らす人たちを大事に見守り、緩やかな関係のコミュニティが成立していたと思います。いまはこのコミュニティが崩壊し、皆の顔が見えにくくなっています。個で生きていかなければならない雰囲気です。

  • レビュー省略

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プロフィール

1960年大阪府生まれ。和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師。1985年東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て現職。

「2018年 『やってはいけない健康診断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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