エロスと「わいせつ」のあいだ 表現と規制の戦後攻防史 (朝日新書)
- 朝日新聞出版 (2016年2月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022736512
作品紹介・あらすじ
【社会科学/社会】日本初の本格的な展覧会開催など「春画」がブーム。しかし春画掲載の週刊誌は警視庁から厳重な「指導」を受けた。エロスとワイセツの線引きはどこなのか? 「チャタレイ」から「ろくでなし子」まで、数多くの具体例で「いやらしさ」の本質に迫る。
感想・レビュー・書評
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警察・検察・裁判官が一体となって気に入らない性表現を猥褻認定する構図。
いったい彼らの頭の中はどういう仕組みになっているのだろうか。
謎の常識や意味不明な風紀を振りかざして表現に烙印を押す動きに恐怖を感じた。
一方で、過去に猥褻認定されたものが現在ではふつうに流通しており、社会の流れには勝てないというのは安心材料だ。
そして、このように流動性の高い概念を刑法で扱うことは厳に慎むべきだと感じた。
いまこそ刑法の脱道徳化を推進すべきだと思う。
猥褻概念は明治維新、脱亜入欧の流れで生まれた。
それまでは猥褻という概念はなかった。
伝統で言えばむしろ江戸時代は裸はとくに恥ずかしいものではなかったのだ。
気になるのは、性表現が探せばいくらでもあっただろうに、立件したのは一部であることだ。
てっきり性表現を殲滅することが目的だと思っていたが、違うのだろうか?
この手の規制をかけたがる人の頭の中を覗いてみたい。 -
題名のわりには真面目な本だった。
妻には「何を読んでるねん!?」とエロ本でも読んでいるかのような目で見られたが。 -
猥褻は犯罪で、エロスが芸術とも言い切れないが、なんというか、性器がはっきり描かれているか否かで猥褻を判断するのは乱暴だなと感じる。
はっきりとルールがあるものではないので、常に悩むところなんだろうね。
というか、なんでも芸術っていうのもそれはどーなのとは思う。
全く関係ないけど、このタイトルを見て「冷静と情熱のあいだ」を思い出す。「●●と××のあいだ」ってなんにでも使える優秀タイトルだよね。 -
法学で学ぶ猥褻概念を、事例を通して生々しく?考えさせてくれる題材が並ぶ。
読み通して思うことは、「猥褻」ってわけ分かんねぇな、という感じ。
僕個人としては、『チャタレイ夫人』の文章も『四畳半』の文章も、普通に「性的刺激」を受けるもので、だからといって、そのレベルから、すなわち文書もポルノもAVも全部規制されたまっさらな世界では住みたくない、と思われて、
そこに対する保護の必要性がみんなもう分からなくなってきてる気がした。
性道徳は倫理の問題で、それを法によって規制しようという考え方自体の無理がもう出ているのだろうと。
そうではなくて、プライバシー保護的な観点から、児童ポルノやリベンジポルノを規制していく方向へ、見たいくない人に見せない対処の方向へ、舵を切らなければならないのだろう。